なんでやねん?ドラキュラ!

猫魂外伝は猫魂(名も無き猫の物語)のエピソード0になります。ぶぶぶ。
自分の中では絶賛連載中♪(* ̄∇ ̄*)でへへ!!

なんでやねん?ドラキュラ!2 第六章

2015年08月12日 | なんでやねん?ドラキュラ!2


第六章                           絆



ふぅーう!! 間に有ったか・・危なかったな!! 早く手当てをしなければ・・このままでは本当に死んでしまうな!! レン・・大丈夫だ・・絶対にお前の命は俺が救う!!

だから・・もう少しだけ・・頑張ってくれ!!! ここは鍋島藩城跡地の公園地下施設・・8階にある医療室。

レンはベッドの上でグッタリと横たわっている。詳しい状況を説明しよう!爆 レンが炎に焼かれる数分前に・・・レンのポケットの中に居た・・セバスチャンがマスターセバスにSOSのシグ

ナルを送ったのだ。 この緊急のシグナルをマスターセバスはすぐさまレンの父・・タンへ時空GPSを使って知らせた。幸いな事にタンは要約・・長くの冷凍状態から解放されていた!
タンの体はまだ本来の状態では無かったが・・事態が事態なだけに・・無理を押して・・・すぐさま・・オリンピアへと飛んだ!! その時・・タンが見た物は・・大切な息子レンが激しい炎で

焼かれている光景だった!! 炎の向こう側にはリンチ・ルード・ハイドがいた。 タンは気配を悟られぬ様・・何気に傍に転がっていた・・クマのぬいぐるみをレンの身代わりとして摩り替え

・・特設会場から脱け出したのだった。 レンの救出に成功したタンは無事・・鍋嶋城跡地に戻った。爆

タン「レンの体が熱い・・何か体を冷やす物はないか? それから・・直ぐに輸血の準備を・・・・。俺の血をやりたいが・・解凍されたての今の俺の血では恐らく役に立たない。」

香「血だったら・・私の血を使って!! レンちゃんを救えるのだったら一滴残らず使って頂戴!!」香は黒こげトーストの様に真っ黒な体で横たわるレンの手を握っている。

タン「香の血は確か・・O型だったな!! 悪いが頼む・・レンを助けられるのはお前だけの様だ!!」

香「私の血は大型よ・・間違いなく!! この前・・健康診断でお医者様に言われたもの。正真正銘の血統書付きの大型だって!!」

タン「・・・・・・。何か違う様な気がするが・・・。時間が無い・・一刻を争う。」大汗

香「過労ー!!! 過労ー!!! 私が輸血している間に・・・冷凍庫から氷を用意しなさい!!早く!!!」

過労「それが・・その・・姫様・・・冷凍庫はタン様の解凍の為に温度を少しずつ下げていた為に現在・・常温で・・今から氷を作るには半日程掛かるかと・・・。」大汗

香「何ぃーいいい!! 過労・・日頃・・凍えそうな程の寒いギャクを連発するお前が・・こんな大事な時に氷の一つも作れんだと!!!」超超怒怒

過労「ひぇーえええええ!!申し訳御座いません!!! すぐさま・・何か他の手立てを・・・。」過労の顔が真っ青になっている。

香「んんっ? そこに居るのは誰だ!!! 出てこい!!」香が微かな気配を感じ取った。

因幡のオババ「猫姫様・・オババで御座います!! レン様の一大事と聞きつけ・・やって参りました。」

香「流石・・元・・鍋島藩お庭番の白ウサ!! 情報を聞きつけるのが早いな・・で・・何の用だ?」 いつの間にかお庭番になっている。笑。

オババ「これを献上にと・・・・・。」オババの後ろには複数のうさぎ達が・・。 そして・・その後ろに大きな雪の塊が!!!爆

香「それは・・・雪!! この時期に・・そんな雪が?」

オババ「これは・・もっこり山の山頂から掻き集めた・・氷室の雪で御座います!! 夏場の暑い季節これで涼しく過ごそうかと貯めていたのですが・・村の若者がレン様の事を耳にして。」

香「・・・・・・・。 皆・・有り難う・・・本当に・・・本当に・・有り難う!!!」 香は深々と・・白うさ達に頭を下げた!!  過労も少し安堵した表情を浮かべた。

タン「んんっ? この傷は? 鉄砲にでも撃たれたのか? 急所も外れているし・・傷口も大した事は・・・無いのだが!! げっ!! 銀の玉か!!!」汗

タンは助手として・・・過労を横に付けて・・過労に銀の玉を取って貰った。 タンは金属アレルギーなので自分で施術出来なかったのだ。ぼそ。

タン「ふぅーう!! こんなのが俺に当たっていたら・・死んでたな!!危ない危ない!! 幸い・・レンは大丈夫みたいだし逆にAgの作用で殺菌されて傷口の化膿も抑えられてる様だ!

  火傷の状態も幸い・・深部までには届いて無い様だ! これならレンの再生能力で元に戻るな。よし・・後は輸血だ!!」


皆が見守る中・・香とレンの輸血が始められた。 レンの体の中に・・香の血が・・どんどん流れて行く。 数時間後・・出来るべき事・・全ての処置が終わった!!

後は・・レンの生命力の強さに任せる他は無い!! 今夜が山場の様だ・・・。奇跡を皆・・信じつつ・・想い想いの祈りをレンに送っていた。

猫姫・オババ「はんにゃー!かんにゃー!なんだらー!!かんだらー!! えぇーえい!! ほんじゃら・・もんじゃらー!!」何やら二人で祈祷を上げ出した様だ!!爆

タン「おまぇらーあああああああああ!! それじゃ・・治る物も治らんわぁあああああああ!!!」超怒!!

滅多に怒らない・・タンの怒りを目の当たりにした・・香とオババは・・いそいそと・・・他の部屋へと出て行った!爆

皆の祈りの中・・・レンもまた・・生死の狭間の中で戦っていた? のでは無く・・・レンの体の中に居る二つの遺伝子が戦っていた。

それはレンの細胞の中に眠る・・ドラキュラの遺伝子と化け猫の遺伝子だ!! 勢力は均等していたのだが・・香の輸血により化け猫の遺伝子の勢力が勢いを付けたのだ!!

