こんなに暑いのに、「風花」とは…。
文庫を調子に乗っていっぱい買ってしまって、季節感のない読書スタート。
大学を卒業して、3年ほど大学で秘書をしてそのあとすぐに結婚してしまった”のゆり”。
世間ずれしていなくて、自分でも何を考えているのかどうしたいのかわからない、というのが主人公。
ある日、匿名の電話がかかってきて、夫の浮気を知る…。
それから、のゆりがどうしていくか、というストーリー。
自分でも自分が”悲しい”と思っているということにすぐ気が付かない、ということに驚くのゆり。
子供のころの記憶や、兄のような叔父とのやり取り、古い友人との沖縄旅行、などを通じて、ようやく自分がどうしたいのか、現実を受け止めながら、段々とはっきりとさせていくのゆり。
はじめは、手ごたえのない人だなぁと思って、いくらかイライラした。
のゆりの叔父の真人はよい相談相手だが、のゆりは真人にも次第に事実と虚構とを見出していったのだと思った。夫である卓哉にも。
誰にも彼にも。
ぼんやりとしていそうな輪郭線が、だんだんとはっきりとして、それでも完全にはキチンとした輪郭線にはならなくて、つながらなくて、実際、そういうもんなんだろうなと思った。
右に行っても左に行っても、どちらに行っても後悔はする。実際は、そういうことだ、と思う。キチンとした答えはどこにもない。
そのことを知っているのと知らないのとでは雲泥の差。
のゆりの変化はそのことを指し示しているのではないか、と思いました。
なんだか一気に読んでしまって、寝不足ー。