嵐ファン・大人のひとりごと

嵐大好き人間の独りごと&嵐の楽曲から妄想したショートストーリー

妄想ドラマ 『トビラ』 (最終回)

2009年04月18日 | 妄想ドラマ『トビラ』
無事ラストにこぎつけましたふぅ~

今回はラストシーンで『トビラ』をかけてね

ではスタート!



~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~



    妄想ドラマ 『 トビラ 』 (最終回)




一週間経っても10日経っても智の声は、ほとんど聴き取れないほどかすれたままだった。

それでも点滴の管が外され、少しずつ食事が取れるようになると

回復のスピードは速まった。

智は俺たちが行くとにこにこしながら話しを聞いている。

もともと口数が少なく聞き手にまわることが多かったのに、

声がかすれたままなので余計にしゃべらない。

それでも智の笑顔に俺たちはすぐに良くなるだろうと楽観的に考えていた。



やがてベッドから起きて自分で歩けるようになっても

声は元には戻らず、智から笑顔が少しずつ消えていく。




手術から3週間が経った。

退院の前日、病室の前にさしかかると中から大きな音がした。

驚いて中に入ると床に食事用のトレーや食器が散乱している。

今まで見たことのない険しい表情の智がそこに居た。

「どうしたんだ?何があったんだよ」

「なんで俺だけこうなんだ・・・」

かすれた声でつぶやいた。

「いつも・・・いつもそうだ。俺は大切なものを取り上げられる。なんでこうなるんだ」

「焦るな。声は時間が経てば治るって言われてるだろ」

「俺をジェイストのメンバーから外してくれ。退院したら田舎に帰る」

「帰っても誰もいないだろう?」

「同情なんかいらない。一人は慣れている」

俺は握りこぶしに力を入れて殴りたいのをぐっと我慢した。

「お前はまだ病人だ。そうじゃなかったらぶん殴ってる」

俺がそう言うと智は黙って病室を出て行ってしまった。




その日俺たちがスタジオと呼んでいるカズの家の倉庫に行くと、俺の作った曲に詞が出来ていた。

「能天気なお前らしい明るい曲だな」

「なんだよ能天気って」

「ウソだよ。いい曲だと思う。なんか元気出たからそういう歌詞になったよ」

潤に渡された歌詞を見ると、あきらめずに信じた道を進めというような内容だった。

「なんかさ、今の俺たちにピッタリじゃん」

とカズが言った。

「背中を押される気がするよ」

「いいね。もうそこらじゅうの人たちの背中も押したいよ」

俺はそう言いながら一番聴かせたい奴の顔を思い浮かべていた。




退院の日、俺は夏美と一緒に病院へ智を迎えに行った。

これからは自宅療養になる。

自宅といっても俺のアパートだ。

智のお姉さんはまだ手のかかる子供たちを置いて看病する余裕はない。

智の表情は相変わらず暗かったが、夏美がいたせいか黙って俺たちと一緒にタクシーに乗りこんだ。

俺はアパートに戻る前に俺たちのスタジオへ智を連れて行った。

どうしても昨日出来たばかりの曲、トビラを聴かせたかったからだ。

みんなも揃っていた。

智は破れたソファーに座ってもたれかかり、目を閉じて聴いていた。




「俺、この曲歌いたい。歌えるようになるかな」

「医者が治るって言ってるんだから大丈夫さ」

いつも前向きな潤が言った。

「もし、声が元通りにならなくてもジェイストにいたかったらギターをやればいい。

 死に物狂いで練習しろ。道はいくらでもある」

下手な慰めを言わないところが潤らしい。彼なりの優しさだ。

「退院したばかりだから体調を整えることが先だろう。そうすれば声だって戻ると思うよ。

 焦って自棄にはなるなよ。」

「そうそう、相葉じゃ頼りにならないだろうけど、俺たち3人がいる」

翔とカズの言葉に俺も続く。

「なんだよヒドイなぁ。俺だって智のパンツを洗ったり、食事の世話したり
 
 頼りになるって!」

「馬鹿、そういうことじゃないの!」

みんなの明るさに智もやっと笑顔を見せた。




やがて智の声は少しずつ出るようになり、季節が秋に変わる頃には

すっかり回復していた。

その後の検査でも問題はなく、智は冗談も言うような明るい奴になった。




そしてジェイストの新たな出発の日を迎えた。

そう今夜が記念すべき一発目のライブ。

いよいよお客が入って会場のざわつきが聞こえてくる。

朝からテンション上がって落ち着かない俺と違って智は落ち着いている。

「なんでそんなに落ち着いてるの?智はライブ初めてなのに緊張しない?」

「緊張はしてない。いよいよ歌えることが嬉しいよ」

「ひょっとして超大物なんじゃないの?」

カズがおどけてみせる。

潤も翔も嬉しくてテンションが上がっているのがわかる。





開演のベルが鳴る。

暗闇の中足元のランプを頼りに定位置に着く。

観客の期待が熱気となって流れてくる。

潤のカウントで照明が俺たちを照らすと共にライブがスタートした。

記念すべき一曲目は全員一致で決まったトビラ

観客が総立ちとなり、俺たちとひとつになる。

熱い夜の始まりだ。

ここに来るまでに回り道もしたけど、それも必要なことだったと思える。

この5人が出会えて本当によかった。

誰一人欠けてもいけないし、他の誰とも替われない。

もう今は微塵の迷いもない。

どこまでも走っていける気がする。こいつらとなら。



-----------END---------




長々とオタクの妄想にお付き合いいただきましてありがとうございました。

嵐のトビラには本当に元気をもらっています

嵐5人のドラマが見たい!というミントの言葉に

「もう、待ちきれないから自分で作ってやる!」

てなわけで始めましたが、楽しんでもらえたでしょうか

さて次回作は・・・できれば明るいのがいいかな?なんてね。

では
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妄想ドラマ 『トビラ』 (10)

2009年04月14日 | 妄想ドラマ『トビラ』
気軽に始めちゃって苦労してます

あらすじのような大雑把な文章ですが、間は皆さんの妄想で埋めてください

スタンバイはいいですか?

主題歌は『トビラ』をかけてね

ではどうぞ!



