父が亡くなったことを知らず、
父の昔の教え子が
桃を送ってくださった。
送り主であるAさんという方に、
兄が電話したところ、
地方のスーパーチェーンを経営する、
女性オーナーと判明。
あ、あの女の子だ!
40年近く前の記憶がよみがえる。
まだ実家で家族と暮らしていた、
ある日曜日のこと、
のり屋より数歳若い、その女子学生は
ひとりで我が家にやってきた。
化粧っ気なし、
流行りの服も着ていない、
中学生?みたいな女の子。
(大目に見ても高校生、
とても大学生には見えない)
両親と共に出迎え、
4人でお昼ごはんを囲んだ。
外見そのまま、
素朴で天真爛漫なAさん、
「あ〜、おいしかった。お腹いっぱい」
食後は我が家の居間にゴロン♪
(寝そべった〜笑)
不思議と無作法には映らず、
本人のお人柄もあり、
見ていて、ただただ微笑ましい。
両親と吹き出した。
帰るときも、駅まで送ろうと、
父が自転車を出したら、
「私が漕ぐから、先生は後ろに乗って」
「いやいや、それはダメだから」
たじろぐ父とのやりとりに、
またまた母と大笑い。
「あの子は大物だね」
その後しばらくは、
我が家の話題の的だったAさん、
卒業後はスーパーチェーンのオーナーに
嫁いだと聞いた。
そのご主人が早くに亡くなられたことも。
ご主人の仕事を継ぎ、
様々なご苦労がおありだったろう。
朝ドラヒロインのモデルになりそうな、
半生だったかもしれない。
毎年この時期、
実家に届くたくさんの立派な桃は、
Aさんからだったことに改めて気づく。
なんと義理堅い!
年賀状の文字も
ハガキからハミ出しそうなほど
豪快だったAさん、
どんな大人になったのかな?
桃をいただきながら、
あの楽しかった日曜日と、
教え子たちには面倒見の良かった父が
懐かしく思い出され…
家族には無闇に厳しかったこと、
少しは許してやるか〜…お父さん、
という気分になった。
あかつきの甘さに免じて。笑。