【岡潔の思想】

『詩あきんど』第2回結社賞・俳句

『詩あきんど』結社賞・俳句第二席
『詩あきんど』結社賞・俳句二十句詠において、第二席に選ばれました、小巻小乃葉さんの「浮き人形」を紹介いたします。

●第二席 二十句詠「浮人形」  小巻小乃葉

初夜明生まれてずっと生きてゐる
屠蘇散や気ままに暮らす今日で良し
言ひたきこと言はで別れし月朧
なにがどうなつているのか四月馬鹿
春愁をとりあえず置く棚の上

知らぬ間に皿いつぱいの桜蕊
柿若葉待つ人がなき寧きさよ
明日知らず聞く日話す日みどりの日
きのふよりけふちょっと好きレース編む
浮いてこいきのふと違ふ明日よ来よ

気楽さに裏表ありダリア剪る
夏の月戀といふ文字じつと見る
この夢の続きはなくて水無月尽
忘るること多くて雨の夕顔よ
銀漢やハッピーエンドでないことも

幸せは自分で決める衣被
歩道橋の上から眺む今朝の秋
過ちは人にあるのか割柘榴
檸檬嚙む君には君の言ひ分が
秋薔薇見るでもなしにバラの園

※竹村半掃選者講評
 今回の「浮人形」のタイトルと二十句夫々のマッチングの良さで選びました。「浮人形」は傍題で「浮いてこい」もある。現在は絶滅寸前季語の一つかも知れない。浮人形という玩具であると共にお湯の底に沈めたそれが浮き上がるその動的瞬間を言う俳味も持っている。
 今回の二十句詠は大きく3部に分けたバランスの良さを見た。
新年2句から4句が前半、さらに8句で盛り上げ、後半の6句で終わる。その主な句は、
初夜明生まれてずっと生きてゐる  (新年)
言ひたきこと言はで別れし月朧    (春)
きのふよりけふちょっと好きレース編む(夏)
浮いてこいきのふと違ふ明日よ来よ  (夏)
銀漢やハッピーエンドでないことも  (秋)
秋薔薇見るでもなしにバラの園    (秋)
 俳句人生そのものだ。自分自身を見つめた心の叫びが今回の作品になった。

※典比古
 小巻小乃葉さんの句の印象は、水彩画の様な軽いタッチの趣。
365分の一を詠むのが俳句ですが、その日常一瞬切り取り方に、面白さと俳味があります。

  5月22日撮影(典比古)
      十薬やいつもどこでも雨女  典比古
       

 尚、次回は俳句第三席立石采佳さんの「知育菓子」を紹介いたします。
    





名前:
コメント:

※文字化け等の原因になりますので顔文字の投稿はお控えください。

コメント利用規約に同意の上コメント投稿を行ってください。

 

  • Xでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

最新の画像もっと見る

最近の「日記」カテゴリーもっと見る

最近の記事
バックナンバー
人気記事