心 結 ‪˙˚ʚ💚ɞ˚˙ ここな

迷子にしたくない記憶のカケラを集めておく場所です。

ソ・ジソプの道 4

2011年06月09日 15時29分51秒 | ソ・ジソプの道

この記事は、韓国の俳優ソ・ジソプ氏の著書である『道』の韓国版を、辞書を片手に一語一語つなぎ合わせて私的に日本語に訳したものです。よってこの著書の日本語版となんら関係のないことを最初に申し上げます。 また、素人の未熟な訳であり間違いがたくさんあることも合わせて申し上げておきます。




P75
3番目のスケッチ




P76. 
南春川(ナムチュンチョン)駅 Namchuncheon Station



金裕貞(キムユジョン)駅と春川(チュンチョン)駅の間にある駅に
京春(キョンチュン)線汽車が通う。
春川(チュンチョン)駅が長い工事に入って閉鎖された状態だから、
当分はこの南春川(ナムチュンチョン)駅が
‘春川(チュンチョン)行き汽車’が行くことの出来る最終駅だ。
少しみすぼらしい姿をしているが、
旅のロマンを夢見る人たちに南春川(ナムチュンチョン)駅は
淡い思い出だ。



P79.
まだ汽車は到着しないようだ。
お待たせしてはいけないけれど、
約束時間を守らないのは嫌だから歩くのが早くなる。
気持ちが先に急ぐ。


今日僕は、
新しい友達と南春川(ナムチュンチョン)駅で会うことにした。




P80.
夜が明けて来た。
一番列車が到着する時間になる。
誰かを待つことに慣れている僕も少し浮き足立っている。
しきりに時間を見ることになる。

気になることが本当に多い。
この頃の大学生たちはどんな歌手が好きなのか。
学校は面白いのか。
合コンで人気がある男子は誰なのか。

ともかくこの友人に会ったらなんと呼んだら良いのだろう?
タミさん? タミ氏? これじゃないような、
そのまま名前で呼ぶのだろうか?


あ、そうだ、鳥博士殿と呼ばないといけないみたいだけど?



P81.
少し疲れていたみたい。
追われるような僕の生活。
何の計画もなくむやみに身体を部隊のようにして
がんばって乗った汽車は…





そこに到着できることになったらお酒を一杯飲みたくなって
夕方戻ってくる僕の酔っ払った姿もいいだろうね。

春川(チュンチョン)行きの汽車は僕を連れていくよ。

キム・ヒョンチョルの‘春川(チュンチョン)へ行く汽車’の中から…



P82.

これで遠くにいる鳥も詳しく見ることができるのでしょう? 

幼い時から鳥が好きで
鳥を探してあちこち通ったという二十歳の女の子は、
こんな風におもちゃみたいな双眼鏡を首にかけて現れた。

だけど、この小さいのが300万ウォンもするのだ!
その言葉を聞いたら気軽に触るのも用心深くなる。



P83.
ぎこちないということを隠そうと先に話しかける。


ボーイフレンドはいる?

いいえ、

最近のアイドルは誰が好き?

BEASTです。

そうなんだ.....


頭をポリポリ、僕が凄くおじさんみたい?



P85.
鉄原(チョルウォン) 青鷺の生息地 Habitat Heronsin Cheor Won

鉄原邑(チョルウォンウプ)民間人出入り統制地域に位置して
青鷺と白鷺の集団棲息地で知られている。
青鷺は朽木、湿地、畑、小川、川、河口などの水辺で
単独または2~3匹ずつ小さい群れを成して活動する。
この場所は戦争前に鉄原郡(チョルウォングン)庁があった場所で、
今は木が生い茂るように場所を占めて森を成し遂げていて、
地雷があるということを知らせる立て札の向こう側で
木ごとに巣を作って上っている真っ白な青鷺の姿を
ひと目で見ることができる。



P87.
理由は分からないが飛ぶ鳥が別に好きではない。
実は恐ろしい。
鳥が羽ばたきをする時やくちばしで餌を突く姿を見た途端に
恐ろしいという気がしたりする。
鳥が怖いという話をしたら
鳥博士に冷やかしでも受けることは分かっていたけれど、
意外な返事が返ってきた。



“私もときどき鳥が怖いです!”