レンの体の中では・・レン自身も知らない所で勢力争いがずーっと繰り広げられていたのだが!! 今・・最後の戦いが始まろうとしている!!

不死身だが・・力的には弱い・・ドラキュラ遺伝子!! 妖力を持ち最強だが・・不死身ではない・・化け猫の遺伝子!!

レンの運命をも左右する壮絶な戦い・・・・・。 結末はいかに? 続く!笑



第六章                       ・・・2



二つの遺伝子の戦いは何時間も続いた・・レンは其の間・・地獄の様な苦痛と戦いのヒ―トアップによる高熱に魘されていた。

レンの精神力も体力も少しずつ削り取られている。 このまま・・レンは死んでしまうのかと思われた時・・一筋の光が走った? ぱんぱかぱーん!!! 

ドラキュラの遺伝子と化け猫の遺伝子が光の方へ振り向くと・・・なにやらふざけた顔の遺伝子が立っていた?(何者)

ふざけた遺伝子「あらあら・・なんだか忙しそうな所に出て来てしまいましたな!!ぶぶぶ。 あっ・・みなはん・・わての事は気にせんと・・戦っておくれやす。わてはここで酒でも飲みながら見物させて頂きます。ぶぶぶ。 あれ・・なんで戦い止めて・・わての方を見てるんがな?」化け猫遺伝子とドラキュラ遺伝子が戦いを中断した。

二つの遺伝子「・・・・・・・・・・・・・・・・・・。○×△・・・・・・・・・・・・・。□×○。」何やら話し合いをしている。

ふざけた遺伝子「あっ・・わてでっか!! わては・・このガキんちょの覚醒遺伝子でおま!! まっ・・簡単に言えば・・あんたら二人の遺伝子も併せ持つ隠れた遺伝子でんな!ぶぶぶ。

普段は表には出ないんやけどな。 大体・・戦いとか好きじゃないし! 痛いし腹減るしな!! それより・・もっと面白い事が無いかと・・ふらふらと探してまんねん!!ぶぶぶ。

そやそや・・それより面白い話がおまんねん!!ぶぶぶ。 あんたら二人・・一生懸命に戦ってるのは良いんやけど・・・その間・・このガキんちょの命が削られてまんねん!!ぶぶぶ。

この戦いが後少し続けば・・このガキんちょ・・間違いなく死にまんな!!ぼそ。

で・・・このガキんちょが死んだら・・どうなるか!! 面白い事に・・そこのあんたらも・・わても消えてしまうんやなこれが・・・。 ほげ。

あんたら・・不死身と最強の妖力を持つ遺伝子やのに・・何か・・勿体ない話やな! このガキんちょと一緒に消えてしまうなんて!! アホやでアホ!! お二人さん・・今・・このガキんちょが魘されている夢を見せまひょか!!  ふざけた顔の遺伝子は・・・どこからか取り出した・・夢ビジョン(箱型テレビ)を双方の遺伝子の間に置いた。

その夢ビジョンに・・現在のレンの意識が映し出された!!

レン「うぅーん!!ジィ―はどこだー!! 俺を一人にして・・。しかし・・真っ暗で何も見えない・・歩くのも疲れて来たな!ほげ。 なんだか・・眠たくなってきたし。

   案外・・俺・・死んでて・・ここは死後の世界だったりして。ぶぶぶ。 まっ・・俺が死ぬわけないか!! なんて言っても不死身のレン様だがらな!!どひゃひゃひや!!

   しかし・・歩けど歩けど・・。んんっ? 奥の方に小さな光が見える・・もしかしてジィの体か?」レンは光の方へと近づいた・・そして光に触れると・・・お花畑に出た!!

レン「おぉーおお!!やっと・・明るい所に出れた! しかし・・ここは何処だ・・もしかして・・ジィ―が言ってた・・メイドカフェか? お花のフリルの女の子が居ると言う!ぶぶぶ。

   しかし・・そんな女の子なんて・・どこにもいないじゃないか?? また・・ジィに騙されたのか!! クソッ!!」


ふざけた遺伝子「ほれほれ・・みなはん・・今の見ましたか!! メイドと冥土の区別も出来ん様な・・アホなガキんちょと運命を共にするんでっか? よーう考えなはれや!!

   それより・・最強の遺伝子と不死身の遺伝子が手を組めば・・鬼に金棒!! まさに最強無敵でんがな!! ほんでガキも助かれば・・おふた方も消える事が無くなるしな!!

   損な話じゃ無いんやけどな!! あらあら・・やばい・・ガキんちょにそろそろ・・お迎えの時間が! すぐ近くに死神の気配を感じる。」汗

二つの遺伝子「・・・・・・・・・・・・。・・・・・・・・・・・・・・・・。」ドラキュラの遺伝子と化け猫の遺伝子が暫く考え込んでいたが・・・手を組む事を決めた様だ!!笑

ふざけた遺伝子「よっしゃーあああ!! これで決まりや!! 目出度し目出度しやな!! ぽぽぽぽーん!! では二人とも仲良く頼みまっせー!!ぶぶぶ。 わては別の用事が有りますんで・・これで・・では・・・さいなら!!!」 よっこらせ・・っと! ふざけた顔した・・ふざけた遺伝子は・・ふらふらと・・何処へともなく消えた。爆

レン「んんっ? あそこにいるのは・・めるもじゃないか? おい・・めるも・・待て・・何処へ行く!!俺を置いてくな・・・・・。 はっ!! そうだ・・めるもを助けなきゃ!!」

どうやら・・・生死の境を乗り越え・・レンの意識が戻った様だ!! 

満月の灯りがレンが横たわるベッドを照らしている。 その傍らにはレンの手を握り・・うとうとと睡魔と闘いながら看病をする香の姿が。Zzzz・・んんっ?熟睡かい!!爆

月の光に導かれるかの様に・・・静かにレンが目を覚ました!!  そして・・むっくりと起き上がった。 レンは何やら・・鼻をぴくぴくさせている?

何かを感知したのか・・・レンは猛ダッシュで・・何処かへ飛び出していった!!汗

流石の香も・・その異変に気付いたのか・・・レンの後を追いかけた。 しかし・・香のスピードを持ってしても追いつけず・・見失った。

香は変わりばんこに看病してた・・タンの部屋に行き・・レンの行動を伝えて・・一緒に探す事にしたのだが見当たらない!!

