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資金難克服、よみがえるヴォーリズ建築 「ツッカーハウス」改修完了(近江八幡市)

 米国出身の建築家「ウィリアム・メレル・ヴォーリズ」(1880−1964年)が設計した、近江八幡市北之庄町の旧ヴォーリズ記念病院の敷地内にある、老朽化した「ツッカーハウス」の10年間に及ぶ改修工事が完了した。
5月20日(土)まで見学会を開き、公開している。

↑写真:中日新聞より

ヴォーリズ記念病院旧本館(ツッカーハウス)
近江八幡市北之庄町492(旧ヴォーリズ記念病院の敷地内)

 世界で結核が大流行した1918年(大正7年)、ヴォーリズは「多くの命を救いたい」と考え、民間の結核療養所として設計した。名称は、思いに共鳴して多額の善意を寄せた米国の支援者メアリー・ツッカーにちなんでつけられた。

 木造2階(一部3階)地下1階で、延べ845㎡。20年ほど前までは記念病院の管理棟としても活用された。緩和ケア病棟の建設に伴い、2005年頃には解体計画が浮上。保存を望む有志が署名を集め、存続してきた。

 改修後の1階は、建物を所有する公益財団法人近江兄弟社の法人管理本部が活用する。2階のかつての病室は、コンサートなどを開く交流スペースや、ヴォーリズの功績を紹介する展示室に生まれ変わった。レクリエーション室はカフェにも使う予定だ。

 老朽化が進み、改修前は1階でホラー映画が撮影されたことも。2012年に大屋根の瓦ふき替えに着手し、2014年には国登録有形文化財に指定された。その後、認定NPO法人「ヴォーリズ遺産を守る市民の会」と近江兄弟社が協力し、段階的に工事を進めてきた。
 資金確保のハードルは高く、市民の会は2021年秋、クラウドファンディングで寄付を募った。寄せられた善意も活用して、耐震補強や室内の復元改修をした。

 隣接するケアハウス信愛館で5月14日、再生オープンセレモニーがあった。市民の会の辻友子理事長が、保存再生に尽くした関係者に感謝状を贈った。出席した60人余がツッカーハウスを見学した。

 見学会は10:00と13:30から各1時間で、希望者はハウス前に集合する。

 生前のヴォーリズ夫妻と親交があり、市民の会建築部で中心的役割を果たした地元の田中浩一さんは「構想から20年、長い道のりだった。保存再生はあくまでスタートライン。利活用を通じて、新たな交流が生まれてこそ意味がある」と話した。辻理事長は「命と平和を愛したヴォーリズの精神が息づいていると感じた。皆さんのおかげ」と感無量の表情だった。

<中日新聞より>
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