集英社刊・芥見下々著「呪術廻戦」第5巻50頁より引用。
京都姉妹校交流会における、虎杖君と東堂の戦闘シーンである。
それまでは強靭なフィジカルを頼みに半ば強引なブロックから相討ち上等の攻めが多かった虎杖君が、ここで東堂の右フックが届く前に、左ストレートリードを叩き込んだ。
彼の高い攻撃性はそのままに、「撃たれても反撃する」から「撃たせずに迎撃」へのバージョンアップを表現した、見事な一コマである。
尚且つ、この絵のすぐ下で、東堂がフックを横拳、ストレートリードを縦拳とわざわざ解説している一コマには、ジークンドーへのリスペクトが溢れていて微笑ましい限りである。
で。
先週、7月17日にオンエアされた呪術廻戦#16では、このシーンが再現されていた。
が。
虎杖君は東堂の右フックを捌いてから、反時計回りにスピンして左バックブロー(完全に左前の構えになってから打ち出していたので、フリッカーかもしれない)で反撃したのだ。
…うん。
これも確かに「撃たせずに迎撃」には違いない。
だが、東堂の右フックが形になっている時点で、これは「反撃」の要素がつよく、いわば「後の先」なのだ。
恐らくは「前へ前へ」が身上の虎杖君が、その戦闘スタイルを昇華させるのであれば、東堂の右フックが形になる前に潰す「先の先」こそが相応しいのではないか。
いやもう思わず脳内で東堂風に「ちっがーう!」と叫んでしまったのだから、我ながら大人げない。
もしこのシーンを原作通りに作ったら、地味&速過ぎて、東堂の説明があっても何だかよく分からなくなってしまうだろう。
スローモーションか止め画を使えば分かりやすくはなるだろうが、OP前の序盤でテンポは崩したくないだろうし、そういう勿体をつけた演出は、この直後の崩しから「顔面ガラ空き」逕庭拳で使うのがベストである。
となれば、「地味な直線的攻防より派手な回転系攻防」という映像化におけるセオリーに沿うのは当然なのだ。
よって#16のこのシーンは、「アニメとして完成度を高めた」と解釈するのが正しい。
正しいんだけどなあ…。
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