デンカの宝刀(弁護士・不動産鑑定士・大東流合気武道教授代理の資格三冠王)

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日本武道 対 中国武術 ⑤ (極意対決)

2007年03月31日 | 武道・武術

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日本柔術の到達点が「合気」であり、

中国拳法の極意が「発勁」である

ということになりましょうか。

  

「合気」「発勁」

単に柔術や拳法の極意というにとどまらず、

日本武道全体や中国武術全体の

それぞれの到達点として存在する技術です。

具体的な技術であって、

別に魔法でもなんでもありません。

現に、

現代武道の雄であるはずの極真会空手の総帥が

「合気」を学ぶために

大東流に入門してるくらいですから。

   

ただ、中国拳法の修行者にとっては、

「発勁」というのは、

あまりに当たり前なことであって、

師範によっては、 

「なんで発勁、発勁と騒ぐのか」と感じられる方も

おられるようです。

   

私は、中国拳法修行者ではありませんが、

色々と伝えられるところによれば、

「発勁」とは

打撃力を最も有効に出す技術のようです。

「太極拳」の套路には、

そのものずばり「発勁」という名称の型

あります。

   

「合気」は、

剣道などで「合気をはずす」ということが

よく言われますが、

その場合の「合気」とは意味がちょっと違います。

(実は、完全に意味が違うとは

 言い切れないのだが --------- )

   

「合気」とは

相手を最も技の掛けやすい状態にして

技を掛ける技術とでもいえましょうか。

広く普及している「合気道」

「合気」があるかどうかも微妙です。

合気道は元々は大東流から派生してますので

合気技法があっても良さそうですが、

大東流の師範の中には、

「合気のない大東流が合気道だ」 とまで

言う人がいます。

合気道で言うところの「呼吸力」は、

「合気」とは必ずしも同じではありませんし。

ただ、「合気」は、

必ずしも大東流の専売特許ではなく、

剣術の技法を前提とする日本武術であれば

「合気」技法に自然とたどり着くことは

十分に可能です。

また、大東流の中でも

「合気」が各会派で全く同じ技法というわけでも

ありません。

   

なお、

組み討ち技術で「合気」を使うときの

体の使い方を使って

当身をすると「合気の当て身」

すなわち「合気拳法」になります。

  

以前、私の稽古を見学に来た、

日本拳法の高段者

私の「合気拳法」を見て、

中国拳法の発勁単打(寸勁)に似ている

と言ったことがあります。

果たして、「合気」「発勁」

相通じるものなのでしょうか?

        

Cimg0437  中国武術研究家の

 笠尾恭二氏と

 日本の古武術研究家の

平上信行氏による「中国拳法発勁秘伝」

「日本柔術当身秘法」に関する対談書。


日本武道 対 中国武術 ④ (名流対決)

2007年03月31日 | 武道・武術

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日本武道の中で

全ての武道の中核となる代表的な武術・武道は

剣術・剣道です。

日本で武道の達人と聞いたら、

まずは剣の達人を思い浮かべますもんね。

  

これに対して

中国武術の中で

代表的な武術は

全ての武術の基本・中核となる

拳法でしょうか。

拳法のことを中国では

「武術」と表現することからも

「拳法=武術」という感じでしょうか。

   

日本の剣術の大本で現在残っている流派は、

「香取神道流」「鹿島新当流」などです。

ただ、

剣術の名流で一般によく知られているのは

「一刀流」「新陰流」でしょう。

この両流派とも

古流剣術の名門中の名門と

言っても過言ではありません。

  

「一刀流」は、

元祖ともいえる「小野派一刀流」

初めとして、

現在「中西派一刀流」「北辰一刀流」

「一刀正伝無刀流」など

数々の分派が残存しており、

実際に稽古されています。

  

「中西派一刀流」からは、

現代剣道の行く末を決定づけたともいえる

高野佐三郎師範」が出てますし、

「北辰一刀流」開祖の「千葉周作」

「北斗の人」などの小説でも

取り上げられており有名です。

「北辰一刀流」からは

「坂本龍馬」など幕末・維新の英雄が

多数出ています。

「一刀正伝無刀流」開祖の「山岡鉄舟」

「西郷隆盛」との

江戸無血開城で有名です。

  

「新陰流」は、

一般には「柳生新陰流」として

超有名です。

柳生石舟斎・柳生但馬守・柳生兵庫

・柳生連也・柳生十兵衛・荒木又右衛門

など実在した超有名人が多数います。

新陰流も現存し、多数の人が稽古してます。

  