そんな時・・・香とタンの前を・・お魚・・咥えたドラ猫ー!!追いかけて―ぇええ!!と鼻歌を口ずさみながら歩いている・・過労を見つけた!!

香・タン「おい・・過労!! レンちゃんを見なかったか!!」

過労「レン様は見てはおりませんけど・・先程・・真っ黒な黒猫が走って・・行った様な? 多分・・夢だな・・・。」過労は半分寝ぼけながら・・トイレを探していたようだ。

香・タン「で・・その黒猫は・・・どっちに行ったのだ!! 早く答えろ!! おい・・こら・・寝るな!!」ビシッ・・バシッ!!

過労「たしか・・タン様が監禁されていた・・冷凍庫の方だったと???」香とタンは過労をトイレに運んだ後・・冷凍庫へと向かった!!

タンと香が冷凍庫の扉の前に近づくと・・・冷凍庫内から・・・異様な物音が? むしゃむしゃ・・ガッガッ・・むしゃむしゃ・・バリボリッ!! グハッ!! ボリボリッ!!

タンと香は恐る恐る・・扉を開けた!!  そこには・・・あの300キロはある・・大きなマグロにむしゃぶりついているレンの姿が!!!!! 

香「レンちゃん・・そこで何をしているの?」香は・・・小さな声でレンに尋ねた!! 

レン「ぐるるるぅーう!! むしゃむしゃ・・あぁーああ!!食った食った!!げふっ!!」

タン「おい・・レン・・大丈夫か?」

レン「あっ・・母上・・父上!!! 二人して・・どうしたのだ? このマグロ・・美味しいな!赤身もトロも!! はっ・・全部・・平らげてしまった!! げっ・・怒られる!!」爆汗

香「怒るなんて・・レンちゃんが元気になってくれれば! でも・・体は本当に大丈夫? 痛い所は無いの?」

レン「目が覚めたら・・何だか以前より力が湧きあがって・・そんで・・遠くの方から美味しそうな臭いがしたから・・遂。お腹もぺこぺこだったし!!笑

香・タン「なにはともあれ・・元気なレンが戻ってきて良かった!!ふふっ・・後はその真っ黒な煤だらけの体を洗わなきゃね!!」 お帰り・・レンちゃん。

レン「しかし・・なんだか・・力が湧き上がる! ぶぶぶ・・もしかして・・俺・・スーパードラキュラになったのか?うひゃひゃひゃ!!」

スーパードラキュラと言うよりも・・・それは化け猫の力!! んんっ・・もしかして・・ドラキュラのドラは・・ドラ猫のドラ!!!! どっひゃあああ!!って!なんでやねん?

続く!笑

第六章                        ・・・3


レン「オヤジ・母上・・俺・・直ぐに大切な仲間の・・めるもを助けに行かなきゃならないのだ!! それから・・ジィ! いや・・セバスチャンは・・。どうなったのか?」

タン「セバスは大丈夫だ・・今・・リカバリーしている。もうすぐ回復するはずだ!! お前が助かったのもアイツのお陰だ!俺以上にお前の事を心配しているのもアイツかもな・・。本当の父

親の俺が言うのも・・情けない話だが・・・。 すまんな・・レン!! この場を借りて・・謝っておくよ。」

香「レンちゃん・・母上だなんて他人行儀な。いつもの様に可愛くて優しい香・・お母様でいいのょ!うふふ。

レン「・・・・・・・・・・・・。」言った覚えが無い・・レンで在った。

タン「しかし・・俺が氷の中で眠っている間に色々有った様だが・・・メリルリンチとか言う奴の所へ行くのか!! その体で大丈夫か? 何なら俺も付いて行くが!!」

レンはしっかりとタンの腕を掴んでいる香の手を見て・・・言った。

レン「きっと・・めるもは俺の助けが来るのをじーっと待っているんだ。オヤジの力を借りなくても・・俺一人で大丈夫だ! めるもは俺の家族だから・・俺が助ける!!」

セバス「あらあら・・レン様・・お一人で行くんですか? このジィを置いて!!」

レン「あっ!ジィ!! いや・・セバス!! 大丈夫なのか?体は・・。」(もともと・・吹けば消えそうな体なのだが。笑)

セバス「ふふふっ。リカバリーで全回復!! 序にバージョンもロりポップにシステムアップ!!むふ。」

レン「おぉーおお!!遂に・・変態からロリコンに進化してしまったか!!ぶぶぶ。」大爆笑

セバス「何をバカな事を・・それより先程・・マスターセバスから緊急信号が・・・。メリルリンチがドラキュラ城に攻めて来たと・・・。」

レン「それじゃ・・急がなくてはな!! 直ぐに行くか!!」

香「レンちゃん・・ちょっと待って・・・これを・・・。」香が何やら・・レンに手渡した。

レン「これは・・・ちょっと!」汗

香「レンちゃん・・私は行けないけど・・これを私だと思って着けていって!御守りだと思って。」カポッ!! レンの頭に猫耳のカチューシャが付けられた。汗

レン「・・・・・・・・・・。」香がレンを見て・・可愛いと・・きゃっきゃっと喜んでいる。ぶひ。

タン「何かあったら・・すぐに連絡しろよ!! すぐに駆け付ける!!」タンが少し心配そうな顔でレンに言った。

レン「あっ・・そうだオヤジ! 俺・・タイム棺桶に入れられて・・100年の眠りに着く時に・・オヤジの言った言葉を憶えているよ。」 今は我慢してくれ・・時が来れば・・きっと・・ま

た逢える・・寂しいだろうが耐えてくれ! でも・・お前は決して一人じゃない。自分を信じて強く生きてくれ! 良いか・・一人と孤独は違う。 本当の孤独は自分を見失い・・自分さえも信

じられなくなった時にやって来る物だ! お前は信じる心を忘れないでくれ・・そして・・やがて出会うであろう仲間達とも強く信じる気持ちを大切に築いて欲しいのだ。
お前は一人じゃない・・・どんなに離れていようと俺や香がお前を見守っている様に・・どこかで絆は繋がっているのだ!絆とは互いを信じ想う心だ! それだけは忘れないでくれ。 
                                         最愛なる息子・・レンへ!! タンより
タン「そんな事を言ったか?もーう100年前の事だからな!」汗

