猫のあしあと

*舞台・ミュージカル・ちょこっと宝塚、な気まぐれ日記*

2012年エリザベート(まとめ)

2012年09月30日 22時48分28秒 | おさあさ♪
結局、東京の帝劇で16回、大阪の梅芸で5回、の計21回観劇しました2012年エリザベート!
…我ながら、こんな回数観てるとは…数えてみて驚愕の事実でした(((*_*;)))
だって!おさあさお2人の競演とあらば、ファンとしてはこの上ない喜びですから、行かない訳にはいきません!
破産覚悟で貢がせて頂きましたよ…★
いつか本当の共演の日が来ることを願って…(´-`)人☆

【春野エリザ】
…春野さんシシィに関しては別枠で語っちゃったので、ここでは割愛(笑)

【瀬奈エリザ】
以前、何かで演出の小池修一郎さんも言っていましたが、『パパみたいに』は瀬奈さんの声域が最適と今回改めて感じました。
今まで観て来たタイプでは、地声と裏声の両方を使って歌う方が多い印象ですが、瀬奈さんはキーがちょうど合っているのでしょうか、とても自然で安定した歌声で耳に心地よいです。
全体的にも、2010年以来色々なミュージカル・公演で女優として歌ってきた経験が活きている歌声でした。
高音が鍛えられた、というより、地声が高くなった、という印象です。
宝塚でエリザベート役をしていた時や2010年帝劇版などでは、使い慣れない高音を裏声で出すことで声量が少なくなりがちでしたが、今回は『私だけに』も、ほぼ地声で歌うことで迫力が増している様に思いました。
また、一度帝劇エリザベート経験者だからこその余裕も伺え、前回よりものびのびとシシィを演じているように見えました。


春野エリザと瀬奈エリザ、同じ役とはいえ、春野さん瀬奈さんそれぞれ別人格ですから、色々違う点も当然多々ありましたが、一番違いを感じたのは、ルドルフ亡き後~トートに死なせてと縋っても突き放されるシーンでしょうか。
正確には、突き放された後の嗚咽の演技と言うべきかな。
春野さん、瀬奈さん、それぞれが日によって演技に変化もありましたが、春野エリザの嗚咽は、本当に絶望した人間の叫びの様な…。時に嗚咽だったり、時に「ヒャー!!」とも「いやー!!」とも聞こえるような悲鳴だったり。
“人間、本当に希望を絶たれると、こういう精神状態になるんだろうな”とリアルに感じる表現でした。
一方、瀬奈さんの嗚咽は、“人に見せることを前提とした嗚咽”というか…。
演技っぽいという訳じゃないんですが、観ている側の涙を誘う嗚咽という感じの表現です。
実際自分で観ていても、涙がこみ上げたのは瀬奈さんの嗚咽でした。

…べつに、泣ける演技が良いとか、泣けないから悪い演技とか、良い悪いじゃないと私は思うので、どちらの演技もアリだと思うし、どちらの表現も納得でした。
ただ、リアルな表現と演技の境目というか違いというか、は非常に難しいんだなと思ったり。
そして、より多くの人の共感を得るのは、どちらかと言ったら瀬奈さんの表現の方なのかもなと思ったり…。
演技って奥が深いですなぁ。


それぞれキャストは別人格だし、十人十色、違いがあって当然で、それがその人の個性でもある訳で…。
見ている側だって、捉え方や感じ方は人それぞれ違うし、好みもあるし、みんな違うから良い訳で…。
だから、それを見比べて…というのも何だか野暮というか、ナンセンスな気もするんですが。
まぁでも、毎度役替わりが売りな作品でもあるので、ちょっと今回感じたことを書いてみました。



【3人のトート】
○マテさんトート
全編日本語で挑んだ素晴らしきチャレンジャーなマテさん。
大きくて、ワイルドでセクシーなトートでした★
…時に「美女と野獣」という言葉が頭に浮かんだりもしましたが(笑)
でも、こんな積極的なトートはあまり見たことがなかったので、とても新鮮でした。
マテ氏の『最後のダンス』を初めて聞いた時の衝撃はすごかったです。
まるで1曲のロックの様に歌う姿に「これが日本人との血の違いだ」と心底思いました。

大阪で久しぶりに観た時、日本語の歌詞が東京の時よりとっても自然な発音になっていたのにびっくりでした!!毎日の積み重ねってスゴイ…!
ラスト、エリザベートの魂を奪った後、抱き上げて見せる姿が美しかったです。
カーテンコールで毎回エリザベートの手の甲にキスを贈っていたのがジェントルマンでした♪
何度目かのカーテンコールでは、ルキーニの真似をして観客の拍手を指揮していた姿はいたずらっこの様で大変キュートでしたが(^^)
私が観た春野さんシシィの時は、カーテンコールで二人で手を繋いで舞台の前面に出てきて、二人で一緒に拍手を指揮していたのに、済んで満足したのかマテ氏はスタスタと1人で舞台の後ろへ下がっていってしまって(笑)
大きなドレスで1人、歩くのもままならない春野さんが「置いてかないで~;」と言わんばかりにマテ氏に手を差し伸ばしていました(笑)
それに気づいたマテ氏、慌てて春野シシィをエスコート。
更にお詫びのつもりでしょうか、何度か手にキスもしていて、微笑ましかったです(*^^*)


