先日のツアー前に、急にやる気出して猛練習したのが運の尽き。明日からツアーで練習できないってのに、新しく奏法を発見してしまったのだ。
レッスンで生徒にも、マウスピースは深めに咥えましょう…と教えている。特に、どうも吹奏楽部上がりなどクラシックをやっていた生徒は全般的に浅く咥える傾向にあり、「それじゃぁ、ドラム相手に生音で勝負出来ないよ。」という話になる。深く咥えると、ピッチもさることながら、音が暴れて纏まりを失い汚い音になりがちだが、浅く咥えてコントロールばかり考えてると、どうしても音がしょぼくなる(当然ながら、浅く咥えていては、リードの振動幅が小さく、それに伴い音量も小さい)。日本人プレーヤーに散見するし、最近の若手外人プレーヤーでも蚊の鳴くような音で吹く人もいる。まぁ、ジョー・ヘンダーソンの様なスタイルを目指すなら分かるけど。
でも、僕が渡米して、まず驚いたのは、皆、ビッグ・トーンだという事。で、それで汚い音かというと、全くそうではなく、非常に纏まった美しい音質なのだ。マウス・ピースをあれこれ替え、リードを付け替え、アンブッシュアだって、シングル・リップからダブル・リップに変え、更にファット・リップにも挑戦し、もう、何十年も悩んできた。今のところ、シングル・リップでいわゆる「シン・リップ」というやつで、マウス・ピースはヤナギサワの7番にバンドレンの青箱の3番で定着し、リガチャーをあれこれ替えるに留まっている。今は最も柔らかい音が出るロブナーで落ち着いている。
もう、いじる所など無いのだが、なんだか納得行かない。(こういう時に、だいたいマウスピース変えたりリード変えたりして後悔する。) 今、最も興味の有るプレーヤー、クリス・ポッターのコピーを一緒に吹いてても、中々あぁいう音色や音圧にはならない。悩みながら吹いてたら、難しいフレーズ吹いてると、歯がカクンと溝にハマる事に気が付く。若い頃に、上の歯の圧力が強過ぎてマウスピースに付けてしまった歯型だ。割と深めの所には付いてるものの、最近はもっと深い所に歯を置いている。でも、最近は歯に圧力を掛けてないので、マウスピースに歯形が付かなく、その代り、楽器が多少揺れる事で度々カクンと以前の歯型の所に歯が持って行かれるのだ。
それが気になり、致し方なく、マウスピースに人口の歯型って事で切り込みを入れてみた。(良い子は真似しないでね。)
だが、切り込み入れた所が普段の歯を置いているところより深かった!
「し、しまった!」
…と思ったけど、そこに歯を置いてロングトーンを吹いてみると、なんだか音色が深くて、特に低音の響きが良い。
「あれ?なんだかイイじゃん!」
そして、その状態で単音ではなくフレーズなどを吹いてみる。う~!音汚ねぇ~!でも、時折、自分の演奏で「フン詰まりか!」って思うような<響かない>ストレスが無い。これ、ひょっとして良いのかも。
しかし、なかなか思うようにフレージング出来ず、低音はひっくり返り、フラジオではキーキーとリードミスの連続。う~、これはこれでストレス。
でも、一つ気が付いたのは、今まで自分が如何に音域によって歯の位置を変えてたか…という事である。数ミリ単位ではあるが、それによって「フン詰まり」効果に繋がっていたようだ。新しく付けた「歯形」にずっと歯を置いて演奏する事が如何に難しいかを思い知らされる事になった。何より効果を感じたのは深く咥える事で、上下の圧力以上に左右の圧力が必要になり、ダブルリップの時のアンブッシュアに近い感覚を得られた事である。
ただ、僕自身、冒険家で他人の意見よりオリジナリティーを重視する性格が大半を占めているものの、一方で日和見主義というA型の残念は一面も持ち合わせている。w こんな我流のアンブッシュアに果たして「未来」が有るのだろうか?と心配になった。過去にもアンブッシュアを変えて、暫くの間、思い通りに吹けずストレスフルに仕事を重ね、また元に戻すのに時間を掛けて…と時間の浪費をした経験が有る。
ツアーが始まってしまい、ウォーム・アップ程度しか出来ない中、なるべくそのアンブッシュアで演奏を繰り返した。お客さんにはバレない程度ではあるが多少のストレスは自分に有った。ツアーの期間中、移動中やホテルで、アンブッシュアに関する良い記事は無いかとスマホでネット検索を続けた。しかし、残念ながら、どれもありきたりの「マウスピースは浅めに咥えて音質をコントロールしましょう。」的な、芸歴35年(笑)のプロが読むに値しない浅い内容のものばかり…。もっとアバンギャルドで、え~!こんな意見初めて~!みたいな記事はないものか…。
ツアーが終わって、時間も出来、ゆっくりサックスに向き合える時間を得た。クリス・ポッターのコピーを続けたりしながらネット検索していたら、やっと出逢った、このサイト!
