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自走式移動胃袋 ~ The nomadic stomach ~

風林火山・風の章_1: 疾風怒濤の38時間

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東日本大震災という呼称になるのでしょうか、最初の地震・津波から2週間が経ちました。 被災地にありご苦労されている皆様、並びに今般の震災により被害に遭われた皆様、ご関係されている皆様に心よりお見舞い申し上げます。

拙ブログで本震災のコトを記事にしても被災地への支援にはなりませんし、「ネタ」にするのも被災された方々を思うと躊躇いもありますが、ほんの少しでもワシの経験が皆様の今後に役立てばよいかと思いまして、4章に分けて記事に上げようと思います。
某企業の災害対策本部担当の目から見た今回の震災にまつわることなので、一部に企業エゴ的なことも見え隠れいたしますし、当社従業員にも亡くなられた方も…ということで、あまりにリアルなレポも書きづらので、少々のフィクションと主観などなどを織り込みながらの「読み物風」としたいと思います。

ではでは、どこまで続くか分かりませんが、少々のお付き合いということで、何となく思いついた風林火山=「疾如風、徐如林、侵掠如火、不動如山」(疾きこと風の如く、しずかなること林の如く、侵し掠めること火の如く、動かざること山の如し)=という言葉に合わせ、まずは風の章のスタートです。

3月11日(金)

【09:00】
Sクン「とも2サン、今日の午後に時間があればXX事業所の春の防災訓練の打ち合わせをしたいんですけど?」
ワシ 「時間はあるけど…まあ、2時くらいからやりましょう。」

ワシはXX事業所のエセ所長(常駐していない)というのをひとつのお役目としておりまして、エセとはいっても管理面でのモロモロをこなさないといけないのです。

【14:00】
ワシ 「本社で先週やったばかりなのに、XXの防災訓練なんて面倒臭いなぁ(嘆)」
手下S「だって、消防計画で出してるから春秋の2回やらないとダメじゃないですかぁ…そもそも、2サンは全社防災隊長でしょ! 面倒臭いとは何事ですか!」
ワシ 「でも、4月までミンナ忙しいし、訓練の参加率なんて無茶苦茶低いよねぇ」
手下S「とりあえず計画を立てましょう」
ワシ 「はいはい…」

って感じで、まったりと「よい加減」の防災訓練計画をまとめていたワケです。

【14:46】
ワシ 「まあ、コンナモンで計画書を作って…おやっ?」
手下S「とも2サン!地震ですよ!!」
ワシ 「とりあえず、机の下に潜るフリを…えっ、コレって凄くない?」
手下S「きゃぁ~!(と、会議机の下に潜る)」
ワシ 「皆さん、安全確保の必要があります。 すぐに机の下にもぐれるようにしといて…うわっ…潜ってくださ~い(叫)」
結構な揺れです。
ワシ 「頭部を守るために机の下に…おおっと…皆さん、このビルは安全です! 絶対に倒壊(← こういう表現をしている)しないので、落ち着いて行動してください(叫・その2)」
手下K「ドア開けにいきます!」
そのKクンがドアに向かっている姿が、『欽ちゃん走り』に見えたのは仕方ないですよね(笑)

などとワサワサしている間にも、ものすごい揺れが1分くらい続きます。
我が社は高層ビルといっても実際は6階なのでたいした揺れはこないだろうと舐めてましたがソコソコにスゴイ揺れが続きました。

前の週に本社の避難訓練を行っていたこともあり、大騒ぎにはならずに、揺れが収まりました。
すぐさま手下を走らせ本社内の被害状況を調べさせるとともに、モロモロの情報収集を進めます。

ワシ 「このビルから逃げ出す必要はありません。 ここにいることが一番安全です。 ○○サン(取締役)! 窓際には近寄らないでください。 スリッパを履いているヒトは靴に履き替えて、携帯電話と貴重品は身につけておいてください! 余震が来ますけどこのビルは火災が発生しない限り大丈夫なので落ち着いて行動しましょう!」

