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Noriaki Hosoya - 細谷紀彰のドイツ日記

ベルリン在住、日本人ベーシスト細谷紀彰のあれこれ。
www.noriakihosoya.com

Damir Out Loudのライブビデオが完成しました

2014-05-20 | 音楽-活動
今週末のライブに向けての曲の予習が一段落し、ようやく今週のスケジュールに余裕が出てきました。


Falk Bonitz Trioのビデオに続き、つい最近、Damir Out Loudのプロモーション用/ライブのドキュメンタリービデオが完成しました!



これは今年の3月にベルリンで演奏したライブの音源と映像をダイジェストで編集したビデオです。
ライブの録音、撮影両方とも専門の人にやってもらっているので、高いクオリティーで完成出来たのではないかな、と思っています。

演奏シーンがあるのはもちろん、メンバーそれぞれがそれぞれの母国語で喋っています。もちろん僕も日本語で参加しています!


しかし、このライブは本当に良いライブでした。
メンバーの演奏もさる事ながら、このライブハウスでこんなにお客さんが入っている所は未だかつて見た事がありません!



約18分と長い動画ですが、是非見てみてください!

主観で解説、第二回Falk Bonitz Trio"Märzsonne" - Morgenland

2014-05-14 | 音楽-活動
以前よりも随分時間が空いてしまいましたが、Falk Bonitz Trioの曲解説シリーズ、続けていきます!


第二回目は、アルバムでも2曲目の「Morgenland」。




Morgenlandとは、ドイツ語で「オリエント」の意味だそうです。日出ずる国=朝の国、という事から東洋を指すMorgen(朝)Land(国)という様に言語が成り立った、とFalkは説明しておりました。
言われてみれば、少しオリエンタルなフレーバーがある様な。そして、Yatzivも僕も、ドイツから見たらオリエントな地域出身というのがまた面白いですね。(ドラマーのYatzivは中東イスラエル出身です。)


印象的なピアノの左手のリフで始まり、バンドが加わって、テーマ→ブリッジへと続いていく曲で、トリオの中では比較的シンプルな構成の曲ではあります。
が、このリフのリズムも難しいですし、ブリッジの前半と後半で同じメロディをリズム違いで弾いていくのも、またトリッキーです。

そして最後には、ヘヴィーなグルーヴから一転してドラムンベースになって一気に駆け抜ける!
この曲を「Morgenland」と名付けた当時のFalkの東洋のイメージはどんなものだったのか、聞いてみたくなるような曲です。(笑)


ベース的には、ローDが大活躍ですね。
ピアノソロの始まりで、ドラムと一緒に重たいグルーヴを弾いているのですが、その時に演奏しているローDの音がとてもヘヴィーで、ここはいつもロックな気分です。

ブリッジパートではコードも弾いているので、この曲は6弦でないと弾けませんね。
レコーディング当時はまだAdamovicは持っておらず、Ken Smithで弾いたのですが、6弦を所有していて本当に良かったです。



さて、ベースはこの曲でもソロを弾かせてもらっております。
今回も自分のフレーズを採譜してみました。



使っている音域が広くて、ト音記号で書いてもヘ音記号で書いても中途半端になってしまうので、敢えて8ve bassaなどの表記も使わず全てト音記号で書いています。
今回も、早く弾いている箇所のリズムをとるのが大変でした。という訳で、細かいリズム(連符等)は今回も無理矢理です。(苦笑)

ソロは基本的にDマイナー一発なので、ほとんどDマイナー内で弾いているのですが、所々でDのメロディック・マイナーを使っています。
今回採譜した所は、あえてメロディック・マイナーを多用していない所を選んだので、ペンタトニックを弾いている所もありますね。


(追記:よくよく見直してみたら、Dマイナーのペンタトニックとしている所、もう少し色々と混ぜているようです。以下、新たにアナライズし直した譜面です。Aマイナーペンタトニックと思しきものも混ぜたり、Dマイナーのペンタトニックに9thの音を足したりしているようです)



