≪9/15≫
シーズン途中の補強が“大当たり” 首位快走のロッテで見逃せないフロントの慧眼
14日のソフトバンク戦に勝ち、オリックスに3ゲーム差をつけたロッテ
ロッテが2005年以来、16年ぶりのリーグ優勝に突き進んでいる。14日のソフトバンク戦に3-1で競り勝ち、引き分けを挟んで6連勝。2位のオリックスに今季最大の3ゲーム差をつけ、優勝争いから抜け出しつつある。ここ最近の戦いぶりは投打の歯車ががっちりと噛み合っている。
特に後半戦に入って、勢いが増している。東京五輪の中断期間が明け、ペナントレースが再開されてから、26試合で16勝6敗4分。勝率は7割を超えており、後半戦25試合で10勝11敗4分と足踏みしているオリックスを抜き去った。石川や美馬、二木ら中心となるはずの投手が本来の調子ではない中で、首位を走り出した。
後半戦の好調ぶりを支えているのは主砲のレアードや、打撃好調の藤岡、中核を担う荻野や中村奨、守護神の益田や若き右腕・佐々木朗らの働きが欠かせない。それに加えて、目を見張るのはシーズン中に加入した“新戦力”の大当たりぶり。補強の成功がこの快進撃の一因となっている。
6月のトレードで獲得した国吉と加藤匠が貴重な戦力に
投手陣ではブルペンを支える国吉佑樹投手の存在が大きい。6月14日に有吉優樹投手とのトレードでロッテに加入した国吉はシーズンが再開となった8月13日に初の1軍昇格。セットアッパーのポジションを任されると、ここまで13試合に登板して2勝0敗8ホールド、防御率1.38と好投。現在8試合連続無失点中と安定感を見せている。
トレードで獲得した加藤匠馬捕手も正捕手の座を掴みつつあり、今ではなくてはならない存在に。国吉のトレードから2日後の6月16日に加藤翔平外野手とのトレードで中日から加入すると、すぐさま1軍での戦力に。“加藤バズーカ”と称された強肩が武器として知られていたが、リード面でも高く評価されている。
国吉はDeNAで今季18試合に登板して防御率5.16。加藤匠に至っては今季1軍出場なし、とファームで燻っていた。この2人が見事に戦力となり、トレードとしては大成功だったと言える。
ロメロ、エチェバリア、小窪も揃って1軍で戦力に
また、東京五輪の中断期間中に加入が決まった元中日の左腕ロメロもローテの一角を担う。150キロ台の力のある真っ直ぐに、スライダーやチェンジアップを駆使し、4試合に先発。白星こそ1勝だけながら、防御率1.54と好投を続けており、台所を支える貴重な先発投手となっている。
開幕直後の4月に入団したエチェバリアは打率.191と打撃面では期待を裏切っているものの、守備面での貢献度は高い。14日のソフトバンク戦でも、途中出場してすぐに中前へと抜けようかというゴロをキャッチしてピンチの拡大を防いだ。広島を退団、火の国サラマンダーズでプレーし、支配下登録期限ギリギリに加入が決まった小窪もデビュー戦でいきなり本塁打を放った。
シーズン途中加入の選手がこれほどまでに1軍で戦力となり、チームの欠かせぬ存在となることは珍しい。チームを率いる首脳陣、そしてプレーする選手たちの奮闘ぶりはもちろん、的確な補強戦略を実行したフロントの慧眼も今のロッテの見逃せないポイントだろう。
(フルカウント)
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≪9/17≫
ロッテ益田直也、失意の福岡空港から始まった快進撃 鉄腕守護神を救った同僚との絆
現在パ・リーグ首位を走るロッテの益田直也投手が「THE ANSWER」のインタビューに応じた。百戦錬磨の鉄腕は今季ここまで、リーグ最多の56試合に登板。守護神として33セーブを挙げるなどチームの快進撃を支えているが、開幕直後は初登板から2連敗を喫する苦しいスタートだった。立ち直る一因となった仲間のサポート、さらにリリーフ一筋582登板を築き上げた右腕のメンタリティとタフネスさについて、オンライン取材で迫った。(取材・文=THE ANSWER編集部・宮内 宏哉)
ここまでパ最多33セーブ、2連敗で始まった今季にオンライン取材で迫る
