山口県周防大島物語

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周防大島 沖家室島 石崎氏

2022年08月28日 06時42分39秒 | 周防大島 沖家室島 再開基石崎氏
山口県周防大島の沖家室島は中世まで海賊島として存立していたとされます。
厳島の合戦で毛利軍が陶軍に打ち勝つまでは、大内系の海賊衆の根拠地と思われます。
宇賀島海賊支配とかが残りますがはっきりしません。
大島郡が厳島合戦の後、一時戦功として来島村上に与えられますが、来島村上が支配した形跡は見当たりません。
天正10年来島村上は主家、伊予河野家や毛利・河野家を裏切って、織田信長の手先であった秀吉の誘いに乗り織田方に
つきます。これに怒った毛利は大島の来島支配地を能島村上へ領地替えをします。
この時においても沖屋室まで能島村上が支配した形跡が見当たりません。

厳島の合戦,もしくは秀吉の「海賊禁止令」以来、沖屋室は海賊村としては打ち捨てられていたと思われます。

再度、荒れ果てた沖屋室の再開発を行ったのは、興居島にいた石崎氏であった。
柳原氏など伊予河野家滅亡後の家臣たちによる移住であった。
時に慶長11年(1606年)正月二十日沖屋室移住とされます。

是より前、慶長6年(1601)に関ケ原の戦いで負けた毛利とその支配下にあった、能島村上一統、因島村上一統は屋代島に
落ち延びてきます。能島村上家は和田を中心に、因島村上家は三蒲を中心にわずかな領地が与えられるだけでした。
能島村上家で3000石とされますが、鎌留により実質は1500石でした。元々最盛期に三万石近くあったのが千五百石では
家臣を養えないので、大リストラを余儀なくされます。暇を出されたもの、勝手に出てゆく者と大混乱でした。
この辺りのことは「給人行衛覚書」、通称、『能島家家頼分限帳』に記録されますので、そちらのスレッドにどうぞ。

領地がなくて困っていても沖屋室には手を出していません。
今もそうですが、耕地とする場所が少なく進出するに見合わない土地だったのでしょう。

興居島も住み辛くなった石崎家の次男坊が新天地を求めて隣の屋代島を物色していたのでしょうが、良い場所は殆ど無く
無人島の沖屋室であればどうぞと言われたとか。

石崎、柳原、友澤等の移住組はせいぜい数十名だったでしょう。
掘っ立て小屋を建て、狭い山を切り開いていったものとおもわれます。
遠い大水無瀬、小水無瀬までも開発にあたります。

ここでリーダーとなる、沖屋室島の再開基の石崎氏を見ていきます。

「橘町史」は初代石崎勘左衛門 慶長11年(1606年)正月二十日沖屋室移住する。とします。又、

「萩藩閥閲録④大島宰判大島郡庄屋石崎勘左衛門書出」は

初代石崎勘左衛門

右豫洲侍ニ御座候、四国兵乱落城後浪人仕、大嶋郡
八代嶋罷居候時分ニ沖家室嶋所柄見立、慶長十一年
正月廿日罷越切開奉遂御馳走、殿様御上下之節者、
御船中罷出御用等承、此者ゟ庄屋役被仰付、代々
引続所勤仕候、尤代々何廉御用ニ立申候事
二代石崎勘左衛門 勝太郎
三代石崎三郎右衛門
四代石崎勘左衛門

と書きますので「橘町史」はこれに沿ったものでしょう。しかし、
「油宇石崎系図」は
石崎顕宗(沖家室) 沖家室石﨑家・・・家紋 丸に方喰 浄土宗久賀村阿弥陀寺檀那  と書きます。

初代勘左衛門と石崎顕宗が同一人物か否か分かりません。

また友澤家なる家がありますが、この家は石崎一門で興居島時代の分家と思われます。

伊予 興居島の石崎家は長男「石崎四郎左衛門尉日為 河野殿エ随身日宗家督ス」とあり


次男が石崎二郎左衛門尉日行  能嶋殿エ随身後屋代嶋居住 (~1474・7/8)葬油宇浦浄西寺 文禄3年(1594年)カ
                ★徳孝院浄光日行居士
                       注)油宇浦浄西寺は明治4年からの名称(元浄土寺)矢代西連寺末 

と書きますので少し分かりにくくなります。

興居島の城を「伊予温故録」は
明澤城主・石崎四郎三郎日宗(日為の父)【伊予温故禄】
1606年(慶長11)に沖家室島に移住【伊予温故禄】
また
久留島村上家養子・黒瀬友澤城に移り長命【三島伝記】

と書きますので、沖家室開基が三人も四人も現れます。
ここでは城の名に注目です。伊予温故録は「明沢城」とし、(村上)三島伝記は友澤城とします。

「伊予温故録」は明治期のもので、玉石混交書とされ引用は要注意とされます。
「三島伝記」も戦記物であり伝記ものですから一次史料とはいえませんが、他に頼るものがありません。

石崎氏を囲む情勢もとても複雑ですが、絡み合った糸を少しづつほぐしていきましょう。

情報のお持ちの方の登場をお待ちします。
     
             













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