譜面上の8小節目からは、キー=Dマイナー内のダイアトニック・コードでのアルペジオのシーケンス的なフレーズも弾いています。
譜面上の7小節目のBbmaj7のアルペジオのフレーズは、手癖です。(笑)

もちろん、これらの事は演奏している時は全く何も考えておらず、後でアナライズしてみたらこうでした、という事なのですが、振り返ってみると「こう弾いていたのか」という事が分かって面白いです。引き出しの少なさがバレそうで少し怖いですけど。苦笑



今週と来週で覚えなければいけない曲が沢山あるので、ブログを書ける時間があるか未定ですが、このように、採譜も交えながら次回もやっていきたいです。気長にお待ちを!

勝手に主観で解説!第一回Falk Bonitz Trio"Märzsonne" - Rondo編

2014-05-04 | 音楽-活動
さて、以前より更新すると書いていたFalk Bonitz Trioのアルバムの僕視点での曲解説、いよいよ始めたいと思います!


第一回は、アルバムの一曲目「Rondo」を僕の立場で解説していきたいと思います。



トリオのウェブサイトのプレビューより。


アルバムのオープニングに相応しい、アクション満載、展開豊富な元気な曲ですね!
変拍子のテーマに始まり、ベース・ソロ、ドラム・ソロ、ピアノ・ソロと各パートのソロを挟んで最後はユニゾン。ピアノ・ソロの途中にはスウィングへと変化する、盛り沢山の曲になっております。(笑)

Falk Bonitz Trioの大きなテーマに「Lyric, Latin, Jazz」というのがあるのですが、まさにその3つが融合した曲だと思います。


盛り沢山と言っても盛り過ぎ感がないのは、Falkのコンポジションとアレンジの手腕ですね。こういう曲は僕には書けないので、演奏していて楽しいです。そして、こういう曲が書けるFalkがちょっと羨ましかったりもします(苦笑)。


タイトル「Rondo」が表す通り、そのままクラシックのロンド形式の曲です。

*以下wikipediaより転載

ロンド形式(ロンドけいしき、rondo)は、ある同じ旋律(ロンド主題)が、異なる旋律を挟みながら何度も繰り返される楽曲の形式のこと。

*転載ここまで

主題が出てきて、バリエーション(=各々のソロ)を挟んで主題に戻ってくる、と、言葉にすればシンプルな構成ですけど、この曲はテーマもバリエーションも非常に難しいです。(苦笑)

テーマの中(0:16-)にも、3/4のポリリズムのパートが出てきますし、言ってしまえばベース・ソロのバックもずっと4/3のポリリズムです。そして、ソロに関して言えばチェンジも鬼のように難しい!

ピアノ・ソロ中にスウィングに変わる所は、基本はGm一発なのですが、それだけだとラインに変化が出てこないので、僕はその下でii-Vを弾いたり、Gディミニッシュを弾いたりして、Gマイナーから外れるような音も使っています。

手前味噌ですが、よくこんな曲を弾いたものです。。。。


しかし、当たり前ですけどソロは皆爆発してますね。
こういうソロがレコーディングでも出て来たのは、このレコーディングをする前に一年間みっちりバンドで曲をライブで演奏して、同じイメージを共有できたからだと思います。

このアルバム全体に通して言える事ですが、こうしてレコーディングで「ライブ感」のある演奏が出来たのは、本当に素晴らしい事だと思います。
ただ綺麗に演奏しただけではなく、ちゃんと熱の込もっている素晴らしいアルバムです。(笑)


