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法 水 道~The Road to NORIMIZU

映画・演劇についての戯言。ブログ引っ越しの際、一部文字化けや画像の不具合が出ております旨、ご了解ください。

『風に立つライオン』

2015-04-21 20:20:00 | 映画道
『風に立つライオン』

2015年日本映画 139分
監督:三池崇史
脚本:斉藤ひろし  原作:さだまさし  企画:大沢たかお
撮影:北信康  美術:林田裕至  編集:山下健治
音楽:遠藤浩二  主題歌:さだまさし「風に立つライオン(シネマ・ヴァージョン)」
出演:大沢たかお(島田航一郎)、石原さとみ(看護師・草野和歌子)、真木よう子(医師・秋島貴子)、石橋蓮司(熱帯医学研究所所長・村上雅行)、萩原聖人(航一郎の同期・青木克彦)、鈴木亮平(漁師・田上太郎)、藤谷文子(航一郎の同期・児島(青木)聡子)、山崎一(秋島誠一)、中村久美(秋島清美)、ERICK OJIAMBOH(ミケ・ンドゥング)、PATRICK OKETCH、NICK REDING、LYDIA GITACHU、宮田早苗(患者・福田和恵)、大鷹明良(和恵の夫)、ちすん(航一郎の母)、松本穂香(高校時代の聡子)


  

1987年、医師の航一郎はケニアの研究施設に派遣されることになる。アフリカでの医療奉仕活動に身を捧げたシュバイツアーに憧れ医師になった航一郎にとってまたとないチャンスではあるものの、離島医療に従事する恋人の女医・貴子と遠く離れることにもなった。ケニア赴任から半年後、現地の赤十字病院からの1ヶ月の派遣要請を受け向かった航一郎は、次々に運び込まれる麻薬を打たれ戦い重傷を負った少年兵たちの姿に衝撃を受ける。航一郎はこの病院への転籍を志願し、同じ病院に派遣されてきた看護師の和歌子と力を合わせ過酷な状況下でありながら懸命に従事。傷ついた少年たちを温かく包み込む彼は、彼らの良き友、良き師となっていく。そんな中、目の前で両親を殺害され心の傷を負いながら麻薬でかき消された深刻な状態のンドゥングという少年兵が病院に担ぎ込まれる……。【「KINENOTE」より】

さだまさしさんが1987年に発表した楽曲を元に小説化した作品を映画化。

楽曲自体は柴田紘一郎さんという実在の医師がモデル。
物語は2013年東日本大震災直後の石巻市、瓦礫の街に佇む医師ンドゥングがトウモロコシの種を手に「頑張れ、頑張れ」とつぶやいているところから始まる。
そこから1987年のアフリカ・ケニアに遡って航一郎の話に。現在の勝彦や聡子、貴子といった人物が航一郎について語るという設定なのだが、一体誰が話を聞いているのかが最後までよく分からなかった。
それはさておき、話があっちこっちへ行くので、もう少しじっくり腰を据えて航一郎の物語を描いて欲しかった。

石原さとみさんと真木よう子さんというお気に入り女優さんが2人出ているだけでも充分だったのに、最後にちすんさんも出てきてまさに俺得。


★★


『がむしゃら』

2015-04-19 21:16:00 | 映画道
『がむしゃら』

2014年日本映画 102分
監督・撮影・編集:高原秀和
撮影:森川圭、中沢匡樹
音楽:野島健太郎
出演:安川祐香/安川結花/安川惡斗、高橋奈苗、脇澤美穂、夏樹☆たいよう、世IV虎、岩谷麻優、紫雷イオ、木村響子、ロッシー小川(スターダム取締役)、風香(GM)、大山峻護(総合格闘技)、真綾(キッズレスラー)、水戸川剛(ミッドブレス支配人)、彩羽匠、宝城カイリ、 愛川ゆず季


   

