月と猫

旅行や趣味の話を書いていきます。
猫の話はオフィシャルブログへ!

歌川国芳のお話

2012-01-21 23:06:10 | 芸術
前回に引き続き今回も「美の巨人たち」と
神奈川県立歴史博物館のネタをお送りします。


「美の巨人たち」宮川香山の翌々週
12月24日の放送は、わが敬愛する歌川国芳先生の
「猫/しゝ・みゝづく・はんにやあめん」でした。

美の巨人たち公式サイト

国芳は江戸末期に活躍した浮世絵師です。
昨年は、スカイツリー建設を予言したかのような
絵を描いていたことで話題にもなりました。

大胆な構図や、西洋の画法を取り入れた斬新な表現など、
絵師としての実力はもとより、幕府を皮肉ったパロディ絵で
人気を博すなど、反骨精神とユーモアを持つカッコイイ人です

また、化け物や妖怪を描いた作品も多く、
私が国芳を好きになったきっかけは、妖怪画からでした。


そしてなんと言っても、国芳と言えば猫。
彼ほどたくさんの猫を描いた浮世絵師はいないでしょう。

猫好き絵師の元祖とも言える彼は、実際猫をたくさん飼っていて、
猫を懐に入れて絵を描いていたというエピソードは有名です。

宮川香山の猫に「ん?」と思った私も、国芳の猫は大好きです。
顔つきは可愛いとは言い難いものがありますが、
しぐさや表情のひとつひとつがとても愛らしく、
「ああ、猫ってこんな感じ」と思わずにっこりしてしまうのです。

日々飼い猫たちの観察とデッサンを怠らなかったのだろうと
想像できます。
擬人化された猫も多いのですが、うまく猫っぽさを残しながら
擬人化させるのは、猫の骨格や動きにも詳しくないと書けないものです。



私が好きな作品のひとつ、「猫のすゞみ」。
船に乗り込む姐さん猫に手を貸す船頭猫の、
もったりとした手がカワイイ。


12月24日放送の番組では、そんな国芳先生の
「猫/しゝ・みゝづく・はんにやあめん」は
実写猫たちの出演もあり、猫づくしの楽しい回でした。


神奈川県立歴史博物館に行ったのは、
24日の国芳の回を見たあとだったのですが、
テーマ展示のコーナーには彼の作品も特別展示されていて、
思わぬところでナマ国芳を見ることができ、
シンクロを感じました。

展示されていたのは風景画が中心で、猫が出てくる絵は
一点だけでした。(美人画に猫が添えられているもの)

でも、有名な妖怪絵「源頼光公館土蜘蛛作妖怪図」
も見られたし、ほおずきやとうもろこしを擬人化した
とってもかわいい絵が見られたので、満足でした。

国芳は猫だけじゃなく、狸、蛸、金魚、蛙などを
擬人化した絵も多数残しているのですが、
そのポップな表現は、現代の漫画に通じるものがあり、
漫画家のはしくれとして、
江戸の先輩のセンスに尊敬と親近感を感じます。

ちなみに現在、森アーツセンターギャラリーで
没後150年 歌川国芳展」開催中。
2月12日迄。


見学後、かわいい擬人ほおずきの絵ハガキがあったら
ぜひ買おうとミュージアムショップに行きましたが、
残念ながら国芳の絵ハガキはありませんでした。

その代わり、面白いものを見つけ、早速購入しました。



履けば誰でも赤い靴はいてた女の子になれる
「赤い靴下」

友達の家や座敷の店に行って靴を脱いだとき、
ウケること間違いなし!



