Flour of Life

煩悩のおもむくままな日々を、だらだらと綴っております。

映画「ボヘミアン・ラプソディ」感想

2018-12-02 17:10:58 | 映画


先日の映画の日に、イギリスの伝説的バンド「クイーン」のボーカル、フレディ・マーキュリーの伝記映画「ボヘミアン・ラプソディ」を見ました。

公開初日に1度見ているので、これで2度目です。早めに行こう行こうと思っているうちに、だいぶ時間が経ってしまいました。あともう1回見られるかなーでもファンタビの3Dも見たいしなー。年寄りなので同じ映画を何度も見ないと内容が理解できなくなっているわけではありません。良い映画だからまた見たいと思っているだけです。ええ。ほんとですよ。

映画の公式サイトはこちら。

映画は1970年にフレディが後のクイーンのメンバー、ブライアン・メイとロジャー・テイラーに出会うところからスタート。さらにベーシストのジョン・ディーコンも加わって、クイーンが完成。そこからクイーンのサクセスストーリーとフレディの孤独が描かれ、最後は伝説のライブ・エイドを完全再現で終わり。時間にして2時間強と長いのですが、そのうち20分はライブ・エイドの演奏シーンで、他にもライブのシーンはいくつもあるので、ドラマ部分は案外短い、というかかなりざっくりしてます。メンバーは基本仲良くて、確執とかほとんど出てこないし。唯一あったフレディ邸でのパーティのシーンもあっさりしてたし。あそこはもうちょっと下世話にしたほうがよかったんじゃないのかなとも思うのですが、映画全体がきれいめに作られてたので、そこだけ突出するわけにもいかなかったんでしょうね。

映画は大ヒットしているのですが、リアルタイム世代や洋楽に詳しい人からは、史実と違うと批判も受けています。フレディがメンバーにエイズだと告白したのはライブ・エイドの後だったとか、ライブ・エイド前にもクイーンはワールドツアーをしていたのに、映画ではもう何年も演奏してないみたいになってたとか。クイーンをモデルにしたフィクションではなく、伝記映画のていをとってるのもよくないんでしょうね。制作側にフレディの人生をモチーフにして伝えたいことがあって、それを伝えるために換骨奪胎しながら作ったらこうなったんだろうなー、というのはなんとなくわかるんですが。

私自身は、高校生の時にラストアルバム「イニュエンドウ」を新譜として買ったら、その直後にフレディが亡くなってしまった、くらいにリアルタイムで触れる機会がなかったので、この映画に対して憤ったり激しく批判する気にはならないのですが。それと同時に、この映画のスタッフと出演者が、フレディの人生を通して伝えたいことに共感できたからというのもあります。これがもし、NHKの朝ドラで、実在の人物をモデルにした作品(BKのアレとかBKのソレとか)みたいに、モデルになる人物の人生を都合よく矮小化して、美味しいところだけつまみ食いするような映画だったら、私もブチ切れていたことでしょう。

ただ、70~80年代に、フレディのような立場の人が、人種や宗教、セクシュアリティにおいて感じてきた孤独を語るには、クイーンの音楽にパワーがありすぎて、バランスが悪かったんじゃないかなと思います。音楽のパワーを、映画をひっぱるプラスのパワーとするなら、マイナスのパワーにあたる何かがあったほうがよかったんじゃないかな、なんて。愛を求めて孤独の果てにエイズに感染して亡くなること以上の悲劇はないと思いますが、映画ではそこはすっ飛ばしてましたので。

それでも、フレディがニューアルバムの記者会見で自身の出自やセクシュアリティについてばかり質問攻めにされるのは見ていてとても息苦しかったし、フレディが自分の妻のメアリから恋人を紹介された時の絶望的な表情は強烈に印象に残りました。フレディはメアリを愛してたけど、それはメアリが求める愛ではなかった。フレディとメアリのすれ違う様子はとても痛々しくて、2人が電話越しに乾杯する場面(ただしメアリはグラスを持ってない)は、思わず「うわぁぁぁ」って唸りそうになりました。

さて、この映画の魅力はなんといってもクイーンの音楽のパワーなわけですが、リアルタイム世代じゃなくても聞いたことのある曲のオンパレード、使用されているのはほぼオリジナルの音源つまりクイーンの演奏なので、聞きごたえはあるし演じる俳優も「本人じゃないの?」と疑われるほど再現率が高いので、見ごたえのある演奏シーンになっています。いやリアルタイムで見てないけど。もし見てたら突っ込んでたとは思うけど。ちなみに、私が一番似てるなと思ったのはベースのジョン・ディーコン(ジョゼフ・マゼロ)で、一番似てないと思ったのはフレディでした。フレディ役のラミ・マレック、演技はすばらしいけど本人に比べると小柄で華奢だから、不満に思うファンの人がいるのは仕方ないかな。

そして、似てるとか似てないとかじゃなくて、一番かわいかったのはロジャー・テイラーです。1度目に見た時は映画の内容を理解するのに精一杯で余裕がなくて、ロジャーのかわいさを堪能することができなかったのですが、2度目は余裕があったのでロジャーが出てくる場面はひたすら「ロジャーかわいい、ロジャーかわいい」でした。変態です。ええ。MVで女子高生風に女装してるのもかわいかったし、ツアーバスの中で両脇に女の子抱えて寝てても、女の子たちよりロジャーの方がかわいかったです。ロジャーを演じているのはベン・ハーディ。まだ27歳なのでかわいいのはあたりまえですが、ロジャー本人も60をとうに過ぎた今でもとてもかわいいので、ベン君もこれからずっとかわいい道を邁進して欲しいです。

クイーンのメンバーの仲の良さというか、フレディを支えようとするメンバーの優しさが伝わってくる場面がいくつもあったけれど、それでもメンバーには帰る家があって家族がいて、フレディは一人残されてしまうのが切なかったので、映画の最後に救わる場面(ライブ・エイドの前に実家に立ち寄る場面)があったのがよかったです。というかあそこで一番泣いた…。

上にも書いたように、私はラストアルバムからクイーンに入ったくらいのど素人で、再び興味を持ったのは、その約10年後にベジャール・バレエ・ローザンヌの「バレエ・フォー・ライフ」を見た時でした。「バレエ・フォー・ライフ」はベジャールがフレディと同じ時期にエイズで亡くなった伝説的ダンサー、ジョルジュ・ドンとフレディを重ねて、クイーンの楽曲をベースに作った作品です。ベジャールの主観による創作で、史実に沿ってフレディの人生を再現した作品ではないのですが、若くして亡くなった二人の天才に捧げる、素晴らしい作品だと思います。私がこの映画に肯定的なのは、「バレエ・フォー・ライフ」を先に見ているから、というのもあります。ちなみに、私はこの作品を東京文化会館とパリのなんとかっていう劇場とで2回見ました。言葉がわからなくても理解できるから、バレエっていいですね(途中で英語のセリフがある件についてはスルー)。

なので、ベジャール・バレエ・ローザンヌさん、ジル・ロマン芸術監督、これを機会にまた「バレエ・フォー・ライフ」をやってくれませんかねー?また見たいなぁ。

12月はばたばたしそうなので、映画を見に行く余裕がごっそり減りそうですが、とりあえずファンタビ3Dだけはなんとしても見ます。あとくるみ割り人形。劇場へバレエを見に行けないなら、映画でバレエを見ればいいのよ!おっほっほー!


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