「こいつ、プロレスやって大丈夫か?」「今まであんな人いなかった」「焦ってる」「根性だけはある」「二重人格」「キライです」――安川惡斗(あくと)に寄せられる仲間たちからの言葉。カメラは、“悪の女優魂”のキャッチフレーズでリングに上がる彼女の秘められた素顔に迫っていく。自身の言葉で赤裸々に語られていく中学時代のいじめ、レイプ、自殺未遂。人生を諦めかけていた時、1人の医師からの言葉が彼女を救い、東京で出会った演劇、そして女子プロレスが彼女を再生へと導く。そして、悪役(ヒール)レスラーとして活躍を始め、ようやく自分の居場所を見つけた彼女だったが、相次ぐケガにみまわれ、思いもよらぬ病にも襲われる―。【公式サイトより】

女子プロレスラー安川惡斗さんに密着したドキュメンタリー。

安川惡斗さんと言えば、2月22日に行われた世Ⅳ子選手との試合でボコボコにされ、顔面崩壊と報道された方。その時に初めてお名前を知ったクチで、この作品のことも取り立てて関心はなかったのだけど、なかなか評判がいいようなので鑑賞。

安川惡斗さんは本名が安川祐香で、女優としての喧シが安川結花(金子修介監督が命名)、そしてリングネームが安川惡斗なのだけど、最後のクレジットではこの3つの名前が並んで表示される。恐らく彼女にとっては素の自分も女優の自分も悪役レスラーの自分もすべて本当の自分なのだろう。

作品は安川さんの故郷・青森県三沢市を訪れるところから始まる。
航空自衛隊の飛行機の音がひっきりなしに聞こえる中、実家へと向かう安川さん。少女時代は時代劇が好きで、本気で侍になりたいと思って剣道を始めたとか。その後、友達から侍なんていないと言われて辞めてしまうのだが、この侍になりたいという思いが後々に違う形で結実することになる。
家に向かう途中、とある公園に立ち寄るのだが、そこのトイレは中学2年生の時にレイプされた現場。いじめや自傷行為、その果てには洗剤を飲んでの自殺未遂……。普段の安川さんは非常にチャーミングでよく笑う方。こうした壮絶な過去を話している間も時折、笑顔を浮かべるのだが、それが危うく感じることもある。

高校に入り、カウンセラーとの出会いが彼女を変える。自分よりも辛い境遇の家庭に育っている子もいるし、アフリカなんかでは食べ物にも困っている人がいるのだから云々という話をする安川さんにカウンセラーは「それで、あなたは今、辛くないの?」と聞いたとか。そう言われて泣き出し、初めて自分が辛いということを言えたという安川さん。
更には演劇と出会い、高校3年生の時に父親の転勤について東京の学校に転校。演劇でなら侍になれることに気づき、日本映画学校俳優科に入学。卒業後はニナガワスタジオにもいたことがあるとか。
プロレスがテーマの舞台で共演した愛川ゆず季さんと出会い、続いての舞台もプロレスラー役だったことがきっかけでプロレスの道へ。愛川さんと同じ団体スターダムに所属したものの、最初は腕立て伏せが1回もできない有様だったとか。それでもトレーニングを積み重ね、同団体初のヒール(悪役)に。
デビュー後も白内障やら頸椎椎間板ヘルニアやらバセドウ病やら、病気や怪我に悩まされる日々。一体、神様はいくつの試練を彼女に与えたら気が済むのかという感じだが、それでも彼女は今まで生きていてよかったと言う。「過去は過去、今は今、未来は知らん!」と言ってのける彼女の今後にこれからも注目していきたい。以上!(←安川さんの決め台詞)

監督は安川さんが日本映画学校時代からの付き合い。講師を務めた高原監督の作品に出演し、その後、監督が旗揚げした劇団にも参加している。
そうした長年の付き合いがあればこそのドキュメンタリー作品とも言える。
プロレスシーンの編集も秀逸。


