さいとうゆたか法律事務所(新潟県弁護士会) 労働災害(労災)ブログ

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温泉タンク内での硫化水素中毒による死亡と損害賠償(労災)

2017-05-29 15:41:26 | 損害賠償

 タンク内での化学物質による中毒死は比較的よく見られる労災事故です。


 長崎地裁平成28年12月20日判決は、その中でも、温泉タンク内に入り込んだ従業員が硫化水素中毒により死亡した事故について判断を示しています。


 裁判所は、温泉タンクから硫化水素が発生していることは周知の事実だったこと、硫化水素は命の危険を持つものであることを踏まえ、従業員に対し硫化水素の危険性を正しく認識理解できるように安全衛生教育を行う義務・硫化水素の危険性などを理解している者以外について立ち入り禁止であることを周知させるべき義務があったとしました。しかし、事業者がその義務に反し、死亡事故が発生したとして、安全配慮義務違反を認めました。


 他方、裁判所は、なくなった従業員が温泉タンクの維持管理に従事する従業員で硫化水素の危険性などについて認識していたはずだとして、1割の過失相殺を認めました。


 危険な温泉タンクにより営業する事業主の注意義務は大きいといえ、過失割合を1割にとどめた判断は妥当といえるでしょう。



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    弁護士 齋藤裕(新潟県弁護士会所属)

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