~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

    


       妄想ドラマ 『 トビラ 』 (10)

 


手術の当日はもちろん、その後もしばらくは来ないでくれと言う智の言葉に

俺たちは従うことにした。

理由はスキンヘッドになった自分を見られたくないから。

きっと不細工だから、この先ずっとお前たちのネタにされると言って笑った。

検査では腫瘍が悪性の可能性は低いと言われたが、

場所が場所だけに癒着の程度によっては視力に影響が出るかもしれないらしい。

最悪、失明もあるということだ。




手術には10時間ほどかかるだろうということだった。

その日、俺は午前中いっぱいコンビニのバイトを入れ、午後は練習、

夕方からはライブハウスの仕事とスケジュールを詰めた。

それでも手術のことが頭から離れなかった。

他のメンバーも同じらしく、集まっても智のことには誰もふれなかった。

口にすれば不安が広がり悪いことばかりを考えてしまいそうだった。

今の俺たちはただ待つことしか出来ない。





手術が無事終わったとお姉さんから連絡が来たのは、

予定をはるかに過ぎた翌日の昼近くだった。

俺は約束をやぶってすぐに病院へ行った。

早く智の顔を見て安心したかった。

病院へ着くとお姉さんが俺の顔を見て泣き出した。

緊張の糸が切れてやっとホッとしたのだろう。

心労と寝ていないせいで急に老け込んだように見える。



智はまだ麻酔から覚めていなかった。

ベッドの智の体からは点滴やなんだかわからない管が何本も出ていた。

人口呼吸器のマスクをつけられた智は二日前に会った時とは別人に見え、

思わず息を呑んだ。

恐る恐る近づいて暖かい手を握ったら泣けてきた。

「もう大丈夫だよ。良く頑張った。早くお前の歌が聴きたいよ」




午後になると次々に潤、カズ、翔が現れた。

一人残らず智との約束を破った。

智とベッドの周りの機器を見て、改めて大変な手術だったことを知り、

そして成功したことに安堵した。

ところが智はなかな目を覚まさない。

目を開いても、どこを見ているのか視線が定まらない。

声をかけても目を合わせないでまた眠ってしまう。

麻酔はどんなに細心の注意を払っても、体質などで個人差が大きいので、しばらく様子をみましょうと言われた。

目が覚めたときに誰かそばに居れば安心するだろうと

俺たちはお姉さんと交代で泊り込み、智を一人にしないようにした。




それからの数日は戦いだった。

意識が混濁しているのか、自分が病院に居ることがわかっていないらしく

目を覚ますとベッドから起き上がろうとする。

点滴や術後の検査のための管が抜けてしまわないように、

起き上がろうとする智を必死で押さえつけた。




さすがにみんなに疲れが見え始めた3日後の夕方、潤から智の意識が戻ったと電話があった。

俺はすぐに病院へ駆けつけた。

病院の入り口で潤が待っていた。




「早かったな」

「意識が戻ったっていうから嬉しくて飛んできた」

「お前に電話するちょっと前に、今度はちゃんと目を覚ましたよ」

「今も起きてる?」

「起きてる。目も見えてるし、俺のこともわかってる」

「よかった」

「ただ・・・」

潤の視線が床に落ちた。

「何?」

「麻酔の後遺症で声が出ない」

俺は自分の耳を疑った。

「珍しいことじゃないらしいよ。時間が経てばよくなるって」

「脅かすなよ。時間ってどれくらい?」

「個人差があってわからないけど、早い人だと数日、遅いと半年とか」

「必ずよくなるんだよね?」

「たぶん。だから智の前で落ち込んだ顔するなよ」

「わかった。大丈夫」

手術は成功したんだから大丈夫と自分に言い聞かせながら病室に向かった。



「なんだよ、心配させやがって」

声をかけると智はいつもの笑顔でVサインをしてみせた。

何本もの管はついたままだったけれど、酸素マスクは取れている。

「焦らなくていいから、早く元気になれ!」

「馬鹿、なに矛盾したこと言ってるんだよ」

潤が笑うと智も弱々しく笑った。

でもそれは声のない笑いだった。



    -------------つづく----------




いよいよ次回は最終回です。

ではまた
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妄想ドラマ 『トビラ』 (9)

2009年04月11日 | 妄想ドラマ『トビラ』
早いもので・・・いえやっと?9回目にこぎつけました。

妄想するのは簡単で楽しいのですが文章にするのに悪戦苦闘。

前にTVで相葉くんの舞台の一場面が紹介されてましたが

いつもの相葉くんとは違う雰囲気でかっこよかった

自分で書いといてなんですが、8話の終わりにはその雰囲気そのって、そんなんでわかるか!?



では主題歌は『トビラ』でスタート


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~




         妄想ドラマ 『 トビラ 』 (9)




