おはようございます。
沖縄は梅雨明け。
明日は寝不足になりそうですね。
兼題:柱
父の日や大黒柱の照れ笑い 泉
○(瑠璃)大黒柱の照れ笑いの暗喩が面白いです
◎(ルカ)いかにも、ニッポンのお父さん!黙々と家族のために、日本の明日のために。
電柱も赤きポストも五月雨るる 幹夫
白日傘柱暮らしは差が広し 吾郎
梅雨の雷お城にも欲し心柱 藤三彩
橋柱をS字に抜ける蛍の灯 仙翁
〇 (多実生) 川に降りたのでしょうか?蛇など足元に注意です。
◯(あちゃこ)蛍を見たのはいつだったか?ゆるやかなカーブを描いていく蛍。
〇(宙虫)蛍が飛んでいく。S字が動きのある句にした。
〇(まきえっと)「S字」がよいですね。
立ちそうで立たぬ茶柱父の日や 敏
○(アネモネ)いかにも父の日らしい景。
○(瑠璃)何だか現代の父親像が表現されているように感じました(笑)
〇(瞳人)きょうくらい、立てえと、気合を入れたのに
◯ (アゼリア) 母の日なら茶柱立ちそうですよね。
(選外)(ちせい)座5に切れ字を使うのは全然OKだそうですが、この句の場合は「父の日や~」としたほうがいいのかなあと思いました。
電柱の影黒ぐろと蛍狩 春生
○(アネモネ)懐かしい蛍狩です。
○(吾郎)黒ぐろの表記がすごい。蛍は儚いというより乱舞するイメージか。
〇(珠子)暗闇のものの形にも確かな濃淡があり、電柱は濃く。
夏の月太き柱の深き傷 ルカ
〇(瞳人)いつ、たれが、なぜ、分らないから、深いのですね
○(吾郎)刃傷沙汰か、はたまた歴史的アイコンか。
〇(仙翁)月と柱と傷、面白いですね。
四股踏んで柱突いては昼寝して アネモネ
◎(幹夫)当にお相撲さんの日課が佳く詠まれています。
〇 (多実生) お相撲さんは昼寝するたび強くなるそうです。
○(泉)大相撲の力士たちに取っては、これが日常なのでしょう。精進の日々ですね。
◯(ルカ)相撲ファンの私としては、取らざるを得ない句です。
◯(あちゃこ)中七が少し気にはなりますが。夏の稽古は辛い!四股と昼寝の取り合わせが楽しい。
〇(まきえっと)毎日の積み重ねが大事ですね。
草野球投打の柱こけた夏 多実生
○(泉)ピッチャーで四番。投打の柱がこけると勝てない。
(選外)(道人)「青春」ですね。
木製の柱失くして街青葉 宙虫
◎(泉)大都会はコンクリートの集合体です。味気ないですね。
青梅雨や柱時計の鳴る駅舎 道人
◎(アネモネ)上手い。青梅雨が効いています。
○(瑠璃)柱時計ってあまり見なくなりました。郷愁を誘います。
〇(春生)季語「青梅雨」で、この駅やこの駅を利用している人々の生気が伝わってきます。
○(敏)青葉隠れの古い駅舎に柱時計。いかにも時代に取り残されたようなローカルな風景に懐かしさを感じました。
◯(ルカ)柱時計のある駅舎、惹かれます。
◎(あちゃこ)季語が効いています。柱時計の音が懐かしい。ネジを巻くのは、私の仕事でした。大きな柱時計の音は、力強く温かでした。
◎(宙虫)実際全国にどれだけあるのだろう。小さな駅舎と数人の客のいるのどかな光景に青梅雨が鮮やか。
◎(まきえっと)「青梅雨」がよいですね。駅を使用している人も見えます。
適塾の柱滴り知と情と 瞳人
〇(藤三彩)柱の滴りは着眼。大阪船場にある蘭医緒方洪庵の塾、堂島浜にある福沢諭吉の中津藩屋敷も近い。
あさがおの支柱を作る朝涼し 瑠璃