★★★1/2


『チョコリエッタ』

2015-04-16 23:28:00 | 映画道
『チョコリエッタ』

2014年日本映画 158分
脚本・監督・編集:風間志織
原作:大島真寿美  脚本:及川章太郎
撮影:石井勲  美術:丸尾知行  音楽:鈴木治行
主題歌:森川葵「JUMP」
出演:森川葵(チョコリエッタ・宮永知世子)、菅田将暉(正岡正宗)、市川実和子(宮永香世子)、村上淳(宮永周一)、須藤温子(知世子の従姉・宮永霧湖)、中村敦夫(正宗の祖父・爺さま)、地曵豪(辻さん)、岡山天音(映画部部長・三橋智)、三浦透子(映画部・ユキ先輩)、クノ真季子(向日葵畑の女)、渋川清彦(森の住人)、宮川一朗太(映画部顧問・岡見)


   

知世子をチョコリエッタと呼んだのは母親だった。兄弟のように育った愛犬ジュリエッタとチョコリエッタ。知世子が5歳のとき、母親が交通事故で亡くなった。それ以来、ジュリエッタだけがいつも心の支えだった。けれどそのジュリエッタも知世子が16歳になったときに死んでしまう。知世子はジュリエッタと同じくらい短く髪を切り、犬になろうとする。そのくらいジュリエッタのいない世界はくだらなくて退屈だったのだ。進路調査に「犬になりたい」と書いて担任から呼び出しをくらった日、知世子は映画研究部の部室を訪れた。母が好きだった映画フェデリコ・フェリーニの『道』を見ればジュリエッタに会えるような気がしたのだ。しかし、そのビデオテープは部室には無く、昨年卒業した正宗先輩の私物だったと知る。再会した浪人中の正宗は自室で、自分で撮った映像の編集をしていた。「目指すは永久浪人」と冷ややかに笑う。「先輩、死にたいって思ったことはある?」知世子の問いに「殺したいと思ったことならある」と答える正宗。そんな正宗の衝動を止め支えてくれたのは祖父だった。正宗をバイクの後ろに乗せて旅に出て、知らない土地の知らない人々を見せて回った。映画を正宗に教えたのも祖父だった。その祖父も既に他界している。正宗は知世子に「俺の映画に出ないか」と言う。知世子は仏頂面の不機嫌な顔をカメラに向けながら、自分たちにかけられた呪いについて嘯く。「先輩にはお爺さんの呪い、私には犬の呪いがかかっているってわけ。」フェリーニの『道』のザンパーノとジェルソミーナのように、バイクに乗ってふたりの撮影旅行が始まる。街を走り、山を走り、海に出る。喧嘩、事故、初めてのホテル。旅は二人に何をもたらすのか――。【公式サイトより】

風間志織監督、『せかいのおわり』以来となる実に10年ぶりの新作。

元々フェリーニ監督の『道』は好きな作品なので、それがモチーフになっているだけでも嬉しくなってくる。劇中でも知世子と正宗が『道』を観るシーンがあるが、実際の映像は使用許可を取るのが難しかったため、忠実に再現したものだとか。その点一つとってもフェリーに監督に対する敬意が感じられる。
劇中、映画部部長が「映画は不滅だ」というようなことを言うが、フェリーニ監督もアンソニー・クインさんもジュリエッタ・マシーナさんも既にこの世の人ではないが、こうやって今も影響を与え続けている。
最後にはフェリーニ監督への謝辞が表示されるが、風間監督も知世子のように映画に救われた一人なのかも知れないなぁ。

原作者の大島真寿美さんが名古屋出身・在住ということもあってか、愛知や三重で撮影。知世子たちが通う高校は名古屋市にある昭和高校が使われているが、偶然にも大島さんの母校だったとか。
最近、色々な作品で見かける森川葵さんは本作では坊主頭でまたまた違う印象。
エンディングの「JUMP」が気だるくていい感じ(笑)。


