懸命にピッチを駆け回った。だが孤軍奮闘する中田英寿はどこか周囲と同調できず、空回りしているように映った。29歳の中田にとっては最後になるかもしれないW杯の舞台は波乱のスタートとなった。
日本代表での出場試合数が日本協会の釜本邦茂副会長らと並ぶ75に並んだ初戦のオーストラリア戦。ボールのないところでも忠実に走り回り、手を上げて指示を与え続けた。中村の先制点が生まれ、追いつかれ、逆転を許す流れのなかでも冷静さを失わなかった。「特別な思いはない。普段通りです」といつもの姿勢はうかがえたが、実らなかった。
「W杯が、すべてではない。どんな試合でもW杯と変わらない」と言うが、誰よりも日本代表の躍進を願ってきた。この日の結果をどこかで予感していたのではないか、そう思わせるような最近のチームへの厳しい言動も情熱の証しだ。
「今の日本にW杯を勝ち抜く力はない」。昨年6月、アジア最終予選突破直後にはそう言った。今回のボンでの合宿中も「チームが仲良し過ぎる」。低調だった4日のマルタ戦後は「走らないことにはサッカーはできない。気持ちの問題」と怒気を交えた。
ジーコ監督は、選手を決して悪く言わない。だが中田は容赦なく急所を突く。痛烈な言葉で本音を吐き出し、激論を重ねた上で、やがて深く互いを理解し合う。そういう成熟が、世界で戦えるチームの精神力を磨くと信じていた。ここ数年、中田は技術より気持ちの重要性を強調してきた。
オーストラリア戦前には「相手より走ることが大事。それが日本の良さだから」と自分にも同僚にも「走るサッカー」を求めた。その言葉通り、ひた向きにピッチを駆け回って勝機を探し続けた。
苦しい滑り出しとなったいま、厳しさを求め続ける中田の存在は残り試合で一層大きさを増している。(カイザースラウテルン共同)
ついに来た!運命の一戦、日本×オーストラリア!2大会連続決勝トーナメント進出を懸け、絶対に負けられない日本は、開始早々に中田英が得たペナルティエリアすぐ外からのFK(キッカー:俊輔)や21分の高原のシュートなど、果敢に攻めを展開。対するオーストラリアも、欠場濃厚と見られていた大黒柱キューウェルが出場。再三にわたり強烈なミドルやポストプレーで日本ゴールに襲い掛かる。そして一進一退のまま迎えた26分、俊輔が右サイドから左足で放ったセンタリングがオーストラリアのゴール前中央へ!それを、オーストラリアDFと柳沢、高原、そしてGKが揉み合い、ボールはオーストラリアGKの右手をすり抜けていく形でゴールマウス内へ…!!日本代表に運も味方し、1-0とリードして後半に突入した。後半に入ると、両者とも決定機を作り出していく。その流れのなかで、終盤に豪州監督ヒディングが動く!3トップにしたうえ、DFを減らし、勝負に出る。ここで流れが変わった。オーストラリアは怒濤の攻めを開始し、84分にケーヒル、89分またもケーヒル、さらにロスタイムにもアロウィーシが決め、大逆転…!1-3で日本が破れ、勝ち点を挙げることができなかった…。
C組に次ぐ大混戦が予想されるE組の初戦。FIFAランク2位のチェコが、5位のアメリカに貫禄の試合で圧勝した!まずは5分、右SBグリゲラのピンポイントクロスを身長202cmの“帰ってきたハイタワー”コレルが頭で合わせて先制!この得点でどっしりと構えたチェコは、しっかりとした守備をベースにカウンターをねらっていく。早い時間帯で追いつきたいアメリカだったが、ボール支配率では上回るもののシュートまで至れない展開が続いた。そんな状況で迎えた36分。相手DFのクリアを拾ったロシツキーが、迷わず右足を“ドカーーーン”とミドルシュート!!無回転のボールはゴール右隅に吸い込まれ、チェコが追加点を奪った。試合はそのままチェコペースで進んだが、ここでハプニング!前半終了間際の41分に、先制点を決めたコレルが負傷退場したのだ…。痛々しい表情のままタンカで運ばれ、ピッチを去るコレル…。ケガの具合が気になるところだ。さて後半。アメリカは、レイナを起点にして得意のサイド攻撃をねらう。69分、ジョンソンのミドルシュートを機にリズムをつかみかけたが、そこで立ちはだかったのは、またもロシツキー!!ネドベドからパスを受け、一気にトップスピードに乗ってドリブルで抜け出し、そのままゴール!接戦が予想されたが、終わってみればチェコがアメリカをまったく寄せ付けず3-0で圧勝した。それにしても、この日のロシツキーはキレキレ。あわよくばハットトリックも…というシーンまで作り出し、見る者の目を独占した。日本の惨敗後だけに、 “日本にもこんな選手がいたら…”と思ったファンも多いことでしょう。MIPは来季からアーセナルでの活躍も期待されるロシツキー!
