こちら九州はまだまだ暑すぎます。
関東方面は台風の影響で気温が低いそうですね。
というより、台風の影響が心配されます。
無理はくれぐれもしないように。
翁長知事・津川雅彦の訃報・・・・。
山根明の辞任・・・。
つぎつぎニュースが舞い込んできます。
では・・・。
結果発表です。
★★★
階段を下りれば氷菓を供される ちせい
〇(藤三彩)階下の住人との老人会の茶話なんですかねぇ
火蛾昇る螺旋の線描御舟の絵 藤三彩
◎(敏)階段の写真から、燃え上がる炎の周りを螺旋状に舞う白蛾の群れを描いた速水御舟の傑作「炎舞」を想起された感性に、ただただ脱帽。
(選外)(道人)御舟の日本画同様に描写が行き届いた句です。速水御舟は知りませんでした。
夜濯や断水やっと解除され 泉
〇(藤三彩)この七月豪雨でえらい目に遭遇されたのでしょう。この日照りが続き貯水率が低減すると節水調整を免れる聖域(23区など)はなくなるそう。困るな。
〇(春生)被災地にとって、断水はいのちに関わる事でした。「やっと」というところに、実感がこもっています。
〇(まきえっと)「やっと」に待っていた気持ちが出ています。
○(ちせい)季語は「夜濯」。良かったとしか言いようのない状況。「解除」に万感の思いが。
〇(宙虫)水を使えることが、明日へつながるのがよくわかる。
二階への広き階段谷崎忌 アネモネ
〇(春生)谷崎忌は7月30日。階段から谷崎潤一郎を連想したところが見事。
◎(卯平)耽美な世界を繰り広げる谷崎文学。この句の成功は上五の(への)である。作者の観察力が滲んでいる。広き階段を上がったその部屋で谷崎が認めている作品。果たしてどの作品か。写生が効いた句である。
〇(藤三彩)谷崎潤一郎は東京オリンピックの翌年、昭和40年7月30日に湯河原町吉浜の湘碧山房で亡くなった。人形町で生まれ関東大震災で西へ、転々とした人生(79歳)。
〇(珠子)写真がなければわかりにくい句ですが、写真を添えれば、ふつふつとイメージがわきます。
◎(ちせい)季語は「谷崎忌」。作家の人徳に合って居る様な。
宿帳に遠き日の君夕焼ける 道人
○(アネモネ)そんなこともあるだろうな。
○(幹夫)夕焼に遠き日の思い出が映る。
〇(珠子)半世紀も前のことでしょうか。
○(餡子)昔。君と行った宿に、今一人で来ています。二人で見た夕焼けは変わらない。変わったのはきみの心・・・・。
◯(あちゃこ)思い出はほろ苦い。初恋の人でしょうか。
○(敏)かつていとしい人と宿った旅館をひとり訪ねた際の、記帳を前にしての感慨でもありましょうか。
◯(アゼリア) 若き日に二人で来た宿に今日は一人でーなんていろいろ想像してしまいます。
(選外)(ちせい)季語は「夕焼」。思いが伝わる句。「遠き日の君」はもっと向上が図れる箇所だと思いました(私見)。
猛暑日に何を勇みて館林 幹夫
◎ (多実生) 勇みて館林に向かった頃は、はるか忘却の彼方です。館林から渡良瀬川の橋を渡ると私の故郷で、館林と同じ猛暑です。
闇抜けてなお夏の闇北の宿 あちゃこ
○(餡子)やはりあの3枚の写真からは、昔の宿のイメージが浮かびました。共感しました。
〇(仙翁)闇の続く感じ、こころの闇でもあるような。
