【岡潔の思想】

『詩あきんど』第2回結社賞・俳句

『詩あきんど』第2回結社賞・俳句第三席
 本日は、三席のわたくしの二十句詠「あたたかいね」を紹介させていただきます。

●結社賞第三席 二十句詠「あたたかいね」

一湾に白波たてて九月来る
秋うらら開けば塔が立つ絵本 
色鳥や御朱印帳の無き社 
藤の実や裸体豊かな聖画展 
空へ落つ晩秋の棒高跳び

捨てし身の置き所なき秋の風 
鐘撞けば黄落の日と思ひけり 
風の果て見るや丹沢秋惜しむ  
鉛筆の芯を尖らせ冬に入る    
吐息ほどの風綿虫深呼吸
 
喪を終へて五指ひとつづつ手袋へ
水一枚静かに剥がし紙を漉く
大熊手月にかざして帰りけり  
小春日の魚籠を跳ねたる水の音
まだあたたかいねと子が拾ふ落葉 

本音ばかりよ裸木の独り言 
鮟鱇鍋歯茎剥き出し恋愛論 
自画像の濃き鉛筆や冬深む 
骨太に生きて着ぶくるる余生かな 
行く水のあした明るき冬至かな

矢崎硯水選者講評
※空へ落つ晩秋の棒高跳び
 水一枚静かに剥がし紙を漉く
 本音ばかりよ裸木の独り言
 確かな描写力で秋からへの事物を表現する二十句。リアリスティックな手法でありながら、「空へ落つ」水一枚」「裸木の独り言」の奇想と、助詞の入り込むもない字足らず、句跨りの必要性が納得させられます。

  5月27日(木)撮影
     予約日の虫歯が疼く走り梅雨    典比古    
 次回は結社賞第三席いけまりさんの「天地を迷う」を紹介いたします。   
名前:
コメント:

※文字化け等の原因になりますので顔文字の投稿はお控えください。

コメント利用規約に同意の上コメント投稿を行ってください。

 

  • Xでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

最新の画像もっと見る

最近の「日記」カテゴリーもっと見る

最近の記事
バックナンバー
人気記事