○(幹夫)夏の風物詩「朝顔」です。ここでは、下句「朝涼」を季語として詠まれているのでしょう。
〇 (多実生) もう、そんな季節になりました。花が待ち遠しいですね。
○(ちせい)季語は「朝涼し」。あさの涼しいうちに朝顔の支柱でも作ったのかもしれない。
蚊柱の向こう徳川家別邸 珠子
○(吾郎)時空を超えたイメージ。あの夏なにがあったのか…。
◯(アゼリア)蚊柱まで格調高そうですね。
無造作に柱にかける夏帽子 まきえっと
○(アネモネ)無造作が夏帽子にぴったり。
睥睨す電柱にのる夏鴉 アゼリア
中心の柱を蟻が下りて行く ちせい
茶柱の立つ退職日百合真白 あちゃこ
〇(藤三彩)長い間お疲れさまでした。最後の退社時にユリの花。それって棺に添える花じゃないかな。
〇(春生)退職の日のすがすがしさや退職後の幸せな日々などが思われます。
○(敏)茶柱と共に白百合が、無事に迎えることが出来た退職の日を、祝ってくれているようです。
〇(まきえっと)こういう些細なことに気を配れるのって幸せだなと思います。
テーマ:開く
蟇の鳴く闇に包まれ山の宿 アゼリア
○(アネモネ)蟇の声が聴こえてきそうです。
〇(仙翁)何処の山かな、いい所ですね。
(選外)(藤三彩)ガマガエルの蟇と言わずに青蛙、雨蛙とか河鹿とか山辺らしいのに登場してもらってはどうかな
籐椅子の一言ずつの会話かな ルカ
◎(吾郎)せせらぎにまぎれた時間。言葉は硬いが柔らかい気持ちに。
◎(道人)何方かともなく口を開く老夫婦の、ゆったりとした暮らし。人生の奥深さを感じる。
てのひらをそっと開きて夕蛍 道人
○(幹夫)やさしさに共感。
〇(瞳人)うまーく逃がしてやってね
〇 (多実生) 手の中の蛍、そっと開いて見る。もう匂いがついています。
〇(春生)動作が目に見えるようです。
○(泉)詩的な俳句だと思います。
梅雨晴や傘を開きて天日干し 幹夫
○(ちせい)季語は「梅雨晴」。お天道様の恩恵に浴して傘は乾く。
山鳩のグゥグゥポッポー合歓の花 珠子
(選外)(道人)擬音に納得の山里の風景。
朝日ジャーナル終刊号の黴臭つさ アネモネ
◎(瞳人)ジャーナルどころか、本紙だって、カビ臭くって、読めない代物になってしまいました。そういう自覚が見えない悲しさ、こういう時事句も、あくしは是と致します
◎(敏)思えば今は、ジャーナル廃刊から三十年以上は経つでしょうか。「右の手にジャーナル、左手にマガジン」といわれた時代からはほぼ半世紀。最終号に漂う黴臭さは容易に想像出来ますね。ことに「黴臭つさ」では大いに鼻についたことでしょう。
○ (ルカ)私も、いまだ持っています。ある時代の象徴の雑誌。
(選外)(幹夫)南京虐殺の大誤報、自作自演の沖縄珊瑚礁事件etc.終刊号に限らず「朝日」=「フェイク」なところは、黴臭いというよりは、きな臭といった方が適切かもしれません。
全開の木造校舎枇杷の風 あちゃこ
◯(道人)6月一杯はエアコンなしですね。「枇杷の風」が素敵。
◯(アゼリア)香りの良い爽やかな風を感じます。
ガレージにすっと舞い込む燕の子 仙翁
◎(瑠璃)躍動感を感じます。
梅雨晴間家の空気を入れ替える 泉
戦端を一気に蜜蜂熊ん蜂 敏
○(ちせい)季語は「蜂」。春の季語ですが、「戦端を一気に」に惹かれました。
ボート漕ぐ開襟シャツの美少年 瑠璃