〇(宙虫)北の宿がちょっと残念だが、抜け出せない夏の闇が面白い。
康成のゆかりの硯洗ひけり 春生
○(アネモネ)なかなかいい想像力。「硯洗ふ」いいですね。
○(卯平)康成は(こうせい)と読んだ。と言うのも高校生時代であったか、文学講演会で講師が川場康成は(かわばたこうせい)と読むのが正しいと言っていたのが五十年経った今でも鮮明であるからである。だから上五は(こうせいの)と読んだ。そう読む事で中七下五が生き生きとした句になると鑑賞した。彼が愛した硯と彼の面影が二階の部屋に今でも残っている様子が見える。
○(ちせい)季語は「硯洗ふ」。川端康成。言わずと知れた文豪。骨董収集の趣味もあったようですね。
(選外)(藤三彩)硯洗(すずりあらい)は七夕の前夜に洗い清める風習だそう(初秋)。洗うには手元で愛用していなければね。俳句は平気でウソをつく。
階段を見上げ佇む白き夏 仙翁
北上のクマ蝉は未だ来ぬ住処 多実生
〇(道人)北上地方の山深い住処は在所でしょうか?「クマ蝉」の片仮名標記も散文調も、山国の遅くて短い夏を効果的に表現していると思いますが、好みもあるでしょう。
大正のランプの宿や湖晩夏 餡子
○(泉)レトロな雰囲気がよく出ている、と思います。
〇(仙翁)いい雰囲気ですね。内と外の情景がいい。
○(敏)三枚の写真が醸し出す雰囲気を、「大正のランプの宿」と見て取っての作でしょう。「湖畔の宿」のメロディーが聞こえてくるようです。
◯ (アゼリア) 本当に大正のランプという感じです。
(選外)(道人)ランプ引き寄せふろさとへ帰りたい。「湖畔の宿」は良いですね。
蜘蛛の巣がからまる夜の笑い方 宙虫
◎(仙翁)何となく、雰囲気がいいですね。面白い。
◯(あちゃこ)ミステリアスな一句。
〇(まきえっと)絡まっている様子が笑い方と合っています。
晩夏光かの小説を書いた部屋 珠子
◎(アネモネ)脱帽です。「晩夏光」が効いています。
○(泉)どの様な小説なのか、いろいろと想像しました。
〇 (多実生) 伊豆湯ヶ島温泉だったと思いますが、宿を求めてさ迷い走っていた時、川端康成ゆかりの宿の看板に出会いました。掲句の様な部屋が有るに違いないと思いました。
〇(道人)「谷崎忌」「康成のゆかり」の句同様、文人の滞在した温泉宿のイメージが広がって来ました。志賀直哉ほか...
○(餡子)きっと大文豪でしょう。太宰でしょうか、康成でしょうか、三島でしょうか・・・私は梶井基次郎あたりだと思うな。
〇(まきえっと)いろいろと想像できますね。
窓越しに明日登る山河鹿鳴く アゼリア
〇(藤三彩)まずは山の出湯に浸かってからの登山。あらま!なんて素敵なの
〇(珠子)明日も晴れそう。気持ちの昂ぶりが伝わってきます。
〇 (多実生) 清流に棲む河鹿が聞える山の宿。明日の登山。高山は標高二千を越えると暑さは感じない温度で快適です。
〇(道人)登山口の宿、明朝の登山への思いと「河鹿鳴く」がよく合っています。
〇(宙虫)素直な句だが、情景から心情までうまく「河鹿」にのっけたと思う。
水場には水場の掟夏期講習 敏
○(ルカ)水場の掟、確かににありそうです。着眼点がよい。
◎(春生)夏期講習会の水場の様子がイメージされる句。
