≪2020/6/30≫
【千葉魂】益田ただ優勝のために 一球入魂の守護神兼選手会長
6月19日、敵地ペイペイドームで行われたシーズン開幕戦。試合前、井口資仁監督に続いてチーム全員の前で選手会長の益田直也投手が言葉を発した。
「こういう状況の中、開幕ができることに喜びと感謝の気持ちでプレーしましょう。そして井口監督を今年、絶対に胴上げをしましょう。みんな強い気持ちを持って一年間、戦いましょう。テレビなどで見てくれているファンの皆さまのために、しっかりと丁寧にプレーをしましょう」
前夜、ホテルの自室で考え抜いての言葉だった。それは選手会長として伝えたいメッセージだった。心から発した熱いスピーチに自然発生的に拍手が起こった。気持ちは伝わった。
「この開幕は当たり前ではなくて大変な状況の中でいろいろな人の努力と準備があってできることにみんなで感謝をしたいと思っていました。自分たちが精一杯、プレーをすることでファンの皆さまに楽しんでもらいたいという想(おも)いからあのような言葉になりました」
益田はスピーチの内容をそのように説明した。言葉通り、守護神として魂の投球が続いている。無観客のスタンドには投げるたびにマウンドから雄たけびがこだまする。一球入魂。ただ優勝のために。全身全霊の投球が続いている。
「今年は100セーブとか、500試合登板とか自分の節目はたくさんあります。でも正直、そこに照準はないです。チームが勝てばいい。優勝がしたい。このメンバーで優勝がしたいです。だからFAせずに残りました」
□ ■ □
昨オフ、FA権を所持する益田の去就が注目された。最後はマリーンズへの想いが決め手となった。振り返ったのは原点だった。マリーンズに指名され入団が決まり、下敷領悠太担当スカウト、球団幹部が地元和歌山で食事会を開催してくれた。祝いの場で、益田は思わず涙した。プロへの道が開かれた喜びと、ここまでの道のりを思い返し、涙した。気が付けば席の向こう側に座るスカウトたちも、もらい泣きをしていた。お酒が入っていたこともあり延々と涙した。後にも先にもあれほど泣いたことは記憶にない。
「懐かしいですね。みんなで泣きましたもん。僕にとってそれほどうれしい入団だった。だからマリーンズが大好き。このチームで優勝がしたいです」
残留を決めた時の益田はすがすがしい表情で、その時の事をうれしそうに振り返った。忘れてはいけない原点だった。あれから月日は流れた。ドラフト4位で全国では無名の存在として入団した若者はプロ通算500試合登板、100セーブを目前に控えている。そして選手会長としてチームを引っ張る存在となっている。
「今年のチームは本当に雰囲気がいい。優勝への大きなチャンスだと思っています。自分も気持ちが入っています。開幕して気が入っています」
□ ■ □
連投も辞さないタフネス右腕。連日、ブルペンで肩をつくり、マリーンズの勝利をピシャリと締める。試合後の表情は疲れではなく喜びに満ちている。大好きな千葉ロッテマリーンズが勝利したことを心の底から喜んでいる。目指すべき先は一つ。優勝を決めるマウンドに上がる事。今年こそその夢を現実にする。入団前以来の男泣きをする。
(千葉ロッテマリーンズ広報 梶原紀章)
(千葉日報)
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≪2020/6/30≫
打って、走って、際立つロッテ・荻野の存在感
打線を牽引
現在8連勝中のロッテのリードオフマンとして、荻野貴司が打線を引っ張っている。
6月19日の開幕戦は昨季まで打っていた1番ではなく、公式戦では初となる3番でスタメン出場したが、ソフトバンクからFAで加入した福田秀平が「右肩甲骨の亀裂骨折」で離脱したため、翌20日以降は慣れ親しんだ1番を務めている。
