ここ最近、司法研修所の司法修習生考査、
いわゆる2回試験の不合格者数が増えてきたため
最近の司法修習生は、
とにかく2回試験の合格をということで
実務修習は、2回試験を受験するための単なる要件、
通過点にすぎないと思ってる者が増えてる
ということを聞いた。
しかし、これは、
修習生が
2回試験というものを過大にとらえすぎている。
私が生まれてこのかた、受験してきた試験のうち、
2度と受けたくない試験は2つある。
司法試験の 口述試験 と
不動産鑑定士の 3次試験 だ。
(不動産鑑定士3次試験は、司法修習
終了考試に相当する試験。
弁護士資格取得において、
司法試験2次試験合格→司法修習
→司法修習終了考試→弁護士登録という
流れになるのと同様に、
不動産鑑定士資格では、
不動産鑑定士2次試験合格→2年間の実務経験
→1年間の実務補習→不動産鑑定士3次試験
→不動産鑑定士登録という流れだった。
私が受験した当時は、不動産鑑定士3次試験
の合格率が30%だった。
これは、司法修習終了考試の合格率が30%
だったらどうなるかを考えたら、どれだけ
ムゴい試験だったかが分かるだろう。
ここまで来て7割も落とすのかと。)
ただ、この2つとも
新試験制度では無くなってしまった。
反対に、私が今まで受けてきた試験の中で、
楽しかった試験、
もう一度受けても良いと思える試験が
2回試験 だ。
私にとって、2回試験は、
細かいことの暗記に汲々することなく、
自分の考えたことを
自分の好きなように書けば良いという試験
前期、後期の起案で、適当に書き流しても、
私より悪い成績を取る者が何人もいたし、
特に勉強してなくても、
ちょっと気合いをいれて真面目に試験を受けるだけで
クラスの真ん中くらいの成績になってしまう。
民事裁判の事実整理など、
あまり面白くない問題は、
試験の途中で少し寝たりしながら
適当に書いたりすることが多かったが
それでも不合格点を取ることはなかったし、
試験時間中だけ真面目にすることができれば
最悪でもクラスの真ん中か、
そのちょっと下くらいの成績になった。
だいたい、私は、修習終了後、
不動産鑑定業も再始動するつもりだったから
特に、後期修習のときには
「不動産鑑定の実例集」や
「不動産に関する行政法規」などの勉強を、
いずみ寮でやっていたので
(とにかく、不動産鑑定の勘を早く取り戻したかった)
必然的に2回試験の勉強をする時間は、
あまりなかったのだ。
民事弁護などの得意科目では、
やはり、特別な試験用の勉強などしなくても
試験時間終了の
1時間前 に起案を提出してしまっても
成績は、前期修習のときも、後期修習のときも
ほとんど「A」or「優」で、
悪くても 「B+」or「良上」 だった。
それ以外の成績を取ったことがない。
(前期の教官の成績の付け方がA、B、C・・・・で、
後期の教官の成績の付け方が優、良、可・・・・
だった。
後日、司法修習終了考試の成績開示したら、
民事弁護の成績は、やはり「優」だった。)
私は、司法修習終了後すぐに開業するつもりだったため、
早く修習を終わりたいと思っており
同期の親しい修習生などには、
「2回試験が早く来て欲しい。
別に、今日突然2回試験をやると言われてもかまわない。
それでも絶対に合格点は取れるから。」
と言っていた。
で、実際の2回試験の際は、
「これが終わったら開業だあああ」
ということで、気持ちが相当にハイになっており、
とにかく試験中も楽しくて楽しくて仕方がなかった。
2回試験の口述試験も楽しかった.
(ただ、民事の口述試験のときの待ち時間の
長さには、マイッタ。まさか4時間以上も
控え室で待たされるとは。)
試験官の問いに対して、それなりの答えをすれば
間違っていても、ヒントを出してくれるし、
(そもそも、実務修習を真面目にしていれば
答えられないことは、あまりなかった)
試験官のヒントに対して、
正解が頭に浮かんだときには、
思わず指パッチン したりして
楽しい時を過ごすことが出来た。
不合格者発表のときに、
各教室にスクリーンが降りてくるときの
あのワクワクした高揚した気分も
何とも言えず楽しかったなあ。
とにかく、修習生には、
2回試験なんて大したもんじゃないということを
声を大にして言いたい。
(実際、司法修習終了考試に対応する
不動産鑑定士の3次試験の合格率が
たったの30%だったのに対し、
司法修習終了考試の合格率は99%前後
というザル試験なんだし。)
特に、弁護士になるつもりの修習生にとっては、
成績など気にしなくて良いのだから
もっと、
実務修習を色々な意味でエンジョイして欲しい。
修習生という時代は、もう2度とないのだから。
修習生というのは責任も無くて、
ホントーに楽なんだから
修習生特権を大いに利用して、
最高の修習時代を経験して欲しい。
(不動産鑑定士2次試験合格後に義務づけ
られ、不動産鑑定士3次試験の受験要件
である不動産鑑定の実務補習では、
司法修習と違って、
不動産鑑定評価書に、指導の不動産鑑定士
と並んで「不動産鑑定士補」の肩書きで
署名(又は記名)押印するので、それなりに
緊張するが、
司法修習では、公的な責任が発生する
署名(又は記名)押印をすることはないので
ホントーに楽だった。)
最高の修習時代を経験したと思っても、
実務に着くと
修習生時代にあれをやっておけば良かった、
これもやっておけば良かったなどと
思ったりするもんだよ。