今回、自分で自分のソロの採譜を少しだけですが行ってみました。
ベーシストのフレーズですが、敢えてト音記号で書きました。



1分22秒辺りからの採譜です。本当に一瞬、一部分だけですが。

いやー、自分が何を考えて演奏していたのか、よく分かる採譜になりました。
Fmaj7(#5)を同じスケールから発生しているDのメロディック・マイナーに置き換えているのがよく分かります。
E7sus4に着地してからは、5th+b7th+9thのアルペジオ、そして結構際どい音ですがb3rd(=#9th)とb9thもパッシング・ノートとして弾いていますね。


きっとこのままアルバムを採譜していくと、僕がいかにメロディック・マイナーを多用しているのか、良く分かると思います。自分で自分の癖を見つけられそうで、良いですね。(苦笑)


多分これは、OKテイクが出た後の「おまけテイク」の感覚で録音したテイクが採用されていると思います。それもあって、僕のソロもかなり自由に弾いていますね。特に最初の方などは、どんなタイムで弾いているのか、自分でもよく分かりません。。。
この譜面のリズムも、辻褄が合うように無理矢理書いております。(苦笑)



僕視点なので、やっぱりベーシストとしての見解が強くなってしまいましたね。
こんな感じで、これから他の曲も順次解説していきたいと思います。

The Walker'sさんよりFalk Bonitz Trioのレビューをいただきました

2014-05-02 | 音楽-活動
僕視点でのFalk Bonitz Trioのアルバムの曲の解説もしたいのですが、何とその前に、音楽&情報マガジンThe Walker'sさんのfacebookページに僕たちのアルバムを取り上げていただきました!

いやー、本当にありがたいです。こうして露出が増えていくのはとても良い事です!


以下、ご紹介いただいた文章をこちらに転載させていただきます。


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Falk Bonitz Trio debut album ~ “Märzsonne”!

ドイツ・ベルリンを中心に活動中の注目のピアノ・トリオ「ファルク・ボニッツ・トリオ」のデビュー・アルバム『Märzsonne』がリリースされました!

クラシック音楽や古典文学を背景にドイツ、日本、イスラエル出身の3人のアーティストで結成されたファルク・ボニッツ・トリオ。ベースはバークリー音楽大学でマシュー・ギャリソン、グレッグ・ホプキンスにそれぞれベース・作曲を師事した後、2006年に同校のパフォーマンス科、ジャズ作曲編曲科を卒業し、2010年よりドイツ・ベルリンに在住し活動している細谷紀彰(http://www.noriakihosoya.com/)。

ドイツ語で「三月の太陽(日差し)」という意味のアルバム・タイトル。オープニングを飾る同じ旋律が異なる旋律を挟みながら何度も繰り返される楽曲の形 式=ロンド形式の「Rondo」は、その絶妙なアレンジと3人のサウンドに注目しながら聴いて欲しい。ブラームスやドビュッシー等、印象派の影響を受けた タイトル・ナンバー「Märzsonne」もこのトリオならではの仕上がり。全6曲収録で、3人のインタープレイは勿論、細谷紀彰のベースにも要注目の快 作!

【Falk Bonitz Trio official website】
http://www.falkbonitztrio.com/

【Falk Bonitz Trio CD Release Party】のPV
http://www.youtube.com/watch?v=auK9qAHE-rs

『Märzsonne』
Falk Bonitz Trio

【収録曲】
1. Rondo
2. Morgenland
3. Hutters Traum
4. Marzsonne
5. Salone
6. Licht und Schatten

【パーソネル】
Falk Bonitz/ファルク・ボニッツ (p)
Noriaki Hosoya/細谷紀彰 (b, elb)
Yatziv Caspi/ヤチブ・カスピ (ds)


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転載ここまで


次回こそ、アルバムの中の曲紹介をしたいと思います!もうしばしお待ちを!