24日のオリックス戦から現在5試合連続安打中で、打率はリーグ5位の.361と好調だ。荻野といえば、過去の取材で「初回なので、塁に出ることでチームはノッテいける。全部の打席、一緒なんですけど、初回に点を取るとピッチャーも楽になると思う。そこはしっかり心がけてやっていきたいと思います」と話すように、初回の第1打席が非常に強い。
昨季は第1打席の打率が、打席別で最も高い打率.351(114-40)を残したが、今季もここまで9試合を終えて、第1打席は.429(7-3)と高い数字を残す。(※1番打者での成績のみ)
今季も初回の第1打席に4度出塁しているが、3試合でホームに生還している。マリーンズのイニング別の得点を見ても、初回の12得点が最も多い。ちなみに、中村奨吾が満塁本塁打を放つなど初回に5点を挙げた25日のオリックス戦も、荻野は四球を選び、マーティンの押し出し四球でホームに生還している。荻野が初回の第1打席に出塁すると、現在3試合連続でチームは得点を挙げており、勢いをもたらしているのは間違いない。
武器の走塁でも存在感
和田康士朗、岡大海といった“足”を武器にする選手たちの活躍が目立つが、荻野も開幕から素晴らしい走塁を披露し続けている。
春季キャンプ中に「走れるときに走れればいいなと思います」と話していた盗塁はリーグトップの5個で、盗塁失敗はなし。25日のオリックス戦では、初回に四球で出塁すると、村西良太の投球モーションを完全に盗み、2番・角中勝也の初球に二塁盗塁を決めた。
走塁でも、27日の試合で初回無死三塁から2番・岡大海が放ったボテボテの三塁ゴロで三塁走者の荻野が好スタートを切りホームイン。翌28日も内野が前進守備を敷く中、清田育宏がショートにゴロを放った瞬間に、素早いスタートを切り同点のホームを踏んだ。今年の10月で35歳を迎えるが、年齢を感じさせないほどのスピードを見せ続けている。それは、普段の積み重ねがあるからだろう。
「僕が入団してからリーグ優勝したことがないので、そこを目標にしていきたいと思います」と春季キャンプ中に話していた荻野。今季は開幕からチームは好スタートを切り、荻野自身もトップバッターとして好調のチームを支えている。2005年以来のリーグ優勝するため、攻撃、走塁、守備で高いパフォーマンスを見せ続けて欲しい。
文=岩下雄太
(ベースボールキング)
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≪2020/6/30≫
ロッテ、オリックスに“史上初”6連勝!見どころ満載パ同一カード6連戦を担当記者が検証
新型コロナウイルスの感染防止の観点で移動を少なくするために生まれたパ・リーグの同一カード6連戦。最初のカード(今月23~28日)では好調のロッテがオリックスから史上初の6連勝を飾るなど各球場で見どころ満載だった。特別なシーズンを象徴する変則日程は、30日から8月下旬まで8週続く。スポニチ本紙担当記者が今回の6連戦を検証し、今後の展望や課題も挙げた。
【ロッテ 積極走塁で接戦制す】異例の同一カード6連戦。これまでの3連戦以上にカード頭が重要だと言える。23日の第1戦を終えたロッテ・井口監督が心の底から絞り出した言葉は「絶対に初戦を取りたかった」。結果だけでなくテーマに掲げる「機動力」で勝利したことも大きな意味を持つ。
23日の初戦は4―5の9回にサヨナラ勝ち。相手の守護神ディクソンに対し、岡、和田の代走攻勢の波状攻撃を仕掛けた。無死一塁から代走・岡が初球で二盗に成功すると井上の適時打で同点。そして一塁走者に代走・和田が送られると盗塁を警戒する相手バッテリーの暴投を誘い、三塁まで進んだ。和田の快足を考えれば内野ゴロでも勝利をつかめる状況。この形をつくったことでディクソンは後続を四球、四球、押し出し死球と自滅した。
