デンカの宝刀(弁護士・不動産鑑定士・大東流合気武道教授代理の資格三冠王)

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2回試験は楽しい!!!!!

2007年12月31日 | 資格・法律・不動産

ここ最近、司法研修所の司法修習生考査、

いわゆる2回試験の不合格者数が増えてきたため

最近の司法修習生は、

とにかく2回試験の合格をということで

実務修習は、2回試験を受験するための単なる要件

通過点にすぎないと思ってる者が増えてる

ということを聞いた。

  

しかし、これは、

修習生が

2回試験というものを過大にとらえすぎている。

  

私が生まれてこのかた、受験してきた試験のうち、

2度と受けたくない試験は2つある。

司法試験の 口述試験 と 

不動産鑑定士の 3次試験 だ。

不動産鑑定士3次試験は、司法修習

 終了考試に相当する試験。

 弁護士資格取得において、

 司法試験2次試験合格→司法修習

 →司法修習終了考試→弁護士登録という

 流れになるのと同様に、

 不動産鑑定士資格では、

 不動産鑑定士2次試験合格→2年間の実務経験

 →1年間の実務補習→不動産鑑定士3次試験

 →不動産鑑定士登録という流れだった。

 私が受験した当時は、不動産鑑定士3次試験

 の合格率30%だった。

 これは、司法修習終了考試の合格率が30%

 だったらどうなるかを考えたら、どれだけ

 ムゴい試験だったかが分かるだろう。

 ここまで来て7割も落とすのかと。)

ただ、この2つとも

新試験制度では無くなってしまった

  

反対に、私が今まで受けてきた試験の中で、

楽しかった試験、

もう一度受けても良いと思える試験

2回試験 だ。

  

私にとって、2回試験は、

細かいことの暗記に汲々することなく、

自分の考えたことを

自分の好きなように書けば良いという試験

   

前期、後期の起案で、適当に書き流しても、

私より悪い成績を取る者が何人もいたし、

特に勉強してなくても、

ちょっと気合いをいれて真面目に試験を受けるだけで

クラスの真ん中くらいの成績になってしまう。

民事裁判の事実整理など、

あまり面白くない問題は、

試験の途中で少し寝たりしながら

適当に書いたりすることが多かったが

それでも不合格点を取ることはなかったし、

試験時間中だけ真面目にすることができれば

最悪でもクラスの真ん中か、

そのちょっと下くらいの成績になった。

  

だいたい、私は、修習終了後、

不動産鑑定業も再始動するつもりだったから

特に、後期修習のときには

「不動産鑑定の実例集」や

「不動産に関する行政法規」などの勉強を、

いずみ寮でやっていたので

(とにかく、不動産鑑定の勘を早く取り戻したかった)

必然的に2回試験の勉強をする時間は、

あまりなかったのだ。

    

民事弁護などの得意科目では、

やはり、特別な試験用の勉強などしなくても

試験時間終了の 

1時間前 に起案を提出してしまっても

成績は、前期修習のときも、後期修習のときも

ほとんど「A」or「優」で、

悪くても 「B+」or「良上」 だった。

それ以外の成績を取ったことがない。

(前期の教官の成績の付け方がA、B、C・・・・で、

 後期の教官の成績の付け方が優、良、可・・・・

 だった。

 後日、司法修習終了考試の成績開示したら、

 民事弁護の成績は、やはり「優」だった。)

  

私は、司法修習終了後すぐに開業するつもりだったため、

早く修習を終わりたいと思っており

同期の親しい修習生などには、

    

「2回試験が早く来て欲しい。

   別に、今日突然2回試験をやると言われてもかまわない。

  それでも絶対に合格点は取れるから。」

   

と言っていた。

  

で、実際の2回試験の際は、

「これが終わったら開業だあああ」

ということで、気持ちが相当にハイになっており、

とにかく試験中も楽しくて楽しくて仕方がなかった。

  

2回試験の口述試験も楽しかった.