「座れ」

翔が俺の腕を掴んだ。

手のひらで涙をぬぐって促されるまま腰を下ろした。



「俺たちには智が必要なんだよ。これからもずっと。そしてお前にも俺たちが必要だろ?」

翔の言葉は静かだけれど熱い思いが伝わってくる。

「ジェイストの為だけじゃない。音楽で巡り会った仲間だけど、

 今はもう音楽抜きでも俺たち5人の絆が切れることはない。そう俺は思っている」



「一人で結論出さないで全部話せよ」

潤の言葉に智はゆっくりと話し始めた。



高校生のときに両親を交通事故で亡くし、唯一の身寄りのお姉さんはその時

すでに結婚していて今も遠方で暮らしているそうだ。

俺と出会うちょっと前に視野が狭く感じられて病院へ行ったけど

眼科では原因がわからず紹介状を書いてもらった。

症状は、はっきりと自覚できるほど悪くなり、失明の可能性も考えて身辺を整理し大学も辞めた。

心配をかけたくないのでお姉さんには言ってない。

そして俺と出合った。




「ジェイストで思い切り歌える時が一番幸せで・・・みんなで一つのことに向かう時間を失うのが怖かった。

 俺には最後の時間かもしれないと思って」

「手術をすればよくなるんだろう?」

俺が聞けなかったことを潤が聞いた。

「目には問題がないみたいだけど・・・」

また黙り込む。



みんなは静かに次の言葉を待った。

「脳に腫瘍ができていて視神経を圧迫しているらしい。それ以上は入院して検査しないとわからない」

智の淡々とした話し方が余計に辛い。

腫瘍が悪性だったら命さえ危ないかもしれない。

悪い方へばかり考えが陥っていく。



「結論はひとつだな」

それまで黙っていたカズが言った。

潤も翔も頷いた。

「相葉の言うとおり今すぐ入院だ」

「でもライブは?これにかけてきたんじゃ・・・」

「智にはジェイストで爺さんになるまで歌ってもらわなきゃいけないんだ。

 一回のライブが少し遅れたからってどうってことはないよ」

「だいたいライブを延期したからって駄目になるようなやわな気持ちでやってねぇよ」

「だな」

3人の言葉に智の目からポロポロと涙がこぼれた。

悲しくて辛くて、でも暖かい涙。

俺はかける言葉が見つからず、黙って智の肩を抱くしかなかった。




翌日、夏美に手伝ってもらって準備をし、智は入院した。

ライブは期日未定の延期になり、チケットの払い戻しが始まった。

でも俺たちはへこんだりはしていない。

智が復帰するまでにそれぞれオリジナル曲を作るという課題をもち

取り組んでいる。




手術の日が決まった。

前日に俺たちが病院へ行くとお姉さんが来ていた。

お互いの前では明るく振舞う二人が痛々しい。

俺たちはいつもどおり、馬鹿話をして笑い、じゃまたと言って病室を後にした。

ただ最後に智が俺を呼びとめ手を差し出した。

頑張れという思いを込めて力強く握ると、微笑んで言った。

「ありがとう」

その一言に込められた思いが胸に沁みる。

絶対死ぬな!元気になって帰って来い。

俺たちは5人でジェイストだ!



      -----------つづく-------------



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妄想ドラマ 『トビラ』 (8)

2009年04月09日 | 妄想ドラマ『トビラ』
時々やらかす失敗がありまして、

さぁ出来た!と<投稿>ボタンをクリックした途端

パスワードを入力するログイン画面に

もちろん記事は消えてしまってます。

パソコンの横の本棚に嵐コーナーがありましてついつい切り抜きや

映画のパンフなんかを見だして時間がかかりすぎたせいでしょうか?

なぜ?

なので他へ気が行ったときは下書きで投稿しておくのですが忘れることも

はぁ~~~

では気を取り直していきましょう

もちろん主題歌は『トビラ』



~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~



     妄想ドラマ 『 トビラ 』 (8)




夏美の言葉に驚いて、俺は絶句した。

輝かしい未来へのトビラを開けたばかりだというのに

いきなりすべてを取り上げられるかもしれない不安。

視力を失えばもう絵を描けなくなる。




沈黙の時が流れ、やがて夏美が立ち上がった。

「私、もう行かなくちゃ」

「ああ、俺もこれから家に帰ってみるよ」

「智くんのことお願いね。彼、両親は事故で亡くなっているの」

「そうか・・・」

俺は改めて智のことを何も知らないことに気がついた。

目の前のあいつはいつも俺たちの話を楽しそうに聞くばかりで、

自分のことは話したがらなかった。

人には話せないほどの苦悩を抱えこんでいたのか。




顔を見てもなんと声をかけていいのかわからない。

重い足取りでアパートに帰ると智はいなかった。

部屋の隅に置いてあるスケッチブックが目に入った。

そういえば一度も見せてもらったことがない。



草花をスケッチしてみただけと言っていたのに、

描かれていたのは、夏美と俺ばかり。

別の一冊を手に取るとカズ、潤、翔も出てくる。

笑顔や真剣な横顔、楽器を演奏している姿もあった。

花の絵なんて一枚も有りはしない。

数冊のスケッチブックは全部俺たちで埋め尽くされていた。

不意に目の奥が熱くなった。




雑誌で見た智の絵は俺にはよくわからない抽象画だったのに

これはいったい何なんだよ。

あいつが不安に怯えながらも自分を支えていたのは俺たちの存在なのか・・・

歌っているときだけは不安と絶望から開放されたと言うのか。

一人で抱え込んで馬鹿な奴。



午後に、いつもの場所に行った。

カズの家の倉庫。

俺たちの古巣。

昔はレストランで使ってないテーブルや椅子、厨房の道具なんかが

無造作に積まれていたが今はない。

カズが自分のスタジオにするために稼いだ金をつぎ込んで改装していた。

改装といっても防音のためのボードが貼られてエアコンとトイレがついたくらいだ。

それでも昔に比べれば格段に快適になっている。



すでにみんな来ていた。

ただ何かいつもとは違う空気が流れているように感じる。

智は俺を見ていつものように微笑んだ。

そして座ったまま低い声で言った。

「今日はみんなに話があるんだ」

「何だよあらたまって。気持ち悪いな」

カズの無理して明るく言った声が虚しく響く。




「みんな座って」

翔も何か感じとったのか隅に置かれた椅子に俺たちを呼んだ。

小さなテーブルの周りに並べられた色もデザインもバラバラな椅子。

俺はのろのろと歩いて空いている椅子に座った。

話があると言いながら考え込んでいる智に潤が言った。

「何?ちゃんと聴いてやるから話せよ」



「俺、入院して手術しなくちゃいけない。今日病院に行ってきた。

前から設備の整った病院で検査してもらえって、紹介状渡されてた」

「どこが悪いの?」

「検査入院してみないと詳しいことはまだわからないけど、俺そのこと隠してジェイストの仲間になった・・・すまない・・・」

智の言葉に3人は厳しい表情になった。

流れを止めた空気が濁っていくようで息苦しい。



沈黙を破って翔が聞いた。

「長くかかるってこと?」

「たぶん。今度のライブはみんなが許してくれるならやりたい」

「それは俺たちだってこれにかけてる。そのために頑張ってるんだし。でも大丈夫なのか?」

「大丈夫」



「何で大丈夫だって言えるんだ?」

俺は苛立つ心を抑えて聞いた。

「今は体の具合は悪くないからすぐにどうこうというわけじゃ」

「そうか、チケットも売れてるし智が大丈夫なら・・・」



「だめだ!俺がついて行ってやるから今すぐ入院しろ!」

思わず大きな声が出た。

「どうしたんだ相葉?」

みんなが驚いて俺を見た。

「智、もし手遅れになったらどうするんだ!何で本当のことを言わない?