中国拳法で一般に最も著名なのは

「少林拳」「太極拳」でしょう。

  

「少林拳」は、

小説・映画などでも

多数取り上げられており、

その点では、

日本武道の名流「新陰流」

同じような感じでしょうか。

ただ、実際には、

「少林拳」という単独の武術が

あるわけではなく、

「少林拳」というのは、

少林寺で修行されていた武術の総称

として用いられているようです。

また、現実には、

少林寺と技術的に直接関係なくても

「少林拳」と名乗っている

武術流派もあります。

日本の「少林寺拳法」は

その代表格でしょうか。

(もっとも前に述べたように、

 「少林拳」とは関係なくても

「少林寺拳法」がすばらしい武道

 であることに変わりありません)。

   

「太極拳」は、中国に行くと、

毎朝、公園などで庶民がゆったりと

やっているあれです。

ですから、

特に日本人には「太極拳」というと

健康体操(日本のラジオ体操のようなもの)

というイメージを抱く人が多いです。

   

しかし、

「太極拳」も、そもそもは武術であり、

現在でも武術としての「太極拳」

修行している人は多いです。

(ただ、「武術太極拳」と称していても、

 実際には、演武オンリーで、

 相手と実際に戦うことを

 ほとんど意識していない団体も多いので

 ややこしいんですが)。

   

「太極拳」も名流だけあって

様々な分派(門派)が発生しています。

「陳家太極拳」「楊家太極拳」

「呉氏太極拳」「武氏太極拳」などなど。

武術愛好家の中では、

松田隆智老師などの功績により

「陳家太極拳」が有名です。

「陳家太極拳」は、

太極拳各流派の中で

元祖的・中核的な門派です。

日本の剣術流派の「一刀流」における

「小野派一刀流」みたいなもの

でしょうか。

  

流派(門派)に関して、

日本と中国とで最も異なることは

日本の場合は、

特定の流派を修行している者は、

免許皆伝に至るまでその流派のみを修行し、

一人の人間が同時期に

「小野派一刀流」をやったり、

「北辰一刀流」をやったり、

「柳生新陰流」をやったり

ということがあまりない

のに対し、

中国の場合は、

門派の垣根が低く、

一人の人間が

同時期に「少林拳」をやったり、

「陳家太極拳」をやったり、

「楊家太極拳」をやったり

ということが普通に行われていることです。

    

こんな点にも、

日本と中国の違いが出てて興味深いです。


日本武道 対 中国武術 ③ (柔術 対 拳法)

2007年03月30日 | 武道・武術

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    ↑

日本柔術の第一人者

「鶴山晃瑞」師範が

著した「中国拳法」

  と

中国拳法の第一人者

「松田隆智」師範が

著した「秘伝日本柔術」

     

日本武道中国武術双方

の代表的な素手武術は、

日本武道では「柔術」

中国武術では「拳法」

でしょう。

   

他にも、

日本には相撲、

中国にはシュワイジャオ

等ありますが、

代表的なのは

日本柔術中国拳法

ということになります。

もっとも、

中国では

「拳法」の表現は

一般的ではなく、

単に「武術」と言ったり

「拳術」と言ったりする

みたいですが。

   

イメージ的には、

日本柔術は、

「投げ技」「固め技」

「関節技」「絞め技」

などが主体の

組み討ち技術であり、

これに対して、

中国拳法は、

「突き技」「蹴り技」

などが主体の打撃技術

です。

基本的には、

そういうことで

間違い有りません。

   

日本

素手武術が

組み討ち系の技術主体

になったのは、

戦乱期においては、

槍が折れ、刀が折れ、

馬上から地上戦に

なったときに

相手に組み付いて、

投げ、押さえ、

槍や刀を奪い取って

トドメを刺すという

技術が必要であり、

また、

平時においては、

武士は当然の如く

刀を腰に帯びて

いましたから

刀を持った相手と素手で

戦うことを想定しなければ

ならず、

そうすると

どうしても離れて

「突き」や「蹴り」で戦う

ことは

不利になってしまうので

組み討ち中心になって

しまうという理由に

よります。

   

また、

素手対素手の場合でも、

日本人の意識としては、

相手の顔に

アザが残るような

戦闘方法を嫌った

というのがあるのかも

知れません。

    

