Mステ、スカイツリーの話出ましたね
知ってても笑った。
ジュニア見せちゃった

相葉くんらしい失敗?
いけない!いけない!想像するな私!!
Mステの感想はまた明日にでも。
では気持ちを切り替えてどうぞ。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
妄想ドラマ 『スパイラル』 (4)
沢渡は気分が良かった。
渉と美菜に話をした翌日から二人の空気が変わったからだ。
少なくとも沢渡にはそう見えた。
二人のわずかな変化はほかのキャストにも好影響を与え、舞台全体のグレードが上がった手ごたえがある。
幕を開けるのに不安な材料は今のところ見当たらない。
チケットは発売当日に数時間で完売していた。
主演の美菜と渉の人気だけでなく、小田中プロがマスメディアをうまく使った宣伝の効果も大きい。
ワイドショーの興味は今や二人のキスシーンに集中している。
こうなることも小田中プロの予想どおりだった。
そしてワイドショーは渉への興味も煽った。
その時すでに、水面下では映画化に向けての準備が進められていることを、
渉はまだ知らされていなかった。
渉は舞台への情熱とは別の、もう一つの自分の気持ちを持て余していた。
舞台の上では渉と美菜は深い愛情で結ばれた恋人役なのだから、
当然そういう気持ちを入れて演じる。
二人だけの秘密を作った日から、美菜の演技は変わった。
たぶん変わったのは美菜一人ではなく、ふたりで変わったのだろう。
舞台の上では本気で愛されていると渉は感じるようになった。
美菜の自分を見つめる瞳も、声も、体もすべてがそれを物語っていた。
ただ、それはあくまでも演じているヒロインの気持ちだ。
そんなことは頭では分かっている。
でも稽古を終えて姿が見えなくなると、途端に美菜が恋しくなった。
渉は美菜を恋しく思うのも、気持ちの切り替えがうまくできずに、
役の気持ちを引きずっているのだと思う。
きっとそうだと自分に言い聞かせてみる。
けれど他の仕事をしている時は忘れていられるのに、家に帰ると何をしていても美菜のことが頭から離れない。
その腕に美菜を抱きしめる日を待ちわびる自分に戸惑うばかりだ。
美菜は相変わらず多忙で、稽古が終わるとすぐに帰ってしまい、
二人きりで話をするチャンスもない。
休憩の時はマネージャーがぴったりそばにいる。
渉は自分の気持ちを確かめることさえできなかった。
「舞台になにか不安でもある?」
ゲネプロの前日、マネージャーの西村が渉に聞いた。
「いや、特にないよ」
「ならいいんだけど。沢渡さんも珍しく褒めてるくらいだから自信を持って」
「俺、自信なさそうに見える?」
「なんだか時々考え込んでるみたいだから」
「大丈夫。みんなの期待には応える」
「そう来なくちゃ。美菜ちゃんのマネージャーの川崎さんも喜んでたよ。美菜ちゃんって
根は人見知りなんだけど渉には心を許してるって」
「そうなのかな」
「今頃何言ってんだよ。そうなんだって」
いよいよゲネプロの当日を迎えた。
11月の東京にしては冷え込みの厳しい日だったが、
多くのマスコミ関係者で早くから会場は賑わっていて、熱気さえ感じられた。
入念に最終チェックをするスタッフたちが行きかう舞台のそでに美菜が現れた。
メイクをし、衣装に着替えた美菜は落ち着いているように見える。
渉がそばへ行くと途端に助けを求めるような切ない目になった。
「どうした?」
「もう緊張して頭が真っ白になりそう」
「大丈夫。いつもどおりにやればいい」
「手が震えているの。どうしよう」
差し出した美菜の手をそっと握ると冷たかった。
「大丈夫だよ、一人じゃないんだから」
「そうね、ひとりじゃない」
開演5分前を知らせる1ベルが鳴った。
美菜は渉の腰に両腕をまわして囁いた。
「ギュッと抱きしめて」
言われるままに渉は美菜を抱きしめた。
誰もが役に入っていると思った。
2ベルが鳴った。
手をつないで緞帳が上がるのを待つ。
今にも幕が開くと思ったとき、渉にだけ聴こえるように美菜が言った。
「あなたが好き」
-----------つづく---------- 5話へ 1話から読みたい方はこちら

知ってても笑った。
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相葉くんらしい失敗?