アズーリ、貫禄の2ゴールで快勝!24年ぶりの優勝をねらうイタリアが、好スタートを切った。試合は、序盤から一進一退の攻防が続いた。イタリアは、「お家芸」のすばやいカウンター攻撃を中心に、11分にペロッタのクロスにトニ、ジラルディーノが続けざまにガーナ・ゴールに襲い掛かったが、GKがブロック。 26分にはデロッシの縦パスをジラルディーノがダイレクトでトニへ。パスを受けたトニがDFをかわしてシュート!…も、ボールはバーに弾かれ、得点を挙げるには至らず…。一方のガーナも、中盤でボールをつなぐ果敢な攻めを見せるが、なかなかゴールを奪えない。スピーディな攻防が続くなか、時間だけが過ぎていく。前半はこのまま終了かと思われた40分。CKを得たイタリアは、ショートコーナーでピルロへパス!ピルロはガーナ選手の反応が遅れたことを確認すると、低い弾道の強烈なミドルシュート!ボールはゴール左隅に突き刺さり、イタリアが先制点を奪った。後半に入っても、前半同様の激しい攻防が続く。なんとかカテナチオを崩して同点に追いつきたいガーナ。果敢な攻めを何度も見せたが、そんな相手をあざ笑うかのように、83分、ついにイタリアの「お家芸」が炸裂した!中盤でピルロがボールを奪い、前線のイアキンタへ。相手DFのクフォーが追いついたかに見えたが、なんとクフォーが痛恨のパスミス…。それを見逃さずボールを奪ったイアキンタが、GKを交わして無人のゴールへ流し込んで追加点。まさに「してやったり!」のプレーで2-0としたイタリアが、そのまま勝ちを収めた。ゴールを決め、ピッチに大の字になって仲間から祝福を受けたイアキンタ。「今回のイタリアは超攻撃的」と言われていても、お馴染みの必殺カウンターが民族の血に火を付けるのか。狂喜したイアキンタとイタリアの伝統に、MIP。
壮絶な死闘を演じた両者。ガーナの奮闘も、研ぎ澄まされたイアキンタのカウンターの前に轟沈。
次の日曜日18日の夜10時からの第2戦クロアチア戦に日本の復活を期待しましょう。もう、勝利しか決勝トーナメントへの道はないのだから。
I am OK
日本代表での出場試合数が日本協会の釜本邦茂副会長らと並ぶ75に並んだ初戦のオーストラリア戦。ボールのないところでも忠実に走り回り、手を上げて指示を与え続けた。中村の先制点が生まれ、追いつかれ、逆転を許す流れのなかでも冷静さを失わなかった。「特別な思いはない。普段通りです」といつもの姿勢はうかがえたが、実らなかった。
「W杯が、すべてではない。どんな試合でもW杯と変わらない」と言うが、誰よりも日本代表の躍進を願ってきた。この日の結果をどこかで予感していたのではないか、そう思わせるような最近のチームへの厳しい言動も情熱の証しだ。
「今の日本にW杯を勝ち抜く力はない」。昨年6月、アジア最終予選突破直後にはそう言った。今回のボンでの合宿中も「チームが仲良し過ぎる」。低調だった4日のマルタ戦後は「走らないことにはサッカーはできない。気持ちの問題」と怒気を交えた。
ジーコ監督は、選手を決して悪く言わない。だが中田は容赦なく急所を突く。痛烈な言葉で本音を吐き出し、激論を重ねた上で、やがて深く互いを理解し合う。そういう成熟が、世界で戦えるチームの精神力を磨くと信じていた。ここ数年、中田は技術より気持ちの重要性を強調してきた。
オーストラリア戦前には「相手より走ることが大事。それが日本の良さだから」と自分にも同僚にも「走るサッカー」を求めた。その言葉通り、ひた向きにピッチを駆け回って勝機を探し続けた。
苦しい滑り出しとなったいま、厳しさを求め続ける中田の存在は残り試合で一層大きさを増している。(カイザースラウテルン共同)
ついに来た!運命の一戦、日本×オーストラリア!2大会連続決勝トーナメント進出を懸け、絶対に負けられない日本は、開始早々に中田英が得たペナルティエリアすぐ外からのFK(キッカー:俊輔)や21分の高原のシュートなど、果敢に攻めを展開。対するオーストラリアも、欠場濃厚と見られていた大黒柱キューウェルが出場。再三にわたり強烈なミドルやポストプレーで日本ゴールに襲い掛かる。そして一進一退のまま迎えた26分、俊輔が右サイドから左足で放ったセンタリングがオーストラリアのゴール前中央へ!それを、オーストラリアDFと柳沢、高原、そしてGKが揉み合い、ボールはオーストラリアGKの右手をすり抜けていく形でゴールマウス内へ…!!日本代表に運も味方し、1-0とリードして後半に突入した。後半に入ると、両者とも決定機を作り出していく。その流れのなかで、終盤に豪州監督ヒディングが動く!3トップにしたうえ、DFを減らし、勝負に出る。ここで流れが変わった。オーストラリアは怒濤の攻めを開始し、84分にケーヒル、89分またもケーヒル、さらにロスタイムにもアロウィーシが決め、大逆転…!1-3で日本が破れ、勝ち点を挙げることができなかった…。