〇(春生)夏の到来の力強さ、若々しさを詠っています。
◯ (アゼリア)本木雅弘の若かりし日のような凛々しい美少年なのでしょうね。
水平か母屋から蚊帳も開閉す 吾郎
◯(道人)やや落差のある母屋と離れ。母屋から離れの蚊帳を開閉する景でしょう。目の付け所が違いますね。自在な回文句です。
梅雨に入る開かれて行く操作盤 ちせい
”ほ”と聞こえそう埴輪の口開く桜桃忌 藤三彩
〇(宙虫)桜桃忌と埴輪の取り合わせが面白い。
山開き姿はなやぐ登山口 多実生
(選外)(藤三彩)山ガールが集まるような想定をした句なのでしょう。実際彼女らの歩きながらのおしゃべりは五月蠅いものです。
黒南風のマーチ帆船フェスティバル 宙虫
胸開きぞろつぺ洗ふ梔子の香 瞳人
雲中の富士に合掌山開 春生
○(アネモネ)山開きの朝の景が神々しく見えてきます。
○(幹夫)古来霊峰富士、山梨県側(吉田口)所謂裏富士の山開は7月1日、静岡県側(須走口)所謂表富士の山開は7月10日だそうです。
〇(珠子)山開はこういう天候も多い時期でしょうが、その健脚には更なるご利益がありましょう。
◎ (多実生) 感激の一瞬。それではゆっくり登って下さい。感動が待っています。
水中のカバの瞬き夏の雲 まきえっと
〇(藤三彩)カバがガバッとその口を開けた時の様子がユーモラスに想像できます
○(泉)何となくユーモラスな俳句だと思います。
〇(仙翁)カバの瞬きとは面白いですね。夏の雲もいい。
○(敏)このカバくん、水中では口は開かずに両目を瞬いているのでしょう。水面に落ちる夏の雲を何物かと見つめているのでしょうか。
◯(あちゃこ)開くからの発想が絶妙。
◎(アゼリア)暑い日に気持ち良さそうです。目を大きく開けて空を見上げるのでしょうね。
雑詠
くらくらと魔性の匂ひ笊の梅 瞳人
◎(藤三彩)三日三晩の梅干しの天日干しの様子。赤紫蘇の香りと色も妖艶さを増し加えます
◯(道人)やや熟した実梅に魔性を感じる作者の感性に脱帽です。
遠浅のシューノーケリング夏の味 瑠璃
鶏が水飲む姿見る日永 多実生
御仏の前の殺生蝿を打つ 幹夫
〇(春生)罪悪感のような、心の微妙な動きがいいですね。
支持基盤雷雨にほどけて行く物が ちせい
あかつきの蟻雨樋をさかのぼる 敏
〇(珠子)朝早くから斥候の蟻でしょうか。時々、畑の野菜や庭の花などについてきてしまった蟻を捕まえては外に逃がしていましたが、はぐれた蟻は、フェモンが違う仲間には受け入れてもらえずに孤独死しかないということです。働きものの蟻の世界のきびしい掟。
〇 (多実生) 何の用事でしょうか?それにしても、登りも下りも同じスピードなのは何んとも不思議です。
◎(春生)この世の生きとし生けるものに、いよいよ一日の始まるのですね。
〇(仙翁)景が面白いですね。何を見つけたのでしょうか。
◯(あちゃこ)非力な蟻のなんと逞しいこと。
(選外)(道人)明け方の散歩前の一瞬の景を切り取って巧い。常在句材あり、なのでしょう。
丈長き竹のくつべら太宰の忌 アネモネ
◯(ルカ)ファンの方には申し訳ないですが、太宰の文章も人物も昔から全く関心がありません。靴べらの薄っぺらさが太宰忌に合ってます。
◯(あちゃこ)靴べら?今はプラスチックのものが多いですね。靴べらを使おうとした刹那にふと、今日は太宰の忌と思い出した。そんな表情とノスタルジー。
