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【滋賀・近江の先人第73回】勤倹力行型、伊豆で花開く近江商人・山中兵右衛門(万吉)(滋賀県日野町)

山中兵右衛門(万吉、1685年(貞亮2年)生れ、豪商近江日野商人。醸造業。

山中家は代々蒲生氏の配下の家柄だったが父、山中頼常の時、日野漆器業に始めるが商運に恵まれず。山中兵右衛門は父の意思を継ぐべく、

1704年(宝永元年)、20歳の時、日野碗を持ち御殿場へ行商を開始した。帰路、米、大豆、絹布を売りさばいた。片道400キロの往復行商を14年続け、勤倹力行、質素倹約の結果、

1718年(享保3年)34歳で御殿場で店舗「日野屋」を開設した。その後、多岐多様の商品を扱ったが巨利を得たのは米商売だったと言われている。


結果、
山中万吉(後の山中兵右衛門)を始祖とする山中兵右衞門商店は近江日野商人で中井源左衛門家に次いで規模が大きいと目された。

山中兵右衛門家は、本店含め五店舗体制を築いて御殿場地方の一大商家(主に酒造業)に成長した。
全店に共通する主な販売品は酒、醤油、酢、米、大豆、塩などで醸造品や穀類,原料品が中心である。
小田原店は酒及び醤油の醸造、御殿場酒店は酒造、沼津店は酒の販売、伊豆店は醤油醸造を中心に経営していた。

山中兵右衛門家では、家族の生活の中心が静岡県御殿場市の出店に移っていた関係で、六代目兵右衛門の遺言により、昭和56年(1981年)に家屋敷が日野町に寄贈され「近江日野商人館」として利用されている。
創業300年の「山中兵右衛門商店」は、現在もなお、静岡県で存在し、日野商人の末裔が「酒類・食品卸売業」を営んでいる。

株式会社 山中兵右衞門商店
所在地 静岡県駿東郡清水町卸団地92番地
http://www.yamahyo.co.jp/company-histry.html

ヒストリー
1704年(宝永元年) が、20歳の時、江州日野(現在の滋賀県蒲生郡日野町)より行商へ旅立つ
1718年(享保3年) 小田原藩御厨(現在の御殿場市御殿場)に店舗を構える(34歳)(店印: やまかのう)→山中兵右衞門商店「日野屋」(創業年)
1770年(明和7年) 沼津店(店印: かぎかのう)を開設し、次男与兵衛へ分与
1800年(寛政12年) 御殿場名主 平右衛門より酒株24石を譲受、御殿場酒店(店印: まるやま)を開設 ※酒造開始
1812年(文化9年) 相模国足柄上郡関本村に酒店を開設(店印: かくなか)
1813年(文化10年) 小田原藩への貸付始まる
1819年(文政2年) 関本店を閉鎖し、小田原池上に酒店を開設(店印: まるだい)
1836年(天保7年) 伊豆国南条村に醤油醸造店を開設(店印: まるふと)
1851年(嘉永4年) 沼津店 分家与兵衛より引受ける(店印: いちかのう)
1875年(明治8年) 伊豆南条店で酒造を開始
1923年(大正12年) 関東大震災により、御殿場酒店倉庫倒壊・小田原池上店全壊
1924年(大正13年) 東京浅草蔵前に酒卸販売店を開設
1930年(昭和5年) 北伊豆地震発生により、伊豆南条店・沼津店で甚大な被害
1931年(昭和6年) 御殿場本店を廃業し、本店を沼津に移す
1932年(昭和7年) 資本金50万円、株式5000株にて株式会社山中兵右衛門商店を設立
1933年(昭和8年) 海軍御用商人指定を受け、神奈川県横須賀汐留町に出張所を開設
1939年(昭和14年) 戦時体制により、横須賀出張所の閉鎖
1941年(昭和16年) 戦時体制により、沼津本店・東京支店を閉鎖し、御殿場酒店に本店を移転
1942年(昭和17年) 戦時体制により、伊豆南条店を閉鎖
1950年(昭和25年) 沼津出張所開設(昭和40年に支店昇格)
1954年(昭和29年) 御殿場営業所開設
1956年(昭和31年) 小田原支店醤油醸造の廃止
1970年(昭和45年) 小田原における酒造業を廃止し、御殿場工場に製造を集約
1973年(昭和48年) 沼津卸商社センター内に沼津支店移転(現本社)
1975年(昭和50年) 小田原卸商業団地内に小田原支店移転
1981年(昭和56年) 日野本宅を町に寄付(現在の近江日野商人館)


↑旧山中兵右衛門(万吉)家住宅表門(現・近江日野商人館)

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