 俺たちはお前が好きだよ。大切な仲間だよ。それなのに・・・」

悔しくて情けなくていつのまにか涙が頬を伝っていた。



        -----------つづく----------





なーんか暗くなってすみません

10回くらいで完結の予定です。もうしばらくお付き合いを。



バジルとミント(10歳)の会話

バ 「なんかさぁ、相葉くんのナレーションで嵐5人のドラマだったはずなのに
 
  いつの間にか相葉くん主演のドラマになってる」
  
ミ 「相葉くんの目線で書くってことは相葉くんが主人公ってことでしょ」

バ 「そっか」

ミ 「えー!今頃気がついた?」

バ 「はい」

ミ 「信じられん」


私も信じられん。アホ過ぎて  

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妄想ドラマ 『トビラ』 (7)

2009年04月06日 | 妄想ドラマ『トビラ』
テンポ良くなんて言っておいて遅くなりました。すみません

私の妄想だけはテンポ良く突っ走りまして

すでにラストシーンを迎えてしまいました

それでは主題歌は『トビラ』で!



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       妄想ドラマ 『 トビラ 』 (7)




夜の公園のベンチに座ってぼんやりとしていた。

時折、駅からはきだされてくる人が公園の中を横切っていく。

家路を急ぐサラリーマン、楽しそうなカップル・・・

みんな俺に気がつくと避けて通る。

そろそろ終電だ。

こんな時間じゃ不審者に見えるのだろうか。

ひどい顔をしているのかもしれない。

いつもは気にも留めない街灯が今夜は寂しげに見えた。



何も考えたくない。

だけどそうもいかないのは分かっている。

ライブまであと10日。

俺と智がこんな状態のままではいられない。

事実を確かめて、すべてはそれからだ。

でも夏美と智が本当に惹かれあっているとしたら俺はどうする?



時の流れはいつも未来に向かう。

どんなに辛くても後戻りは許してくれない。

星も月も見えない漆黒の夜でさえ、必ず朝を迎えることに気がついた時、

堂々巡りの思いがひとつの決心に変わった。

携帯を見ると着信履歴に夏美の名前が並んでいる。

夏美は、もし智のことを好きになったとしたも、

それを隠して平気で俺と付き合っていられるような女性ではない。

智だってジェイストのメンバーとして夢を追いかけている仲間だ。

事実を確かめよう。



夏美の携帯にかけると早朝なのにすぐに出た。

「ごめんね。あんなところを見たら誤解されて当然だよね。でもそんなんじゃないの」

「そっか。それを聞いて安心した」

「それでね、大事な話があるから仕事に行く前に会いたいの。今どこ?」

「T駅前のファミレス」

「そう、45分・・・40分で行くから待ってて。お願い」

「大丈夫、待ってるから」

俺からの連絡を待っていたのか夏美は本当に40分でファミレスに来た。




「今日も練習あるんでしょ?智くんみんなには自分から話すって言ってたけど、

 もともと口数少ない人だし、雅紀には事情を知っておいて欲しくて」

そう言って夏美は一冊の美術雑誌を開いて見せた。




そこには美術史に残る逸材という見出しで、どこかの有名な画廊のオーナーが育てたという、

将来を嘱望される若き画家の記事が載っていた。

その画家の写真は紛れもなく智だった。

ちょっとはにかんだような笑顔。

個展には多くの人が訪れ、彼の絵は高額で取引されたらしい。

雑誌が販売されたのは半年前。



「どうしてこれを?」

「絵が好きで個展に行った友達が智くんじゃないかって」

「なんで隠してたんだろう?しかも将来有望な奴が俺のところで・・・」

「自分が悪い病気なんじゃないかという不安で絵が描けなくなっていたんだって」

「智がそう言ったのか?」

「うん、夕べ」

いつも一緒にいたけれど具合が悪そうには見えなかった。

「だけど歌うときはパワフルだし、酒だって飲んでる。どこか悪いなんて信じられない」




夏美は視線を外すと、うつむいたまま小さな声でいった。

「目が見えなくなるかもって・・・」



          ------------つづく----------
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妄想ドラマ 『トビラ』 (6)

2009年04月03日 | 妄想ドラマ『トビラ』
妄想ドラマもいよいよ後半戦突入


<キャスト> 俺・・・・・相葉雅紀(会社員)

       カズ・・・・二宮和也(ミュージシャン)

       潤・・・・・松本潤(モデル)

       翔・・・・・櫻井翔(大学院生)

       智・・・・・大野智(大学生)

       夏美・・・・井上夏美(OL・雅紀の恋人)


登場人物のキャラクターは実際の嵐くんたちとは一切関係ございません。


<今までのあらすじ>

  俺(相葉雅紀)は会社の先輩に押し付けられて智を家に泊めた。

  美大を辞めた智はそのまま俺の居候状態になる。

  学生時代のバンド仲間たちからバンド再結成をもちかけられた俺は会社を辞め、

  もう一度夢を追いかける決心をする。

  ボーカルの抜けた俺たちのバンド、ジェイストのボーカル候補に智を試してみることに・・・



ではいつものように主題歌は『トビラ』でスタート!