博物館のあとは、せっかく横浜に来たのだからと、
しばし古い建物めぐり。
っていうか、歴史博物館自体が私好みの近代建築なのです。





神奈川県立歴史博物館。
旧横浜正金銀行本店として、明治37年竣工。
関東大震災の際、火災でドームは焼け落ちてしまい、
昭和39年に当時のドームの復元がなされました。






横浜三塔のひとつ、「クイーン」こと横浜税関。
塔の愛称は、横浜港に入港する船の外国人船員達が
トランプのカードに例えて名づけたと言われています。
なかなか粋ですね。






「ジャック」こと横浜市開港記念会館。
ここだけ見ると、イギリスの街角のようです。



撮影していたのは夕方だったのですが、
クイーンのあたりでもう薄暗くなってきていて
ちょっと焦っていたので、
フォルムがツボじゃないキングはスルーして、
ジャックを撮りに行ってしまいました。

よって、「キング」の塔、神奈川県庁本庁舎の画像
はナシです(笑)



猫と建物、充実の横浜プチ散歩でした。

宮川香山のお話

2012-01-17 21:49:38 | 芸術
ショックである。

入院中、病院で出された食事を毎回ipodで撮っていた。
病院の食事なんて、不味いものと思っていたのだが、
私が入院していた病院は食事に気を使っていて、
肉・魚抜き、野菜果物がたくさんのベジタリアン食。

院内には一般の人も利用できるカフェテリアもあり、
ランチ時には賑わっているほどだ。

いくらおいしいとはいえ病院食なので
そう華やかさはないが、同じレイアウトで撮られた
10日×3の食卓は、ずらっと並ぶとなかなか壮観だった。

デジカメだったら、まめにPCに画像データをコピーして
保存するのだが、ipodだったのでつい画像をPCに
コピーするのを忘れていた。
おまけにPCの不調でリカバリを強いられ、
その際iTunesもなんらかの設定が変わってしまったようだ。

と、だいだいここまでくれば察しがつくと思うが、
要するに同期作業の際のミスで、
病院で撮った記録写真が全部消えてしまったのだ。

あーショックだ。




さて、話はがらりと変わって。

以下はオフィシャルブログにUPした記事ですが、
「月と猫」向きなので、
こちらにも載せることにしました。




こちらは連載しているコラム漫画「ねこごよみ」
で紹介した初代宮川香山の陶磁器
「高浮彫牡丹ニ眠猫覚醒蓋付水指」。
明治初期の作品です。


恥ずかしながら私は宮川香山について詳しくは知りませんでした。
昨年12月10日放送の「美の巨人たち」で
彼の作品が取り上げられたのを見て、
香山の非凡なる才能と技術を知ることとなりました。

美の巨人たち公式サイト

今回紹介されていた主要作品は「葡萄ノ蔓ニ蜂ノ巣花瓶」でした。
緻密でリアルな蜂の姿や、フルーティな葡萄、
葉脈が細かく浮かんだ葉など、その造形もさることながら、
繊細でかつ質感の違うものを焼き物で作るという
超絶技法に驚嘆しました。

その制作工程は今もって謎のままなのだそうです。


番組では「高浮彫牡丹ニ眠猫覚醒蓋付水指」をはじめ、
高浮彫の作品をいくつか紹介していましたが、
それらは横浜の神奈川県立歴史博物館で
12月27日まで展示中ということを知り、
「これはぜひ見に行かねば!!」と、急いで行ってきました。


果たしてリアル香山は、テレビ画面でも充分でしたが、
実際に見てもすごかったです。

蜂は剥製を張り付けたようにしか見えないし
蜂の巣からのぞいている幼虫やサナギは虫嫌いの私を
「うげ~っ!!」とさせるに充分なリアルさだし、
「高取釉渡蟹水盤」のカニは形といい質感といい、本物そっくり。
実際、作品を見ていた男性二人組なんて
「カニ食いたくなってきた」と言っていました。

鶉や鳩などの鳥は、羽の一枚一枚が丁寧に描写され、
桜の花の咲き誇る柔らかい花びらと、固いつぼみの絶妙な表現、
ゴツゴツと無骨な枝のリアルさ。
どれもそれが陶器でできたものとは思えないほどの出来ばえです。


で。私にとってのメインである「牡丹ニ眠猫覚醒蓋付水指」。



あれれれれ?な~んかヘンだぞ…?

