札幌南八条郵便局
札幌南八条郵便局の風景印(=消印の一種)には中島公園と札幌パークホテルが描かれています。
印にホテルが描かれるのは珍しく、なぜ描かれているのか興味が湧いて調べてみることにしました。
札幌パークホテルは郵政記念日(逓信記念日)北海道地方式典の会場
消印の一種である風景印のリストである『新・風景スタンプ集 北海道・東北』(日本郵趣出版)によると、
こちらの印のテーマは「中島公園、逓信記念日式典が行われる札幌パークホテル」となっており、
札幌パークホテルは北海道の郵便局にとって、とても大事な場所であることがうかがわれます。
(だからテーマになっているのかと思われます。)
ただし、現在は「逓信記念日」ではなく、「郵政記念日」と称して式典が行われています。
「逓信記念日」と「郵政記念日」とは?
どちらも同義で、1871年(明治4年)4月20日、日本で飛脚制度に代わって、郵便制度が始まったことを記念する日となっています。
なぜ2通りの名称があるのか?
「逓信記念日」と「郵政記念日」。
なぜ1つの記念日に2つの名称があるのでしょうか。
名称変更の変遷を調べてみましたら、ちょっと興味深かったので記しておきたいと思います。
1934年(昭和9年) 逓信省、4月20日を「逓信記念日」と制定
一般会計から分離して通信事業特別会計が創設されたことを祝う記念事業の一つであった。
なお、逓信省とはかつて日本に存在した郵便や通信を管轄した中央省庁の1つ。
1949年(昭和24年) 逓信省、「郵政省」と「電気通信省」に分割される
「逓信記念日」は郵政省が引き継いだため、「郵政記念日」に名称を変更。
1959年(昭和34年) 郵政省の省名を「逓信省」に戻す法律案が国会に提出される
衆参両院で可決されるものと思ったため、同年に「逓信記念日」に名称を変更。
しかし、参院で慎重論が多数を占めたため、実現しなかった。
2001年(平成13年) 中央省庁再編に伴い、郵政事業所が設置される
これに伴い、再び「郵政記念日」に名称を変更。
1959年のところが実に興味深いですね。
こうした事情から2つの名称が混在することになってしまったようです。
ちなみに、札幌南八条郵便局の風景印が現在のデザインになったのは1999年。
故に、『新・風景スタンプ集 北海道・東北』には「逓信記念日…」と記載されることとなった…
と言いたいところですが、『新・風景スタンプ集 北海道・東北』の発行は2012年5月。
名称変更のチャンスは十分にあったと思うのですが、いかがでしょう?
(ま、いいっか。)
余裕があれば、名称変更について日本郵趣出版にお伝えしてみようかと思います。
札幌パークホテル再開発計画
さて、札幌パークホテルについて調べているうちに、同ホテルの再開発計画があることを知りました。
パークホテルを敷地北側の駐車場に建て替え、現在のホテルの跡地にMICE施設を建設するのだとか。
ということは、
こちらの景色もいずれ見られなくなってしまうのですね。
そして、印も!
切 手 : 和の食文化シリーズ第4集「和菓子」 82円
デザインを変更する日が来るかもしれません。
(ということは自動的に『新・風景スタンプ集 北海道・東北』の方も変更となりますね。)
コレクターの皆様、念のため、今のうちにこちらの印を収集しておいた方が良いかもしれません。
MICEとは
「Meeting」(会議)、「Incentive travel」(報奨旅行)、「Convention」(国際会議)、「Exhibition」(展示会)の頭文字をとり、
国際的な会議や学会、見本市などを表す総称。
これらの関係者は観光客よりも滞在時間が長いことなどから、誘致がより大きな経済効果につながると期待されている。
(朝日新聞デジタル版より)
参考資料
- ウィキペディア「郵政記念日」、「逓信省」
- 朝日新聞デジタル版「北海道)札幌パークホテル敷地に国際会議施設整備へ」
- 公益財団法人 通信文化協会 北海道地方本部ブログ
- 『新・風景スタンプ集 北海道・東北』(日本郵趣出版)