喜多良道(きた・よしみち) 1953年(昭和28年)11月、東近江市生まれ。2019年から滋賀県酒造組合の会長と滋賀県酒造業協同組合の理事長を務める。
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↑写真:中日新聞より
東近江市で200年以上酒造りを続ける「喜多酒造」の8代目。「地酒ならではの良さを追究し、オンリーワンを目指したい」と話す。
滋賀県内の32酒蔵が加盟する滋賀県酒造組合の会長も務め、滋賀県産地酒のPRに奔走する。
会社設立は江戸後期の1820年(文政3年)。銘酒「喜楽長」で知られる。酒造業を代々受け継いできた酒蔵の長男として生まれ、中学2年の頃に、38歳の父を亡くした。その後は母を中心に、家業を続けた。
東京の大学に進み、福祉関係の仕事に関心を持った。民間企業への就職など家業を継がない選択肢も一時考えたが、父が早く死去したこともあり「家業を継承するのが、自分の宿命だと感じた」と語る。
大学卒業後、25歳で帰郷。20代で専務になり、その後、社長に就任した。統一された商品を大量に売り上げる大手メーカーのマーケティングにあこがれもあったが、社県外の酒蔵などに勉強に行き「大手とは違うやり方で、地酒として、どうあるべきかを考えなければならないと感じるようになった」という。
喜楽長の付加価値を高めようと、個性を追究した。高級品や通年商品のほか、季節に合わせた酒などバリエーションを次々と増やし、ラベルにもこだわった。みずみずしい清涼感が楽しめる夏向けの純米酒、温かい料理に合う冬のにごり酒などをそろえた。「いろいろなタイプの地酒を楽しんでもらいたい。料理と一緒にゆっくり味わって、人生を考えたり、家族で一緒に飲んだりする至福の時間のなかに、喜楽長があれば」と期待する。
業界は、新型コロナウイルス禍で大きな打撃を受けた。「海外輸出が好調だが、国内ではコロナ禍以前の需要にはまだ戻っていないだろう」と見通す。滋賀県酒造組合の会長として「滋賀で地酒を盛り上げたい」との思いは強い。
今年4月には、国が酒類の地域ブランドを保護する地理的表示(GI)に「滋賀(清酒)」が指定された。
組合は指定を目指して一昨年末から協議を重ね、滋賀県内産の酒米を使うなど一定の条件を定めた。客を入れた地酒を楽しむイベントも再び開かれるようになり、地酒で1万人が同時に乾杯するイベントを仕かけた。
滋賀県内の酒蔵が地酒を広めようと、まとまって動く。「滋賀の酒はおいしいねと、全国で言われるように滋賀県内全体で評価を上げたい。単なるアルコール飲料ではなく、地酒が食文化を支える一つの伝統になっていけたら」との願いを込める。
喜多酒造
東近江市池田町1129
<中日新聞より>