レン「俺は100年間・・夢の中では沢山の友達がいて・・少しも寂しくは無かったけど。でも・・今・・一人・・寂しく・・俺の事を信じて待っている奴が現れたから! 大切な絆を取り戻し

に行ってくるよ! さっ・・セバス・・行くぞ!!!」  レンとセバスはタイムマシンでドラキュラ城へと飛び立った。

タン「なぁー!香! 子供って奴は・・親が知らないうちにどんどんと大人になって行くんだな!」

香「何言ってんだか? 子供の様にはしゃぎまくって・・世界中飛び回って・・家に帰らない大人もいるじゃない。」ぼそ。

タン「はははっ!・・・・・・。」汗

ここはマスターセバスが必死に死守しているドラキュラ城!

マスターセバス「うぬぬぬぬ!! ここが最後の砦・・・此処を突破されればマザーセバス様の部屋!! この命に代えても守らねば!!」

メリルリンチ「ふふふっ!どうやら・・終点が見えて来たな!! さっ・・行くぞ!!」メリルリンチが扉を開けた・・・そこには何んとレンとセバスが立っていた。

レン「待っていたぞ!! めるもを返して貰おうか!!」

メリル「小僧!! 生きていたか!!おっほほほ!! 懲りずに返り打ちに合いに来るとはバカな奴だ!!おーっほほほほ!! それにしても・・その可笑しな格好は何だ? ぶふっ!!」

レン「笑うな・・着ている俺本人が一番恥ずかしいのだ・・・。」ぼそ。

メリル「バットマンとキャットウーマンのコラボ衣装か? 黒いマントに猫耳付けて!!あはははっ!! ふざけたガキだ!! 大人をからかうと痛い目に会うと言う事を思い知らせてやる!」

メリルとレンが対峙している・・その後ろで・・こそこそとルードがまた銀玉鉄砲でレンを狙っていた!! しかも連射型に改造してあるみたいだ。

ルード「死ね!!!」ぱぱぱぱぱーん!!! 複数の連射した銀玉がレンの体目掛けて放たれた。

レンは音のした方向に・・・ゆっくりと振り向いた。 レンの目の前に・・・ゆっくりと複数の銀玉が向かってくる? スーパードラキュラに成ったレンの眼にはスローモーションに見えるのだ

! 解りやすく例えるなら・・・最新のデジカメ機能のハイスピードシャッター機能の様な物か? シャッタースピード! 32000分の1秒 それは全ての物をスローで捉える事が出来るのだ!!

爆  レンは・・ゆっくりと・・招き猫の様に軽く手を振り下ろした。 その風圧により・・全ての銀玉がレンの足元へと落ちた!! 更に・・タマを撃ったルードも吹き飛ばされた!!
これが・・・あの・・ふざけた遺伝子が言っていた最強の力!!汗

メリル「何をした? どーなっているのだ? 何かのマジックか?」一瞬の事で流石のメリルも状況を捕捉出来なかった。

レン「メリル・・観念して・・めるもを返せ! 今なら許してやる!! さぁーあ!!早く!!」

メリル「こしゃくな!! だが・・おまえがどんなに強くても私は不死身だ!! 返して欲しければ・・私を倒す事だな!!ほほほほっ!!」

レン「解った・・倒せば良いんだな!」 レンの体がメリルの視界から消えた・・その次の瞬間・・レンが繰り出した猫パンチにより・・メリルの右腕が破壊された。

メリル「うぐぐぐっ!! おのれぇーええ!! これで勝ったと思うなよ!! 戻れ・・私の細胞達!!! んんん?」

セバス「レン様・・作戦は成功です! 床一面にばら撒いて置いた・・ゴキブリホイホイにメリル細胞が引っ掛かっています!」ぼそ。

メリル「いつの間に・・・・・・。」大汗

レン「これが最後だ・・・めるもを返せ!! メリルリンチ!!」

メリル「ふふふっ!! ほほほほっ!!! どうやら最後の手段を使うしかなさそうだな!!」メリルは青いカプセルを飲んだ・・・メリルの体が見る見る小さくなり・・そして・・めるもの体

に変身した!!

レン「・・・・・・・・・・・・。めるも? お前なのか?」レンもセバスも言葉を失った。

めるリンチ「そうよ・・私よ・・めるもよ!! レン様もセバス様も・・いつも私を置いてけぼりにして・・いつも寂しかったの!!いつも・・私・・一人ぼっちで・・・。」ぐすっ!!

セバス「めるも・・レン様の優しさを仇で返すとは・・・おまえって奴は・・・・。とほほほ。めるも・・レン様から貰った・・クマのぬいぐるみは・・どーうした!!」

めるリンチ「あんな・・子供騙しのぬいぐるみなんて知らないわ!! あんな物で一人ぼっちの心が癒されるとでも思うの!!」

セバス「レン様・・こいつ・・めるもでは在りません! あの・・くまのぬいぐるみに・・お喋り機能が付いているのを知らない様ですから! くまの口の中のボタンを押すと喋るのだが!

    本物のめるもは・・レン様のメッセージを聞いて・・涙して喜んでましたからな。いつも一人で留守番させて悪いな・・こんど一緒に遊園地に行こう。レン

めるリンチ「くそっ!引っ掛けやがったな・・・ふふふ。 その通り・・私はメリルリンチだ・・めるもとやらは・・もーういない。だが・・この体は・・めるもの物だ!! ほほほっほ!!

     この体を粉々に攻撃出来るかな!! おまえの大切な・・めるもの体を・・・・。 出来る物ならやって見るが良いぃーいいいい!! おーっほほほ!!」

レン「・・・・・・・・・・・・・・・。くそっ。」 レンが攻撃を戸惑った・・・その時・・・レンが付けている・・猫耳のカチューシャが微かに反応した? ピクピクッ?

