OBSニュース

小樽商科大学ビジネススクール(専門職大学院)に関する情報を定期的にお知らせいたします。

2010年新春メッセージ

2010-01-08 12:13:14 | ホットトピックス
小樽商科大学大学院商学研究科アントレプレナーシップ専攻(小樽商科大学ビジネススクール:OBS)の李濟民専攻長より新年のメッセージをいただきましたので、ご紹介します。
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企業の成長戦略
北海道の企業が 大きく成長するためには、どうすればよいのか。北海道の人口は560万人ですので、対全国比は約4%です。経済規模も大体4~5%です。北海道でナンバーワンになったところで、日本全国に通じるかといえば難しいでしょう。ですので、まずは東京に進出してから、というのが従来から言われてきたことです。ニトリのように全国区として成長してきた北海道生まれの企業もあるとは思いますが、大半はそうではないでしょう。そうした中で、中国経済が高成長を遂げており、経済危機以降も、世界経済をリードしていく国となりつつあります。そうすると、北海道の企業にとって、日本国内ではなく、中国を見ると成長の機会があるといえるでしょう。

東京からすると北海道は、沖縄や九州よりも遠く、北海道にまで進出すると物流コストの面でペイしなくなる、といわれてきました。そういう意味で東京からみると北海道は厄介なものに見えてしまう。つまり、北海道から一生懸命に東京にラブコールを送っても、東京から見れば、北海道の存在価値はさほど高くはない。こうしたアンバランスな関係が北海道と東京には存在し、北海道企業が努力を重ねていくうえで、相当なハンディキャップといえるでしょう。

見方を変えて、中国、サハリン、韓国を北海道との関係で考えてみると、距離的なハンディキャップはありません。特に、サハリンを中心とする極東ロシア、中国の東北3省と韓国・北朝鮮からなる「北東アジア」を考えると、北海道は実は周辺ではなく、中心に位置しています。したがって、北海道がロジスティックス優位を有することになります。このように北海道を中心とするモノやヒトの流れを意識することは、北海道企業にとって大変重要なことです。

だからといって、財力や体力もない北海道企業にとってグローバルに展開することはけっして易しいものではありません。北海道でうまくいっていない企業が北海道を脱して、中国をめざすというのでは、まちがいなく失敗するでしょう。北海道でうまく戦えない企業が海外で競争できるわけがありません。北海道でしっかりと戦えている、地に足がついた経営をしている企業が、視野を広げたときに別の世界が見えるはずです。残念ながら外を見ようとする企業が北海道には少ないと思います。北海道の地理的な強みを活かす上で、北東アジアを見据えて成長を図ろうとする企業が現れれば、北海道経済の発展にも大きく寄与するはずです。

OBSのミッション
グローバル化の中においては、一分野に特化した人材ではなく、広い視野をもち、分野を越えて資質や才能を発揮できるマルチな人材が、今後ますます必要になってきます。実務経験で培われた専門領域を中心軸として、さらに別な分野にチャレンジしていくことで、高い専門性をもちながら異分野のスキルをもしっかり身につけるというOBSの教育方針は、こうした時代の要請にも応えるものと確信しています。

OBSは開学7年目を迎え、今春で修了生が150名を超えようとしています。この人材ネットワークは北海道の中で何かをしようするとき、間違いなく大きな力となります。ただし、ネットワークを利用するには、自らもその一員として貢献しなければなりません。そこで大事なのは、実践的な感覚とアカデミックな知識をバランスよく使いこなし,しかも優れた専門性も持ちながらも広い視野でものごとをとらえられるマルチな能力です。その能力を磨くためには、机上の理論で整然としたレポートを書くだけでなく、積極的に発言して、ときには奇抜ともいえる発想で物事を捉えることも必要です。経験に基づくことはもちろん大事ですが、バックグラウンドの異なる相手に対するとき、理論的な専門知識に裏付けられる言動は迫力が違い、説得力を増します。OBSでの2年間で、是非こうしたマルチな能力をしっかりと身に着けてほしいと思います。
世界へと視野を広げるためにも、より多様なバックグラウンドや考え方をもち、意欲にあふれた方々の入学をお待ちしています。

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