「平清盛」第44話。

「平清盛」の第44話を見ました。平家滅亡までのカウントダウンは既に始まっていましたが、
今週、重盛が亡くなったことで破滅への一途はさらに加速しそうです。

詳しいあらすじは公式サイトのこちらでどうぞ。

先週の感想で、「乙前の死ぬ死ぬ詐欺にだまされた」と書きましたが、
今週、それは私の勘違いだったことがわかりました。なぜなら乙前は、

実はもうとっくにこの世のものではなかったからさ！！

冷静になって思い返すと、第32話の五節の宴でさっそうと舞を披露したときからおかしかったのです。
あの時代に、清盛が赤ん坊の頃にとっくにいい大人だったはずの人（まあ大体忠盛父ちゃんくらいの年齢の人）が、
清盛が五十を過ぎてもまだぴんしゃんしてるというのが。「これはドラマだから～」なんて適当な解釈していた
自分が恥ずかしいです。バカバカバカ！私のバカ！よく考えればわかることなのに！
少なく見積もっても80代の女性が、あんな不自然にハリのある肌をしているわけがないのに！
荒木飛呂彦じゃあるまいし！祇園女御（＝乙前）は最初からもののけだったから、歳も自由自在で神出鬼没で
未來を見透かしたようなことが言えるんだよ！今週でやっとわかったよ！死んだんじゃなくて、最初から
死なないもののけだったんだよ！ひぃぃぃぃ！！

…というわけで、はっきりと死亡が確認されていない以上、最終回で再び祇園女御が登場しても私は驚きません。
清盛に「もう二度と会うことはない」って言ってたけど、清盛もまた生者の世界の住人とは少し違うから、
女御があの世に旅立ったとストレートに解釈するのもためらわれます。というか、聖子ちゃんがこのままおとなしく
退場してくれるかどうか、まだ不安なんですわ…。


そんなこんなで、聖子ちゃんの今更の退場のおかげで重盛の死のインパクトが薄れてしまいましたが、化け物じみた
父親と上司に振り回された薄幸の嫡男の最期は、演じる窪田正孝君の熱演もあって壮絶で、鳥肌が立ちました。
瀕死の重盛にゴッシーが双六を強要する場面で、「おっさん何をトチ狂ったことを」とずっこけましたが、40年前、
ゴッシーも清盛もまだ若かった頃、2人は幼子だった重盛を巡って双六をしたことがあったのでした。
言われたやっと思い出しました。ちなみに気になってその回（第9話）の感想を読み返したら、清盛は明子との
間に生まれた清太（のちの重盛）の誕生を、心の底から喜んでました。なのにどうしてこんなことになってしまったのか…。
世の無常を感じます。

40年前、清盛は清太に双六盤を振り上げた雅仁親王（のちのゴッシー）に、「清太を傷つけたら、親王様とて
容赦はしない」（セリフうろ覚え）と言い放ちました。そして40年たった今、重盛に対して行ったゴッシーの
仕打ちに、清盛はタガが外れてしまいました。その結果、清盛はゴッシーを幽閉し、ついに武士（平氏）が
国の頂に立つことになったのですが…なんなのでしょう、この空虚さは。清盛の息子たちも、時子も涙ぐんで
喜んでいるけど、どこか虚しい空気がただよっていました。てっぺんにたどりつけば、後は下るだけ…だから
でしょうか。下るとき、いや転がり落ちる時も、平氏の絆は綻ぶことがないのでしょうか。ここまできたら、
彼らが破滅へと転がり落ちていく様も、見届けたくなりました。

今週は、今まで以上に清盛の老けメイク＆老け演技に磨きがかかっていて、老いた清盛が重盛の死で心のバランスを
失ってしまっているのがひしひしと伝わってきました。途中に挟まれた第9話の映像に出てくる清盛と、今の清盛が
あまりに違いすぎて。重盛も、今週はいままで以上に衰弱した姿で、それでも棟梁としての勤めを果たそうと
している姿に泣けました。それなのに、ああそれなのにそれなのに、ゴッシーはいつまでたってもあんまり
老けないのは…やっぱり乙前に今様だけでなく呼吸法も学んだからでしょうか。
ゴッシーなら「無駄無駄無駄無駄ァッ！」とか「貧弱ゥ！貧弱ゥ！」って叫んでも違和感なさそう。

来週は今頃になって新キャラ・仏御前が登場。正直、必要なの？って思いますが、どうなることやら。

あ、あとニート武士の頼朝は政子との間に姫が生まれてましたね。源氏の挙兵と反撃を、この大河でどこまで
描くのかが気になります。うどん県NHKは屋島の戦いまでやってほしそうですが…。