謎の声「レン様・・レン様・・・私は此処ょ! メリルさんの胸の当たり・・ここがメリルさんの心臓部なの・・ここを破壊すれば・・メリルさんを倒せるわ。」

レン「この声は・・めるもなのか? 生きているんだな・・めるも!!でも・・そこを破壊したら・・おまえも死んでしまうんじゃないのか? なぁーめるも!!」

香から御守りだと貰った猫耳が・・・人には聞こえぬ高い周波数の音を聞き取ったのだ! それは今で言う・・ハイレグ?もとい・・ハイレゾ!笑

メリル「なにをこそこそ・・呟いている?」メリルは不思議そうにレンを見ている。

めるも「レン様・・私は大丈夫だから・・私は・・死なないわ!絶対に・・・・。」(レン様の心の中に刻まれたから・・有り難うレン様・・一緒にいられて楽しかった。涙)

レン「解った・・絶対に助けるから頑張れよ!!」レンは・・めるもの言葉を信じて・・・メリルの胸に強烈な猫パンチを御見舞した!!!バコ―ンッ!!

メリルリンチの体が粉々に吹き飛んだ!!! うぎゃぁーあああああああああああああああああああ!!!

レン「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。」レンの猫耳に・・めるもの反応が無い。

周囲には粉々になった・・めるもの体の残骸が散らばっている。 めるもは・・・・めるもは・・・・・・・。

レン「め・・め・・めるもぉおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!」 続く!




第六章                         ・・・4




戦いが終わり・・・ドラキュラ城は静寂な程の静けさに包まれた。 周囲には・・あちらこちらに砕け散った残骸が虚しく転がっている・・・・。虚ろな瞳のレンの表情が戦いの全てを物語る。

セバス「レン様!! 大丈夫ですか・・・・。あの・・ルードとハイドは逃げた様ですが。」

レン「・・・・・・。あんな奴らはどうでも良い!! それより・・めるもの反応を何か・・感じないか!! セバス・・早く・・早く・・何でもいいから捜してくれ!!! 頼む!!」

セバス「・・・・・・・・・・・・・・・。レン様。」セバスもがっくりと項垂れている。

戦いが終わり・・・まだ5分も経っていないのだが。 この時の時間がレンにとってどれだけ永く感じられた事か! 100年以上・・生きているレンなのだが。

レンは破片・・一つ一つを拾って・・自分の前に集めた!! レンは深く大きく息を吸った・・・・・そして。

救ってやれなくて・・・助けてやれなくて・・・守ってやれなくて・・・めるも・・・ごめんなぁああああああああああああ!!! レンは声を大にして泣いた。

零れる涙が破片を濡らした。

セバス「あれっ? レン様の涙で破片の中の部品がショートしたのか? 今・・なにか光った様な? マシンの周波数を同調してみるか!! お? おぉおお! 微かに反応を感じる!!

  レン様・・微かだけど・・めるもの反応を感じます・・今にも消えそうだけど・・・レン様・・破片を全て・・マザーセバス様の元へ!! 早く・・集めて持って行って下さい!!

  マザーセバス様なら更に繊細に分析出来るかと・・早く・・レン様!私はマスターセバスにタン様への連絡をお願いに行きます!! さぁーああ!! ポカンとしてないで!!」

レン「本当か・・めるもは生きているのか? 助かるのか? セバス!!!」

セバス「助かるかは・・まだ解りませんが・・・奇跡を信じましょう!! タン様なら・・きっと奇跡を起こしてくれます!」

暫くして・・・マスターセバスの連絡を受けた・・タンがドラキュラ城へと駆けつけて来た!! 

タン「これは酷いな・・治せるかどうか・・でも全力でやってやる! 何しろ・・レンの大切な家族だからな!! 俺に任せて家に帰ってろ!! 最低でも修復に2カ月は掛かりそうだ。

   難しい修理なので・・集中したいからな! マスターと俺以外は出てくれ。 レン・・たまには頼りないオヤジだけど・・信じて待ってろ!! 直ったらこちらから連絡する。

過去にタンは・・現在のマザーセバスがアンドロイドだった頃・・幾度となく修理して直しているのだ!

こうして・・めるもはタンに預けられた。  それから・・2か月が過ぎた頃・・タンからの連絡は無かったのだが・・・・・・・。 ぴんぽーん!!ぴんぽんぱんぽーん!!!

レンの館に来客が・・・・もしや!!!  レンは駆け足で玄関へと走った。 扉を開けるとそこには蔓延の笑みで立つ・・・めるもの姿が!! レン様ぁああああああ!!!

レンの小さな体に・・めるもが飛び込んできた。笑 

レン「んんっ? めるも・・少し大きくなってないか? 俺より確か低かったよな? えぇええええ!!俺より高くないか?」汗

めるも「レン様・・女の子は成長が早いのよ!うふ!」

レン「って・・めるも・・おまえ・・ロボットだったろ!!」爆

セバス「おぉおお!!めるも・・お帰り!!やっと・・帰って来たか・・待ちくたびれたぞ!! これでやっとコーヒー係から解放される。ぼそ。」笑

レン「では・・さっそく・・美味しいコーヒーを入れてくれ!! めるも・・作り方・・覚えているか?」疑問

めるも「はい・・では直ぐに煎れますね!!」めるもは懐かしい厨房へと走っていった。

セバス「めるも・・身長もさることながら話し方も少し大人ぽくなりましたな。あのメリルと融合した影響ですかな?マスターセバス様によるとタン様は・あのメリル細胞も組み込んだとか?」

レン「そー言えば・・肌も以前より人間ぽく成ってるな。まっ・・でも・・めるもはめるもだからな!」笑

めるも「はーい!レン様・・コーヒーお持ち致しましたです。」めるもはレンにコーヒーを差し出した。

レン「おぉおおおお!! 流石に・・老いぼれの煎れたコーヒーと香りが違うな!!ぶぶぶ。おいちい!!」ぶひ。

セバス「それはそれは・・悪ぅーう御座いました! しかし・・めるもも無事に帰ってきて! これで一安心ですな。レン様! しかし・あのメリルリンチとか言う女!恐ろしい奴でしたな!」

めるも「セバス様・・それは違います!だって・・私を助けてくれたのはメリルさんなんですよ!! 私・・最後の言葉を聞いたんです。

 メリル・・・貴方に逢えて良かった!迷惑かけて御免なさいね! 私には・・こんな方法でしか罪を償う事が出来なかったの。今・・貴方を開放してあげる!さぁー!自由ょ!