http://www.kurikiyo.sblo.jp/article/31863530.html
これですよ、これ!
なんか凄い事書いてある。「いくら深く咥えても咥えすぎという事はない」()だって、ウプププ!こういうアバンギャルドな情報を探していたのですよ!この記事自体は、「こういう海外サイトを見つけました!」って記事なのだけど。。
この方、社会人プレーヤーの様だけど、他の記事を読んでも、凄く研究熱心だし、多くの事で納得する事が多い。ノータンギングで練習しろ!って記事は、僕もレッスンで教えてる事だし、「タンギングを使わなければスイング感を出せない状態」自体がスイングしていない…って事を教えるにあたって、ノータンギングでの練習はレクチャーする上で凄く重要だ。ジョージ・ガゾーンの名前がその記事で出てるけど、僕も彼にそれを習ってたのかもしれない。その他の記事も興味深く、ミュージシャンに対する評価も概ね同じだし、なんか話合いそう。w 多分、知り合いの知り合いなんだろうなぁ。日本ジャズ界なんて狭い!
まぁ、いつまでこのアンブッシュアを続けるか分からないし、ある日突然「こんなモン、ダメだぁ!」と打ち捨ててしまうのが僕という人間なのだけど、暫く頑張ってみようかな。ソプラノも同じ様に変えてみたら良い感じだし。
フィンガリングも、寝かしていた指を全て立てて、立ち方や構え方もそれに伴って変えて、ツアー中は「他人の身体を借りて演奏」してるようだった。(笑) でも、常に進化していかなければ、プロとしてやっている意味がない。それを知ってか知らずか、富山木馬のマスターに「付き合い長ぇーけど、宮地スグルがまだ進化してるのを聴けて良かった!」と言われ、こちらこそ「良かった!」と思った。天野丘という信頼出来る相方のお蔭で、コードから自由に離れたり戻ったりと、「やった事のないフレーズをその場で吹いてみる」というチャレンジが出来る様になって来て、この歳になって、やっとジャズ・ミュージシャンになれた様な気がする。演奏自体の過渡期とともに、かえって非常に実りのあるツアーでもあった。
う~、しかし、クリス・ポッターめ。コピーして練習して吹けるようになっても、何でこんなアイディアが次々出て来るんだ?…ってところで溜息が出る。ガゾーンやジョー・ロバーノと近いものを感じるが、練習の内容がぶっ飛んでるんだろうな。ガゾーンのレッスン取ってる時も「一体、こんな練習して何の役に立つんだろう?メロディー歌い辛いし、覚えにくいし、何が楽しいんだろう?」と苦しかったのを思い出した。(笑) なんかワケの分からない所にコダワリを持って、聴衆にウケるかどうかなんて考えずに無心で練習していたバークリーの学生達の姿とか…日本で20年も仕事してる間にすっかり忘れてしまっていた色んな大切な記憶が蘇って来た。
コピーと言っても、そのフレーズをそのまんま使いたくてコピーしてるわけではなく、自分オリジナルのやり方を今後どう発展させて行くかを考えるためなんだけど、トランスクライブから、そのフレーズの向こう側の練習内容を見抜く…というのは中々難しいけど、それをやんなきゃ仕方ない。バップ系の人は見抜きやすいけど、こういう人達はフレーズも決まったのが無く、指癖でもないから全く持って見抜きにくい。
営業仕事やレッスンとは別次元の話だけれど、ゆくゆくは研究成果として、自分というミュージシャンが演奏してる事、教えてる事…として、全ての仕事に良い結果がもたらされれば良いなぁと思う。
レッスンで生徒にも、マウスピースは深めに咥えましょう…と教えている。特に、どうも吹奏楽部上がりなどクラシックをやっていた生徒は全般的に浅く咥える傾向にあり、「それじゃぁ、ドラム相手に生音で勝負出来ないよ。」という話になる。深く咥えると、ピッチもさることながら、音が暴れて纏まりを失い汚い音になりがちだが、浅く咥えてコントロールばかり考えてると、どうしても音がしょぼくなる(当然ながら、浅く咥えていては、リードの振動幅が小さく、それに伴い音量も小さい)。日本人プレーヤーに散見するし、最近の若手外人プレーヤーでも蚊の鳴くような音で吹く人もいる。まぁ、ジョー・ヘンダーソンの様なスタイルを目指すなら分かるけど。
