浮游社の『崎戸』本・Ⅰ・Ⅱ & 浮游庵通信 

炭鉱に生きた人々を、国家が遺棄した時代を記録し、記憶する。
1968年、「一に高島、二に端島、三で崎戸の鬼ヶ島」

創造的虚無思想について

2021年08月02日 19時54分06秒 | 記録
 『虚無思想研究』20終刊号 「辻潤全集」未収録作品の発掘・収録
  & 創造的虚無思想へのオマージュ~「栞」より

創造的虚無思想について                                  
【典拠】マックス・スティルネル(Max Stirner, 1806~1856  現在はシュティルナーと表記される)の著書「唯一者とその所有」にあります。原文はドイツ語ですが、英語版の「The Ego and His Own」を、辻潤氏が和訳(1920年4月)した際に、初めて『唯一者とその所有』と『創造的虚無』の語句が創出されました。
 現在、手にしやすい出版物では、「辻潤著作集6」(1960年 オリオン出版社)と、「辻潤全集 第六巻」(1982年 五月書房)に収録されています。片岡啓治氏訳の現代思潮社・古典文庫(1977)もあります。
『創造的虚無』とは何か。
 辻潤氏は「自我であり、己れである」と言っています。辻潤氏は「唯一者とその所有」の冒頭『読者のために』で、「僕はただ自分を自我(スティルネルはそれをschöpferische  Nichts 創造的虚無と呼んでいます)の趣くまま生きて行くのみであります」と書いています。
 スティルネル(シュティルナー)自身の言葉は『序文』(訳・辻潤)に、「己れは創造的虚無だ。その無から己れ自身は創造者として万物を創造する」とあり、さらに、「唯一者とその所有」の巻末で、「万物は己れとって無だ」と締めくくっています。
 「個」=「唯一者」を圧し潰す明治以来の天皇制国家の全体主義が蔓延る日本ですが、”Individual Anarchism’”(個人主義的なアナーキズムの思想)と、辻潤氏による”The Ego and His Own”の和訳(唯一者とその所有)で提起された創造的虚無思想は、<己れ(私)が己れ(私)自身を生きる>と思い定めた人々によって、その生きるかたちに違いこそあれ、今後も脈々と継承されていくであろうと、私は確信しています。 
                        文責/発行人・響トオル     


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