中国では、

前に論じたように、

拳法は全ての武器術の

基本であると

考えられているので

(武器は手の延長)、

そうすると自然と

素手の体術も

武器を持ったときと同じ

ような動作である

「突き」や「蹴り」の方が

しっくり来るということ

でしょうか。

また、

日本と異なり、

様々な異民族が入り交じり、

戦うという状況では、

組み討ち系の技術は

まどろっこしい点があった

のかも知れません。

       

ただ、

基本的なイメージとしては

上に述べたようになるの

ですが、

日本柔術の技法にも当然

「当身技」があるし、

中国拳法にも

「チンナ(関節技)技法」

があります。

  

そして、流派によっては、

日本柔術中国拳法とで

体の使い方や威力の発し方

などで

相似点や共通点のあるもの

が存在します。

  

いずれにせよ、

日本柔術中国拳法ともに

歴史と膨大な体系を有する

文化遺産であり、

これほど系統だった武術技法

が残存しているのは

世界史的には稀なことと

言えます。

正に東洋の奇跡です。

 

        

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  ↑

技法体系が相似

しているとして

武道雑誌で

取り上げられたこと

のある

日本柔術

「柳生心眼流」

中国拳法

「八極拳」

いずれも

著名流派(門派)です。

        

       

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日本柔術の中で →

最も著名かつ普及

している「大東流」

中国拳法の中で

最も著名かつ普及

している「太極拳」

も     

その技法に相似点がある

として論じられることが

あります。

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日本武道 対 中国武術 ② (武芸十八般)

2007年03月29日 | 武道・武術

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武芸十八般という言葉は

人口に膾炙されてますが、

その時代や国、

あるいは取り上げる人によって

中身が違ってきます。

   

中国では、

「矛(槍の元?)、鎚(ハンマー?)、

 弓、弩(ボウガン?)、銃(手斧?)、

 鞭(金属製ムチ?)、簡(金属製でないムチ?)、

 剣、鏈(多節棍?)、手偏に過(槍投げ用の槍?)、

 斧(長柄の斧?)、鉞(でっかい斧?まさかり?)、

 戈(古代戦車用の引っかける武器?)、戟(矛+戈の構造?)、

 牌(盾?)、棒、鎗(槍みたいだけど刃はない武器?)、

 叉(くまで?さすまた?)」

水滸伝なんかだと

こんな感じでしょうか(ちょっと違うかも知れませんが)。

   

四大兵器の一つである「刀」

入ってませんが、

「刀」が他の何かと入れ替わった

武芸十八般もあるようですし、

とにかく色々とあるみたいです。

   

日本だと、

「弓術、馬術、槍術、剣術、抜刀術、

 短刀術、 薙刃術、手裏剣術、水術、

 十手術、棒術、捕縛術、もじり術、

 鎖鎌術、含針術、忍術、砲術、柔術」

   

「もじり」に代えて

捕り方の使う武器一般を入れたり、

杖術(これも基本的には捕り方の武器)を

入れたりする場合もあるらしい。

「水術」を「水泳術」と

書いたりしてることもありますが、

正しくはやはり「水術」でしょう。

        

中国の武芸十八般は、

とにかく武器を並べただけですので、

同じような武器が十八般の中に

いくつも入っています。

ボウガンや

戦車用の武器が入っているなど、

人が戦う技術より

武器そのものを重視しているという感じです。

素手の武術である

拳術(少林拳、太極拳など)は全く入ってません。

    

これに対して、

日本の武芸十八般は、

中国のよりも、ソフト面を重視しています。

同じ武器を使う「剣術」「抜刀術」を、

その技術体系の相違から別に扱ってますし、

素手の柔術だけでなく、

犯罪者を捕らえる捕り方の技術である

捕縛術も入っています。

「水術」は、泳いだり、

水の中で戦ったりという武器よりもソフト面に

着目した分類ですし、

「忍術」もスパイ技術という

ソフト面に着目した分類です。

「水術」「忍術」にあたる技術は、

中国にも当然ありますが、

中国では、

これらを武芸十八般に入れるという発想が

全くなかったことが

日本人の私からすると面白いです。

  

日本の十八般に入っている

「砲術」も単に大砲などの武器を指すので

はなく、

火縄銃・手持ち筒・大砲などの使用法を

伝えるという技術面(ソフト面)

に着目しています(「砲術」にも正式な

形があり、単に銃を撃てば良いという風には

なってません)。

     

