のんべがぶえ土佐便り

人生の三本柱はズバリ!家族・音楽・ビール。
土佐の高知より、愛をこめて。

先生の教え

2013年05月10日 | 伸枝の日常
若桑みどり先生には、
学生時代にイタリア語を習いました。
声楽科の1年生が殆んど履修していたので、
60名ぐらいの授業、だったかな?
熱心な学生は前方の席に座って受講。
記憶の中で先生は遠くにいるから、
きっと私は予習もせず、後方座席だった模様。

一年間の授業が終わる頃、
先生が千葉大学へ着任する、との情報が。
「どうして?」
の質問が先生に向けられました。
すると先生は、
”あなたたちは、
これから、あれもやりたい、これもやりたい・・・
やりたいことがいっぱいあるでしょう。
でも、自分の年齢になると、
これから、あれしかできない、これしかできない・・・
といった心境になる”
そんなニュアンスのことをおっしゃいました。
つまり、自分の人生においてなすべきことを全力でやり遂げねばならない。
次年度からは、その態勢に入る。

私たちは、大学生にしてはやや幼稚とも言えますが、
一人一人メッセージをカードに書き、
ファイルにして先生に贈りました。
自分が書いた文を覚えています。
”原点を知りつつ、先端を行け。
・・・名言を残して、若桑みどりは去っていった。”
生きていく上で、極めていく上で大切なことは何か、
先生は折に触れ私たちに示唆してくれました。

2年生になる前の春休み。
にかちゃん・えつよちゃん・りょうちゃん、
そして私の確か四人で、
どっかの企業が主催した先生のカルチャースクールに、
ハガキで参加希望を出し、
新宿の高層ビルまで押しかけました。
”ビーナスの誕生”というテーマだったと思う。
例によって、熱いけどクールな話しぶり。
先生の専門分野の話を聞くのは初めてで、
そうか、先生はこっちのプロなんだと納得。
会終了後、先生に挨拶に行くと、
「何やってんの、あんたたち」
とかなんとか。
机の上にちょこんと座り、短い会話につきあって下さいました。
リラックスした、そしてわずかにはにかんだ表情が忘れられません。

その後、先生は研究・執筆・・・たいへんご活躍されたと思いますが、
私が先生の著書を手に取ることはあっても、
じっくり読んでみることはありませんでした。
今回、この本を図書館から借りてきて、
今はこの世にはいらっしゃらない先生が、
想像を絶するエネルギーで生きたことを知り、
そして、真剣に生きよと私を叱咤しているように思いました。



コメント (1)
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