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「滋賀県立高専」の建設地 野洲市に決定 広さと交通アクセスが評価

 滋賀県が2027年度開校を目指す「滋賀県立高等専門学校(高専)」の設置場所が野洲市市三宅の林地に決まった
 9月20日に開会した滋賀県議会9月定例会本会議の提案説明で三日月大造知事が明らかにした。
候補地に滋賀県内9カ所が上がったが、野洲市の候補地は国有地と県有地を合わせて約15ヘクタール最大の広さが確保でき、交通アクセスも良いことなどが評価された。 


↑写真:中日新聞より

 場所は旧野洲川の跡地。市県が今年6月に「県有地の中で最適」との見方を示した。その後、野洲市は市県有地と隣接する国有地を合わせた約15ヘクタールを準備できると滋賀県に提案していた。

 国有地部分を洪水時の避難場所にする水防拠点「河川防災ステーション」にし、平常時はグラウンドなどに活用することを検討している。
跡地は最寄りの野洲駅から1.3kmで、周辺に高専との連携が期待できる企業が集まっており、「浸水の可能性はない」と安全性の高さも評価した。

 設置候補地には野洲市の他に大津、彦根、長浜、甲賀、湖南、高島、東近江、米原の各市が各1カ所ずつ提案していた。
滋賀県が交通アクセスや周辺環境、教育機関や企業との連携、コストなど主に6項目をそれぞれ点数化して設置場所を決めた。270点満点のうち、野洲市の候補地は最高の231点。次点は彦根市が提案したJR稲枝駅西側地区で223点だった。滋賀県は「土地に順位を付けることが本来の目的ではない」として以降の順位は公表していない。

 滋賀県の構想によると、滋賀高専は入学定員120人。施設整備費は約100億円が見込まれる。公立大学法人県立大が運営して機械、電気電子、情報技術、建設系などの専門分野を学べるようにする予定。
三日月知事は報道陣の取材に「自然環境豊かで滋賀県内外からの通学や交流も期待できる」とし「社会問題が解決できるような技術を生かせる人材を育てたい」と話した。

期待膨らむ南部地域
 滋賀県が県立高専を野洲市内に設置する方針を表明したことを受け、栢木進市長は「南部地域が一丸となり、県と協調しながら次代の滋賀を支える高等専門人材の育成に取り組みたい」とのコメントを出した。
 滋賀県が6月8日、県有地では野洲市内の林地が最適と公表すると、野洲市は同21日、草津、守山、栗東各市の行政や経済団体のほか、野洲市内に製造拠点を置く村田製作所など各事業所の幹部らと意見交換会を開いた。7月13日にも湖南4市の行政や経済団体の関係者が集まり、高専誘致に向け連携を確認した。
野洲市商工会の荒川博行会長は「交通アクセスが良さに加え、地元企業や近隣市の行政、経済団体の全面的なバックアップのおかげ」と感謝した。

 野洲市内にはJRの新快速、快速の発着駅がありながら近隣市と比べて人口は伸び悩んできた。2004年10月の旧野洲、中主両町の合併から2・6%増にとどまり、同じ時期で守山市の22・5%増、栗東市の19・8%増、草津市の16・6%増と比べて見劣りする。荒川会長は「学生が行き交えば街に活気が出る。高専は新しいまちづくりの起爆剤になる」と期待し、「高専と企業、行政をつなぐ橋渡し役も担いたい」と誓った。
 ただ、滋賀県立工業高校の関係者の中には「少子化の中、県立高専が新設されると、少なからず学校運営に影響が出るだろう」と懸念する声がある。元校長の男性は生徒の選択肢が広がることは歓迎しつつ「生徒の確保が難しい時代となり、これまで以上に魅力ある学校づくりが問われる。地域との連携を密に、産業の担い手を育てて欲しい」と注文を付けた。

経済界からも歓迎の声
 滋賀県の経済界は長年、高専設置を要望してきた。今年5月には経済7団体や県、設置主体の公立大学法人県立大学が「共創宣言」を発表。設置場所決定を受け、関係者らから期待の声が上がった。
 滋賀県商工会議所連合会の大道良夫会長は「開校に向け一歩前進した。県とも十分に協力していきたい」とコメントした。国・公立高専が設置されていないのは滋賀を含めて5県だけ。滋賀経済産業協会の北川鉄樹専務理事は「全国でも後発の公立高専。協力して魅力ある学科をつくる必要がある。滋賀でしか学べないような高専を期待したい」。
 野洲市の地元企業も歓迎ムードに包まれた。平田機工の小泉正弘執行役員関西事業部長は「若い人が集うことで野洲駅を中心に明るく活気ある街づくりが加速する」と期待を表明。オムロンの西原秀雄野洲事業所長は「インターンシップ(就業体験)や共同研究などで共に高め合えるパートナーとして協力関係を築きたい」と前向きにとらえる。京セラの尾崎好信滋賀野洲工場長は「人材育成などさまざまな面で連携、協力したい」と約束した。

湖東・湖北「非常に残念」
 滋賀県立高専の設置は人口が減少傾向にある滋賀県北部での地域活性化につながると期待されており、誘致に取り組んでいた湖東・湖北の自治体からは残念がる声が上がった。
 次点に終わった彦根市は、JR稲枝駅近くの4ヘクタールの民有地を候補地として提案。通学しやすく、彦根市の県立大や近隣の企業と連携が取りやすいと強調。経済界と誘致を進めたが、わずかに点数が届かなかった。
 彦根市によると、教育機関や企業と連携しやすい点が特に評価された一方、野洲市市三宅の林地は新快速が止まる駅が近く、滋賀県外からも通いやすいほか、校舎の増築や建て替えがしやすい規模を備えている点で高く評価された。彦根市の和田裕行市長は「非常に残念。当該地域の発展に向けてはかねて地域の思いがあるので、県の協力を得ながら進めたい」とコメントした。
 長浜市も誘致に向け、長浜バイオ大の駐車場を提案していた。浅見宣義市長は「滋賀県北部の振興の起爆剤にしたいと期待していた。残念な結果になったが、滋賀県が決定したことなので尊重したい」と話した。
 提案地が滋賀県内唯一の「脱炭素先行地域」にあるため、関連する国の補助金を活用して県民負担を軽減できる可能性があるとアピールしてきた米原市の平尾道雄市長は今回の決定を「次世代の学生や県民の利益に資するのか。滋賀県民が納得できる説明が必要だ」と不満を表した。 

<中日新聞より>
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