このように、

武術の分類という観点からも

中国と日本の違いが

くっきりと浮き出ていて

非常に興味深いですね。


日本武道 対 中国武術 ① (武器編)

2007年03月28日 | 武道・武術

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中国武術には、武器について「四大兵器」という考えがあります。

(ちなみに中国語では日本語より、ややオーバーな表現が目立ちます。

「歯医者」を「歯科」でなく「牙科」と言ったり。

手に持つような「武器」も「兵器」と言ったりします。)

      

四大兵器とは 「刀」 「剣」 「槍」 「棍」 の4つです。

「刀」 と 「剣」 を 「短兵」

「槍」 と 「棍」 を 「長兵」

と言ったりするみたいです。

 

日本では、「刀」「剣」を区別してませんが、

中国武術では、「刀」は反りのある片刃の物(青竜刀みたいな)、

「剣」は反りのない真っ直ぐの両刃の物を指します。

武器としては、「剣」の方が「刀」よりも扱いが難しく、

「刀」の方を「剣」よりも先に学ぶみたいです。

   

「槍」は、日本の「槍術」で使うものより短めで軽いようです。

   

「棍」とは日本で言えば「棒術」にあたるでしょう。

    

日本武道では、「四大武器」とかの言い方はありません。

強いて代表的な武器武術を挙げれば

「剣」 「居合」 「槍」 「弓」 でしょう。

     

日本にも当然「棒術」「杖術」は色々の流派が有りますが、

日本武道のそもそもの担い手は、「武士階級」であり、

「棒」や「杖」は、武士の表芸とは言えず、

むしろ「棒」は武士以外の農民など、

「杖」は銭形平次みたいな捕り手が使うたぐいの武器

というイメージすらありました。

     

もちろん、武士でも、これらを修行する者は多くいましたが、

武術としては、あくまでも武士の裏芸扱いでした。

 

日本では、「刀」「剣」とを区別せず

「日本刀」という独特の文化が

発生しました。

そして、

武器の種類としてではなく、

その使用方法(ソフト面)として、

通常の「剣術」

剣を抜く前の状態から攻撃に入る「居合術(抜刀術)」

という2つの異なる武術体系を作り上げました。

 

また、

「槍」は、中国武術で使われる物より長く、

戦国時代の技術をそのまま残しているような流派が残ってます。

ちなみに、私が在住している名古屋では、

有名な「宝蔵院流槍術」の道場のほか

尾張藩の御家流「尾張貫流槍術」の道場などがあります。

槍の種類は、それぞれ流派によって異なり、

宝蔵院流鎌槍尾張貫流管槍です。

管槍は、スピードが速く、

真ん前で見ると一つの点があっという間に自分の体に飛んでくる、

鉄砲の弾か矢のように感じます。

居合がそれぞれ剣道居合道弓道として

現代武道としても発展しているのに対し、

槍術は専ら古武道として残っているのが特徴です。

(ただし、現代槍道はありませんが、古流槍術の技法は、現代武道

  である「銃剣道」に受け継がれています。

  日本の「銃剣道」は古流槍術の技法などを基に独自に

  発達したもので、欧米直輸入のものとは違います)

          

中国武術では、武器は手の延長という概念が強く、

少林拳・太極拳などの素手の拳法技法を前提として、

武器はその応用として使うという考えのようです。

 

これに対して、

日本武道では、その中心は剣術であり、

かの上泉伊勢守は、戦場では槍などで戦いましたが、

剣術技法を中心に据えて「新陰流」を編み出しました。

大東流合気道もその動きの元は、剣術を基本にしています。

剣術居合とを併習する流派でも、剣術で技や体をある程度

練ってから居合を修行し始めるところが多いように思います。

   

修行方法については、

日本の場合、居合は一人形稽古が中心ですが、

剣と槍は相手のある二人形試合が中心です。

弓は当然一人でやりますが。

 

中国武術では、武器の練習は、一人形中心で、

相対形はその応用として位置づけられており、

武器術の試合はあまり行われてはいないようです。

 

当初は同じ目的を持って発達した武術・武道ですが、

日本中国では、それなりに違いがあり、

色々面白いです。


河合塾春期講習

2007年03月17日 | 長女の学校・受験・行事など

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河合塾の春期講習が

始まった。

ついこの前、冬期講習に

行ってたばかりなのに。

時の経つのは早いわ。