井口監督も「今年は終盤に足で追いつける」と手応えを語る。目指していた野球が確立され、ビハインドの展開でも最後まで諦めない。これが接戦を制す原動力となり、6連勝につながった。(ロッテ担当・横市 勇)
▼ロッテ井口監督 1週間、選手たちが頑張ってくれた。打線がしっかりつないでくれた。諦めないでつないでいる。いいスタートが切れた。
【オリックス 先発背信・救援に負担】史上初の6タテを食らった要因の一つが先発投手の背信だ。25日の第3戦はドラフト3位の村西は初回だけで5四球を与えるなど3回5失点で降板。翌日はエース山岡が左脇腹痛で3球で降板した。
この6連戦でクオリティースタート(6回以上、自責点3以下)は第5戦の田嶋(6回2/3を1失点)だけ。救援陣の負担は増し、2度のサヨナラ負けにつながった。敗戦を重ねるごとにベンチの雰囲気も重くなり、相手は勢いづく。最終6戦目。球界を代表する投手となった山本も負の流れにのみ込まれ、5回2/3を5失点だった。
6連戦で計31失点を喫し開幕ローテーションを託した山岡、村西、K―鈴木が早くも抹消。わずか9試合で再編に追い込まれた投手陣の再整備が急務だ。(オリックス担当・湯澤 涼)
【楽天 虚をつく作戦が成功】楽天は6戦6盗塁と積極的な走塁が光った。4勝2敗で勝ち越したが、敗戦の中にも今後につながる大胆な作戦があった。第3戦。2点を追う3回2死一、三塁で、一走・茂木が二盗を仕掛けた。相手捕手が二塁へ送球動作に入ると、三走・銀次もすかざずスタート。ともにセーフとなり、鮮やかにダブルスチールを成功させた。
俊足ではない銀次の本盗への警戒心は薄かったはずで、相手の虚を突く見事なサインプレー。銀次は「今後につながる良い作戦だった」と語っていた。昨季のチーム盗塁数はリーグワーストタイの48。相手の心理を逆手にとった作戦はチームの「変化」を象徴。これまでにないイメージを、しかも6連戦中に相手に植え付けることは大きな意味を持つ。強い警戒はほころびを生むからだ。三木新監督は「どう頑張っても全部は勝てない。負け方というのも重要になる」と言葉に力を込める。カードを勝ち越したという事実に目が向きがちだが、価値ある敗戦も忘れてはいけない。(楽天担当・重光 晋太郎)
【日本ハム 4番へのつなぎ不調】好調の4番の前を打つ打者の好不調の差が明暗を分けた。カードを勝ち越した楽天の4番・浅村は6連戦中の打率が.417、3本塁打、11打点。一方の日本ハムの4番・中田は打率.217、4本塁打、6打点。本塁打の数こそ中田が上回ったが、4本中2本がソロ本塁打で2ランが2本。浅村は3本中2本が3ランでソロが1本だった。
ともに4番の勝負強さが光ったが、浅村の前を打つ1、2番の茂木と鈴木大がいずれも打率.391と好調だが、一方の日本ハムは1番・西川が.360と好調も大田が.115で近藤が.143。近藤は出塁率.308と四球を選んでつなぐ場面もあったが、大田は四球ゼロ。2、3番を徹底的に抑え込まれたことで得点力が上がらず、それが6連戦負け越しの一因となった。(日本ハム担当・東尾 洋樹)
【西武 低め配球でバレ封じ】辻監督の6連戦前の目標は5割。だから宿敵相手の4勝2敗は及第点だろう。好結果の裏には「バレンティン封じ」があった。
前半3試合で2本塁打、3打点を許し、安打と打点をマークされた24、25日は連敗を喫して1勝2敗。25日は本田が2被弾した。134キロのスライダーと138キロの直球。ともにベルトから上の高さの失投だった。迎えた後半3試合。緊張感が増したバッテリーは低めの配球を徹底した。結果は3試合で10打数無安打。4三振のうち3三振が外角低めだった。
目玉の新戦力である大砲に一発を浴びた2試合は全敗で、無安打に抑えた4試合は全勝。前半3試合の反省を後半3試合に生かし、カード勝ち越しを決めた。(西武担当・大木 穂高)
【ソフトバンク 山川の内角を攻めず】西武の主砲・山川に6試合で5本塁打を許したことが、2勝4敗と負け越した一因となった。4~6戦目に計4本塁打と、従来の3連戦では浴びずに済んだだけに、6連戦ならではの事象だった。