○(泉)「水場の掟」とは、厳しい表現ですね。
○(卯平)上五から中七の叙事は見事である。しかし、季語の位置がこの句を低迷させている。しかし、相対的には並選とした。それは上五と中七の叙述に俳諧を感じたからである。
○(ちせい)季語は「夏期講習」。掟を破れば報いが。
(選外)(道人)「ルールを守って!」先生の顔が浮かぶようです。
階段の最後は地べた夏の果 ルカ
◎(幹夫)至極納得。
〇(珠子)あれ?と思えるこういう句も好きです。夏の果という季語もそっけなくてぴったり。
階段を下りて酷暑の街に出よ 卯平
◯(ルカ)酷暑の街 はつらい。けれど、階段からなら勢いよく飛び出しそう。
海風の上る階段西日濃し まきえっと
○(幹夫)西日の景がよく詠まれています。
〇(珠子)写真を見て真っ先に感じたのは晩夏の高原の光と風。海風には多少抵抗はありますが、光と風を詠みたかった気持ちは同じですので。
〇(道人)「風上る」が佳いですね。
〇(仙翁)外の景色も見え、いいですね。
洗い場の窓を開ければ蝉時雨 仙翁
○(アネモネ)素直でいいですね。
○(幹夫)蝉時雨の景がよく見えてきます。
〇 (多実生) 窓を開けると油蝉。鳴けば秋が来る、つくつく法師が鳴くのが待ち遠しい。
八月の蛇口は今も開けしまま ルカ
○(卯平)八月は戦後の日本人には特別の感がある。この句、あの時と同じように「水ヲ下サイ」と今でも言っているのだ。峠三吉の詩を踏まえた上での吟行句として成功している。特選を迷った句である。敢えて言えば十七文字としての完結が少々生温いと判断して並選とした。
◎(まきえっと)八月の季語がとても効果的です。平和な世界でありますように。
万緑の湯煙に溶け山の湯屋 アゼリア
○(ルカ)景が浮かびました。
ガラシャ忌のカーテン越しに外を見て アネモネ
◯(ルカ)ガラシャ忌、考えたこともなかったです。夏だったのですね。
〇(春生)ガラシャ忌は7月16日か。キリシタンとして生き抜いたガラシャへの思いが伝わってくる。
○(卯平)中七から下五は当たり前。だからどうなのと言いたくなる。だからこの句を救うのは上五の季語。果たして(の)で切れているか。私には切れとしては感じられない。勿体ない句である。だから並選とならざるを得なかった。
◎(藤三彩)えらい昔の忌日の発見。大坂玉造の細川屋敷に幽閉されていた細川ガラシャ。石田三成の兵が来ないかと外を見張らせていた慶長5年7月17日。
○(敏)異国的な雰囲気の三枚目の写真から、細川ガラシャさんの没日を思い浮かべたのでしょう。
〇(まきえっと)ガラシャとカーテンがいいですね。
○(ちせい)季語は「ガラシャ忌」。関ケ原の合戦の直前に死亡した女性。運命に翻弄された女性を配して効果を持ちました。
〇(宙虫)カーテンが隔てる外の世界。ガラシャの登場でドラマを生む。
深窓の令嬢の噂夏深し 餡子
○(泉)今でも「深窓の令嬢」なる女性が、いるのでしょうか?
手を洗ひ河鹿の声をしかと聞く ちせい
〇(春生)「手を洗ひ」が不思議を「河鹿の声」に響いている句。
短夜やひとりで唄ふ別れ歌 卯平
〇 (多実生) 唄う事は有りませんが良く聞きます。
◯(あちゃこ)眠れぬ夜は別れ歌が似合う。誰の唄?
