つづき
秋渇き増え続ける高層ビル カンナ
龍淵に潜みにんげん哲学す 道人
〇(藤三彩)秋分に龍は淵に潜むという空想。「にんげん哲学す」が意味深長で効いている
◎(アダー女)珍しく彼岸花に父が出てきました。存命中口に出して言えなかった感謝の意を一筆したためたいのでしょうか。
○(餡子)難しい季語で、なかなか使わずにいました。秋分の日の事、農事と関係あることを改めて確認。私も哲学(?)しました。
◯ (アゼリア) 哲学して日本の窮状を救う道を模索して欲しいです。
○(アダー女)龍は淵に入って春まで眠り、人間は快い秋の夜、思索の世界に入るのでしょうか?
○(卯平)「哲学す」をどう評価するか?「哲学の処」が「龍淵が潜む」処である事はなるほどとは思う。
〇(めたもん)俳諧味のある対句表現が面白い。哲学というのは、龍が淵に潜んでいるような面があるかも知れません。
◎(宙虫)哲学。にんげんの本質は穏やかな秋に見出すことができるのかも。
水飛沫のマイナスイオン天高し 珠子
◯ (アゼリア)この写真の滝の飛沫で自律神経の働きが良くなった気がしました。
人生は愚直なるもの曼珠沙華 幹夫
〇(楊子)真っ直ぐな茎。ぽきっと折れそうな茎。でもどうやら折れないで愚直に生きてきましたよという境涯句となっている。
〇(カンナ)少し理屈を感じますが取り合わせが良いと思います。
〇 (多実生) 人生は愚直で、花は時期を外さない。
◯(道人)毎年愚直に咲く曼珠沙華に人生を投影して共感。
〇(あき子)曼殊沙華に諭されているような気がしてきました。
完食の滝見定食秋高し 餡子
○(泉)「滝見定食」は美味しそうです。
〇(ちせい)滝見定食とはユーモラスな。空の高さに感じ入っている。
新涼や釣りを忘れる渓谷美 泉
〇(まきえっと)確かに美しいです。見とれてしまいますね。
◎ (多実生) その通り、渓谷美に浸り釣りなどする暇は有りません。
○(アネモネ)写真の感じがリアル。
○(宙虫)この際、目的はなんでもいい感じが伝わる。
お終ひを美津子旅立ち萩の花 瞳人
渓谷の水が秋冷え呼び起こす 多実生
彼岸花父に届ける一筆箋 卯平
◎(瞳人)亡父に何を一筆、……言いますか
◯(道人)墓参りの句だろう。眼前の彼岸花を一筆箋に描いて墓前に届けるという気持ちがよく伝わって来る。
○(あちゃこ)思いを一筆箋に託す姿。多くを語らなくても絆は強いのでしょう。想像が膨みます。
月光やメラミン皿をきゅっと拭く めたもん
〇(春生)実感のこもった句です。季語が効いています。
〇(藤三彩)9月29日は満月の中秋の名月でした。外のキャンプ場で観月をしたのかな?
〇(カンナ)異質の物が響き合って面白いと思います。
◎(あき子)写真からこの五七五までの飛躍に感動。ありふれた景色とありふれた日常が愛おしくなります。
旅行けば秋の恵みを完食す 藤三彩
〇 (多実生) 気候もよし実りの秋、食も進みます。
窟へと轟くしぶき秋気満つ あちゃこ
〇(珠子)あの写真そのもの!
◯(道人)如何にも秋。
懸崖に白鷺秋の水飛沫 仙翁
〇(あき子)少ない言葉で、美しい景が描写されています。
完食の揃いの器秋の声 まきえっと
〇(珠子)食欲は健康のバロメーター。テレビで聞きかじったのですが、65歳を過ぎたら何はともあれしっかり食べましょう!ということです。
〇 (多実生) 器で食べれば、健康的で秋も満喫。
汁椀浮かべ豆蔵を待つ秋瀑布 宙虫
律の風大音響の滝壺へ アダー女
〇(まきえっと)「大音響の滝壺」がいいですね。
○(アネモネ)律の風がしゃれています。
○(仙翁)律の風、滝壺からか、滝壺へとか。
〇(あき子)風と音と水の大きな景色。マイナスイオンを浴びる気分。
(選外)(藤三彩)秋の律の音が滝壺(夏)に引き込まれてゆく、主は律の風かな?