C組に次ぐ大混戦が予想されるE組の初戦。FIFAランク2位のチェコが、5位のアメリカに貫禄の試合で圧勝した!まずは5分、右SBグリゲラのピンポイントクロスを身長202cmの“帰ってきたハイタワー”コレルが頭で合わせて先制!この得点でどっしりと構えたチェコは、しっかりとした守備をベースにカウンターをねらっていく。早い時間帯で追いつきたいアメリカだったが、ボール支配率では上回るもののシュートまで至れない展開が続いた。そんな状況で迎えた36分。相手DFのクリアを拾ったロシツキーが、迷わず右足を“ドカーーーン”とミドルシュート!!無回転のボールはゴール右隅に吸い込まれ、チェコが追加点を奪った。試合はそのままチェコペースで進んだが、ここでハプニング!前半終了間際の41分に、先制点を決めたコレルが負傷退場したのだ…。痛々しい表情のままタンカで運ばれ、ピッチを去るコレル…。ケガの具合が気になるところだ。さて後半。アメリカは、レイナを起点にして得意のサイド攻撃をねらう。69分、ジョンソンのミドルシュートを機にリズムをつかみかけたが、そこで立ちはだかったのは、またもロシツキー!!ネドベドからパスを受け、一気にトップスピードに乗ってドリブルで抜け出し、そのままゴール!接戦が予想されたが、終わってみればチェコがアメリカをまったく寄せ付けず3-0で圧勝した。それにしても、この日のロシツキーはキレキレ。あわよくばハットトリックも…というシーンまで作り出し、見る者の目を独占した。日本の惨敗後だけに、 “日本にもこんな選手がいたら…”と思ったファンも多いことでしょう。MIPは来季からアーセナルでの活躍も期待されるロシツキー!
アズーリ、貫禄の2ゴールで快勝!24年ぶりの優勝をねらうイタリアが、好スタートを切った。試合は、序盤から一進一退の攻防が続いた。イタリアは、「お家芸」のすばやいカウンター攻撃を中心に、11分にペロッタのクロスにトニ、ジラルディーノが続けざまにガーナ・ゴールに襲い掛かったが、GKがブロック。 26分にはデロッシの縦パスをジラルディーノがダイレクトでトニへ。パスを受けたトニがDFをかわしてシュート!…も、ボールはバーに弾かれ、得点を挙げるには至らず…。一方のガーナも、中盤でボールをつなぐ果敢な攻めを見せるが、なかなかゴールを奪えない。スピーディな攻防が続くなか、時間だけが過ぎていく。前半はこのまま終了かと思われた40分。CKを得たイタリアは、ショートコーナーでピルロへパス!ピルロはガーナ選手の反応が遅れたことを確認すると、低い弾道の強烈なミドルシュート!ボールはゴール左隅に突き刺さり、イタリアが先制点を奪った。後半に入っても、前半同様の激しい攻防が続く。なんとかカテナチオを崩して同点に追いつきたいガーナ。果敢な攻めを何度も見せたが、そんな相手をあざ笑うかのように、83分、ついにイタリアの「お家芸」が炸裂した!中盤でピルロがボールを奪い、前線のイアキンタへ。相手DFのクフォーが追いついたかに見えたが、なんとクフォーが痛恨のパスミス…。それを見逃さずボールを奪ったイアキンタが、GKを交わして無人のゴールへ流し込んで追加点。まさに「してやったり!」のプレーで2-0としたイタリアが、そのまま勝ちを収めた。ゴールを決め、ピッチに大の字になって仲間から祝福を受けたイアキンタ。「今回のイタリアは超攻撃的」と言われていても、お馴染みの必殺カウンターが民族の血に火を付けるのか。狂喜したイアキンタとイタリアの伝統に、MIP。
壮絶な死闘を演じた両者。ガーナの奮闘も、研ぎ澄まされたイアキンタのカウンターの前に轟沈。
次の日曜日18日の夜10時からの第2戦クロアチア戦に日本の復活を期待しましょう。もう、勝利しか決勝トーナメントへの道はないのだから。
I am OK