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「サラリーマン建築士」による建築、ギター、写真、等のお気軽日記。

家を建てる-4

2005-02-25 | 建築
「イニシャルコスト」については前回お話しました。今回からは何回かに分けて「ランニングコストをローコスト化する」ことについてお話します。

「ランニングコスト」とは、生活するうえで実際に発生する「水道光熱費」です。「省エネルギー住宅」というのが最近の流行のようで、CMでは「光熱費0(ゼロ)住宅」なんていうのも出てきたりしています。

一家の家計を担う主婦にとっては興味のあるところでしょう。「家の仕上げ、設備の選択」等の前に、実は「プランニング」にも「省エネルギータイプ」というのがあるのをご存知ですか?

図面は我が家の平面図ですが、土地の性格(性質)もさることながら「やけに、左右に長い平面計画だな」と思われたことでしょう。
実はこれは「左右に長くしたかった」のではなく、「北側にもう一つ、部屋作らない」ことによって、「結果的に左右に長い平面になった」のです。

夏になれば暑くていやな太陽も、冬になれば日差しの暖かさがありがたく感じられます。南側に大きく窓を開けて、部屋の奥まで光を導きたくなります。幸い冬は太陽高度が低く、床面は暖められてほんのり暖かくなります。「自然の床暖房」とでも言いましょうか。(それを積極的に利用したのが「パッシブソーラーハウス」といいます。今回はこれ付いては詳しく触れませんが・・。)

北側に部屋を作ってしまうと、日中でも太陽の光が差し込まないので冬は寒い部屋になってしまいます。すると「暖房が必要」→「光熱費UP」という(ランニング)コストアップにつながります。「北側に部屋は作らず、南側に大きく窓を採る。」結果、平面計画は東西に長くなります。

では「夏はどうか」というと、夏になると太陽高度は上がり、部屋の中には太陽光が届きにくくなります。日本の民家が軒の出が大きいのはそういう理由もあります。かといって、夏場にまったく日が差さないのは、衛生面であまり良くありません。(カビやダニの発生を抑えてくれる紫外線が必要)理想は夏場でも午前中(太陽高度が低い時間帯)は部屋に光がさすような、「東南」に面して窓を設けることです。
気をつけなければいけないのが「西側の窓」です。「西日(ニシビ)」は実は意外と室温を上げることとなり、冷房費が余計に必要になります。

この住宅では、西側(道路側)に窓は一切ありません。西日を防ぐと同時にプライバシーを守ります。
又北側は、「のぞき窓」程度のちいさな通風の窓があるだけです。窓は開けすぎるとそこから寒気も入り込みます。(それを防ぐ工夫は次回)

「ランニングコストを低減する家」には「プランニング(平面計画)」や「その土地の持つ性質(方位や周辺環境)」にも関係があるということなのです。

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2 コメント

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なるほどぉ・・ (主審)
2005-02-27 14:08:39
設営されるとごく当たり前のように感じることですが、実際0から考えてくと、そういうことって気がまわりにくい気がします。土地の形や立地条件でさらに設計のポリシーがマッチしたんでしょうか?ところどころに工夫がされていますね。さすがです。
まぁ人それぞれなんですけど。 (ふう)
2005-02-28 12:00:03
「どういった家を建てたいか」がやはり基本ですよね。

うちの場合は、家内が「節約家」なもので、「どうやったら安くて、光熱費の余りかからない家にするか」というのがメインテーマでしたから。(笑)



我々設計屋は、そういった施主(建て主)の希望に添える住宅を作るためのお手伝いをするのであって、設計者が住まい手に「押し付け」はするものではないと思っています。



超モダンでめちゃくちゃかっこいい家、ペットと楽しく暮らせる家、大音量でエレキギターを弾いても近所迷惑にならない家、ホームシアター付で映画見たい放題の家等、テーマはいくらでもあります。



そういう住まい方がはっきりした方のほうが、設計もしやすいんですよね。また、そういう方ほど建築士に設計を依頼して欲しいと思います。





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