
昔から大好きなアニメといえば『ルパン三世』シリーズ。
1971年に第1シリーズの放送が始まって、その後第2シリーズ、第3シリーズとテレビシリーズが続き、
今もテレビスペシャルで定期的に放送されている、言ってみれば長寿番組ですね。
最近だと、五右衛門、峰不二子、銭形警部の声優さんが替わるというニュースがありました。
ところでつい最近、第1シリーズのルパン三世を観る機会がありました。
アニメのルパン三世は、ちょっとおちゃらけたコミカルなイメージがあるけども、
第1シリーズは、大人の雰囲気たっぷりで、乾いた空気感、そして寂しげな音楽が印象的です。
まあ、「アニメ=子供が観るもの」という固定観念があった第1シリーズ放送当時は、
この大人ルパンは視聴率が最悪で、演出家が数話で降板、その後引き継いだ演出家の一人に
あの宮崎駿がいたというエピソードは有名です。
結局、第1シリーズは23話で終了してしまうけども、のちに再放送された際、ものすごく視聴率が良く、
第2シリーズが放送されることが決まりました。
第2シリーズは、今でも引き継がれている赤ジャケットのルパン三世や、「ふ~じこちゃん」というセリフ、
そして大野雄二のルパン三世のテーマなど、155話も放送された大ヒットしたシリーズとなりました。
そんな有名な第2シリーズの影に隠れがちのルパン三世・第1シリーズですが、実は意外と秀作が多いのです。
まず、初代演出家・大隈正秋氏が降板する前の数話しか放送されなかった初代オープニングテーマ曲。
チャーリー・コーセイが歌う「ルパン・ザ・サード」というフレーズしかない歌詞の曲と、映像がマッチしていて
めっちゃかっこいい。
そして、初期はまだ五右衛門はルパンの仲間ではなく、宿敵同士でした。(のち仲間となる)
また峰不二子もルパンの仲間という感じではなく、ちょっと距離のある「謎の女」という存在でした。
五右衛門と不二子の声優さんは第2シリーズと違っていました。
第1シリーズのエピソードの中で、一番良かったのが、第9話の「殺し屋はブルースを歌う」という回。
現在もあまり語られることの無い峰不二子の過去に触れるエピソードです。

簡単なストーリーはこちら。
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空港にある男が降り立った。
男は仲間から「仕事」の話を持ちかけられるが断る。
その男はある女を捜しに来たのだった。
男は言った。「どうしても探し出さなきゃならねぇ。俺が生きる為に・・・」
男の名は殺し屋プーン。
その頃ルパンは、数億円の価値がある高性能電子頭脳の機密書類を盗み出す計画を不二子に持ちかけ仲間に加える。
そこでルパン、次元、不二子の三人で計画を実行することになった。
機密書類を持っているのは、プーンの仲間のキャップという男。
キャップはこの機密書類をルパンの名を語って盗んだのだった。
埠頭の倉庫に隠し持っているキャップの前に現れたのは、囮としてルパンに変装した不二子。
その時、本物のルパンは、別の倉庫で機密書類の奪取に成功していた。
まんまと盗みに成功し、この場から立ち去ろうとする不二子の前に突然プーンが現れた。
驚くプーン。ひどく動揺する不二子。プーンが捜していた女は不二子だったのだ。
なんとか逃げ出そうとする不二子にキャップは銃を乱射。
不二子は流れ弾を受けて重傷となってしまう。
・・・時は3年前。ルパンが不二子と出会う前。
プーンと不二子は、ある組織に属する有名な殺し屋チームだった。
2人は仕事のパートナーだけでなく、恋人同士でもあったのだ。
充実した日々を送っていたプーンと不二子。
しかし、やがて不二子は組織を裏切り、組織に追われることになる。
プーンは組織に従い不二子を追いつめる。そしてプーンはついに発砲、不二子は海へ消えたのだった・・・。
そして2人は出会うことはなかった・・・。
キャップに撃たれ重傷を負った不二子はなんとかルパンの元に戻ってきたが、傷の状態がかなり悪い。
痛みに苦しみながらしきりとうわ言でプーンの名を呼ぶ。
不思議に思ったルパンは、暗黒街事情に詳しい次元からプーンと不二子の関係を聞く。
ルパンは、プーンは組織の命令通り不二子を消せなかったせいか、彼もまた組織を追われたと知るのだった。
不二子のうわ言、そして女を殺せなかった男・・・。
ルパンはそこに、不二子が愛した男、そして不二子を愛した男の存在を感じ取ったのだった。
その時、プーンとキャップがルパンのアジトを襲撃。
突然の襲撃にルパンと次元は為す術が無い。
キャップはルパンに取られた機密書類を取り戻し、プーンは重傷の不二子を連れ去っていった。