一番に気になったのは、猫なのに、そこに毛が生えている感じがなく、
まるで毛のない猫、スフィンクスのようなのです。

一応毛の表現はなされているものの、肌の下に血管が
通っているのが感じられるようなリアルな肌の質感なのです。
鳥なんかは、あんなに羽の描写がリアルだったのに、
なぜ猫はこんなに裸っぽいんだろう?
指が妙に長いのも、毛が生えてない感を醸し出している要因に
なっていると思います。
実際猫の指はこのくらいの長さなんだけど、
普通は毛に覆われているから
ここまで切り込みが入っているようには見えないはず。


母と姉にも写真を見せたら、
母は開口一番「牙がない」。


なるほど、薄く開けられた口には小さな歯や舌まで
作ってありますが、猫のチャームポイントである
上下2本ずつの牙がないのです。
それでなんとなく口元に違和感があったのね。

姉は「どうしていろんなものを上手に作れるのに
猫の鼻の作りはおざなりなんだろう」

う~む。確かに良く見ると鼻の中心線がずれているし、
鼻の穴が上を向いていて豚の鼻みたい。
ついでに耳も猫っていうより、豚っぽい。

いや~、猫好きの目は厳しい。容赦ナシです。


でも、私は香山の猫にオリジナルな魅力を感じました。

実は実際に見て、一番テンションの上がった作品は
「高浮彫風神雷神花瓶」。
半立体の風神雷神が花瓶に張り付き、花瓶にはユーモラスな
妖怪たちの百鬼夜行が描かれています。

風神の持つ袋が破れていて、その中をのぞくと
鬼が2体入っているというギミック付き。

もともと私は妖怪が大好きなんですが、
香山の造形の技術とセンスをもって作りだされた妖怪たちの
なんとスタイリッシュでカッコイイこと!!
これが140年前に作られたとは思えません。

もしかしたら香山はちょっと早すぎたのかもしれません。
現代に生まれていたなら、人形作家や造形師の道に
進んでいたかもしれません。
っていうか、進んでほしい。
「牡丹ニ眠猫覚醒蓋付水指」の猫の肌の質感で、
雪女とか作ってほしい。

京極堂の妖怪シリーズの表紙を飾ったり
海洋堂からフィギュアを出したりしてほしい。
そしたら、俺、コンプリートするよ!!


だから香山の猫は、猫であって猫ではないのだ。
蟹や鳥や花のカテゴリーではなく、
風神雷神や妖怪寄りの存在なのだ。

そう思うと、トリッキーなポーズや愛嬌のある顔が、
とっても愛おしくなってくるのです。



HAPPY NEW YEAR! 2012

2012-01-01 12:00:00 | その他



あけましておめでとうございます。
今年も「ねこごよみ」にお付き合いのほどを、
どうぞよろしくお願いいたします。

昨年は色々と大変な年になってしまいましたが
今年は平穏無事な良い年になることをお祈り申し上げます。



今年の年賀画像はエリザベス2世のミニチュアクラウンを
かぶった猫のトランプモチーフです。

女王の王冠→クイーン→トランプの12ということで
2012を表しています。
って、果たしてそのことに気付く人は
いるのだろうか…(^_^;)





王冠無しのにゃんこ。

王冠を載せる前提で作っているので、
耳の間が空き気味です。
なんだか表情がうちのテンちゃんに
似ている気がします。


羊毛フェルトで猫を作ったのは、これが2体目。
粘土では猫の人形をたくさん作っているので、
パーツの形成には慣れていると思っていましたが、
羊毛はやっぱり勝手が違うので難しいです。

羊毛をニードルで刺してフェルト化させていくのですが、
ちょっとした違いで予想した大きさと違ってきてしまうし、
それぞれのパーツをつなげるときにまた形が変わってしまったり。

いくつも作って、慣れれば上手に作れるようになるかな?
今年はもっと創作活動に力を入れて、精進したいものです。