★★1/2


『ばしゃ馬さんとビッグマウス』

2015-04-15 23:12:00 | 映画道
『ばしゃ馬さんとビッグマウス』

2013年日本映画 119分
脚本・監督:吉田恵輔
脚本:仁志原了
音楽:かみむら周平  撮影:志田貴之
照明:溝口知  美術:吉村昌吾  録音:小宮元  編集:太田義則
音響効果:佐藤祥子  スタイリスト:荒木里江  ヘアメイク:清水美穂
助監督:佃謙介  制作担当:中村元
出演:麻生久美子(馬淵みち代)、安田章大(天童義美)、岡田義徳(みち代の元恋人・松尾健志)、山田真歩(マツモトキヨコ)、清水優(天童の友人・亀田大輔)、井上順(みち代の父・馬淵治)、松金よね子(母・馬淵絹代)、秋野暢子(天童の母・天童育子)、岸田恵里子(みち代の同僚・小俣恵美)、岸田里奈[咲岡里奈](同・小俣美恵)、三島ゆたか(天童の友人・王)、広岡由里子(シナリオスクール講師)、坂田聡(映画監督)、鎌滝秋浩、矢崎まなぶ、窪田かね子(老人ホーム入居者)、幸野友之、太田正一(サラリーマン)、根本豊、ナカヤマミチコ、鈴木美保子、河田為雄、冨田じゅん(派手なホステス)、清家とも子、篠原友希子[篠原ゆき子](みち代の友人)、北川絢椛(同)、星野美穂(同・案山子担当)、増山加弥乃、三輪江一(シナリオスクール生徒)、松木大輔、荻原恵礼、持田加奈子(シナリオスクール生徒)、嶺豪一(同)、野口雄大、Ricaya、玄里、安藤聡海(ャXターの女性)、冴羽一(映画俳優)、黒木丈、桑名湧、藤崎ルキノ、林修二、田島聖一、神田圭介、牧島順一、小野辰也


  

学生時代からシナリオライターを目指しているけれど、なかなか芽の出ない馬淵みち代は、友人のマツモトキヨコを誘って社会人コースのシナリオスクールに通うことにする。そこで出会ったのは、超自信過剰な年下男の天童義美。“ビッグマウス”を吐きまくる天童を毛嫌いする馬淵だったが、なんと天童は“ばしゃ馬”のようにシナリオを書き続ける馬淵にひと目ぼれ! 「シナリオの参考に聞きたいことがあるんだけど……。俺がつき合ってほしいって言ったらどうする?」と、馬淵に声をかけてみるが「ありえない!」とあっさり振られてしまう天童。脚本家を目指してずっと頑張ってきた馬淵にとって、「書けば大賞ぐらい取れる、コンクールに出す以上は大賞ぐらい取らないと」と口先ばかりの天童は、恋愛対象以前に性格的にまったく合わないタイプだった。しかも、馬淵の頭にあるのはシナリオのことだけ。お洒落も恋愛もそっちのけ、合コンの席でもバイト中でもいいアイデアが思いつけばパソコンを開いて書き出すのは当たり前。キヨコに「そこまでストイックにならなくても」と言われるほどがんばっているのに、なかなかコンクールの一次審査は通らず、「まだまだストイックにならないと!」 と自分を奮い立たせる。ある日、シナリオスクールの講師で来ていた映画監督の何気ない一言をきっかけに、老人ホームを舞台にした介護の話を書くことにした馬淵は、かつて役者を目指していたけれど今は介護士として働く元恋人・松尾健志に頼んで老人ホームのボランティアをはじめることにする。けれど、そんな矢先、キヨコが映画の脚本を書くことになったと知り、嫉妬とやるせなさで落ち込んでしまう。「夢を叶えるのってすごく難しいのは分かっていたけど、夢を諦めるのって、こんなに難しいの?」ある出来事をきっかけに一度は書くことを諦めた馬淵だが、最後にもう一度コンクールに出してみようと決意する。一方、馬淵に恋をして彼女のひたむきに夢を追いかける姿に刺激された天童は、初めて自分自身を見つめペンをとる。そして、反発しあっていた2人の距離は徐々に縮まっているようにみえたが……。【公式サイトより】