◎(ちせい)季語は「太宰の忌」。くつべらと桜桃忌。作者だけに分かる主観の情があったのかもしれない。
〇(宙虫)いきなり昭和の世界に連れていかれた。
(選外)(藤三彩)玉川上水の水の流れに丈の長い竹を掉させば入水自殺は成就しなかったのであろうが・・
水音の闇に吸われて蛍狩 ルカ
○(幹夫)此頃はとんと見かけなくなった蛍です。
○(吾郎)こちらは数匹が儚く明滅する感じ、これも好き。
〇(珠子)「水音の闇に吸われる」がすてきだなあと思いまして。おふたりでしょうかね。
◎(仙翁)今年、こちらのホタルは数が減りました。吸われし、面白い。
〇(まきえっと)上五・中七の表現がよいですね。
逃避行唆せしは恋蛍 アゼリア
○(敏)逃避行を激しい蛍の明滅のせいにしてはいけないのでは? 蛍には唆す意図など無いのでしょうから。
虹のもと核化非核化友の字に 吾郎
脳神経外科の検査着梅雨湿り 珠子
〇(瞳人)たいがい、誤診ないしは診療不要、でしたが、いい気分ではありませんね
売り物にならぬ苺の甘さかな 泉
○(幹夫)得てしてそういうものですね。
〇(瞳人)そうなんです、これ、もっと店に並べてほしいですね
◯ (ルカ)完熟しているとすでに売り物にならない矛盾。生産者の気持ちをくみ取っています。
白南風の礁を洗ふ波がしら 春生
◯(道人)「礁」に焦点を当てて、「白南風」と「波がしら」が
○(敏)今年の梅雨明けにも、掲句のような白南風が吹いてくれることをのぞみたいですね。「礁を洗ふ」が清々しい感じをもたらしてくれているようです。
不揃いの山百合白き自立心 道人
〇(仙翁)自立心がいいですね。それぞれの白百合が見えます。
○(ちせい)季語は「百合」。白きが山百合にも自立心にもかかる、修飾して居る様に感じられるのがいいと思いました。
父の日のご褒美お墓に掌を合わす 藤三彩
帽子濡らす夏霧パンの焼ける村 宙虫
〇(藤三彩)夏帽子とせずに夏霧を季語に。山の深さ、山に暮らす家屋の様子が覗かれる
○(瑠璃)パンの焼けるいい匂いに包まれている村とはどんな村なのだろうと思います。メルヘンチックで素敵。
○(吾郎)いい匂いがしてきそう。いい朝だ。
◯(道人)素敵な別荘暮らしとも、つつましくも洒落た田舎暮らしともとれます。詩情豊か句です。
〇(まきえっと)こんな朝を迎えたい。
夜もすがら田が舞台なる蛙かな 仙翁
○(瑠璃)長閑な田園風景。癒される風景です。
老人の家出願望雲の峰 あちゃこ
〇(藤三彩)65歳で高齢者。「老人」はいくつから?認知症老人の山登りじゃなく徘徊のことね。
〇(珠子)できませんが。不可能ですが。共感。「老人」がぴたりとはまります。先日の朝日俳壇に「更衣煮ても焼いても媼かな」という句があって、逞しいき直りに感心したばかりです。
○(泉)少子高齢化は、現代の日本社会の大問題です。
◯(アゼリア)どの老人の心の片隅にも非日常を求める気持ちがあるのでは?実行に移すのは認知症発症してからなんて。
〇(宙虫)わかるような気がする。だんだん遠くへ自由に出ていイケないもどかしさに胸が痛む。
(選外)(道人)曖昧な願望と屹立する雲の峰の対比が面白い。
今日は梅雨晴れ間の広島でした。サッカー・ワールドカップのために、寝不足気味ですが、試合は面白いですね。アジア勢も負け続けると、出場枠が減りますからね。今夜午前零時から、日本-セネガル戦。起きているかな?