でも、僕が渡米して、まず驚いたのは、皆、ビッグ・トーンだという事。で、それで汚い音かというと、全くそうではなく、非常に纏まった美しい音質なのだ。マウス・ピースをあれこれ替え、リードを付け替え、アンブッシュアだって、シングル・リップからダブル・リップに変え、更にファット・リップにも挑戦し、もう、何十年も悩んできた。今のところ、シングル・リップでいわゆる「シン・リップ」というやつで、マウス・ピースはヤナギサワの7番にバンドレンの青箱の3番で定着し、リガチャーをあれこれ替えるに留まっている。今は最も柔らかい音が出るロブナーで落ち着いている。
もう、いじる所など無いのだが、なんだか納得行かない。(こういう時に、だいたいマウスピース変えたりリード変えたりして後悔する。) 今、最も興味の有るプレーヤー、クリス・ポッターのコピーを一緒に吹いてても、中々あぁいう音色や音圧にはならない。悩みながら吹いてたら、難しいフレーズ吹いてると、歯がカクンと溝にハマる事に気が付く。若い頃に、上の歯の圧力が強過ぎてマウスピースに付けてしまった歯型だ。割と深めの所には付いてるものの、最近はもっと深い所に歯を置いている。でも、最近は歯に圧力を掛けてないので、マウスピースに歯形が付かなく、その代り、楽器が多少揺れる事で度々カクンと以前の歯型の所に歯が持って行かれるのだ。
それが気になり、致し方なく、マウスピースに人口の歯型って事で切り込みを入れてみた。(良い子は真似しないでね。)
だが、切り込み入れた所が普段の歯を置いているところより深かった!
「し、しまった!」
…と思ったけど、そこに歯を置いてロングトーンを吹いてみると、なんだか音色が深くて、特に低音の響きが良い。
「あれ?なんだかイイじゃん!」
そして、その状態で単音ではなくフレーズなどを吹いてみる。う~!音汚ねぇ~!でも、時折、自分の演奏で「フン詰まりか!」って思うような<響かない>ストレスが無い。これ、ひょっとして良いのかも。
しかし、なかなか思うようにフレージング出来ず、低音はひっくり返り、フラジオではキーキーとリードミスの連続。う~、これはこれでストレス。
でも、一つ気が付いたのは、今まで自分が如何に音域によって歯の位置を変えてたか…という事である。数ミリ単位ではあるが、それによって「フン詰まり」効果に繋がっていたようだ。新しく付けた「歯形」にずっと歯を置いて演奏する事が如何に難しいかを思い知らされる事になった。何より効果を感じたのは深く咥える事で、上下の圧力以上に左右の圧力が必要になり、ダブルリップの時のアンブッシュアに近い感覚を得られた事である。
ただ、僕自身、冒険家で他人の意見よりオリジナリティーを重視する性格が大半を占めているものの、一方で日和見主義というA型の残念は一面も持ち合わせている。w こんな我流のアンブッシュアに果たして「未来」が有るのだろうか?と心配になった。過去にもアンブッシュアを変えて、暫くの間、思い通りに吹けずストレスフルに仕事を重ね、また元に戻すのに時間を掛けて…と時間の浪費をした経験が有る。
ツアーが始まってしまい、ウォーム・アップ程度しか出来ない中、なるべくそのアンブッシュアで演奏を繰り返した。お客さんにはバレない程度ではあるが多少のストレスは自分に有った。ツアーの期間中、移動中やホテルで、アンブッシュアに関する良い記事は無いかとスマホでネット検索を続けた。しかし、残念ながら、どれもありきたりの「マウスピースは浅めに咥えて音質をコントロールしましょう。」的な、芸歴35年(笑)のプロが読むに値しない浅い内容のものばかり…。もっとアバンギャルドで、え~!こんな意見初めて~!みたいな記事はないものか…。
ツアーが終わって、時間も出来、ゆっくりサックスに向き合える時間を得た。クリス・ポッターのコピーを続けたりしながらネット検索していたら、やっと出逢った、このサイト!
