【岡潔の思想】

『詩あきんど』第2回結社賞・俳句第一席

『詩あきんど』第2回結社賞
 去年に続き『詩あきんど第2回結社賞の「俳句・俳文」を43号に掲載された順番で紹介いたします。尚、選者講評、また選者並びに選考結果は下記に。
第一席 二十句詠「ゴドー待つ」中尾美琳

 美容室の椅子傾ひて鳥曇
 手話の子の道を隔てて梅雨晴間
 青林檎青のかけらに微光あり
 ほうほうと種なし西瓜転がりぬ
 炎天のルオーのイエス黙契す

 金雀枝や柩の蓋に釘を打つ
 銀蟾や明朝体といふフォント
 敗戦日どうしても切手が歪む
 山葡萄銅鍋で煮る午後は鬱
 ひつそりと獣にもどる真葛原

 マネキンの三半規管錆びてをり
 口癖はいつもそうかも葉鶏頭
 毛糸玉地球儀ほどのしあはせに
 大嚏まだ生きてゐる生きてゐる
 コンビニは歩ひて二分一葉忌

 マスクしてまた人に逢ふ閒石忌
 「空室あり」君がゐた部屋冬日影
 寒波来て羽毛静かにふくらみぬ
 君は何ものでもなかった冬の朝
 冬帽子新しくしてゴドー待つ

※矢崎硯水選者評
  戯曲ゴドーを待ちながら」は不条理演劇ですが、この二十句詠は俳句における不条理を基盤にして詠んだものでしょう。
  ひつそりと獣にもどる真葛原
  大嚏まだ生きてゐる生きてゐる
 俳句十七音はそもそも不条理意識しての創造と思われるところが貴重です。
冬帽子新しくしてゴドー待つ」。ゴドー氏を待ち続ける真新しい冬帽子も結局は不条理なものなのでしょうか。

※典比古
 中尾美琳さんは、一昨年処女句集ルツコラ』を上梓され、また句会でも常に高得点を出されています。この発想はどこからくるのか・・・やはり、連句俳句同時に始めたことが、自由な発想(不条理を意識しての創造)を生み出しているのではないでしょうか。


※少し拡大してご覧ください
選者 中根明美様 矢崎硯水様 松本野著様 竹村半掃様 二上貴夫主宰  
           次回は俳文「古稀」を記事にいたします。  


    

  
名前:
コメント:

※文字化け等の原因になりますので顔文字の投稿はお控えください。

コメント利用規約に同意の上コメント投稿を行ってください。

 

  • Xでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

最新の画像もっと見る

最近の「日記」カテゴリーもっと見る

最近の記事
バックナンバー
人気記事