~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~



妄想ドラマ 『 トビラ 』 (6)



「へぇ、かっこいいなぁ。ここでいつも練習しているの。一度生で聴いてみたいと思ってたよ」

何も知らない智は楽器を触らせてもらって喜んでいた。

俺がどう話を切り出したものか迷っていると

翔が智に聞いた。

「俺たちの曲どう?いつも聴いてくれてるんだろう?本音で言ってよ」

「好きだよ。かなりね」

「ちょっと歌ってみない?」

「えーっ、生演奏で歌わせてくれるの?」

「そうだよ」

みんなが頷く。

「だってカズくんがボーカルなんでしょ?本人が居る前でなんて無理」

「それがさ全体のバランスとかいろいろチェックしたいことがあるんだけど

歌に集中してしまうと判らないんだよね」

カズに言われて智は俺の顔を見た。

「頼むよ。実はそのために呼んだんだ」

カズにマイクと歌詞カードを渡されると智は仕方なく引き受けた。




俺たちは驚いた。

予想以上だった。

いつも聴いているからというだけでこんなに歌えるものなのか。

声もいいし高音も伸びる。

そして人を惹きつける何かを持っている。

俺は高揚する気持ちを抑えられなかった。

カズも潤も翔も同じ気持ちでいるのが演奏から伝わってきた。

「もう一度!」

俺たちは熱い一体感に包まれていった。





その夜、すでにライブの予定が入っていて、それに俺たちが賭けていることや

ボーカルを探していたことを智に打ち明けた。

そして4人とも智に仲間になってもらいたいことも。

俺たちの熱いラブコールを受け、智はジェイストのボーカルになった。




夢の第一歩であるライブに向けて準備は急ピッチで進みだした。

学生時代のジェイストのファンがいてくれたことや、潤のモデルとしての人気も手伝って

ライブのチケットの売れ行きはよかった。




会場となるライブハウスはジェイストのライブ活動をスタートさせた馴染みの場所だ。

オーナーは再開の話を聞いて喜んでくれた。

俺は会社を辞めてから食べていくためにここでバイトしていた。

生活費は智と折半していたが、あいつは親のすねをかじっているのか働いていない。

そうそう、てっきり年下だと思っていた智は俺より2歳年上だった。

浪人したのか留年したのか知らないが、

どっちにしろ大学を卒業する気はとっくになくなっていたらしい。

ジェイストのボーカルになってから急に、時間を惜しむように絵を描き始めた。

夏美が体を壊さないかと心配するほどだ。

音楽が何かあいつの絵の創作意欲を掻き立てるのだろうか。




その日はライブハウスで貸切のパーティが開かれ、いつもより早くバイトが終わった。

雨が降る前兆なのか、湿度の高い空気が体にまとわりつくような夜だった。

バイト代をもらってビールを買うとアパートへ戻った。

ドアを開けるとキッチンに立つ夏美と智が目に飛び込んできた。



ふたりは抱き合っていた。

俺がドアを開けたのにも気づかずに。

ビールが床に落ちて転がった。

物音に気がついて顔を上げた智の目は潤んでいた。



「そういうことか。いつからだよ!」

ドアを力任せに閉めた。

「待って!」

後ろで夏美の声が聞こえた。




ただ闇雲に走った。

なんでだよ。どうしてこんな事になるんだ。

怒りと悲しみとが交互に押し寄せてきて俺の心は押しつぶされそうだった。



    --------つづく--------





う~んどうなっちゃうんでしょうね?

もっと周りの人とか、あとの3人のこととか妄想の中ではいろいろあるんですが

文章にすると、とてつもなく長~くなりそうなのであきらめました

3人以上が同じ場所に集まると誰がしゃべっているのか

明確にするのが難しいです。

いっそシナリオみたいに書く?

な~んて私には無理でした

ではまた
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妄想ドラマ『トビラ』(5)

2009年03月31日 | 妄想ドラマ『トビラ』
ただいま~

実家ではお墓参りに行ったり友達のお見舞いに行ったりと

スケジュールが詰まっていて、『トビラ』は更新できませんでした

DOOR TO DOORを始めいろいろと録画した番組もみなくちゃ

アラシゴトが多くて嬉しいけど忙しいですねもちろん幸せ。



それではトビラを聴いてテンションしてからどうぞ


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~



     妄想ドラマ 『 トビラ 』 (5)