現在パ・リーグ首位を走るロッテの益田直也投手が「THE ANSWER」のインタビューに応じた。百戦錬磨の鉄腕は今季ここまで、リーグ最多の56試合に登板。守護神として33セーブを挙げるなどチームの快進撃を支えているが、開幕直後は初登板から2連敗を喫する苦しいスタートだった。立ち直る一因となった仲間のサポート、さらにリリーフ一筋582登板を築き上げた右腕のメンタリティとタフネスさについて、オンライン取材で迫った。(取材・文=THE ANSWER編集部・宮内 宏哉)
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今季111試合中56試合に登板し、リーグ最多の33セーブに防御率1.69。9月に至っては13試合中9試合に投げ、1点も失っていない。8日のオリックス戦で通算150セーブも達成。9月51年ぶりの首位はこの男抜きに考えられないが、今季はどん底からのスタートだった。
「(当時は)よくない球種が自分の中で1つあって、しっくりきていなかった。マイナス思考じゃないですけど、少しそういう部分が働いていたかもしれません」
開幕カードだった3月27、28日のソフトバンク戦で2試合続けてサヨナラ打を浴び、チームも3連敗となった。どんなに経験豊富な選手でも、打たれれば気持ちは沈む。シーズン初登板から2戦続けてなら、なおさらだった。
「みんなが僕に話しかけにくい雰囲気だとは、感じていました。あの時、話しかけてくれたのはマーティンと田村でしたね」
試合後、千葉に戻るためチームは福岡空港に移動。益田は誰かと話すのを避け「めっちゃ遠いところに1人で居た」。そこに田原大樹通訳を伴い、レオネス・マーティン外野手が歩み寄って声をかけてくれた。
「お前が寂しそうだから、俺はずっとここにいる。大丈夫だ」
そこに田村龍弘捕手も加わり、話をしたことで少し前向きになれた。4月以降は徐々に本来の投球を取り戻し、気付けばチームの快進撃を支えていた。公私ともに仲が良いというマーティンについては「あいつがダメな時は、僕が近くにいるようにしていますし、外国人選手とそういう関係になることはあまりなかったんですけど、いい関係です」と語った。
現役2位の582試合登板「やりがいもあるけれど、大変」
プロ10年間で、年間50登板以上を9度記録している鉄腕。登板は全てリリーフで、通算582試合は宮西尚生(日本ハム:771試合)に次ぐ現役2位の数字だ。NPB屈指の守護神に成長した31歳に、長きにわたる活躍をもたらしたメンタリティについて聞いてみた。
この世に100%抑えられる投手はいない。マウンドに立った数が多い分、益田も痛い目を見てきた。失敗した時、自分の気持ちをどうコントロールしているのだろうか。
「僕は失敗した時、どうして失敗したかをまず見ます。ここに投げて打たれたらしょうがない、後悔ないという時はありますし、そういう時はあまり落ち込まないです。でも、投げミスとかでやられたときは、やっぱり『ダメだな』って思います。精神的に、何かをして切り替えるというのは正直ないですね。次の試合で抑えないと残像も残りますし、消えないです」
自分の立場を「10回投げて、1回失敗しても許されるような所ではない」と表現する。最終回のマウンドに背番号52が立てば、それはロッテが勝利目前のシチュエーションであることが多い。周囲もどこか「抑えて当然」に近い見方をしてしまいがちだ。
「試合の流れ、みんなの頑張りを1回で無くしてしまう可能性がある。そこにやりがいはもちろんあるけれど、中継ぎは抑えて当たり前という見方もあるので、そこは大変かなと思います」
どんなに場数を踏んだとしても、凹む時は凹むし、次の登板で悪いイメージを払しょくするしかない。任された投手にしか分からない重圧とも戦いながら、心がけていることが1つある。
「やられたから、ちょっと失敗したからと言って、やっていることを変えないこと。失敗しちゃうと自分がやっていることが間違っているように感じてしまうけれど、ブレずに143試合やることが大事ですね」
シーズン中の練習サイクルは6~7年不変「何連投しようと…」
新人王に輝いた2012年は72試合に登板するなど、投げに投げてきた益田のタフネスさも特筆すべき凄さ。オフには午前9時から午後3時にかけて行う練習のうち、およそ3分の2を走り込みや体幹トレーニングに費やすなど、1年を戦い抜ける体を作り上げてきた。