本当に鳥博士に相応しい言葉なのか?


かえって僕が意地悪をしてからかうから当惑して苦笑する。

間違いなく二十歳の女の子みたいだ。




P91.
DMZだけで見ることができる鳥はいますか?

鶴です。
特に真鶴と丹頂鶴が一緒に棲息する場所は、
ここ鉄原(チョルウォン)しかないんですって。
全世界でも唯一の場所がここです。
各自棲息する場所は何箇所かありますね。
丹頂鶴と真鶴が一緒に生息することを見て
外国人たちもとても不思議に思うそうですね。
鉄原(チョルウォン)は平野であり水辺が多くて
鳥が過ごすには本当に良い場所です。


ひょっとして我が国にはいないのに
北朝鮮で見られる鳥もいるの?


キタタキです。
韓半島にだけに棲んでいると知られた貴重な鳥なのに、
絶滅したという話が多いです。
私も見たことはないけれど、
なぜか北朝鮮に行けば見ることができそう。
どこででも必ず生きていればいいな・・・・・。 



P93.
鉄原(チョルウォン)丹頂鶴館 Museum of Red-Orowned Cranes in Cheor won.



丹頂鶴という渡り鳥を主題にした
写真や動物の剥製を見ることができる展示館だ。
本来は展望台に使った建物なのに、
今は民間制限線で発見される希有具類や丹頂鶴、
鷲など赤鹿のような野生動物が展示されている。
自然死した動物たちをそのまま剥製にして展示していて、
あたかも生きているようだった。


P95.
丹頂鶴は“トゥルルトゥルル”と鳴き、
丹頂鶴も平和と長寿の象徴ということだ。
鳥博士様が傍でこのように同時に説明するから更に面白い。
ガイドが別に必要ないくらいだ。
好奇心が湧く。


丹頂鶴は普通どのくらい生きますか?
普通は30年? いえ、70年だったかな?
記憶にあまりないです。
おっと、博士が知らないこともあるのか?



P98. 
東京貯水池  Togyo Reservoir.

鉄原(チョルウォン)郡、東松邑(トンソンウプ)
ヤンジリにある東京貯水池は周辺景観がとび抜けており、
澄んだ水のおかげで様々な魚が多く棲息する。
冬になれば絶滅危機にある丹頂鶴と真鶴などが訪れて来て
渡り鳥を助けろという張り紙もある。
住民たちが死んだ家畜などを放っておけば
これを食べるために鷲の群れが集まる。
数十万匹の鉄雁が一斉に空へと飛び上がって
白い丹頂鶴が姿を誇り、
素早い鷲たちが餌に向かって飛び込む姿は
ドキュメンタリーに出てきそうだ。



P100.

僕には遠足についての記憶がない。
学校に通っていた間は運動をしていたために
季節ごとに選手たちと一緒に行く合宿訓練がすべてだった。

遠足に行く気分はこんなかんじなのだろうか?



P102.
田舎の村で生まれ育って鳥と一緒なのが自然だった子供。
十歳の時、お母さんが図書館から持って来た
あるビラを見て子供は衝撃を受けた。
坡州(パジュ)積城面(チョクソンミョン)トジリで起きたことで
農薬を食べた雁を食べた鷲の群れの死を知らせる広告物だった。
無残に死んでいる鷲の群れの写真は非常にぞっとした。

このことがきっかけになり小学校4年生の子供は、
鳥についての本を片っ端から探して読んだり、
気になる鳥ができれば直に探しに行った。

石キジを見ようと雪に覆われた森を4時間以上も彷徨って
足に凍傷を負って帰って来たりもした。

高等学校をまだ卒業する前に
鳥類写真展とセミナーを開催して様々な論文を発表した。

我が国の最年少鳥類研究者、チョン・ダミは今やっと22歳。
大学のニューフェイスという、
まだしてみたいことも見たい鳥もとても多い。






鳥類生態学者になりたいです。
もっとたくさん学んで勉強するでしょう。
鳥と人が共生していく世の中になったら良いですね。
人々にたくさん知ってもらいたいです。
鳥がどんなに美しいのか、またどれくらい美しく歌うのかを。


― 鳥類を研究する者 チョン・ダミ ―



P104.
あそこ、あの場所が冬だったら鷲が飛び込む所です。


鷲はどれくらい大きくなるの?