    貴方を見て・・ほんの少しだけ・・・昔の自分を取り戻した様な気がする。有難う・・・めるもさん。」

セバス「良く解らないのだが・・・どう言う事だ?めるも!」

めるも「メリルさんは破壊される寸前に・・私を一番安全な場所に飛ばしたの・・テレポートの力で!! メリルさんは何もかも計算していた。レン様の事も・・全てを・・。自分の最後も。

メリルさんは逃げようと思えば・・テレポートの力でいつだって逃げられた・・・。でも逃げなかった! きっと・・レン様に破壊して欲しかったのかも知れない。ぐすっ。」めるもが泣いてい

る。

レン・セバス「それはどう言う事なんだ? めるも・・何か知っているのか!!知っているのなら教えてくれ!!」レンはそーっと・・めるもの肩を抱いた。

この後・・・メリルリンチの過酷な運命が語られる。 残忍冷酷だと思われていた・・メリルリンチ! 一体・・どんな過去を背負っていたのだろうか? 続く!








第六章                          ・・・5


めるも「私・・メリルさんの中にずーっと一緒にいて。時々・・そーっとメリルさんの事を調べていたの。 色々な履歴を見つけた・・目を塞ぎたくなる程・・恐ろしい物から悲しい出来事。

    全てでは無いけれど・・私が解る範囲で推測した事を話します。 まずは・・・メリルさんの誕生からね。」


メリルの記憶はところどころ消されいたり・・変更されていたりして正確な真実は解らない。めるもなりに解釈して繋ぎ合せたものだ・・・・。 

めるもが静かにメリルの記憶を辿る様に語り始めた。

めるも「メリルさんにはもう一つの名前が在ったの・・それはメリーの羊と言う。それはメリルさんが最新鋭のタイムマシンとして創られた時の名前よ! メリルさんを依頼して作ったのは・・

若くして莫大な富を手にした・・カインと言う男性。 カインさんにはリノさんと言う恋人がいて・・・二人仲良く・・慎ましく暮らしていた。小さな借家の部屋で・・・。

丁度・・その時代は・・あのルードによって引き起こされ世の中を暗黒へと引き込んだ・・ルーマンショックの時ね。 世界恐慌で人々は不安と悲しみに塞ぎこんでいた。

ただ・・カインは・・その時・・憑いていたのか? 僅かな資金を投資しただけなのに莫大な富をてにいれたの!! カインは大きな家を建て・・リノと結婚した!! まさに幸せの絶頂ね。

暫くして・・二人は赤ちゃんを授かったわ。 二人は抱き合った・・・子供も授かり自分達の未来は幸せが約束でもされたかの様に喜んだ!! そんな喜びも束の間・・あっけなく幸せは砕け散

った。 リノが赤ん坊を産んだ後・・体調を崩し亡くなったのだ。 以前の貧しい暮らしの時に・・・カインには内緒にしていたのだが・・体を壊していたのだ。

リノは最後に・・こんな言葉を残して息を引き取った。 この子の名前はリオ! あのリオのカーニバルの様に元気に華やかに明るい子供になって欲しいと・・・。

リオと一緒に居られないのが辛いけど・・・カイン。私の分まで・・この子を愛して挙げて!! お願い・・頼んだわね! 私ね・・貴方と逢えて幸せだった・・貧しかった時もいつも一緒に笑

ったり出来て楽しかった。 カイン・・有り難う・・・。

カインは暫く・・塞ぎこんだが・・リノの言葉を思い出した。 俺にはリノが残してくれた大切な娘・・リオがいる。リオを幸せにする事がリノの願いだ!!そうだ・・頑張らねば!!

リオの為に使うお金は惜しまなかった・・・リオに良いと思う物は全て買った。リオの為にお手伝いも何人か雇った。リオの為に・・もっとお金を稼がねば!!

カインはまた・・投資やレーディングに明け暮れた。リオの事はお手伝いに任せて・・・・。 カインは資産を二倍十倍へと増やした。才能も在ったのかも知れないが富豪達の間でも注目される

までになった。
或る・・富豪達のパーティに招待された時に・・カインは富豪達の会話の中でタイムマシンの事を耳にした!! そんな物が本当に現存していたのか? カインは調べた・・。

何人かの科学者と技術者の名前が挙がった。 カインはずーっと考えた挙句・・・自分のタイムマシンを作る事を決めた!

決めた理由の一つに・・・最愛なる娘・・リオを一度でも良いから・・亡くなった母・・リノに逢わせてやりたい。そんな想いがあった。 勿論・・ビジネスとしてのタイムマシンは莫大な富を

生む!それが一番の理由なのだが。 その日からカインはタイムマシンの開発に明け暮れた。莫大な資金を元に優秀な科学者・・技術者を引き抜いた。

数年後・・最新のタイムマシンが完成した!! 人工知能搭載・・時空移動に耐える為の仮死制御冷凍保存機能・・自動修復・・オ―ト化された年代制御システム。特筆なのは人工知能!!

まるでコンシェルジュでも乗っているかの様な音声ガイドシステム。まさに至れり尽くせりの特別仕様のタイムマシンで在った!!

カインは・・誰でも簡単に時空を行き来・・出来る最新鋭高性能タイムマシンとして売り出す事も考えていた。 キャッチコピーも眠っている間にお好きな未来や過去へ時間旅行!!