○石丸さんトート
手の使い方がとても印象的でした。まるで蛇の様な動きをされてて…、それがそのまま石丸トートの魅力に繋がっている感じです。
ヒタヒタと蛇の様にエリザベートに迫る妖艶なトート。
石丸さんのドスの利いた『最後のダンス』も好きです♪(*^^*)
今回のトリプルキャストの中では、ドクトル・ゼブルガーに扮した際に、最もおじいさん的演技をしていたトートでもあります(笑)
帝劇の千秋楽の挨拶で、「今日『愛と死の輪舞』歌ってる時に、エリザベート役の春野さんの目から涙がポロッとこぼれて…あれで火がつきました(笑)」というお話をしてくれたのが印象に残ってます(^^)


○山口さんトート
2010年に観た時は、全体を通して歌が囁き系で…、正直それが観ていて欲求不満でした(苦笑)
当時に比べると、今回の『最後のダンス』などは大分情熱的な印象です。
今回マテさんが参加していることで、その影響かも知れません。
でも、帝王っぷりは随一です!
山口トートの個人的ツボは…2幕始めの戴冠式で馬車の手綱を取りつつ、民衆に手を振るエリザベートを皮肉る様に真似して閣下自身も手を振るところです(…マニアック?笑)。
黄泉の帝王なのに、手を振る姿とのギャップがかわいいです(笑)


【2人のフランツ】
○石川さんフランツ
優しさと共に強く厳しい面を併せ持つ皇帝らしいフランツ、という印象は2010年に観た時から変わりません。
むしろ優しさより厳しさの方が前面に出ているフランツと言った方が正しいかも知れません。
個人的に、山口さんや石川さんは帝劇エリザベート経験が長いので、段取りとか、演技とか、割と定型的に進めるタイプなのかなと思っていました。
でもある日、春野シシィと石川フランツの組み合わせの時、結婚式の場面だったか、その翌朝の場面だったかで、演出上決められている箇所以外で、石川フランツが春野シシィを突発的に抱きしめていたことがありました。
今回からそう演出が変わったのだろうかと思いましたが、私が観た石川フランツの中では、後にも先にもそれはこの1回きりでした。
上記したように、私は勝手に、石川さんは定形外の動作や演技をあまりしない方なのかなと思っていたので、これは意外な、でも嬉しい驚きでした。
今回はフランツもダブルキャストということで、やはり、その影響でしょうか。

○岡田さんフランツ
石川フランツと比べると、優しい優しいフランツでした。
その優しさ故、いつ皇帝という立場を捨ててエリザベートのもとへ駆けつけて行ってもおかしくない、と思わせるフランツでした。

岡田フランツは、シシィに対しての愛情や、人間としての感情を割と惜しみなく表に出すので、観ていても皇帝というより一人の男性という印象が強く残ります。
かたや石川フランツは、シシィへの愛情や自分の感情を抑え、皇帝としての義務や振る舞いに重きをおいているフランツ…そんな印象です。

けれども「皇帝陛下が見た悪夢」の場面では、どちらのフランツからも、シシィへの深い愛を感じました。
岡田フランツは、シシィへの愛をここでも惜しみなく表します。
「こんなにずっとずっと想い続けていたのに、シシィには届かなかったんだね」という気持ちになります。
かたや、石川フランツはいわばここで初めて一人の男として感情を剥き出しにしているように思います。
これまで皇帝として感情を抑えてきたフランツが、ただ一人の男として「妻を救わなくては!」と必死になる姿がとても切なく映ります。
「本当はこんなにもシシィを愛していたんだね」という気持ちになります。

実際のフランツはどんなタイプだったのでしょうね。


【3人のルドルフ】
○平方ルドルフ
今回のルドルフでちょっとファンになってしまいました(笑)
歌が上手です!ルドルフ役としては少し健康的過ぎるのかもしれませんが(苦笑)
これからの活躍に期待大です♪(^^)

○古川ルドルフ
繊細的な外見と苦悩する姿がルドルフのイメージにぴったりでした。
ただ、ルドルフの歌のキーと声域が少し合っていないのか、所々苦しそうに歌っていた印象が。下手な訳ではない分、気の毒&残念でした。

○大野ルドルフ
他の2人に比べると歌が不得手な印象ですが…(苦笑)でも健闘していました。



ちなみに、私の中でのベスト組み合わせキャストは

春野エリザベート+マテトート+石川フランツ+寿ゾフィー+平方ルドルフ  でした!


ダブル、トリプルキャストの多いこの公演、公演回数も多い公演ですが、私が上記組み合わせで観られたのは意外にも大阪での1回だけでした。




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