ルパンは次元の「一人では無茶だ」という言葉も聞かずにプーンとキャップを追いかける。
やがて山荘へ追い詰めるが、キャップのマシンガン攻撃に手が出せず、こう着状態となっていた。
そこに遅れて次元がルパンの手助けに現れる。
キャップは足手まといの女は置いて行こうとプーンに言うが、プーンのたった一つの願いは不二子を取り戻すことだった。
かつての充実した生活を取り戻すため、すなわち「生きるため」に不二子を必要としていたプーン。
だが逆に言えば、不二子を完全に失っては生きてはいけない。
プーンは不二子を取り戻すためだけに生きてきたのだ。
一方ルパンは、不二子の命を助けたいと真剣に望んでいた。
何とかして不二子を奪い返し、傷の手術を受けさせようと必死だ。
「不二子に本気で惚れたな?」という次元の冷やかしには「バカ言うな、誰があんな女」と強がって見せる。
そんな中、ふとした瞬間に目を覚ました不二子はプーンの姿を認める。
その時、不二子は思い出していた。3年前、プーンと別れることになった時のことを。
プーンは自分に銃を向けつつ、「逃げろ不二子」そう囁いたのだ。組織の「殺せ」という命令に背き、
不二子に背後の海へ飛び込んで逃げろ、とプーンは言った。
3年前の事を思い出した不二子の目から涙が流れた。
ルパンは不二子の手当てをしてくれと、手術道具をプーンとキャップが立てこもる山荘に送り込む。
その隙を突いて、キャップを倒し、山荘に入り込むことに成功。
ルパンはベッドに横たわる不二子を見つけ出し、抱きかかえる。
そこに銃を構えたプーンが現れるが、ルパンは動じず立ち去ろうとする。
その時、意識を取り戻した不二子の目に映ったのは、ルパンの背中に狙いを定めたプーンの姿だった。

「撃たないで!」不二子は叫んだ。
そして不二子の取った行動は・・・。
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たった30分のエピソードですが、この濃厚さはなんなんでしょうか。。
今のルパンとは違った大人のルパンは、この歳になって良さが分かるような気がします。
結末にも鳥肌が立ちました。
もし機会があればぜひ観てみほしい、渋いルパンのエピソードでした。
(おわり)
1971年に第1シリーズの放送が始まって、その後第2シリーズ、第3シリーズとテレビシリーズが続き、
今もテレビスペシャルで定期的に放送されている、言ってみれば長寿番組ですね。
最近だと、五右衛門、峰不二子、銭形警部の声優さんが替わるというニュースがありました。
ところでつい最近、第1シリーズのルパン三世を観る機会がありました。
アニメのルパン三世は、ちょっとおちゃらけたコミカルなイメージがあるけども、
第1シリーズは、大人の雰囲気たっぷりで、乾いた空気感、そして寂しげな音楽が印象的です。
まあ、「アニメ=子供が観るもの」という固定観念があった第1シリーズ放送当時は、
この大人ルパンは視聴率が最悪で、演出家が数話で降板、その後引き継いだ演出家の一人に
あの宮崎駿がいたというエピソードは有名です。
結局、第1シリーズは23話で終了してしまうけども、のちに再放送された際、ものすごく視聴率が良く、
第2シリーズが放送されることが決まりました。
第2シリーズは、今でも引き継がれている赤ジャケットのルパン三世や、「ふ~じこちゃん」というセリフ、
そして大野雄二のルパン三世のテーマなど、155話も放送された大ヒットしたシリーズとなりました。
そんな有名な第2シリーズの影に隠れがちのルパン三世・第1シリーズですが、実は意外と秀作が多いのです。
まず、初代演出家・大隈正秋氏が降板する前の数話しか放送されなかった初代オープニングテーマ曲。
チャーリー・コーセイが歌う「ルパン・ザ・サード」というフレーズしかない歌詞の曲と、映像がマッチしていて
めっちゃかっこいい。
そして、初期はまだ五右衛門はルパンの仲間ではなく、宿敵同士でした。(のち仲間となる)
また峰不二子もルパンの仲間という感じではなく、ちょっと距離のある「謎の女」という存在でした。
五右衛門と不二子の声優さんは第2シリーズと違っていました。
第1シリーズのエピソードの中で、一番良かったのが、第9話の「殺し屋はブルースを歌う」という回。
現在もあまり語られることの無い峰不二子の過去に触れるエピソードです。

簡単なストーリーはこちら。
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空港にある男が降り立った。
男は仲間から「仕事」の話を持ちかけられるが断る。