見逃していた吉田恵輔監督作品をWOWOWにて。

公開時の評判はなかなかよかったような記憶があるけど、まぁそこそこの出来。
麻生さん自体はいいのだけど、みち代がなぜ脚本家になりたいかが今ひとつ伝わってこなかった。監督に言われて老人ホームで働き始めるあたり、地に足が着いていないんだよなぁ。ま、だから脚本家として芽が出なかったんだろうけど。


『アメリカン・スナイパー』

2015-04-13 22:32:00 | 映画道
『アメリカン・スナイパー』
AMERICAN SNIPER

2014年アメリカ映画 132分
監督・製作:クリント・イーストウッド
製作:ブラッドリー・クーパー他
脚本: ジェイソン・ホール  原作:クリス・カイル『ネイビー・シールズ 最強の狙撃手』(原書房刊)、スコット・マキューアン、ジム・デフェリス
撮影:トム・スターン  編集:ジョール・コックス、ゲイリー・D・ローチ
美術:ジェームズ・J・ムラカミ、シャリーズ・カーデナス  衣裳:デボラ・ホッパー
出演:ブラッドリー・クーパー(クリス・カイル)、シエナ・ミラー(妻タヤ・カイル)、マックス・チャールズ(息子コルトン・カイル)、ルーク・グライムズ(SEALsマーク・リー)、ジェイク・マクドーマン(ライアン・“ビグルズ”・ジョブ)、ケヴィン・レイス(海軍技術顧問ドーバー)、コリー・ハードリクト(“D”/ダンドリッジ)、ナヴィド・ネガーバン(アル=オボーディ師(長老/シャイフ))、カイル・ガルナー、ベン・リード、エリース・ロバートソン、ブランドン・サルガド・テリス、キーア・オドネル(弟ジェフ・カイル)、マーネット・パターソン、サミー・シーク(ムスタファ)、ティム・グリフィン、ルイス・ホセ・ロペス、ブライアン・ハリセイ、ミド・ハマダ(虐殺者)、ケーテ・メイザー、サム・ジェーガー、チャンス・ケリー、ロバート・クロットワーシー、エリック・クローズ、レイ・ガイエゴス、エリック・ラディン、ビリー・ミラー、レナード・ロバーツ・ブランド・イートン、ジョナサン・グロフ、オウェイン・イオマン


  
米海軍特殊部隊ネイビー・シールズに入隊し、イラク戦争に狙撃手として派遣されたクリス。その任務は“どんなに過酷な状況でも仲間を必ず守ること”。狙撃精度の高さで多くの仲間を救ったクリスは “レジェンド”の異名を轟かせるまでになる。しかし、敵の間にもその腕前が知れ渡り、“悪魔”と恐れられるようになった彼の首には18万ドルの賞金が鰍ッられ、彼自身が標的となってしまう。一方、家族はクリスの無事を願い続けていた。家族との平穏な生活と、想像を絶する極限状況の戦地。愛する家族を国に残し、終わりのない戦争は幾度となく彼を戦場に向かわせる。過酷なイラク遠征は4度。度重なる戦地への遠征は、クリスの心を序々に蝕んでゆく……。【「KINENOTE」より】

『ヒア アフター』が東日本大震災で上映中止となって以来、なぜか見逃してばかりいたクリント・イーストウッド監督作品を久々に劇場で鑑賞。

アカデミー賞候補ともなっていただけに見応えは充分。
もちろん実在の人物を扱っていることは知っていたが、てっきりカイルは戦場で亡くなるものだとばかり思っていたら、面唐ゥてやろうとしていた退役軍人の銃弾に斃れていたとは。
カイル自身も戦場を経験したことによるPTSDに悩まされていたが、カイルを殺害した退役軍人もそうとう病んでいたのであろう。アメリカは戦争によって国を強大にし、自国民を団結させ愛国心を煽ってきた側面があるが、自殺者や身体障害者、心を病んだ国民を大量に生み出してまで手に入れた強さに何の意味があるのだろう。ノンフィクション『帰還兵はなぜ自殺するのか』も読まなくてはなぁ。
もっとも本作のトーンはカイルを英雄視するだけで、そこまでアメリカの抱える闇を描いているとまではいっていなかったが。


★★★