Falk Bonitz Trioレコーディング回想

2014-04-24 | 音楽-活動
このブログでもくどい程取り上げていますが、先日、日本でも僕がヨーロッパで活動しているピアノトリオ、Falk Bonitz Trioのファーストアルバム「Märzsonne」が発売されました。

発売先はこちらの記事にまとめてあるので、まだ購入なさっていない方は是非ご参照下さい。
これもブログに書きましたが、先日追加オーダーの発注もあり、どうやら順調にお買い求めいただいているようです。有り難い。
一週間程前に追加分のCDを日本に向けて発送しているので、間もなく在庫が補充されるはずです。



さて、Märzsonneのレコーディングですが、実は今から数えて一年以上前、2013年の3月12、13日に、二日間でレコーディングをしておりました。

Märzsonneというタイトル、ドイツ語で「三月の太陽(日差し)」という意味なので、3月のレコーディングはアルバムにぴったり!
2013年の冬はとても長かったので、3月中旬のこの時期にも外は雪が積もっていたのを覚えています。





レコーディングで使ったのは、ベルリンにあるStudio P4
天井も高く、ブースも3つほどあり、ピアノ/ベース/ドラムどの音も、お互いに被ってしまう事なくクリアに録音できました。


一日目にコントラバス使用の曲2曲と他数曲。二日目にはバンドがノってきたので、結局コントラバスを使わない残りのエレキベースの曲を全部録り直したと思います。


僕のブースの中の光景。コントラバスにKen Smithのベース(当時はまだAdamovicを所有していなかったので)、そしてVanderkleyのキャビネットにWalter Woodsのヘッドアンプ。
エレベの音はWalter Woodsのアンプを経由してRadialのDI(おそらくJDV MK3)から録音しました。コントラバスはマイク録りでした。


実は僕、ヘッドホンだけでのモニターのレコーディングはどちらかというと苦手な方で……。
アンプからの音圧というよりは、音のスピードを感じながら演奏したいタイプなので、Vanderkleyのキャビは完全に自分のモニター用に持ち込みました。
それでも(レコーディングなので当たり前なのですが)ブースの中の音がかなりドライで、初日は若干苦戦しましたが、二日目にはそれにも慣れて、とても良いものが録れたと自負しております。


そして、ヘッドホンのモニタリングが苦手とは言えども、レコーディングなので、他の楽器は当然ヘッドホンで聴かなければなりません。
そこで強い味方となってくれたのが、これ。


スタジオで借りた、Beyerdynamic DT-880 Pro。セミオープンタイプのヘッドホンです。
この「セミオープン型」というのがポイントで、密閉型に比べると空気感があり、僕の中ではダイレクトすぎる音の密閉型のヘッドホンでレコーディングするよりも幾分快適に出来たかな、という印象です。
このヘッドホン、使用感が気に入ったので、レコーディングの後に自分用のものを購入しております。今では録音の現場に必ず持って行くものの一つとなりました。








ブースに入ってもお互いが見えるようにちゃんと窓があり、アイコンタクトも完璧でした。
2012年から本格的にトリオの曲を演奏し始めて、レコーディングまでにみっちりと曲を本番で演奏して、アレンジや雰囲気などを煮詰めていきました。
その甲斐があって、レコーディング時には皆曲を暗譜済。とてもライブ感のあるテイクが録れました。


二日目が終わって機材を全て撤収し、車を持っているYatzivに送ってもらって部屋に帰ってきたのが夜10時過ぎ。
周りのお店はほとんど閉まっていて、近所の謎のアジア系のインビスでチャーハンを買って食べたのを思い出しました。(笑)
味は微妙でしたが、達成感をかみしめながら食べました。


実は、アルバムに収録されていない曲も一曲録音しております。

Falk曰く
「悪くはないけど、他の曲と並んでアルバムに収録すると、なんとなくコンセプトに合わない」
という理由で、現在お蔵入りになっています。そしてこのレコーディング以降、ライブでも演奏していません。
いつかこの曲が日の目を見る事もあるのかな?



次回は僕視点でそれぞれアルバムの曲を解説してみたいと思います。6曲収録なので、全6回予定!