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沢渡は気分が良かった。
渉と美菜に話をした翌日から二人の空気が変わったからだ。
少なくとも沢渡にはそう見えた。
二人のわずかな変化はほかのキャストにも好影響を与え、舞台全体のグレードが上がった手ごたえがある。
幕を開けるのに不安な材料は今のところ見当たらない。
チケットは発売当日に数時間で完売していた。
主演の美菜と渉の人気だけでなく、小田中プロがマスメディアをうまく使った宣伝の効果も大きい。
ワイドショーの興味は今や二人のキスシーンに集中している。
こうなることも小田中プロの予想どおりだった。
そしてワイドショーは渉への興味も煽った。
その時すでに、水面下では映画化に向けての準備が進められていることを、
渉はまだ知らされていなかった。
渉は舞台への情熱とは別の、もう一つの自分の気持ちを持て余していた。
舞台の上では渉と美菜は深い愛情で結ばれた恋人役なのだから、
当然そういう気持ちを入れて演じる。
二人だけの秘密を作った日から、美菜の演技は変わった。
たぶん変わったのは美菜一人ではなく、ふたりで変わったのだろう。
舞台の上では本気で愛されていると渉は感じるようになった。
美菜の自分を見つめる瞳も、声も、体もすべてがそれを物語っていた。
ただ、それはあくまでも演じているヒロインの気持ちだ。
そんなことは頭では分かっている。
でも稽古を終えて姿が見えなくなると、途端に美菜が恋しくなった。
渉は美菜を恋しく思うのも、気持ちの切り替えがうまくできずに、
役の気持ちを引きずっているのだと思う。
きっとそうだと自分に言い聞かせてみる。
けれど他の仕事をしている時は忘れていられるのに、家に帰ると何をしていても美菜のことが頭から離れない。
その腕に美菜を抱きしめる日を待ちわびる自分に戸惑うばかりだ。
美菜は相変わらず多忙で、稽古が終わるとすぐに帰ってしまい、
二人きりで話をするチャンスもない。
休憩の時はマネージャーがぴったりそばにいる。
渉は自分の気持ちを確かめることさえできなかった。
「舞台になにか不安でもある?」
ゲネプロの前日、マネージャーの西村が渉に聞いた。
「いや、特にないよ」
「ならいいんだけど。沢渡さんも珍しく褒めてるくらいだから自信を持って」
「俺、自信なさそうに見える?」
「なんだか時々考え込んでるみたいだから」
「大丈夫。みんなの期待には応える」
「そう来なくちゃ。美菜ちゃんのマネージャーの川崎さんも喜んでたよ。美菜ちゃんって
根は人見知りなんだけど渉には心を許してるって」
「そうなのかな」
「今頃何言ってんだよ。そうなんだって」
いよいよゲネプロの当日を迎えた。
11月の東京にしては冷え込みの厳しい日だったが、
多くのマスコミ関係者で早くから会場は賑わっていて、熱気さえ感じられた。
入念に最終チェックをするスタッフたちが行きかう舞台のそでに美菜が現れた。
メイクをし、衣装に着替えた美菜は落ち着いているように見える。
渉がそばへ行くと途端に助けを求めるような切ない目になった。
「どうした?」
「もう緊張して頭が真っ白になりそう」
「大丈夫。いつもどおりにやればいい」
「手が震えているの。どうしよう」
差し出した美菜の手をそっと握ると冷たかった。
「大丈夫だよ、一人じゃないんだから」
「そうね、ひとりじゃない」
開演5分前を知らせる1ベルが鳴った。
美菜は渉の腰に両腕をまわして囁いた。
「ギュッと抱きしめて」
言われるままに渉は美菜を抱きしめた。
誰もが役に入っていると思った。
2ベルが鳴った。
手をつないで緞帳が上がるのを待つ。
今にも幕が開くと思ったとき、渉にだけ聴こえるように美菜が言った。
「あなたが好き」
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