先発マスクは6試合とも甲斐がかぶったが、山川に対しては厳しい内角球が少なかったように見えた。5本塁打のうち、4発が外角球。内角を攻めていれば、打者は簡単に踏み込んでスイングできない。“体に近いところにボールが来るかもしれない”と思わせることが、内角を使う効果でもある。もちろん、甲斐の内角要求に対し投手が投げきれなかった打席もあったから、全てが捕手の責任ではない。バッテリーとして、もう一度、配球を見直すことが必要だろう。
乗せてはいけない打者はどのチームにもいる。特に長打を量産するタイプは徹底的に対策を練ることが求められる。6連戦を制すチームがパ・リーグを制す、と言っても過言ではないシーズン。西武との6試合で計38失点を喫した投手陣が、今後も続く6連戦をどう乗り切るか。(ソフトバンク担当・川島 毅洋)
(スポニチ)
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≪2020/6/30≫
ロッテ佐々木朗希の幼なじみ・及川恵介捕手が歩く道
<We love Baseball>
ロッテ佐々木朗希投手(18)の投球を初めて見た人は、一様に驚いていた。2月、石垣島キャンプ。球団、球界関係者たちは「この速さを高校生が普通に捕っていたのがすごい」とうなり「大船渡の捕手の子、どこで野球を続けるの?」と興味津々の様子だった。
160キロを捕る高校球児は、普通の若者に戻った。大船渡(岩手)の正捕手だった及川恵介さん(19)は今、陸前高田市の実家に一時帰宅中だ。この春、故郷を離れ進学したが、コロナ禍でキャンパスでの通常講義が再開されていない。
髪は少し伸びたが、体形は変わっていない。「朗希」「恵ちゃん」と呼び合う幼なじみの2人は昨夏、全国で最も注目されたバッテリーだった。明かされた真実は、意外なものだった。「野球は…やめました」。
160キロの剛速球にも、ミットは微動だにしない。二塁送球も1・9秒台。評判の好捕手だったのに、なぜ。「自信がないんです。160キロ捕れる能力があるからいい選手、というのは違うと思いますし。大学野球はやっぱりレベル高いし、県内でうまかったからとかはあまり関係ないのかなと思います」と冷静に話した。今は友人に声を掛けられた時、たまに気軽に白球を追うくらいだ。
自信がないんです-。言葉を文字にすると、自虐的にも読める。実際は謙虚で、素朴で、丁寧で。強いプレッシャーの中で投げていたエースが、大きな信頼を寄せていたことがひしひしと伝わる好青年だ。ただ、キャッチング技術に関しては「それだけのことはやってきましたから」と自信を少しのぞかせる。突き指した記憶もないという。
高校野球を振り返る。「朗希がいたから、甲子園に行けそうって思える中で高校野球ができて良かった」としみじみ話す。いくら練習しても怖さはあった。2年秋はショートバウンドのスライダーを2度止めきれず、それが致命傷となり、センバツ出場を逃した。
1年前には口に出せなかった。「ランナー三塁での変化球は、勇気が必要でした」。140キロを超えるスライダーと、140キロに迫るフォークボール。三振を狙うなら、ショートバウンドも必要な時がある。「足とかに当たって痛いならいいけど、投球をそらして点が入って、朗希が自分の投球ができなかったり、負けるのは明らかに捕手の責任なので」。時に勇気を振り絞り、希代の速球投手を支えてきた。
岩手大会決勝で敗れ、一丸となって目指した甲子園の夢は消えた。直後の感情も覚えている。「終わってみて、練習試合や練習のたびに悩んでるというか…どうやったら打てるか、勝てるかを悩んでいたので、考えなくていいって思いはあったので、やっぱり寂しかったです」。彼もまた、重圧と戦っていた。