【15:00】
一応、本社内の安全はほぼほぼ確認されたのですが、ホットする間もなく各地の安否を確認していきます。 実際の作業は事業本部単位で行うのですが、震源等々から東北がヤバイという感じです。 携帯電話もほとんどつながらず、大枚叩いて導入した携帯電話を使った安否確認システムは作動しないし、と結構パニックしてます。
そんな中で仙台の事業所長と某部長であるYサンの携帯で奇跡に近い確立で連絡がついたのです。 だが、しかし…

Yサン「一度切るとつながらないんで、このままにしておけ!」
所長 「携帯の電池がないんで切ります!!」
ワシ 「津波が心配なので『とにかく逃げろ』って伝えて!!!」
Yサン「切れちゃった…」

※: 我妻とは素早くEメールで双方の安否確認のやりとりができたので、後は放置することにします。

【16:00】
TVニュースを見ながら…

Yサン「仙台、スゴイみたい…」
ワシ 「ウチって港ですよねぇ…」
Yサン「連絡取れないしなぁ…」

などとしているウチに手下から電車が全面的に停まって復旧の見通しナシという話が入りまして、Yサンには引き続きのコールをお願いしてワシは社員をどうするかというコトに忙殺されます。 「帰すの帰さないの」「帰るの泊まるの」とかピーチクやっている中、ほぼ独断でモロモロの指示をします。

ワシ 「電車が停まっていますし、再開の情報は何もありません。 幸い首都圏は大きな被害はありませんので点検が済めばスンナリと回復する可能性はありますが、歩きで帰れるヒトは帰ることを進めます。 他の皆さんは状況により判断してくだい。 とりあえず、勤務はフレックス扱いです。 帰る時は必ず上長に連絡して、どうしたのか分かるようにしてください。」

と、言って回りつつ「半分は帰れないだろうなぁ」と考えまして、非常食(夜食)を手配するためにコンビニに手下を走らせます。 ちょっと早まったという気はしましたが「怒られたら自腹でもイイヤ」と思いながらの手配です。

Yサン「仙台は連絡ついたけど、所長(← さっきの通話相手)が逃げ遅れたみたいだ。」
ワシ 「安否確認システムがうまく作動しないし…、連絡を取り続ける人間を指定して、他のコトをやってください。」

と、そんな中でコソコソとPCに向かうヒトが多くみられます。

ワシ 「インターネットを見るなとは言いませんが、個々に見るのは止めて、3~4人で堂々とまとめて見てください。 仕事をサボったとか言いませんから、仕事をしているフリをしてネットを見るのは禁止です! 回線を塞ぐのでやめてください。」

【17:00】
結構テンションが上がっているワシに向かってマッタリとした質問がやってきます。

某部長「帰ってもいいんだけどさぁ、通勤経路以外で帰っても交通費は出るの?」
ワシ 「アンタには出さないけど、一般職の分は後から考えるけど安心しなさい! アンタ部長なんだから他の心配した方がいいんじゃないの(怒)」
某部長「えっ、何の心配をするの?」
ワシ 「自分で考えるの!!」

某秘書「コールはするんですけどすぐ切れて社長と連絡がつかないんですけど、どうしたらよいのか…」
ワシ 「まずね、社長の予定を確認してね、ドコにいるか教えてくれる。 それから、ドライバーにも電話とメールをしたかも教えてね」

手下W「非常食(夜食)はカップヌードル以外にもオニギリとかサンドイッチとかもいりますか?」
ワシ 「まだ行ってなかったのかよ~、好きなモン買ってこい(嘆) 自分の食いたいモノX100で買ってきていいよ、でもな、完全な買い占めはダメだから、ちょっとだけ遠慮して買い物するんだよ」

と、バタバタしている中で時間が経っていきます。
手下陣には、1 安否確認システムの確認 2 交通情報の収集と連絡 3 一般被害状況の確認 を指示して、とりあえず一段落します。
そうそう、泊まりのためにホテルを押さえようとしたのですがダッシュが遅れて近隣は完全にアウトでした。 う~む、素早く動くヒトビトはいるのだなぁ、などと感心しました。 これは、「ワシはどうせ徹夜」とか「いざとなったら歩いて帰れる」とかの深層心理が働き初動が遅れたのかも(疑)

