ムツ兄の、てげてげ人生日記

シマッチュ(奄美人)のムツ兄が、奄美での「テゲテゲ」(気まま)な暮しを記します。

「やっとつかみ取った」…初優勝した琴欧洲

2008年05月24日 21時00分00秒 | スポーツ
 土俵上で込み上げる喜びを抑えられなかったのだろう。懸賞の束を受け取ると、「よしっ」と拳に力を込めた。

 勝てば優勝の一番。ここ1年、安馬とは2勝3敗と分が悪い。だが、今場所の琴欧洲には、過去のデータを吹き飛ばす勢いがあり、目にも力があった。立ち合いは勝利への執念を前面に出し、北の湖理事長も「珍しいな。張り手か」とうなった張り差し。踏み込みも鋭く、正面から体をぶつけてもろ差しになると、逃れる相手構わず、上から押しつぶすように送り倒した。「すごくうれしい。自分の相撲を取りきった」。

 緊張に縛られた前日とは別人。13個目の白星は、相手に全く攻め込ませない今場所を象徴する勝ちっぷりだった。史上最速で大関に昇進しながら、新大関の場所後に右ひざじん帯に致命傷を負い、治りきらないけがとの葛藤(かっとう)で相撲のバランスも崩してしまった。2年余りを経てようやく痛みが癒えた琴欧洲は、「今まで苦労したことを思い出した」。

 師匠の佐渡ヶ嶽親方(元関脇琴ノ若)は、うれし涙を浮かべ、「今場所の相撲を続けることが大事。これで終わりじゃない」。初優勝は新たな夢への挑戦の第一歩。だからこそ、千秋楽の一番は、落としてはいけない。(下山博之)
(2008年5月24日20時53分 読売新聞)

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