来た道を忘れた兵士花野原 あき子
〇(春生)こんなとぼけた兵士、いまの世への風刺もちょっぴり。
〇(珠子)心を守るために忘れるしかなかったのかもしれません。
◎(道人)写真からの飛躍がいい。この「兵士」は幅広く読める。人生を真剣に戦っているすべての人が通って来た花野道。もう戻れない。
◎(幹夫)若き兵士はただ命令に従い敵陣に突っ込む。
○(仙翁)来た道を忘れる兵士、意味がありそうですんね。
○(あちゃこ)永い年月を経てやっと辿り着いた故郷。魂は今も彷徨い続けているのでしょうか。
〇(めたもん)人類の歴史は戦争とパンデミックとの戦いの繰り返しだとか。来た道を忘れた兵士は私たち自身の姿でもありますね。
秋夕焼け母を残して施設去る アゼリア
〇(瞳人)うーん、つらいですね
◎(藤三彩)人それぞれそういういう時があるのかな
○(泉)今では当たり前の光景ですが、以前はなかなか難しい事でした。
○(アネモネ)切ないけど分かります。
源流のしぶきの中や竹を伐る 春生
○(泉)雄大な光景だと思います。
◎(珠子)地味ですがしっかりと地に足をつけた景に惹かれました。片田舎を出て都会の片隅に根を下ろしてしまった私にはじんわりときます。
○(仙翁)そんな所で竹を伐ることもありそうですね。
〇(ちせい)源流のしぶきの中と言うのがいいと思いました。
○(宙虫)源流と竹の取り合わせが不思議に景色を固める。
曼殊沙華飢饉伝説残る村 多実生
〇(瞳人)根茎を晒して食べたという伝説あり、です
◎(春生)完璧な出来の句です。雰囲気も抜群です。
〇(楊子)目にも鮮やかすぎるまっ赤な曼殊沙華と飢饉とのとりあわせが悲しい。そんなこともあっただろうと思わせる。
〇(珠子)死人花・地獄花・痺れ花等の異名をもつ花。球根を晒せば食用になるとのことですが、死を覚悟で食べなければならなかった飢饉の伝説。間引きや身売りの時代を経て今があります。この先も混沌。
○(餡子)特に東北の飢饉の様子は、歴史の教科書の挿絵が、強烈で、今でも頭に残っています。
〇(カンナ)取り合わせに生まれた怪奇な世界にインパクトがある句。
○(アネモネ)あるあるです。
◎ (アゼリア) 確かに肥沃な土地ではなさそうな感じです。過去にまで想いが広がりました。
〇(あき子)曼殊沙華が揺れながら、辛い過去の記憶を語り出しそう。
○(卯平)曼珠沙華の位置は緩い。しかし全体としては納得。
踊子の塑像の裾に曼珠沙華 幹夫
○(卯平)彫像の大きさがどの位か?踊子と曼珠沙華はな納得。
黄泉へ行く小道曼珠沙華が誘う カンナ
〇(瞳人)そんな誘い、断んなさい
○(幹夫)別名「死人花」と呼ぶ。道端に真っ赤に咲く曼珠沙華は黄泉の国へ誘う。
〇(あき子)「誘う」の不安な感じに惹かれます。
〇(めたもん)上五を含めストレートな表現がかえって淡々とした枯れた境地を感じさせます。
今月の写真
一枚目・・・福岡県八女市星野村の「鹿里地区の棚田」。
写真は棚田に続く集落。棚田は撮影者の背中側に。
二枚目・・・大分県竹田市の「黄牛の滝」。「あめうし」と読む。
三枚目・・・大分市が本社のファミリーレストラン「Joyful」の幕の内定食、完食後。ドリンクバー付600円。
では、次回、小麦句会で待ってます。
広島は急に寒くなって来ました。季節の変化が早いので、体がついて行けません。もう10月だから、当然と言えばその通りですが。ラグビーは残念でした。しかし、勝利を信じて立ち向かう姿は、感動的です。ランクの差など関係ありません。