「何をそんなにムキになってんの」

「うるさい。もうバンドをやってたことなんて俺には過去の思い出なんだよ!」

「思い出に出来ないから怒ってるんだろ。人に当たるなよ」

いつも穏やかな智がきつい口調で言い返してきたので余計に頭にきた。

「お前に何がわかる?大学だって中途半端にやめて呑気にブラブラしてるやつに言れたくねぇよ」

智がいきなり殴りかかってきて、取っ組み合いになった。

殴りあいながら俺の本音が顔を出す。

智を殴っても痛いのは自分の胸だ。




「やめて!」

いつの間にか夏美がドアを開けて立っていた。

「バンドのことカズくんに聞いた。私のこと思ってくれるんだったら、夢を諦める言い訳にしないで」

それだけ言うと悲しそうな目で俺を見て走り去った。



「お前は馬鹿だよ。逃げないで自分と向き合え」

呆然と佇む俺に、そういい残して智も部屋を出て行った。




どれだけの時間が流れたのだろうか。

引き出しの奥から、カズに渡されたCDを出してみる。

コンポにセットしてプレイボタンを押した。

洪水のように流れ出たメロディが俺を包み、

乾いていた全身が一つ一つの音を吸収していく。

徐々に心が満たされていき高揚する。

全身の血液がリズムを刻む。

押入れからベースを取り出すと、涙が頬を流れた。

すべてのしがらみから解き放たれていく。

何を迷っていたのか不思議だ。

俺の進む道はひとつしかない。




それからは早かった。

驚いたことに翔はカズたちと話をした翌日には決断し、身辺整理を進めていた。

親には勘当されたらしい。

出来のいい息子だっただけに両親は許せないのだろう。

俺も会社に辞表を出し、形だけの仕事の引継ぎも終わった。

もっとも、一年ちょっとの経験しかない俺がいなくなったところで

会社としては困らないらしい。

藤岡さんには引き止められたが、最後は応援すると言ってもらえた。

しばらくは貯金で食いつなぎ、いよいよの時は潤のところへ転がり込むことにした。




智はあの翌日、何事もなかったように帰ってきた。

昼間は絵を描いているらしいが見たことはない。

俺が早く帰れる日は夏美と3人で夕飯を食べる。

夏美はジェイストのファンクラブ会長は私だと言って笑った。




カズと潤の熱い思いが込められた曲のアレンジも進み、

ジェイストは前よりもパワーアップして蘇った。

ただひとつの問題を残して。




潤が声をかけていたボーカル候補とはうまくいかなかった。

ボーカルはカズでいこうと言う俺たちに、当のカズは首を縦に降らない。

「俺じゃだめなんだよ。俺が歌うことが枷になって自由に曲が書けなくなる」

「しかし、ジェイストと音楽性が同じでカズより実力があって、そのうえ俺たちと一緒にやりたいやつをすぐに見つけられるか?」

「確かに翔の言うとおりだよ。でも妥協すれば前と同じになると思う」

この一年、カズが音楽漬けの日々で作ってきた曲は自分で歌うことは想定外だ。

もっと音域が広くて上手いやつに歌わせたいのは当然だ。





「一人、歌わせてみたいやつに心当たりがある。ただしバンドをやるかどうかもわからない」

迷った末、俺は口を開いた。

「俺んとこに居る智なんだけど・・・お前らも知っているあいつ」

「どういうことか説明してくれ」

3人に言われて俺は前から気になっていたことを話した。




前に夏美の友達も一緒に7,8人でカラオケに行ったとき、

全然歌おうとしない智に夏美が無理やりマイクを持たせた。

洋楽しか聴かないからみんなが知ってる曲は知らないと言う。

誰かが絶対知ってるでしょと言ってふざけて選んだのが蛍の光だった。

いいを声しているのにも驚いたし、なぜかその歌に引き込まれてしまった。

気がつくと女の子たちはみんな泣いていた。

何だか感動してしまってその後は誰も歌う気がしなくて帰った。




「だけど蛍の光がどんなに上手くてもジェイストの曲とは違いすぎる。歌えると思うのか?」

「たぶん。どんな洋楽を聴いているのかは知らないけど、

ジェイストの曲はすごく好きでいつも聴いてると言ってた。お世辞が言えるやつじゃない」

「本人抜きでいくら話しても埒が明かないだろう」

潤の言うとおりだ。

俺は智に何の説明もしないで

カズたちが会いたがっているからと言って智を呼び出した。


        ------------つづく--------------



長らくお待たせ?してしまったので、この先はなるべくテンポ良く行きたいと思ってます

先が読めてきたかな?

でも妄想はすでにとんでもない方へ行っちゃってます
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妄想ドラマ 『トビラ』 (4)

2009年03月26日 | 妄想ドラマ『トビラ』
ブログを始めてまる二ヶ月が経ちました

よく続いてるといってもにのちゃんのゲームニッキに比べれば

たった2ヶ月ですね



妄想ドラマはもう4話?になるかそれともまだ4話になるんでしょうか

それではいつもどおり主題歌はトビラでスタート



~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


     妄想ドラマ 『 トビラ 』 (4)