(ただ、民事の口述試験のときの待ち時間の

 長さには、マイッタ。まさか4時間以上も

 控え室で待たされるとは。)

試験官の問いに対して、それなりの答えをすれば

間違っていても、ヒントを出してくれるし、

(そもそも、実務修習を真面目にしていれば

 答えられないことは、あまりなかった)

 

試験官のヒントに対して、

正解が頭に浮かんだときには、 

思わず指パッチン したりして

楽しい時を過ごすことが出来た。

    

不合格者発表のときに、

各教室にスクリーンが降りてくるときの

あのワクワクした高揚した気分も

何とも言えず楽しかったなあ。

 

とにかく、修習生には、

2回試験なんて大したもんじゃないということを

声を大にして言いたい。

(実際、司法修習終了考試に対応する

 不動産鑑定士3次試験の合格率が

 たったの30%だったのに対し、

 司法修習終了考試の合格率は99%前後

 というザル試験なんだし。)

特に、弁護士になるつもりの修習生にとっては、

成績など気にしなくて良いのだから

もっと、

実務修習を色々な意味でエンジョイして欲しい。

修習生という時代は、もう2度とないのだから。

修習生というのは責任も無くて、

ホントーに楽なんだから

修習生特権を大いに利用して、

最高の修習時代を経験して欲しい。

(不動産鑑定士2次試験合格後に義務づけ

 られ、不動産鑑定士3次試験の受験要件

 である不動産鑑定実務補習では、

 司法修習と違って、

 不動産鑑定評価書に、指導の不動産鑑定士

 と並んで「不動産鑑定士補」の肩書きで

 署名(又は記名)押印するので、それなりに

 緊張するが、

 司法修習では、公的な責任が発生する

 署名(又は記名)押印をすることはないので

 ホントーに楽だった。)

    

最高の修習時代を経験したと思っても、

実務に着くと

修習生時代にあれをやっておけば良かった、

これもやっておけば良かったなどと

思ったりするもんだよ。


不動産鑑定評価基準と法律要件分類説

2007年12月21日 | 資格・法律・不動産

民事訴訟では、

証明責任について法律要件分類説というものが

原則となっている。

    

要は、証明責任がどちらにあるかは、

法律の条文の定め方を

まず基準としましょうということで、

例えば、ある権利を定めている条文を根拠として、

相手に何らかの請求をする場合には

その権利があると主張する者が、

その権利があることを証明せよ

ということになる。

     

わしは、

不動産鑑定評価基準土壌汚染についての項目が

導入されたときフと思った。

  

土壌汚染を考慮していない不動産鑑定評価書によって

損害を受けたことを理由に

誰かが、不動産鑑定士を訴えた場合のこと。

 

原告としては、

① 土壌汚染の存在及び土壌汚染を考慮してない

  鑑定評価額を出している鑑定評価書の存在

② 土壌汚染を考慮してない不動産鑑定評価書を出した

  不動産鑑定士の行為が過失ある違法なものであること

③ 土壌汚染された不動産を汚染されてないものとして

  買ったために生じた損害

④ ①②と③の因果関係

を主張して、

損害賠償請求を不動産鑑定士にすることになる。

      

問題は、原告が、上の②、

すなわち不動産鑑定士の行為が

違法であることについて、

どの程度立証すれば良いかである。

     

ここで、

不動産鑑定評価基準(以下「基準」と略す。)を見ると

「土壌汚染の有無及びその状態」という項目が、

土地に関する個別的要因のところに

当然のごとく 書いてある。

    

さらに御丁寧なことに、

基準の公的解説書である

「新・要説不動産鑑定評価基準」には

土壌汚染対策法に定められたこと以外であっても

土壌汚染について、

価格形成に重大な影響があると認められる場合は、

当該土壌汚染の影響を 当然 考慮すべきであると

解説されている。

    

つまり、不動産鑑定士は、

土壌汚染調査をするのが原則であり、

しかも、

ここまでやればOKだよという限定のない無限責任

負わされた形になっている。

     

とすると、法律要件分類説的な考え方からすると

原告は、上の①を立証しさえすれば

②は推定されてしまい、

訴えられた不動産鑑定士の方が、

土壌汚染について 

調査を尽くした 

にもかかわらず土壌汚染を発見できなかった

から不動産鑑定士に違法性はないということを

証明しなきゃならんのじゃないか?