その男はある女を捜しに来たのだった。
男は言った。「どうしても探し出さなきゃならねぇ。俺が生きる為に・・・」
男の名は殺し屋プーン。
その頃ルパンは、数億円の価値がある高性能電子頭脳の機密書類を盗み出す計画を不二子に持ちかけ仲間に加える。
そこでルパン、次元、不二子の三人で計画を実行することになった。
機密書類を持っているのは、プーンの仲間のキャップという男。
キャップはこの機密書類をルパンの名を語って盗んだのだった。
埠頭の倉庫に隠し持っているキャップの前に現れたのは、囮としてルパンに変装した不二子。
その時、本物のルパンは、別の倉庫で機密書類の奪取に成功していた。
まんまと盗みに成功し、この場から立ち去ろうとする不二子の前に突然プーンが現れた。
驚くプーン。ひどく動揺する不二子。プーンが捜していた女は不二子だったのだ。
なんとか逃げ出そうとする不二子にキャップは銃を乱射。
不二子は流れ弾を受けて重傷となってしまう。
・・・時は3年前。ルパンが不二子と出会う前。
プーンと不二子は、ある組織に属する有名な殺し屋チームだった。
2人は仕事のパートナーだけでなく、恋人同士でもあったのだ。
充実した日々を送っていたプーンと不二子。
しかし、やがて不二子は組織を裏切り、組織に追われることになる。
プーンは組織に従い不二子を追いつめる。そしてプーンはついに発砲、不二子は海へ消えたのだった・・・。
そして2人は出会うことはなかった・・・。
キャップに撃たれ重傷を負った不二子はなんとかルパンの元に戻ってきたが、傷の状態がかなり悪い。
痛みに苦しみながらしきりとうわ言でプーンの名を呼ぶ。
不思議に思ったルパンは、暗黒街事情に詳しい次元からプーンと不二子の関係を聞く。
ルパンは、プーンは組織の命令通り不二子を消せなかったせいか、彼もまた組織を追われたと知るのだった。
不二子のうわ言、そして女を殺せなかった男・・・。
ルパンはそこに、不二子が愛した男、そして不二子を愛した男の存在を感じ取ったのだった。
その時、プーンとキャップがルパンのアジトを襲撃。
突然の襲撃にルパンと次元は為す術が無い。
キャップはルパンに取られた機密書類を取り戻し、プーンは重傷の不二子を連れ去っていった。
ルパンは次元の「一人では無茶だ」という言葉も聞かずにプーンとキャップを追いかける。
やがて山荘へ追い詰めるが、キャップのマシンガン攻撃に手が出せず、こう着状態となっていた。
そこに遅れて次元がルパンの手助けに現れる。
キャップは足手まといの女は置いて行こうとプーンに言うが、プーンのたった一つの願いは不二子を取り戻すことだった。
かつての充実した生活を取り戻すため、すなわち「生きるため」に不二子を必要としていたプーン。
だが逆に言えば、不二子を完全に失っては生きてはいけない。
プーンは不二子を取り戻すためだけに生きてきたのだ。
一方ルパンは、不二子の命を助けたいと真剣に望んでいた。
何とかして不二子を奪い返し、傷の手術を受けさせようと必死だ。
「不二子に本気で惚れたな?」という次元の冷やかしには「バカ言うな、誰があんな女」と強がって見せる。
そんな中、ふとした瞬間に目を覚ました不二子はプーンの姿を認める。
その時、不二子は思い出していた。3年前、プーンと別れることになった時のことを。
プーンは自分に銃を向けつつ、「逃げろ不二子」そう囁いたのだ。組織の「殺せ」という命令に背き、
不二子に背後の海へ飛び込んで逃げろ、とプーンは言った。
3年前の事を思い出した不二子の目から涙が流れた。
ルパンは不二子の手当てをしてくれと、手術道具をプーンとキャップが立てこもる山荘に送り込む。
その隙を突いて、キャップを倒し、山荘に入り込むことに成功。
ルパンはベッドに横たわる不二子を見つけ出し、抱きかかえる。
そこに銃を構えたプーンが現れるが、ルパンは動じず立ち去ろうとする。
その時、意識を取り戻した不二子の目に映ったのは、ルパンの背中に狙いを定めたプーンの姿だった。

「撃たないで!」不二子は叫んだ。
そして不二子の取った行動は・・・。
-------------------------------------------------------------------
たった30分のエピソードですが、この濃厚さはなんなんでしょうか。。
今のルパンとは違った大人のルパンは、この歳になって良さが分かるような気がします。
結末にも鳥肌が立ちました。
もし機会があればぜひ観てみほしい、渋いルパンのエピソードでした。
(おわり)
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