【岡潔の思想】

『詩あきんど』第2回結社賞・俳文

『詩あきんど』第2回結社賞・俳文第一席
 『詩あきんど』結社賞において、わたくしの俳文「古稀」第一席になりました。以下紹介させていただきます。
俳文
「古稀」
 「もしもし」S氏「はい」「あなたは一切煩悩くす方法をご存知ですか」S氏「百八つもあるという、あれですか」「そうですが、それをすれば一切の悩みから解放されて、まったく自由自在になれるのですよ」

 S氏「それはあのお釈迦さまが到達した境地ということですか」
「そうです、それをあなたにご教示したいのですが、別にあなたでなくともそのような人はたくさんいらっしゃいますので」S氏「でも難行苦行だったら御免被りますよ」「難行苦行?はははは、それはもう時代遅れなことです」
S氏「するとそんなことをしなくても、お釈迦様のようになれるのですか」「その通りです」・・・

 しばらくすると、ある倉庫の様なところに連れていかれた。「どうぞこの中に」S氏「円盤かなにかがあるんですか、それともタイムマシンのようなものが」「いやいやそんなものはありません」S氏「一体何があるというのです」

 おそるおそるってみると、だだただ、だだっぴろい空間布団一枚あるだけだった。S氏「布団一枚あるだけじゃありませんか」「そうです、あなたはここでしばらく眠るだけでいいのです」S氏「眠る・・・」

 すると、いつのまにかになってしまったS氏。なんだかからだがぽかぽかしてきて・・・やがてとぐろを巻きながら丸くなり、深い深い眠りについた。
  重力のぬくもるところ冬眠す

 「もしもし」S氏「あれ!いつの間にってしまったんだろう」
「いかがでしたか」S氏「いや、なんだかよくわかりませんが、あれ!わたくしはじゃありませんか!」「そうですが、だから今から脱皮するだけなんです」そう言われたS氏はその蛇の衣をそっと脱ぎ始めた。

「あれれ!もとの人間ったけど、なんだかこころ身体軽くなって、心身ともども増しすっきりしたような・・・」
そのとき、除夜の鐘の最後の百八つ目鳴り響いた。
 「あれ!今の鐘の音は」S氏は蒲団からきてあたりをきょろきょろ。
 てらてらと初めての古稀大旦

※二上貴夫主宰講評
 「古稀」は「エッセー+俳句」というスタイルえて、俳文というジャンル模索した作品である。「煩悩を無くす方法」を教えようという、夢の中での会話がありふれていながらも「虚実」の「」を引き出して面白かった。

        ※5月13日撮影(典比古)
      小判草風ざくざくと鳴りにけり 典比古
          

   次回は俳句第二席小巻小乃葉さんの二十句詠です。
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