最新鋭タイムマシンの名前は・・・・メリーの羊!!  これがメリルの誕生・・・メリルリンチ・・のメリはメリーの羊のメリーだったのだ。

何回かの飛行試験で無事・・安全は確認された。 カインはいよいよ目的の一つだった娘リオを・・母に逢わせるべき・・過去へと飛んだ。

リオとリノは逢えた事は逢えたのだが・・・リノは過去でリオを産んですぐに死んでいるのだ。過去に戻ろうが・・産んだ後の記憶は作られない。リノの姿は過去の記憶の中でしか生きられない

のだ。更に・・世界タイムマシン協定の規則の中での制限も有り・・公けに対象者に接触出来ないのである。娘リオの心の中には・・本来・・在るべきはずの愛情は生まれなかった。

それは・・カインも感じ取っていた。生きてる物同士が逢って・・初めて感情や愛情が感じ取れる・・目の前には・・確かにリオは居る・・ただ・・やはり・・幻影なのだ。

カインは・・また・・気持ちを吹き消す様に投資やレ―ディングにのめり込んだ。 リオの事はお手伝いとメリーに任せて・・・・・。

あの日以来・・リオはずーっとメリーと一緒にいた。 過去の恐竜やマンモスを見たり・・過去でしか見れない不思議な動物や花々・・綺麗に澄んだ自然をメリーとリオは旅して回った。

いつしか・・リオはメリーに何でも話したり・・笑ったり・・教えて貰ったりする様になっていた。 まるで親子の様に・・・・。リオはメリーに変わった花や滑稽な虫を捕ってきては驚かせた

り・・笑わせたりしていた。 時にはメリーの体・・タイムマシンのボディにいたずら書きなんてして・・怒られたりも!笑  そんな事が続いている内に・・メリーの思考の中にも・・・

見知らぬ感情が生まれて来た・・・リオに対する愛・・愛情・・想い・・。 人工知能は学習していく・・何らかの変化で・・そんな感情が生まれても不思議ではないのだ。

リオは・・明るくてお転婆で優しい気持ちの女の子に育っていった・・動物や花や自然が大好きな。メリーはリオと一緒に時空の旅をするのが嬉しくて楽しくて仕方なかった・・・・。

これからも・・ずーっと続けば良いなと・・・リオと一緒に・・・・・。 あの出来事が・・起きるまで。

あの日・・メリーは珍しく強い口調で・・リオに忠告した! リオ・・綺麗な花だけど・・この花にだけは近づいてはイケませんよ!30メートル以内に絶対に近寄らないで!!


この花は恐ろしい毒を持っているの・・触ったら死んでしまうから。メリーはモニターに花の写真を映して・・リオに何度も確認した・・何度も何度も!!

花の名は・・・・ラテフォリア・マンチ二―ル。 解毒剤もまだ無い。微かな花粉を吸い込んだだけでも呼吸困難になり意識が薄れ昏睡し数時間後には死に至ると言う。

リオは・・その花には興味は無かったのだが・・その花の近くにしかいない変わった昆虫が見たかったのだ。

メリーは万が一の事態を考え・・リオに何かあればスグに信号を出す装置をリオの衣服に付けた。そして信号を受ければスグに出動する・・ロボットアーム搭載の運搬車を待機させた。

その花の30メートル以内に近づくとアラームがなるリボンを髪につけた。  そして・・事件は起こってしまった・・・・・。

リオは夢中になって昆虫を追いかけていた・・・昆虫は逃げる様に・・マンチ二―ルの方へ。 周囲は草で覆われている・・屈む様な姿勢で虫を捜す・・リオ。

夢中になっていたリオの髪にはリボンが無い・・・。何んとなく心配になったメリーはリオの多機能型腕時計に音声で注意を促した。 エリアに近づいているからスグに戻りなさい・・と。

子供と言うのは駄目だと言われれば・・・なおさら行きたくなるのかも知れない。 メリー!! 分かったわ! スグ・・帰る!! その数分後・・・リオの緊急信号が鳴り響いた。

運搬車が緊急出動し・・・リオを連れ帰った・・・が・・・リオの意識が朦朧としている。 リオは小さな声で・・・メリーごめんね!メリーが何度も言ってくれたのに・・私・・。

リオ・・リオ・・・しっかり・・悪いのは私・・あの花のある土地に貴方を下ろした事事態が・・私の間違い!! リオ・・リオ・・ごめんなさい!! リオぉおおおおおおおおおお!!!

リオは数時間後に眠る様に息を引き取った。  メリーから緊急連絡を受けた・・父親カインも・・別のタイムマシンで駆け付けた! メリー!!!何なのだ・・この状況は・・?

カインは怒りに震えていた・・・メリーは何も言えない・・どんな言葉も無意味だから・・自分の犯した罪は変わらない。

カイン「このぉーおおおお!! 役立たずがぁああああああああああ!! おまえなんて・・廃棄処分だ!! うわぁあああああああああ!!!」

この感情は親として当然の事だろう・・・メリーも理解している・・・・ただ・・そこでこの事件は終わらなかった。続く!




第六章                            ・・・6



カインはメリーに南国の小さな島に飛ぶように指示した? 地図にも乗らない小さな島。 島には原住民らしき子供や大人が数十人がささやかに暮らしている。

メリー「カイン様・・・ここで何を・・・。」

カイン「こいつらは何故・・こんなにも幸せそうに暮らしているのだ!! それに比べて・・俺は・・俺は・・・。」カインは何かのボタンを押した。

それは護身用に備えられているミサイルの発射ボタンだ!!  ドゴォーン!! 小さな島は跡かたなく吹き飛んだ!! 

メリー「カイン様・・・なんて事を・・・・・。」

カイン「ふぁああはっはは!! 皆・・吹き飛んだ・・幸せなんてこんな物だ!! 簡単に消え去るのだ!!はっはっははは!!!」カインは正気では無かった。

この事件はすぐに国際タイムマシン協会に報告された。 カインの資産は全て没収され・・カインは二度と戻れぬ・・時空の闇空間へ送られた。

当然・・・メリーの廃棄処分が決まった。 全て・・・それで・・・終わるはずだった。  そこに現れたのが・・・ルードであった。

ルードは兼ねてから軍事産業を目論んでいた。 そんな時・・どこからか最新鋭のタイムマシンが廃棄されると聞いたのだ。それをルードが見過ごすハズがなかった。

ルードは裏組織から手を回し・・賄賂を握らせ・・メリーをタダ同然の値段で内密に引き取ったのだ!!  その後・・メリーは軍事兵器として改良された。 人工知能も初期化・変更・改変!