7月1日、中止となった夏の甲子園の代替大会が岩手でも開幕する。仲間たちとの甲子園を本気で願っていたから、後輩へ寄せる思いも複雑だ。「甲子園がなくなって、甲子園を目指す大会ではないじゃないですか。100%納得いく形というのは難しいと思うけど…」。それでも「自分が納得いく形に、少しでも近づけてほしい」と願う。「自分がメッセージとか、おこがましいんですが」と添えながら。
相棒に夢を託し、これからは1人、わが道を歩く。「この職業に就きたい、という明確な夢はまだないんです」と言う。入試の志願書にはしっかり書いた。「少子高齢化が進んでいる。高齢者に生きがいや、楽しいことを。そういう街づくりをしたい」。
160キロ。手のひらへの衝撃より、スタンドの歓声やざわめきのほうが、今なお記憶に色濃いという。幼なじみを支えてきたオンリーワンの経験はきっと、広がる世界でもっと深まり、道を明るく照らす。【金子真仁】(ニッカンスポーツ・コム/野球コラム「野球手帳」)
(日刊)
【千葉魂】益田ただ優勝のために 一球入魂の守護神兼選手会長
6月19日、敵地ペイペイドームで行われたシーズン開幕戦。試合前、井口資仁監督に続いてチーム全員の前で選手会長の益田直也投手が言葉を発した。
「こういう状況の中、開幕ができることに喜びと感謝の気持ちでプレーしましょう。そして井口監督を今年、絶対に胴上げをしましょう。みんな強い気持ちを持って一年間、戦いましょう。テレビなどで見てくれているファンの皆さまのために、しっかりと丁寧にプレーをしましょう」
前夜、ホテルの自室で考え抜いての言葉だった。それは選手会長として伝えたいメッセージだった。心から発した熱いスピーチに自然発生的に拍手が起こった。気持ちは伝わった。
「この開幕は当たり前ではなくて大変な状況の中でいろいろな人の努力と準備があってできることにみんなで感謝をしたいと思っていました。自分たちが精一杯、プレーをすることでファンの皆さまに楽しんでもらいたいという想(おも)いからあのような言葉になりました」
益田はスピーチの内容をそのように説明した。言葉通り、守護神として魂の投球が続いている。無観客のスタンドには投げるたびにマウンドから雄たけびがこだまする。一球入魂。ただ優勝のために。全身全霊の投球が続いている。
「今年は100セーブとか、500試合登板とか自分の節目はたくさんあります。でも正直、そこに照準はないです。チームが勝てばいい。優勝がしたい。このメンバーで優勝がしたいです。だからFAせずに残りました」
□ ■ □
昨オフ、FA権を所持する益田の去就が注目された。最後はマリーンズへの想いが決め手となった。振り返ったのは原点だった。マリーンズに指名され入団が決まり、下敷領悠太担当スカウト、球団幹部が地元和歌山で食事会を開催してくれた。祝いの場で、益田は思わず涙した。プロへの道が開かれた喜びと、ここまでの道のりを思い返し、涙した。気が付けば席の向こう側に座るスカウトたちも、もらい泣きをしていた。お酒が入っていたこともあり延々と涙した。後にも先にもあれほど泣いたことは記憶にない。
「懐かしいですね。みんなで泣きましたもん。僕にとってそれほどうれしい入団だった。だからマリーンズが大好き。このチームで優勝がしたいです」
残留を決めた時の益田はすがすがしい表情で、その時の事をうれしそうに振り返った。忘れてはいけない原点だった。あれから月日は流れた。ドラフト4位で全国では無名の存在として入団した若者はプロ通算500試合登板、100セーブを目前に控えている。そして選手会長としてチームを引っ張る存在となっている。
「今年のチームは本当に雰囲気がいい。優勝への大きなチャンスだと思っています。自分も気持ちが入っています。開幕して気が入っています」
□ ■ □