シーズン中も、パフォーマンスをキープするためのこだわりがある。
「僕は体がどんなにキツくても楽でも、火曜日から日曜日までのサイクルが決まっているので。何連投しようが、どこかが痛かろうが、必ずやるようにしています」
試合がない月曜日以外で、曜日ごとに自分で練習メニューを設定。その日の体調に関係なく、毎週欠かすことなく全く同じメニューを6~7年こなし続けている。疲れのある時でも量を減らさないのにも訳がある。
「一回しんどいときに、楽をしたんですよ。するとパフォーマンスも落ちて。体の変化もあったし、休んで調子が上がった訳でもなかった。これじゃダメだと思って」
重要な1イニングを投げ続けるため、見えないところでたゆまぬ努力をしてきた。ロッテは最短18日にも、球団では51年ぶりのマジックが点灯する。入団からチームに貢献し続けてきた益田にとっても、初めての経験だ。
「ピッチャーは、やっぱりこういう優勝争いの時は新しい選手が出てこないとダメだと思います。期待されている人がよくない試合が何試合かあると思うんですけど、そこをカバーできる新しい選手が出てきたら、それは本当に上に残れるチームになるのではないかと。
ベテランが経験の多さでカバーしてくれたりすることはあると思うんですが、僕個人としては、誰かがどこか痛くて出られない時などに、若い選手が活躍することが大事だと思います」
今季の目標は当然優勝。プロ人生で目指したい数字は、あの岩瀬仁紀さん(元中日)の大記録、通算1002登板だ。「そこに向けて頑張りたい。宮西さんは1年目から目標にしていたので、そういう人たちに追いつけ、追い越せでやりたいと思います」。
通算150セーブを達成した試合後、ヒーローインタビューで益田は言った。「ファンの皆さん、僕たちと優勝しましょう」。SNS上では疲れを気遣う声も目立つ。それでも今日も、変わらぬ練習をこなして次の登板に備えているだろう。マウンド上で、歓喜するナインと抱き合う日を思い描きながら。
(THE ANSWER編集部・宮内 宏哉 / Hiroya Miyauchi)
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【ロッテ4人衆】藤岡裕大は9月4割「もともと打撃のいい選手」井口監督
ロッテが首位を走る。スーパースターはいなくても、全員野球で束になる。己の持ち場で存分に輝く4人をクローズアップする。
◇ ◇ ◇
藤岡裕大内野手(28)が14日、パ・リーグの打率9位に浮上した。9月に限れば、17日時点の打率は4割0分4厘だ。
「9月に入って、何が良くなったか分からないですけど」
困ったように笑う。井口資仁監督(46)には意外とは映っていない。「もともと打撃のいい選手ですからね。本当にいい集中力を持って、今年はやってくれていると思います」。
開幕戦のスタメン遊撃手はベテラン鳥谷が選ばれた。藤岡は最後まで競ったが、鳥谷ほど調子が上がりきらなかった。
「悔しさはありました。けれど、いつかチャンスが来たら、少ないチャンスを絶対にものにしようという思いでやっていました」
そのスタンスは今も変わらない。好調の秘訣(ひけつ)を問われると「1打席を無駄にしないこと。打てる球をしっかり待ってという意識はすごくあります」と話す。指揮官がほめるように、高い集中力で貢献する。
105試合に出場し、そのうち21試合(17日終了時点)で試合中に三塁から遊撃(または遊撃から三塁)に移っている。極端なシフトを敷く時は、遊撃なのに二塁手の守備範囲を守ることもある。縁の下の力持ち。走攻守に、よく似合う奮闘ぶりだ。【金子真仁】
ロッテ4人衆】佐々木千隼「何でもやる」自力でつかんだ8回のマウンド
ロッテが首位を走る。スーパースターはいなくても、全員野球で束になる。己の持ち場で存分に輝く4人をクローズアップする。
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佐々木千隼投手(27)はオフの契約更改で言った。
「来年5年目なので、何とか期待に応えたいなという思いですね。短いイニングだろうと先発だろうとロングだろうと、何でもやっていきたいです」
