Flour of Life

煩悩のおもむくままな日々を、だらだらと綴っております。

「平清盛」第47話。

2012-12-03 00:38:28 | 大河ドラマ「平清盛」


第47話のサブタイトルは「宿命の敗北」でした。国の頂にまでのぼりつめた平家一門に、とうとう敗れる日が
来てしまいました。というか、いままでの1人勝ち状態が異常だったわけですが。東国で平家打倒の声をあげた
頼朝は、平家に対抗できる勢力としてどんなマニフェストを出してくるんでしょうか…ってそれは違うか。
いや違わないのか。どっちなのでしょう。とりあえず政権交代が近いことだけはわかります。その結果、
世の中が良い方向に向かうのかそれとも逆に進むのか、それはまだわかりませんが。

第47話の詳しいあらすじは公式サイトのこちらでどうぞ。今年の大河の公式はあらすじの説明が丁寧過ぎるんじゃないかと
思っているのですが、今週のあらすじの締めの一文は見事でした。でもやっぱりちょっと親切すぎるかな。

さて、今週の感想です。
伊豆で挙兵した頼朝のもとには、源氏らしくヒャッハーな武士たちがつぎつぎと集まってきていました。
その光景は「まだ見たことないけど『エクスペンダブルズ』ってこんな感じじゃないのかな」と思わせるほど、
スイーツ女子が裸足で逃げそうなほど強面ぞろいで男臭さ1000%でした。いや、最近まで弓矢の腕もさっぱりだった
オトメン頼朝がごついおっさんに囲まれている図を見てると、「殿といっしょ」の長宗我部元親とその親衛隊もとい
家来集を思い出して、もしかして頼朝が平家を倒して鎌倉幕府の将軍になれたのは、家来たちが

「おお!俺たちの棟梁マジカワイイ!!」
「棟梁の喜ぶ顔を見るためなら、平家なんて軽くぶったおせるぜ!!」


と萌えて張り切ったからじゃないの…とか。今週初登場した上総広常なんて、最初は頼朝をなめてかかってたくせに、

・いざ本人が現れたら→「うそやだ…かわいい(ポッ)

・帰れと言われたら→「そんな…私が悪かった!謝るからぶって!じゃなくて許して!」

って、一瞬のうちにひれふしちゃってましたもん。ううむ、「かわいい」って凶器なんですね。

しかし、イケメンオトメン頼朝には、爽やか仔犬系イケメンの弟・義経がいました。この2人、イケメンでもタイプが
かなり違います。おそらく、平家を滅ぼした後に家来たちは義経派と頼朝派で趣味いや意見が分かれ、どっちがより
かわいいか争うようになって、源氏もまた衰退してしまったんでしょうね。やっぱり「かわいい」は凶器…。

妄想はさておき、頼朝のもとに馳せ参じたときの、義経のピュアに兄を慕っている表情と、それよりも少し複雑な
ものが混じった頼朝の表情の違いがよかったです。頼朝は義経を見て、常盤の存在に悩まされた母を思い出したのかも
しれません。この兄弟のこれからの話が、今年の大河で掘り下げて描かれるほど時間がないのが残念です。

悪役商会の楽屋みたいな源氏陣営とは遠く離れた福原で、清盛は孫の維盛を総大将に任命して、頼朝打倒を命じました。
この維盛役の男の子が、戦場で活躍する姿が1ミリも想像できないほどの見事なまでのうらなり君。そんな彼に
「平家の男ならできるはず」
と、総大将の大役を背負わせてしまう清盛は、やはりズレてしまってたんでしょうね。忠清や貞能が、若い者たちを
必死にサポートしようとしているのが痛々しかったです。武士だった頃の平家を知っている老人たちと、公卿として
和歌や舞にあけくれる平家しか知らない若者たち。重盛が生きていたら、力極端な彼らの間に入ってとりなしてくれた
のかもしれません。つくづく惜しい人をなくしたもんだ…。

戦のいの字も知らずに育ったうらなり君が、百戦錬磨の忠清の言葉を聞かずに強引にことを進めて、それらはすべて
裏目に出てしまうという一連の流れは、維盛の戦下手にイライラするというより彼の顔に浮かんだ悲壮感に同情して
しまう気持ちのほうが強かったです。清盛よ、「お前は武士の子だ!」って言うくらいなら、その前にもっと武士らしく
育てるように気を配ればよかったんじゃないの?子育てに参加しないくせに、自分の子供が理想通りに育ってないって
怒る父親みたいでムカつくぞ。

というわけで、いまさら武士ヅラする清盛に不満が限界までたまってきたこちらのかわりに、忠清が清盛に思いのたけを
ぶちまけてくれました。忠清の言葉は、とてもシンプルで、清盛や平家への愛情が込められていて、胸に迫りました。
清盛が目指す「武士の世」を作るために、平家は武士ではいられなくなった…そのことに清盛が気づいてなかったとは
思えません。うすうす気づいていたけど、認めたくなかったのでしょう。図星をつかれ、怒りに我を忘れた清盛は
忠清を斬ろうと宋剣を抜きますが、剣の重みによろけて倒れてしまいました。愕然とする清盛。
この場面の清盛は、先週のラストで頼朝挙兵の知らせを聞いて目を輝かせていたときの顔と対照的でした。
錆びの浮いた宋剣を落とし、わなわなと震える清盛の手。その剣を自在に振り回していたことの清盛の回想シーンが
清盛の老いを一層際立たせていました。蝋燭の最後の残り火すら、もう消えようとしています。

来週は、あれほどまでにこだわっていた福原遷都をついに諦めるようです。予告で流れた、もはや何も映ってなさそうな
清盛の虚ろな目が印象に残りました。


ところで、平泉で義経が秀衡に「はやく兄のもとに行きたい」と請うたとき、秀衡は「いいように利用されるだけじゃ」と
義経を諭しました。結果、秀衡は弁慶と義経の熱意に負けてしまうわけですが、もしここで義経が思い止まっていたら、
あるいは弁慶の眉間に弓が刺さっていたら、歴史は大きく変わっていたかもしれません。ほんと、弁慶はいらんことしぃです。
そして秀衡はメイクがやりすぎぃです。


2 コメント

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忠清危機一髪 (ドロシネア)
2012-12-03 11:20:04
剣を取って忠清に迫っていくところで
「もうジジイだし、コケたりするのが普通だよな」
と思っていたら、ホントにコケたのでちょっと驚いたよ。

ケンイチさんは、老けメイクと演技が調和してて凄いよね。
盛国が老けてないのが奇妙に感じられて困っちゃうけど。
アイライン引かないだけマシだけど・・・
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あれはエジプトのファラオをイメージしているらしい (もちきち)
2012-12-03 23:51:18
>ドロシネア
>「もうジジイだし、コケたりするのが普通だよな」
と思っていたら、ホントにコケたのでちょっと驚いたよ。
コケたのは、宋剣が重すぎたからだよね。
軽々と振り回してた頃の映像とのギャップがすごすぎて絶句したよ。

>ケンイチさんは、老けメイクと演技が調和してて凄いよね。
うん。実年齢より若く見せられる人は多いけど、実年齢より老けて見せられる人は少ないから、すごいと思う。

>アイライン引かないだけマシだけど・・・
あれは…あの人にしか許されない特権だね。昔からだし。
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