【18:00】
Yサン「仙台、ヤバイよなぁ~、みんなうまく逃げたかなぁ~」
ワシ 「今、仙台に対して出来ることはありません。 我慢して『受け』の体制に入ってください。 Yサンの電話からは発信しちゃダメです。」

定時になったコトもあり、再びの決断です。

ワシ 「電車復旧の目処は立ちません。 関東では余震の心配は薄いので、バスや徒歩などの手段で帰れるヒトはとっとと帰ってください。 但し、帰りに不安のある方は残っていただいてかまいません。 一定量の食料は確保できているので安心してください。 後、女子は社用車を出すので後で集約かけます。」

並行して進めている、本社から出張しているヒトと青森、岩手、宮城以外のヒトビトの安否を確認する一方で、社用車の私的使用の禁止なども手を打っておきます。

※: 我妻からも歩いて家に帰りつけたとの連絡があり一安心します。

【19:00】
ようやく会社としてもまとまった面子での会議が出来るまで落ち着きまして、災害対策本部の正式立ち上げと同時に、非常事態宣言をすることになります。

ワシ 「仙台以外は被害があっても人身に影響ないと判断しています。 今後の対策につき…ウンヌンカンヌン」

などとモロモロにつき、おおまかな手配や段取りを決めていきます。
メインポイントを安否確認と被害状況の確認、そして仙台への支援準備、帰宅難民と化した本社従業員への対応などなどを決めて翌朝のミーティングまで決められた分担での個別活動にします。

【21:00】
社用車や自家用車で会社に来ているヒトを洗い出し方面別に帰宅便を仕立てますが、情報を集約させていた手下から悲鳴が上がります。

手下W「『アタシはどうなるの?』とか『オレは帰してもらえるんだろうな!』とか収集がつきません」
ワシ 「じゃあ、ワシがやるよ~」

ある意味ものすごいセクハラとパワハラをしまくります。

ワシ 「オンナコドモから帰すから、ヲヤジは運転手に当たればラッキーだと思ってね。 当たったら文句を言わないで運転して帰ってくださいね。 帰るのを諦めたヒトは素直に手を挙げて、そこにあるカップラーメンを食べてください。 あっ、スゴイ渋滞だからクルマに乗れても何時帰れるか分からないので、それは覚悟してね。 出る前にオトイレに行って、水持っていくのを忘れないようにね。 ああ、あんたは帰れないから諦めなさいね。 ふ~ん、Aサンはゴハン食べて、お酒呑んで来たのかい。 えっ、混んでいて大変だったって、外部情報の収集ありがとうね。 えっ、社用車で出ていたMクンから連絡があって『このまま家に帰る』って、『ソイツは会社のクルマだから、とっとと戻ってこいってとも2が言っている』って伝えてね(笑) えっ、『業務命令ですか?』って聞いてるって、『業務命令か、ヒトの道を外さないための先輩の指導かの好きな方を選べ』って言っといて。」

我が手下達はすっかり徹夜の覚悟を決めてくれていて、イロイロな情報提供や細かい手配のサポートをしてくれます。 ほぼ独断で仙台への支援物資特別便を仕立てることを決め、クルマの手配や調達物資の一覧表の作成などの準備も並行して進めてもらいます。

【23:00】
ここで妊娠女子の問題が発覚! クルマの手配は着いたけど何時間かかるか分からないので不安なのでどうしようという相談がきます。
そこで、心優しい魔法使いのジジイであるワシは鼻をピクピクさせて、折りたたみベッドと毛布を出してあげて
「枕はないので自分でナントカしてね♪」
と言って、立ち去ります。

