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中国武術 対 日本武道 (書籍編29 バッシング)

2015年09月06日 | 日本武道 VS 中国武術

中国武術日本武道

書籍によって対比していく企画。

私の蔵書は、

そんなに大したことはないが

それでも、

この企画で紹介する書籍群によって

中国武術日本武道

思想・理合・技法・奥義(極意)などが

ほぼ明らかになることは間違いない。

 

その29は、

バッシングされた者対決

 

真法八極拳(呉伯焔 著)

続 真法八極拳(呉伯焔 著)

尚氏形意拳大全(呉伯焔・劉輝明 著) 

国術技撃操典(呉伯焔&龍ミン楼 編著)

呉伯焔の国術談義(龍ミン楼&呉伯焔 編著)

點穴・練功・薬功 武術は超科学だ!(呉伯焔 著)

護身術 理論と実践(呉伯焔 著)

     対 

大東流合気武術(進龍一 著)

大東流合気武術2(進龍一 著)

大東流合気武術3(進龍一 著、曽川和翁 監修)

大東流合気武術4奥伝(曽川和翁 著)

大東流合気の秘訣(曽川和翁 著)

大東流入身投げ(曽川和翁 著)

大東流合気之術(曽川和翁、進龍一 著)

大東流合気二刀剣(曽川和翁 著)

大東流秘伝大鑑(曽川和翁 著)  などなど

 

 

    

呉伯焔老師(龍ミン楼)と西郷派大東流は、

いずれも強烈なバッシングを受けた会派。

ただし、

それぞれがバッシングを受けた理由などは

同じではない。

 

呉伯焔老師(龍ミン楼)の場合、

技倆面が批判されることがある。

中国武術の門外漢である私には

呉老師の技倆について云々できないが、

私が理解できる日本武術の中において、

何冊も武術書を出しているのに

技倆的には大したことがない師範がいるのは事実だ。

だが、これらの技倆に劣る師範が

必ずしもバッシングを受けていない。

 

呉老師がバッシングを受けたのは、

技倆的な面よりも、

端的に、武術経歴に虚偽の部分があって、

そこをライバル(武術家というより武術書の出版関係)

に突かれて

追い落とされたということだろう。

また、経歴に関係するが、

正式に学んでいない

特定の門派の武術について不正確なものを

公開していた可能性がある。

単に武術という名称でなら何を教えても、

何を公開しても問題ないが、

特定の門派たとえば、

太極拳でないものを太極拳として教えたり、

公開したりすれば

ウソを教えた、ウソを公開したということになる。

どの程度の虚偽があったかどうか分からないが、

虚偽ではないということを

完全に反証しきれなかったということだろう。

 

西郷派は、

実はいろんな大東流に陰に陽に影響を与えている。

西郷派の書籍は上に挙げたものだけではなく、

西郷派と書名になくても、

西郷派系統と思われる武術書は他にも色々ある。

 

ところで、

武田流合気術(合気道)という会派は、

書籍などで、

武田流が合気術の本流であり、

大東流は傍流にすぎないと読めるような書き方をしている。

 

  ↑

武田流の書籍。

左は「合気道入門」(中村久著)、

右は「正伝合気道」(小林大竜著)

 

西郷派が、

大東流の一派にすぎないと読めるような命名

であることからすれば、

大東流にとっては、

武田流の方がよっぽど許せないはずである。 

だが、現実には、西郷派がバッシングを受け、

逆に、

武田流を表立って批判する大東流関係者はいない。  

このようなことになった理由は、

一つには、

武田流が既にある程度武道界に浸透しており、

武道界の大御所の中でも

武田流を修行した人が結構いること。

(著名な師範としては、佐藤金兵衛師範とか)

武田流を修行した武道界の大御所がいる以上、

今さら大東流が武田流を批判することなどできない。

 

もう一つは、端的に、

「大東流」という名称を使って商売されることを

大東流関係者(特に武田時宗師範の関係者)が

忌み嫌ったということ。

西郷派の書籍が出版され、

武道雑誌で取り上げられるようになった頃、

私は、武田惣角翁の実の娘にあたる方から

「最近は西郷派なんてのが出てきて ------ 」

という愚痴を直接聞いたことがある。

このため、

武田時宗師範の高弟であった近藤勝之師範が、

合気ニュースのスタンレー・プラニン氏を使って、

西郷派バッシングキャンペーンを展開するようになった。

当時、私は、

各会派を中立的に扱ってきた合気ニュースが、

( 合気ニュースが好意的に扱っていた

 甲野善紀師範を批判する長野峻也師範の

 私的な投書も全文掲載していた。

 対立する見解については両論併記の面があったのだ )

ここまで一方当事者に肩入れして大丈夫かと

思っていたが、

その後、

プラニン氏は合気ニュースから追い出され、

30年間住んでいた日本からも

撤退する羽目になってしまったようだ。

(現在米国ラスベガス在住らしい)

 

西郷派の大東流に果たした貢献があるとすれば、

西郷派が数多くの技を公開してしまったために

単に技の数を多く知っているということだけでは

大東流の師範としての優位性にならなくなった

ということかもしれない。

こんな技を知ってる、

あんな技も知ってると言っても、

弟子に「それ西郷派の本に書いてあったやん」と

思われてるかもしれないのだ。

( ただし、技の実戦的態様や理合いなどについて

 西郷派の著書では十分に公開されていない部分が

 多くある )

知ってる技の数よりも、

技の理合をマスターしているかどうかが

西郷派のおかげで

より重要になったのは大東流にとって怪我の功名か。


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