連投も辞さないタフネス右腕。連日、ブルペンで肩をつくり、マリーンズの勝利をピシャリと締める。試合後の表情は疲れではなく喜びに満ちている。大好きな千葉ロッテマリーンズが勝利したことを心の底から喜んでいる。目指すべき先は一つ。優勝を決めるマウンドに上がる事。今年こそその夢を現実にする。入団前以来の男泣きをする。
(千葉ロッテマリーンズ広報 梶原紀章)
(千葉日報)
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≪2020/6/30≫
打って、走って、際立つロッテ・荻野の存在感
打線を牽引
現在8連勝中のロッテのリードオフマンとして、荻野貴司が打線を引っ張っている。
6月19日の開幕戦は昨季まで打っていた1番ではなく、公式戦では初となる3番でスタメン出場したが、ソフトバンクからFAで加入した福田秀平が「右肩甲骨の亀裂骨折」で離脱したため、翌20日以降は慣れ親しんだ1番を務めている。
24日のオリックス戦から現在5試合連続安打中で、打率はリーグ5位の.361と好調だ。荻野といえば、過去の取材で「初回なので、塁に出ることでチームはノッテいける。全部の打席、一緒なんですけど、初回に点を取るとピッチャーも楽になると思う。そこはしっかり心がけてやっていきたいと思います」と話すように、初回の第1打席が非常に強い。
昨季は第1打席の打率が、打席別で最も高い打率.351(114-40)を残したが、今季もここまで9試合を終えて、第1打席は.429(7-3)と高い数字を残す。(※1番打者での成績のみ)
今季も初回の第1打席に4度出塁しているが、3試合でホームに生還している。マリーンズのイニング別の得点を見ても、初回の12得点が最も多い。ちなみに、中村奨吾が満塁本塁打を放つなど初回に5点を挙げた25日のオリックス戦も、荻野は四球を選び、マーティンの押し出し四球でホームに生還している。荻野が初回の第1打席に出塁すると、現在3試合連続でチームは得点を挙げており、勢いをもたらしているのは間違いない。
武器の走塁でも存在感
和田康士朗、岡大海といった“足”を武器にする選手たちの活躍が目立つが、荻野も開幕から素晴らしい走塁を披露し続けている。
春季キャンプ中に「走れるときに走れればいいなと思います」と話していた盗塁はリーグトップの5個で、盗塁失敗はなし。25日のオリックス戦では、初回に四球で出塁すると、村西良太の投球モーションを完全に盗み、2番・角中勝也の初球に二塁盗塁を決めた。
走塁でも、27日の試合で初回無死三塁から2番・岡大海が放ったボテボテの三塁ゴロで三塁走者の荻野が好スタートを切りホームイン。翌28日も内野が前進守備を敷く中、清田育宏がショートにゴロを放った瞬間に、素早いスタートを切り同点のホームを踏んだ。今年の10月で35歳を迎えるが、年齢を感じさせないほどのスピードを見せ続けている。それは、普段の積み重ねがあるからだろう。
「僕が入団してからリーグ優勝したことがないので、そこを目標にしていきたいと思います」と春季キャンプ中に話していた荻野。今季は開幕からチームは好スタートを切り、荻野自身もトップバッターとして好調のチームを支えている。2005年以来のリーグ優勝するため、攻撃、走塁、守備で高いパフォーマンスを見せ続けて欲しい。
文=岩下雄太
(ベースボールキング)
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≪2020/6/30≫
ロッテ、オリックスに“史上初”6連勝!見どころ満載パ同一カード6連戦を担当記者が検証
新型コロナウイルスの感染防止の観点で移動を少なくするために生まれたパ・リーグの同一カード6連戦。最初のカード(今月23~28日)では好調のロッテがオリックスから史上初の6連勝を飾るなど各球場で見どころ満載だった。特別なシーズンを象徴する変則日程は、30日から8月下旬まで8週続く。スポニチ本紙担当記者が今回の6連戦を検証し、今後の展望や課題も挙げた。