「大丈夫って・・・」

さすがに人がいいと言われる俺でも切れそうになった時、

「お帰り。今日は豪勢にすき焼きだよ!高いお肉奮発しちゃった」

智の後ろに夏美が現れた。

彼女の笑顔を見た途端に怒りが引いていくのがわかる。

なんだやっぱり来てたんだ。



「雅紀のスウェット貸してあげたよ。智くん着替え持ってないって言うから」

「おう、いいよ。俺、何枚かあるから」

智くんって・・・もう名前で呼んでるのかよ。



テーブルの上には三人分の食器と箸がそろえてあった。

「なっちゃんは優しいね。でもさすがにパンツはねぇ」

なっちゃん?なんだか面白くない。

「今日会ったばかりだろ?なっちゃんじゃなくて井上さんとかせめて夏美さんとか呼べよ」

「私はいいよ、なっちゃんで。それとも妬いてるのかなぁ?」

夏美が嬉しそうに俺の顔を覗き込む。

智もニヤニヤ笑っている。

「そうだよ。悪いか」

何だかあほらしくなって、そのあとは3人で笑い転げた。



自分のことはあまり話したがらない智だったけど、

俺と夏美が聞いたことを繋ぎ合わせるとだいたいの事情はわかった。

大学を辞めて実家へ帰るつもりでアパートを引き払い、

お世話になった画材屋の主人に挨拶に行って、藤岡さんに捕まってしまった。

それで大荷物だったわけだ。

持ち物は少しばかりの着替えと洗面道具、

あとは美大生らしいスケッチブックや絵の道具ばかり。




俺のところが居心地いいのか3日経っても、4日経っても智は実家へ帰る気配がない。

夏美とも気が合うらしく、毎日のように一緒に夕飯を食べた。

居なくなると寂しいだろうな、なんて俺も思い始めてしまった。





また潤から電話が来た。

待ち合わせた店に行くとカズだけではなく、翔も来ていた。

やはりジェイストの活動を再開したいという話だった。



「俺たちだっていつまでも若いわけじゃないし、年取ってから後悔だけはしたくないんだ」

潤は昔からそうだった。

思ったことは迷わず行動を起こす。

そのためには努力を惜しまないし、みんなの先頭に立って波もかぶる。



「だけど、親のすねをかじっていられる昔とは違うんだから・・・相葉だって潤のようにバンド活動と両立できるような仕事じゃないだろう」

翔は冷静に現実をみている。

「それはそうだよ。お前らがもう音楽には未練はないと言うならジェイストは諦めるしかない。

でも本当にそれがお前らの望んでいる人生か?今のままで幸せか?」

俺は何も言えない。

今の生活にも幸せは見つけられるけど、それで満足して一生を過ごせるのか・・・



カズが口を開いた。

「俺には音楽しかないから、お前らが参加してくれないなら新しいバンドを潤と立ち上げる。

 だけどジェイストにとってはこれが最後のチャンスだと思うんだ。

 俺はお前らとジェイストで音楽を作りたい」

「少し時間をくれないか。今ここで即答はできないよ」

「わかった翔。相葉は?」

「俺も考える時間が欲しい。会社のこともあるし・・・おれの気持ちだけですぐには決められない」

「じゃなるべく早い返事を待ってる。俺かカズに連絡をくれ」




潤たちと別れ、独りになって沸々と湧き上がってくる想いに戸惑った。

俺は諦めきれない夢に無理やり蓋をして、

その代償を夏美との将来に求めていたのかもしれない。

渡されたCDを聴いてしまえばもう走り出してしまうだろう自分が怖い。

CDにはバンド活動を再開したときのために、

カズが書き溜めた曲が入っている。

二人はこの一年、それぞれにジェイスト再開のための布石を打っていたのだ。

そして今回のチャンスにつなげた。




潤はモデルの仕事で親しくなった雑誌の編集長を通じて

音楽プロデューサーと知り合いになり、ジェイストのライブを撮ったDVDとこのCDを渡した。

そして一度ライブを見てもらうことになったのだ。

智昭に替わるボーカルもすでに声をかけているやつがいると言っていた。

ここでの決断でおれの未来は大きく変わるだろう。

プロデューサーに見てもらってもその先どうなるかはわからない。

どこまで頑張れるだろうか。

結局また諦める結果になる可能性も高い。





アパートに帰ると夏美と智が待っていた。

「あのね、智くんに肉じゃがの作り方教えてあげたの。雅紀も今度教えてあげるね」

「俺はいいよ。興味ない」

「どうしたの?なんだか機嫌悪いね」

夏美の顔を見たら自分がどうしたいのか、何に苛立っているのかがはっきり見えてきた。

俺は潤たちともう一度夢を追いかけたい。

望んだようにはいかなくてもかまわない。俺ひとりなら。

でも夏美はどうだろう。

このまま愛を育んで二人で暖かい家庭を作ることを願っている。

俺だってそのつもりだった。

それが望んでいる未来だと信じてきた。

眠れぬ夜を過ごし、CDは机の奥にしまいこんだ。




無理にスケジュールを詰めて仕事をした。

疲れて帰るとドアを開けた途端、音のシャワーが俺を包み込んだ。

それは紛れもないジェイストのサウンド。

ライブハウス時代に自費で作ったCD。

忘れようと努力していた音。

俺はただ呆然と立ち尽くしていた。




「これ、相葉くんたちのバンドなんだって。俺好きだなぁ」

「勝手に何やってんだよ!」

俺は智の胸ぐらを掴んで突き飛ばすとCDを取り出してゴミ箱へ放り込んだ。



     ---------------つづく---------------





きのうからトビラを聴くと妄想の映像の中で

潤くんがドラムを叩いているんです。

もうめちゃめちゃかっこよくて、いつかドラマとか映画とかで

実現しないかなぁと願っています。

まぁ99%無理とは思うけど


妄想ドラマ『トビラ』(5)は4月1日の予定です。

30日まで家を空けるのですみません

可能であれば携帯から更新も考えています。
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妄想ドラマ 『トビラ』 (3)

2009年03月22日 | 妄想ドラマ『トビラ』
さてさて私の妄想はとどまることを知りませんが、

なんせ文章力が追いつかない

ただ今、妄想の中の相葉くんに置いていかれちゃってます。

待って~~~



バンドの担当楽器なんかはここへ来てくださる皆さんにアンケートを

とって決めたいところですが、やり方がわかんない&時間がないので

独断で


それでは主題歌は嵐の「トビラ」でスタート




~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~



妄想ドラマ 『 トビラ 』 (3)