勝利へつなぐ8回のマウンド。唐川の故障離脱があったとはいえ、自分の力で居場所をつかんで、はや3カ月になる。圧倒的な球威はないから、打たれることもある。それでも防御率は1点台前半を維持し、17日までに挙げたホールドは「20」に達した。
「どんな場所でも、どんな役割でも、自分がしっかり、やるべきことは変わらないと思いますし、しっかり投げて、抑えられるようにやるだけだと思っているので」
居場所をつかんでも、言葉はそう変わらない。肩を故障し、球速が落ちた。「いかに速く見せるか」を工夫し、今のリラックス投法に行き着いている。
「そんなに焦らなくなったというか。バタバタしなくなってきたのかな、とは思います」
内面もリラックス。まだ3日連続登板はない。味わいを深めながら、最終局面へ備える。日本ハム伊藤までとはいかないが、リリース時に舞うロジンの粉は絵になる。ひょうひょうとかわして、締めを益田の熱さに託す。【金子真仁】
【ロッテ4人衆】6月移籍の加藤匠馬 丁寧な配球でチーム防御率改善
ロッテが首位を走る。スーパースターはいなくても、全員野球で束になる。己の持ち場で存分に輝く4人をクローズアップする。
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加藤匠馬捕手(29)のスタメンマスクが増えている。今季途中、6月中旬に中日から移籍してきた。
セ・リーグとパ・リーグで配球が違う-。よく聞く話だ。井口資仁監督(46)に、加藤のリードについて感じることを尋ねた。
「本当に丁寧に丁寧に、しっかりとリードしてくれている。大量失点を取られないようなリードをしてるなというのはベンチから見ながら感じますし、投手を引っ張って、投手の一番いい球をどうやって使うかというところを含めて、やってくれているんじゃないかなと思います」
日々蓄積される数多くのデータから、より戦略性が高まっているペナントレース。正捕手田村とは違う配球への相手の戸惑いもあったのか、9月にはチームの先発投手が6戦連続でクオリティースタート(6回以上自責点3以内、QS)を達成するなど、チーム防御率が改善。優勝への基盤構築に貢献した。
6月の入団会見では「投手と早くいろいろなコミュニケーションを取って、どの投手がどういうところがいいというのを把握して、投手をリードできるようにやっていきたいなと思います」と意気込んだ。チームは17日時点では、捕手2人制を敷いている。それほど頼れる存在になっている。【金子真仁】
【ロッテ4人衆】東妻勇輔、併殺でピンチ脱出 スタイル変更で欠かせぬ存在
ロッテが首位を走る。スーパースターはいなくても、全員野球で束になる。己の持ち場で存分に輝く4人をクローズアップする。
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東妻勇輔投手(25)は今季「ゲッツー」の印象が強い。17日時点で打者86人と対戦し、5度の併殺打を打たせている。
8月25日の日本ハム戦(札幌ドーム)では5回1死二塁でリリーフし、四球を出した後、大田を遊撃への併殺打に。直後に味方が逆転し、勝利投手になった。
9月4日の日本ハム戦(ZOZOマリン)でも5回無死一、二塁で登板。犠打を自身の好フィールディングで防ぎ、木村に二塁への併殺打を打たせ、相手の勝ち越しを防いだ。
プロ2年目の昨季はコロナ禍の開幕延期で調整に失敗し、自慢の球速が戻らなかった。悔しさをにじませ「アバウトでもいいから強い球で勝負できる投手になりたいです。沢村さんのような投球をしたいです」と誓っていた。
しかし今季、6月中旬に初昇格した東妻は少しスタイルをチェンジ。ツーシーム系で動かしながら、時折力強い150キロを投げ込むように。ゴロアウトが増え、勝負どころでも重宝される存在になりつつある。
1イニングに2~3安打を浴びる試合も、まだ時折ある。井口監督は「勝ちパターンで投げるようにならないといけない」と小野らとともに期待をかける。この先、さらに緊迫する場面が増える。【金子真仁】
(以上 日刊)
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