【ロッテ 積極走塁で接戦制す】異例の同一カード6連戦。これまでの3連戦以上にカード頭が重要だと言える。23日の第1戦を終えたロッテ・井口監督が心の底から絞り出した言葉は「絶対に初戦を取りたかった」。結果だけでなくテーマに掲げる「機動力」で勝利したことも大きな意味を持つ。
23日の初戦は4―5の9回にサヨナラ勝ち。相手の守護神ディクソンに対し、岡、和田の代走攻勢の波状攻撃を仕掛けた。無死一塁から代走・岡が初球で二盗に成功すると井上の適時打で同点。そして一塁走者に代走・和田が送られると盗塁を警戒する相手バッテリーの暴投を誘い、三塁まで進んだ。和田の快足を考えれば内野ゴロでも勝利をつかめる状況。この形をつくったことでディクソンは後続を四球、四球、押し出し死球と自滅した。
井口監督も「今年は終盤に足で追いつける」と手応えを語る。目指していた野球が確立され、ビハインドの展開でも最後まで諦めない。これが接戦を制す原動力となり、6連勝につながった。(ロッテ担当・横市 勇)
▼ロッテ井口監督 1週間、選手たちが頑張ってくれた。打線がしっかりつないでくれた。諦めないでつないでいる。いいスタートが切れた。
【オリックス 先発背信・救援に負担】史上初の6タテを食らった要因の一つが先発投手の背信だ。25日の第3戦はドラフト3位の村西は初回だけで5四球を与えるなど3回5失点で降板。翌日はエース山岡が左脇腹痛で3球で降板した。
この6連戦でクオリティースタート(6回以上、自責点3以下)は第5戦の田嶋(6回2/3を1失点)だけ。救援陣の負担は増し、2度のサヨナラ負けにつながった。敗戦を重ねるごとにベンチの雰囲気も重くなり、相手は勢いづく。最終6戦目。球界を代表する投手となった山本も負の流れにのみ込まれ、5回2/3を5失点だった。
6連戦で計31失点を喫し開幕ローテーションを託した山岡、村西、K―鈴木が早くも抹消。わずか9試合で再編に追い込まれた投手陣の再整備が急務だ。(オリックス担当・湯澤 涼)
【楽天 虚をつく作戦が成功】楽天は6戦6盗塁と積極的な走塁が光った。4勝2敗で勝ち越したが、敗戦の中にも今後につながる大胆な作戦があった。第3戦。2点を追う3回2死一、三塁で、一走・茂木が二盗を仕掛けた。相手捕手が二塁へ送球動作に入ると、三走・銀次もすかざずスタート。ともにセーフとなり、鮮やかにダブルスチールを成功させた。
俊足ではない銀次の本盗への警戒心は薄かったはずで、相手の虚を突く見事なサインプレー。銀次は「今後につながる良い作戦だった」と語っていた。昨季のチーム盗塁数はリーグワーストタイの48。相手の心理を逆手にとった作戦はチームの「変化」を象徴。これまでにないイメージを、しかも6連戦中に相手に植え付けることは大きな意味を持つ。強い警戒はほころびを生むからだ。三木新監督は「どう頑張っても全部は勝てない。負け方というのも重要になる」と言葉に力を込める。カードを勝ち越したという事実に目が向きがちだが、価値ある敗戦も忘れてはいけない。(楽天担当・重光 晋太郎)
【日本ハム 4番へのつなぎ不調】好調の4番の前を打つ打者の好不調の差が明暗を分けた。カードを勝ち越した楽天の4番・浅村は6連戦中の打率が.417、3本塁打、11打点。一方の日本ハムの4番・中田は打率.217、4本塁打、6打点。本塁打の数こそ中田が上回ったが、4本中2本がソロ本塁打で2ランが2本。浅村は3本中2本が3ランでソロが1本だった。
ともに4番の勝負強さが光ったが、浅村の前を打つ1、2番の茂木と鈴木大がいずれも打率.391と好調だが、一方の日本ハムは1番・西川が.360と好調も大田が.115で近藤が.143。近藤は出塁率.308と四球を選んでつなぐ場面もあったが、大田は四球ゼロ。2、3番を徹底的に抑え込まれたことで得点力が上がらず、それが6連戦負け越しの一因となった。(日本ハム担当・東尾 洋樹)