◯ (アゼリア) 中島みゆきの歌が聞こえてきます。
寄る年に手摺に頼る夏の駅 多実生
○(泉)この暑さに、足腰は弱っています。手摺が頼りですね。
つくつくぼうし最期の鍵をかける窓 宙虫
○(ルカ)ドラマがあります。
○(幹夫)地上に出て八日目の法師蝉、夕方の景です。
○(卯平)季語の位置が明確ではある。しかし少しつきすぎか。これを蝉時雨とやってしまうと完全にアウトである。中七下五の叙述は物語性を十分含んだ自己投影が感じられる。季語が果たしてこれで良いかどうかであろう。と言って他の季語との響きはなかなか見出せない。捨てがたい句ではある。
◎(餡子)なるほど!物語性を感じる写真でしたから、この句はよくそのあたりを、掴んでいていいなあとおもいます。色々なストーリーを考えてしまいます。
◎(あちゃこ)廃業の宿でしょう。寂しさと思い出が募ります。
○(敏)この部屋の主の最期を看取っての一句でしょうか。BGMだった蜩の声が次第に消えていくような、一篇の物語を想起できそうです。
〇(まきえっと)「最期」が切ない。
階段の手摺にすがる酷暑かな 泉
○(アネモネ)今年の暑さ一句にいい具合にまとまりました。
〇(春生)毎日、暑いですね。この句、臨場感がある。
○(ちせい)季語は「酷暑」。切実さを象徴する手摺。暑さも少しは和らげられた。
◎(宙虫)手摺、暮らしていくのにいろんな場面で登場する。酷暑がその事実を教えてくれる。
百年をひさぐペンション青胡桃 珠子
◎ (アゼリア) 青胡桃の季語が新鮮です。
(選外)(道人)「ひさぐ」は中々出て来ない言葉です。
白蓮の恋情燃える夏館 藤三彩
○(アネモネ)「白蓮」が出て来るとは驚きました。一句を読んで納得です。
○(餡子)柳原白蓮ですね。なるほど、なるほど。
○(敏)写真が醸し出す旅館の雰囲気を、柳原白蓮が決意を胸に秘めながら、出奔前に滞在していた旅館のイメージに重ねての作句でしょうか。「夏館」の斡旋が見事に決まっています。
◯ (アゼリア) この写真から白蓮、夏館ー柔軟な発想に驚きました。
円涼し灯籠・盥・万華鏡 道人
◎(珠子)「円いものは涼しい」という発想にびっくりぽん。灯篭と万華鏡の間におかれた盥には唸りました。この暑さですから、俳句も斬新に刺激的に。(自分にはできませんが)
晩夏光いつもどこかがうす暗く まきえっと
〇(藤三彩)例年だとこんな感じがしますが、今年は熱中症注意警報警戒が連日続き、いつ夏が果てるのかわからない。洗濯ものがよく乾きます。
○(餡子)そう、昔の家というのは、必ず暗いところがありました。それが心を育てることにもなっていたのでしたが、今はどこもかしこも明るくて、闇を知らない世になってしまいました。
〇(仙翁)何時も何処かは、日の届かない、その通りかもしれません。
白壁の割れ一筋に晩夏光 幹夫
◎(ルカ)何も言っていないところがよい。
〇(道人)白壁に焦点を絞った写生句で、晩夏光が生きています。
◯(あちゃこ)宿の切り取りがうまい。何気なさに惹かれます。
さやけしやひと日休暇の旅役者 春生
◯(あちゃこ)旅役者?自身を見立てたのかな?ありそうでなさそうで面白い設定。
◯ (アゼリア) よく旅役者なんて思いつくと感心してしまいました。
汗拭う手で掴みとる火星かな あちゃこ
○(幹夫)涼しげな火星ですね。
◎(泉)ダイナミックな俳句だと思います。火星が接近している様ですね。
〇 (多実生) 熱帯夜に起こされて、真南に燦然と輝く火星。次回の接近は見る事は出来ないのでじっくり見ました。
◎(道人)火星を掴みとりたい、ですね。でも汗なんて一瞬で消えてしまいそう。熱帯夜、火星の大接近の雰囲気がとても良いですね。
〇(仙翁)今、火星が赤く、丁度山の上に見えます。
〇(宙虫)火星も汗でべとべとになるんじゃ?
緑蔭から窺われているサッシ 敏
★★★
では、次回の告知まで・・・・・。
宙虫でした!
広島は、まだまだ暑い日が続いています。原爆忌があり、そして長崎の原爆忌があって、あの日はどれほどに暑かっただろうか、と想像してみます。平和は有り難いし、感謝です。