鷲は2メートル少しこえます。
冬にここを訪れる丹頂鶴は鷲より少し小さいです。
ハゲ鷲、聞いたことがあるでしょ?
本来はそのままの鷲なのにハゲているとハゲ鷲と呼ばれるの。
そんな風に呼んではいけないけれど。ハゲ鷲はハンティングが出来ません。
人が豚や牛を放って置けばそれを食べてそこで休んでいきます。


あ~、それでハゲ鷲なんだね。タダ好きで。

動物の臓器には脂肪が多いでしょ。
そういうのをくちばしで突いたら脂肪の塊が度々頭にくっつく。
そのところには毛が生えないそうです。それでハゲ頭です。



P105.

おっ? 一羽見える。
少し前、そこ、青サギが電信柱に優雅に立っていましたよ。
ハンティングに行くみたい。立ち上がりました。




P106.
人はもしも鳥になることが出来たら行きたい場所やしたい事などを想像する。
空を飛ぶのが夢だと言う人もいる。
でも僕は、そんな想像が雲を掴むようで考えてみたこともない。
関心がないことには神経も使わない性格のためである。

俳優で成し遂げたい夢のほかにひとつ、更にあるなら僕はホテルを持ちたい。
幼い時からそうでした。ホテルがただ漠然と好きだった。
入口に入った時からのときめきとベッドに横になった時に押し寄せてくる
旅行の始まりを告げる幸福感に等しい。


理由は良く分からないけれど僕はただホテルが好き。
僕だけの素敵なホテルを持つのが僕の夢だ。




P107.
ところで、もしかしてこの声も鳴き声なの? 聞こえる?
これは虫の音だけど・・・・・・。



P109.
鉄原(チョルウォン)駅



戦争前は京元(キョンウォン)線と金剛山(クムガサン)線が通っていて、
今のソウル駅と大田(テジョン)駅くらい人々が多くて、
その規模は雄壮だったという。
朝鮮戦争により列車の運行が中断されて、
現在は廃墟と残骸が残っている。
草が茂った田畑の周辺に過去、鉄原(チョンウォン)が
とても栄えた所であったことを知らせる立て札と駅の跡、
そして線路が残り、この場所が鉄原(チョルウォン)駅であったという事実を
かろうじて知ることが出来る。



P110.

ある日、すべてのことが消えてしまい、死んだ都市に来た気分になった。
カメラにこの静寂を入れる。
シャッター音が妙に大きく聞こえる。



P111.
鉄原(チョルウォン)で出会った人たちは他の都市の人たちとは違った。
自らの故郷を訪れてくれた人たちがただ好きで嬉しいのでしょう。
どんなことでも教えてくれて、一つだとしても更にしたがる。
本当に素朴な人たち。
孤独な人たち。

“それでも戦争前にはここがソウルに劣ら大きなとしだった。”
大きく復興した時期の自負心を持って過去を夢に見て生きる。


誰かに会いたい気持ち。
何かを待つ気持ち。すべて人が恋しいためだ。




P112.
ソウルから金剛山(クムガンサン)に
修学旅行に行く学生たちは、
当時、いわゆるお金持ちの家のご子息たちだったというけど。
鉄原(チョルウォン)駅に下りて弁当を食べて休み、写真を一枚。
 

みんな どこへ行ったのか。



P115. 
湖畔鳥(学名 Halcyon coromand / 赤翡翠:アカショウビン / 異名 火の鳥)
が好きだという、そうだったでしょう?
くちばしからつま先まで全部赤い色で目も大きくて可愛くて
好きだと言ったじゃない。
タミが好きな湖畔鳥のように派手に格好良く生きる。
今出来る事を逃さず、楽しみながら。
ボーイフレンドも作りたくさん遊んで、もっと思い考えながら。


表面だけが派手で中身が空っぽなのではなく、
その中身までぎっしりと詰まった、そんな人に。




P116.
Sketch book



P117.
自由に飛んでいなければならない鳥が、
しばしビューポイントの中に閉じ込められた。



“鳥よ、思いっきり飛べ!”