http://www.kurikiyo.sblo.jp/article/31863530.html
これですよ、これ!
なんか凄い事書いてある。「いくら深く咥えても咥えすぎという事はない」()だって、ウプププ!こういうアバンギャルドな情報を探していたのですよ!この記事自体は、「こういう海外サイトを見つけました!」って記事なのだけど。。
この方、社会人プレーヤーの様だけど、他の記事を読んでも、凄く研究熱心だし、多くの事で納得する事が多い。ノータンギングで練習しろ!って記事は、僕もレッスンで教えてる事だし、「タンギングを使わなければスイング感を出せない状態」自体がスイングしていない…って事を教えるにあたって、ノータンギングでの練習はレクチャーする上で凄く重要だ。ジョージ・ガゾーンの名前がその記事で出てるけど、僕も彼にそれを習ってたのかもしれない。その他の記事も興味深く、ミュージシャンに対する評価も概ね同じだし、なんか話合いそう。w 多分、知り合いの知り合いなんだろうなぁ。日本ジャズ界なんて狭い!
まぁ、いつまでこのアンブッシュアを続けるか分からないし、ある日突然「こんなモン、ダメだぁ!」と打ち捨ててしまうのが僕という人間なのだけど、暫く頑張ってみようかな。ソプラノも同じ様に変えてみたら良い感じだし。
フィンガリングも、寝かしていた指を全て立てて、立ち方や構え方もそれに伴って変えて、ツアー中は「他人の身体を借りて演奏」してるようだった。(笑) でも、常に進化していかなければ、プロとしてやっている意味がない。それを知ってか知らずか、富山木馬のマスターに「付き合い長ぇーけど、宮地スグルがまだ進化してるのを聴けて良かった!」と言われ、こちらこそ「良かった!」と思った。天野丘という信頼出来る相方のお蔭で、コードから自由に離れたり戻ったりと、「やった事のないフレーズをその場で吹いてみる」というチャレンジが出来る様になって来て、この歳になって、やっとジャズ・ミュージシャンになれた様な気がする。演奏自体の過渡期とともに、かえって非常に実りのあるツアーでもあった。
う~、しかし、クリス・ポッターめ。コピーして練習して吹けるようになっても、何でこんなアイディアが次々出て来るんだ?…ってところで溜息が出る。ガゾーンやジョー・ロバーノと近いものを感じるが、練習の内容がぶっ飛んでるんだろうな。ガゾーンのレッスン取ってる時も「一体、こんな練習して何の役に立つんだろう?メロディー歌い辛いし、覚えにくいし、何が楽しいんだろう?」と苦しかったのを思い出した。(笑) なんかワケの分からない所にコダワリを持って、聴衆にウケるかどうかなんて考えずに無心で練習していたバークリーの学生達の姿とか…日本で20年も仕事してる間にすっかり忘れてしまっていた色んな大切な記憶が蘇って来た。
コピーと言っても、そのフレーズをそのまんま使いたくてコピーしてるわけではなく、自分オリジナルのやり方を今後どう発展させて行くかを考えるためなんだけど、トランスクライブから、そのフレーズの向こう側の練習内容を見抜く…というのは中々難しいけど、それをやんなきゃ仕方ない。バップ系の人は見抜きやすいけど、こういう人達はフレーズも決まったのが無く、指癖でもないから全く持って見抜きにくい。
営業仕事やレッスンとは別次元の話だけれど、ゆくゆくは研究成果として、自分というミュージシャンが演奏してる事、教えてる事…として、全ての仕事に良い結果がもたらされれば良いなぁと思う。
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