本日 190Eとお別れしました。
メルセデス・ベンツ190Eの魅力は、世間に広くおられるエンスーの方々を前に今更私が語ることでもありませんが私個人の感じた恩恵・利便性は記しておきたいと思います。いつかW201のオナーになるかもしれない人の為に。
先ずなんといっても小回りの良さ。「ここでUターンしたい」という時に難無くやってのけてくれちゃう旋回性は本当に便利でした。前に乗ってたリベロでは絶対無理だった道幅も 切り返すことなく一発で回ってくれる操舵のメカニズムは、贅沢な機構だと思いつつも恩恵にあやかりまくりました。何しろ家の駐車場で切り返しの必要が無かったわけですからその恩恵は毎日の事。コンパクトなのがお気に入りになりました。
元々はW124に憧れていたんですよね。でも自分の場合は後席に人を乗車させる機会が少なく、それはディアマンテがあるから尚更。狭い道も苦にならなず、結果的にW201の方がベターでした。左ハンドルは道の端に寄る時楽だし、右折の際は見通しが悪いですがその分無理をしません。そもそものんびり走る性格の車です。
第2に、腐っても鯛のメルセデスベンツ。こちらが直進で、脇道から出てくる車との距離にかなり余裕がある場合でも待たれる事が多かった。逆にこちらが脇道から主要道路へ出る時もかなりの確率で待ってくれますし、無理に割り込まれる機会も明らかに少ない。上記の右折の際も先に譲られるケースが多くて、寧ろ右折し易かったくらいです。結果、間違いなくアクティブセーフティに繋がってました。実はこれが190Eに乗っていて一番感じた恩恵です。ただ必要以上に道を譲られて 急いで行かなきゃいけなかったり、ナビゲーターから「頭を下げる機会が多すぎて気を遣う」とは言われました。当時現行だった友人のW211でもそんな機会は少なかったのに、ネオクラッシックと言われるだけあって、オールドメルセデスの威厳は確かに持っていると思ったもんです。
そして何よりハンドルを握っていて楽しい。車には個性があってそれは優劣のみのもんじゃありませんが、世界のカーヒストリーに名を刻んでおかしくない車のオーナーになれたのは最高の喜びでした。
前述の通り街乗りが得意なのは勿論ですが、高速走行も得意。寧ろ100km/h辺りから直進安定性が増す感覚ですし、足回りは固めですが それは中高速向けのセッティングなんですよね。首都高なんか段差が多く、狭くて交通量も多いので 東京に行くときは190Eが本当に楽でした。静粛性もディアマンテより上で、高速ではステレオも良く聞こえました。
また流石は欧州車・流石はメルセデス。20年以上前の車なのにパーツが豊富に流通しているし消耗品の差し替えもしっかり効きます。メルセデス初のコンパクトとして大ヒットし、米国が大きな市場でもあったためか価格の安いサードパーティー製品とその情報も豊富で、メンテナンスの真似事を自分で出来て車弄りを楽しめました。当然愛着は湧くし、ランニングコストが押さえられて苦もなく維持できた。「この車が愛車である事の意味を見いだせる」なんて勝手にほざけたんですから、自身を満足させてくれました。
なんだかんだで車は生活用品。選択の大きなウエートを占めるのは経済的な要因なのに、世界でも最高の1台とつきあえた事はとても嬉しい経験でした。再起不能になるまで出来るだけ長く乗りたいと思っていましたが、元気なまま次のオーナーに送り出す選択が取れたのも良かったと思います。貴重な経験を与えてくれて、今までどうもありがとう190E。願わくば次の誰かも幸せにしてあげてください。