【24:00】
どうにか、こうにか女子の大半を社用車などに乗せて帰しまして一段落です。 よやくワシの上司であるKYサンと落ち着いて話しができるようになりまして今後の対策を練っていきます。
勿論、その間に次々と安否の確認連絡が入ってきまして、少しずつホッとすると共に、仙台に対する不安がくっきりと浮かび上がってきたこともあり、眠らない夜を過ごすことになるのです…


とりあえず、ココまで書いて力尽きましたので、風林火山・風の章は連載モノとなることが決定いたしました(爆) 細かくも、つまらない描写も多いような気もしますし写真もないのですが、ワシの備忘録的な記事ということでご容赦いただきたいと思います。
明日からは、またまた東北遠征をすることになっているので『続き』はいつになるやら分かりませんが、乞御期待ということで一旦筆(?)を置かせていただきます。

続く…

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コメント一覧(10/1 コメント投稿終了予定)

とも2
あははぁ~
> じぇみーサン

まあ、ヒトソレゾレというヤツですよ…

多分、ヌシさんのトコロはスイーツ系も多いので拙ブログより女子向けと思いますよ(笑)
「小径」はワシのお気に入りでもありますので、ヌシさんの知らないトコロで二人で「ヌシネタ」で盛り上がりましょう(嘘)
じぇみー
いーえ、十分に“統率力”です。
判断力、行動力、指導力がないと統率できませんから。
まぁ、取締役本部長もいたのに何の指示も出なかったので
小径のヌシさんのところのボ○○○取締役同様です、うちは。
情けない(嘆

ということで、小径のヌシさんのお宅をブクマさせていただきました(笑
とも2
ありがとうございます_4
> ヌシさん

ヌシさんの職場はお嬢が多いので、大変だったと思います。
多少(?)の苦労はあったでしょうが、でも…まあ…皆様無事でよかったデス♪
とも2
ありがとうございます_3
> じぇみーサン

統率力というのとはちょっと違うカモ(笑)
まあ、ヒトにはそれぞれの得意不得意もあるしねぇ…
とも2
ありがとうございます_2
> いそのサン

先ほど山形経由で帰ってまいりました。
次のアップは…週末に頑張りたいと思いますが、どうなることやら(汗)
とも2
ありがとうございます_1
> 天使たちの場所サン

飲食店系の方々は消費が冷え込むと厳しいと思いますが、お客に楽しさと勇気を与えてくれる仕事ですので、引き続き頑張ってくださいませね♪
小径のヌシ(^-^)
ご苦労さまでした
http://blog.livedoor.jp/maromaro72/
やはり当日(直後)はどの企業さんでもドタバタですよね
そんな中で的確な指示を出される とも2さま 素晴らしい !!

じぇみーさんのコメントではありませんが
うちのボ○○○取締役にも爪のあかを分けてください。
『帰すのか泊めるのか どーすんだ早く決めろ』
って、それを決めるのアンタだろ !!

で、『俺は用事があるから帰る』と
自分だけとっとと帰っていった うちのボ(略

ホント 何でしょう、この差。。。
じぇみー
とも2さん
すばらしい統率力ですね。
うちのセ○○○部長のために爪のあかを少し分けてください。
『どーせ電車が動かないなら朝まで飲めばいいじゃん』
って言っただけでなく、何の指示も出しませんでしたよ、うちのセ(略

何でしょう、この差。。。
いその爺
うっ! 思わず一気に読んでしまいました。
少々の笑いを散りばめたなかに、当日の緊張が伝わって参ります。

続く…なのですか…
次回のアップが待ちどおしいですよ。
天使たちの場所
あの地震の時…
従業員がいっぱいいる会社は大変だったのでしょうね!
その日は朝方まで営業しました。
いろんな意味で疲れ、ストレスが溜まりましたし、余韻が続く飲食店、怖いですね(>_<)
送別会のキャンセルで、みんな泣いているのが今の飲食店の現状、桜木町辺りは、あの最悪な150周年イベントとAPECの打撃に泣いている矢先の出来事(>_<)
横浜市はなんか考えてくれないものなのか?と思います。
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