メリーは最新の殺戮兵器へと生まれ変わったのだ。 ルードは各国の軍に売り込んだ・・・様々な紛争地帯に送り込み・・戦果をアピールした。

いつしか・・・メリーにはもう一つの名前が囁かれる様になった。  沈黙の黒羊!  突然に目の前に現れ・・殺戮の限りを尽くす!! メリーの後には草も生えない。

戦場の者達は・・・恐怖に怯えた・・何がメリーだ!! 夢? 奴が運んでくるのは悪夢だと!! その姿を見た者は恐怖の余り・・言葉さえも失う・・・と。

そんな噂が広がる中・・・一番・・悩み苦しんでいたのは意外にもメリーだったとは誰も思わないだろう。 何故・・機械のメリーが苦しむ? それは感情を持ってしまったから・・・・。

メリーはリオと旅する中で・・次第に・・リオを守りたい!守らなくては・・日に日に強くなった・・・絶対にこの笑顔は失いたくない! どうすれば・・守れる? 体の無い私が・・・。

メリーはマシン語プログラムからソフトキーボードを作った・・ありとあらゆる・・最善のシステムを作りだした。リオと古代メソポタミア文明を旅していた時に楔形文字を見つけた。

これだ・・これを使ってプログラムを組めば・・どんなセキュリティよりも強固な物が作れる。メリーは試行錯誤の挙句・・プログラムを完成させた!!

そして・・自分のプログラムの中の領域に仮想空間を作り・・更には誰にも侵されない楔形文字による絶対領域を作り上げた。 そこはメリーとリオだけが許される異空間だった。

メリーはルードの元で働く事になった後でも・・・この領域のお陰で最低限の自己と理性を保てたのだ。 ただ・・それが故に・・メリーは永く苦しむ事になるのだった・・・。

最低限の意志は保てたものの・・・マシンの改良により・・自分の本当の意志とは裏腹に殺戮を繰り返した・・その者達の断末魔の声が響き渡る暗くて深い闇の底へと堕ちて行く自分に怯えた。

メリーにとっての唯一の存在だったリオは・・・もう・・この世にはいない・・・。 その事はメリーにとって一番の悲しみであり苦痛だった。そのリオがいない・・大きな穴に次第に人間に対する憎悪・・愚かさ・・そんな意識が・・・・。自分がリオに・・してはいけないと何度も言って聞かせた言葉が・・・・。自分の中に生まれようとしている!!

もーう止めて・・これ以上・・私を・・・誰か助けて・・私を止めて・・・お願い・・おぉおおおおおおおおんん!!!

めるも「これがメリルさんの誕生から・・ルードの所で働くまでの私が調べた履歴データです・・・・。」ぐすっ。

セバス「・・・・・・壮絶な経歴だな。」ごほ・・げほ・・うぐぐっ!

レン「ジィ・・泣いているのか?」レンも目を真っ赤にしている。ぼそ。

めるも「でも・・この後・・メリルさんを解放する・・・大きな事件が起こるんです!! そーう!それがあの・・レン様やタン様・・セバス様が戦った・・一年前のルード事件。

    戦いが終わった後・・・タン様がルードの持っていたタイムマシンを全て破壊しましたよね!その時・・沈黙の黒羊も破壊されたのです・・。それで終わらなかったのですが!あはっ!

   たまたま・・持ってきた・・メリルさんのCPUと私が融合してしまって!てへ!!ご迷惑お掛けしました。」めるもが頭を下げた。

レン「でも・・なんで・・めるもと融合したのだ?」

めるも「ちょっと・・言いにくいのですが・・・私の中にも・・ホンの少し・・お留守番での一人ぼっちの寂しさが在ったりして・・それがメリルさんの想いと同調したのかも。」汗

レン「・・・・・・・・・。」げほ。

めるも「それから・・体への執着とか・・あの時・・こんな体が有れば・・リオちゃんがあんな事に成らなかったのにとか・・ルードさんに対する恨みも有るかも知れませんね。」

セバス「まぁーあ!色々と有りましたからな・・・。」ごほ・・げほ。

めるも「メリルさん・・この体を手にして・・一番に殺したかったのはルードさんかも知れません・・でも・・子供の体をしたルードさんをどーうしても殺せなかった。推測ですけど!実は私がメリルさんに飛ばされた安全な場所と言うのは・・あの摂家文字で守られた・・メリーとリオの異空間だったんです。 其処は綺麗なお花や動物達に囲まれていて・・立体映像のリオちゃんが居て・・沢山の思い出の写真や落書きがあって・・明るいリオちゃんの笑い声が聞こえて。 私・・何だか涙がこぼれてきて・・なにがあっても此処だけは守りたい!! そんなメリルさんのリオさんに対する愛情と言うか強い想いが体にジンジンと伝わってきて・・・・・。 そんな時・・私・・ふと思ったの。 もしかして・・メリルさん・・レン様に破壊して貰いたかったんじゃ無いかって。 無邪気なレン様の笑い顔とリオちゃんの笑顔が重なって・・・。 リオちゃんに対する罪滅ぼしみたいな気持も在ったんじゃないかな・・・と。」・・・・・・・・。

レン「そー言えば。ジィ―の時もとどめを刺さなかったし!あの火炎放射気も・・少しだけ後ろに下がった様な気がしたんだ。今・・思えばだけどな。爆 まっ・・そんな事はどうでも良いけど! メリル・・天国でリオちゃんと逢えると良いな!! また・・二人で楽しく笑いながらな!」

セバス「そーですな!そーあって欲しいですな!大丈夫だ・・めるもの話じゃ・・親子みたいだからな! もし神様がいるのなら・・そこまでの仕打ちはしまい。」

めるも「親子か・・メリルさんとリオちゃんの絆・・・少し羨ましいな!」ぼそ。

レン・セバス「おい!めるも・・俺達・・家族に不満なのか!!怒」 家族・・・そう・・めるもはレンの館の大切な家族なのだ・・どこよりも強い絆で結ばれた。めるもが泣きながら誤っている。

めるも「はい!大丈夫ですよね!二人も仲良く・・天国で暮らせますよね! もし・・二人の絆を引き裂く様な神様なら私が蹴飛ばしてやりますよ!うふふ。」汗 

レン「あっ・・そうだ! めるも・・今度・・一緒にメトロポリタンへ行こう!! 確か・・人間や動物やロボット達がまだ・・優しい夢を見られた良い時代らしい!」

めるも「はい!!レン様!!」

レン「じゃ・・セバスと世界征服・・準備の為の視察に行って来る!! 帰ったら・・美味しいコーヒー!入れてくれ・・飛びっきりの笑顔を添えてな!!」


                                       おしまい。