もう4月の半ばだというのに今日は寒い一日だった。

潤やカズと馬鹿を言い合って楽しい酒を飲んだのに

なんだか気分が晴れない。

どんよりとした天気のせいでも睡眠不足のせいでもないのは

自分でもわかっているけど、気づかないふりをして

仕事で気を紛らわせた。







俺(相葉雅紀)と仲間たちにカズと呼ばれている二宮和也は中学の同級生で、

放課後はいつもカズの家に入り浸っていた。

カズの親父さんはイタリアンレストランを何軒も経営していて、経済的には恵まれていた。

忙しくて子供たちにかまってやれない親父さんはその代償だろうか

息子が欲しがるものをすぐに買い与えた。

カズが欲しがったのはギター、ベース、ドラムセット。




彼はその頃、ギターにはまっていて、俺たちは好きな曲をコピーしては自己満足していた。

俺の場合はギターが弾けたら女の子にもてるだろうという気持ちだけだったので

あまり上達はしなかったけど。




ふたりでは物足りなくなった俺たちは、高校生になってバンドを組んだ。

同じ高校で入学早々女子の憧れの的になった松本潤と、面倒見が良くてリーダーシップのある櫻井翔、

そして歌がうまかった羽鳥智昭がメンバーになった。

始めはそれぞれが好きなアーティストの曲を持ち寄ってコピーしていたけれど、

そのうち少しずつオリジナル曲も増えていった。

おもにカズが曲をつくり、みんなでアレンジをし、潤が詞を書いた。

カズがギター、潤はドラム、翔はキーボード、俺がベース、そして智昭がボーカル。

練習場所はカズの家の倉庫。




俺たちは三流大学になんとかすべりこむと、いよいよ学業はそっちのけで

バンドにのめりこんだ。

もちろん成績のよかった翔だけは誰もが知ってる一流大学に入り

今は大学院で情報システムに関する研究をしている。




カズの親父さんの知り合いのライブハウスで評判になった俺たちは

プロを目指した。

しかし世の中そんなに甘くはない。

どこかに学生だからという甘えがあったのか芽が出ないまま大学4年になった。

就職が決まった友人たちを横目に焦りを感じ始め、メンバーの気持ちがバラバラになっていく。




最初に抜けたのは智昭だった。

その頃付き合っていた女の子は、卒業と共に遠方の実家に帰ることになっていた。

一人っ子だった彼女の父親に、自分の経営する会社に入って後継者の道を進むか、

彼女と別れるかの選択を迫られた智昭は迷わず彼女を取ったのだ。

あの頃の俺は信じられなかったけど、今は少しわかる。

夏美と付き合いだして大切なものは夢だけじゃないことを知ったから。




バンドは解散したわけではないけれど、ボーカルを失ってライブ活動を

休止せざるをえなかった。

潤はそのルックスを世間がほっとくはずもなく、高校時代からバイトのつもりで

続けていた雑誌のモデルの仕事が忙しくなってきていた。

翔は学業に打ち込み、次第に集まる時間が減っていく。




俺は焦った。

焦りまくった。

今の会社に入社できたのは運がよかったと思っている。




カズだけはずっと音楽を続けている。

人に曲を提供したり、ギタリストとしての仕事をもらったりしているらしい。

どの程度食えているのかは知らないが、親父さんと5年やってだめなら

諦める約束をしていると言っていた。




時々、カズと会ってみんなの近況は聞いている。

潤がジェイストを再開させたがっていることも知っていた。

俺だって未練はある。

だけど夢だけじゃ食っていけない。




俺は夏美と出合い、この一年で日々の小さな出来事にも幸せを感じられるようになった。

週末の一日はうちに来て料理を作ってくれる。

俺が腕を振るうこともある。

おしゃれな店で贅沢な料理を食べなくても十分楽しい。

二人で歩けば街路樹の芽吹きや紅葉にも感動できるし、

道端の小さな花にもエールを送りたくなる。

彼女だけは失いたくない。

夢だけを追いかけていたあの頃の俺とは変わったんだ。




そんなことを考えながら歩いていたらアパートの前まで来ていた。

二階の俺の部屋に灯りがついている。

今日は金曜だ。

約束はしていなかったけど夏美が来ている。

俺はエレベーターを待ちきれず、階段を駆け上がりチャイムを鳴らした。

ドアが開いたらいきなり夏美を抱きしめてキスをしよう。

驚くかな。

「お帰り!」

ええっ~~~!    

そこに立っていたのは智だった。

しかも俺のスウェットを着ている。

開いた口が塞がらない俺を見てこう言った。


「大丈夫、パンツは借りてない」



    ----------つづく---------
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嵐の妄想ドラマ 『トビラ』 (2)

2009年03月20日 | 妄想ドラマ『トビラ』
  
妄想ドラマ 『 トビラ 』 (2)





いつもどおり6時半に起きて、隣に寝ている男を見て驚いた。

藤岡さんに押し付けられて泊める羽目になったやつだ。

まだ爆睡中だ。

夕べはこいつのせいでコンビニにも寄れなかった。

朝はいつもパンとコーヒーだけど今日はコーヒーだけ。

テーブルにスペアキーとメモを残して部屋を出た。

名前も知らないやつと顔を合わせても気まずいだけだろうし、

仕事に行ってる間に帰ってくれればちょうどいい。



会社に着いて藤岡さんを探したけれどいない。

なんと今日は有給をとっていたのだ。あきれた。

販促会議に出て、その後は取引先をまわりいつもどおり仕事をこなす。

アパートの近くのコンビニで買い物をして早めに家路に着いた。

今夜は高校の時からの友達、潤が来ると言っていたからだ。



ドアを開けたら灯りが点いている。

「お帰り。けっこう早いんだね」

えーっ!こいつまだ居たのかよ!

夕べの男がTVを見ながらくつろいでいる。

まるでいつもどおり家族を迎えるかのような雰囲気に

「あぁ・・・ただいま」

俺も普通に返事をした。

「ご飯まだでしょ?食べよう」

見るとテーブルの上に皿が二つラップがかけてある。

「チャーハン作った。俺これしかできないんだけどさ美味いんだ」

「あぁ・・そう。じゃ着替えてくる」

寝室に使っている6畳の和室に行ってスウェットに着替えた。

レンジでチンする音がしている。

どういうつもりだ?

人んちで勝手に。ここは怒るべきか?

それともお詫びのつもり?




リビング兼キッチンに戻ると、チャーハンとスープのいい匂いがしている。

「美味いから驚くなよ」

楽しそうにニコニコされてつい俺も笑顔になった。

ペースに巻き込まれるな!

「あのさ、まだ名前も聞いてないんだけど」

「そっか。俺、大野智。智でいいよ」

「ふ~ん。智は学生?藤岡さんの後輩だって聞いたけど」

「ずいぶん大学には顔出してないけどね。藤岡さんのことは先輩の先輩でよく知らないんだよね」

「俺は相葉雅紀」

「相葉くん、あったかいうちに食べようぜ」

「あぁ・・うん」

チャーハンを口に運ぶ。

「おっ!めっちゃ美味い!」

「言ったとおりだろ」

ほんとに嬉しそうに笑う。

チャーハンだけでなくスープも美味しかった。

なんだか美味しい食べ物で満たされた人間は穏やかになるものだな。

俺は智がいいやつに見えてきた。



智は美大の3年。

きのうはたまたま画材を買いにいった店がコンパ会場の近くで、

顔見知りだった藤岡さんに捕まったらしい。

ただで飲ませてもらえるというので付いて行ったんだそうだ。



食器を片付けようとしていたらチャイムが鳴った。

潤と約束していたんだった。

「よぉ、久しぶり。カズも一緒に連れてきた」

「おぉ、あがって」

皿を洗っていた智が振り返って二人に言った。

「いらっしゃい。相葉くんの友達?何か飲む?」

「あっどうも。じゃビールがあれば」

あっけに取られている俺が何も言えずにいると、

智は冷蔵庫を開けて缶ビールを3本テーブルに出すと

「つまみあったほうがいいよね。なんか買ってくるよ」

と言って飛び出していった。




「何だよ。俺が来るって言ってあったのに友達呼んでんの?」

潤は不機嫌な顔になっている。

「違うよ。第一あいつ友達じゃないし」

「ますます気に入らない。話したいことがあるって言っただろ」

「まぁまぁ、どういうことか聞いてやろうよ潤」

カズが間に入ってくれて、俺はきのうからの事情を説明した。

「じゃ早く帰ってもらえよ」



話があるから帰ってもらえと言ったのに、

二人とも智がしこたま酒とつまみを抱えて帰ってくるとすぐに打ち解けて、

結局その夜は4人で飲み明かしてしまった。

智ってなんだか不思議なやつだ。

朝、シャワーを浴びて着替えると、雑魚寝している3人を置いて部屋を出た。

話って何だったんだろう?

カズも一緒ということはまたジェイストの活動を再開する話だろうか。

俺たちは学生時代、ジェイストというバンドの仲間だった。

活動を休止してもう一年半。

俺はもうあいつらとは違ってサラリーマン生活がなじんでしまった。

いまさら夢をみることはできない。

自分に言い聞かせて駅へ走った。



--------------つづく----------- 3話へ
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