     

もしも、基準の書き方が

 

「原則としては、

 不動産鑑定士は土壌汚染の調査をする必要がないが、

 これこれこういう場合には、調査をする必要がある」

     

という書き方だったら、

原告の方が、

不動産鑑定士は、やるべき調査を十分に尽くさなかった

ということを証明しなきゃならなくなるはずだ。

     

とにかく、わしは、土壌汚染の項目が基準に入ったときに

  

「これは、訴訟などになった場合に、

 不動産鑑定士に不可能を強いることになる

 んじゃないか」

     

と思ってゾッとした。

       

他の不動産鑑定士は、何にも感じていないのだろうか。

昔の住宅地図を調査しました」

と言ったくらいで、裁判所

「この鑑定士は土壌汚染の調査を尽くした

と判断してくれれば、なんの心配もいらんけど

  

ここで一句。


 訴えられて、初めて分かる基準の怖さ

  

なんちゃって。

コメント (1)

不動産鑑定士 VS 弁護士 (その5:税法)

2007年12月02日 | 資格・法律・不動産

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弁護士業務にとっても不動産鑑定業務にとっても

税法は鬼門である。

       

例えば、弁護士業務において

税法の細かい規定や通達などは、

分からなければ税理士に聞けということになるが

基本的な税法の知識を知らなければ

税理士に聞かなきゃならないということにすら気がつかない。

依頼者に有利になると思ってやったことが、

意外な税法の規定により逆に依頼者に損をさせてしまうこと

すらある。

     

税法は後からやってくるのだ

       

税法は、会計・計算だけではなく、

実は法律問題でもあることを認識しなければならない。

      

不動産鑑定士は、

「国税の路線価に関わる評価業務」や

「固定資産税に関する評価業務」を行う。

また、不動産鑑定士試験の試験科目である

「不動産に関する行政法規」では、所得税法、法人税法、

相続税法、固定資産税法等々が出題されるから

受験勉強の過程において、一定の税法知識を取得する。

しかし、

税法に関して、何となく苦手意識を持っている不動産鑑定士が

多いのも事実だ。

     

かくいう私も、法律上は、税理士登録をすることができるのだが

    

「私は税理士です。」

      

と胸を張って言えるだけの税法に関する知識があるかと

問われるとちょっと自信がない。

    

真面目に税法を勉強をして

自信がついたら、税理士登録してみるかな。

コメント (2)

新しい流動化・証券化ヴィークルの基礎と実務

2007年12月01日 | 資格・法律・不動産

  最近、完読した本 

       ↓

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  新しい流動化・証券化ヴィークルの基礎と実務―新会社法制における日本版LLC(合同会社)を中心に
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発売日:2006-03

 

 

流動化・証券化についての様々な手法が紹介され

各々の長所・短所が分析されている。

若干、冗長な文章やこなれていない表現も見受けられるが

流動化・証券化の基本概念から説き起こしており

法律について一定の知的レベルにあるヒトなら読みこなせるだろう。

 

なぜ、株式会社でなく有限会社だったのか

ケイマンSPCストラクチャーの難点

日本版LLC(合同会社)の使い方

有限責任中間法人の有効性

日本版LLP(有限責任事業組合)は使えるのか   等々

 

簡潔に解説してある。

  

会社法制や倒産法制の複雑な絡み合いの間隙を

縫っていかなければならない分野だけに関係者必読の一冊。