【西武 低め配球でバレ封じ】辻監督の6連戦前の目標は5割。だから宿敵相手の4勝2敗は及第点だろう。好結果の裏には「バレンティン封じ」があった。
前半3試合で2本塁打、3打点を許し、安打と打点をマークされた24、25日は連敗を喫して1勝2敗。25日は本田が2被弾した。134キロのスライダーと138キロの直球。ともにベルトから上の高さの失投だった。迎えた後半3試合。緊張感が増したバッテリーは低めの配球を徹底した。結果は3試合で10打数無安打。4三振のうち3三振が外角低めだった。
目玉の新戦力である大砲に一発を浴びた2試合は全敗で、無安打に抑えた4試合は全勝。前半3試合の反省を後半3試合に生かし、カード勝ち越しを決めた。(西武担当・大木 穂高)
【ソフトバンク 山川の内角を攻めず】西武の主砲・山川に6試合で5本塁打を許したことが、2勝4敗と負け越した一因となった。4~6戦目に計4本塁打と、従来の3連戦では浴びずに済んだだけに、6連戦ならではの事象だった。
先発マスクは6試合とも甲斐がかぶったが、山川に対しては厳しい内角球が少なかったように見えた。5本塁打のうち、4発が外角球。内角を攻めていれば、打者は簡単に踏み込んでスイングできない。“体に近いところにボールが来るかもしれない”と思わせることが、内角を使う効果でもある。もちろん、甲斐の内角要求に対し投手が投げきれなかった打席もあったから、全てが捕手の責任ではない。バッテリーとして、もう一度、配球を見直すことが必要だろう。
乗せてはいけない打者はどのチームにもいる。特に長打を量産するタイプは徹底的に対策を練ることが求められる。6連戦を制すチームがパ・リーグを制す、と言っても過言ではないシーズン。西武との6試合で計38失点を喫した投手陣が、今後も続く6連戦をどう乗り切るか。(ソフトバンク担当・川島 毅洋)
(スポニチ)
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ロッテ佐々木朗希の幼なじみ・及川恵介捕手が歩く道
<We love Baseball>
ロッテ佐々木朗希投手(18)の投球を初めて見た人は、一様に驚いていた。2月、石垣島キャンプ。球団、球界関係者たちは「この速さを高校生が普通に捕っていたのがすごい」とうなり「大船渡の捕手の子、どこで野球を続けるの?」と興味津々の様子だった。
160キロを捕る高校球児は、普通の若者に戻った。大船渡(岩手)の正捕手だった及川恵介さん(19)は今、陸前高田市の実家に一時帰宅中だ。この春、故郷を離れ進学したが、コロナ禍でキャンパスでの通常講義が再開されていない。
髪は少し伸びたが、体形は変わっていない。「朗希」「恵ちゃん」と呼び合う幼なじみの2人は昨夏、全国で最も注目されたバッテリーだった。明かされた真実は、意外なものだった。「野球は…やめました」。
160キロの剛速球にも、ミットは微動だにしない。二塁送球も1・9秒台。評判の好捕手だったのに、なぜ。「自信がないんです。160キロ捕れる能力があるからいい選手、というのは違うと思いますし。大学野球はやっぱりレベル高いし、県内でうまかったからとかはあまり関係ないのかなと思います」と冷静に話した。今は友人に声を掛けられた時、たまに気軽に白球を追うくらいだ。
自信がないんです-。言葉を文字にすると、自虐的にも読める。実際は謙虚で、素朴で、丁寧で。強いプレッシャーの中で投げていたエースが、大きな信頼を寄せていたことがひしひしと伝わる好青年だ。ただ、キャッチング技術に関しては「それだけのことはやってきましたから」と自信を少しのぞかせる。突き指した記憶もないという。
高校野球を振り返る。「朗希がいたから、甲子園に行けそうって思える中で高校野球ができて良かった」としみじみ話す。いくら練習しても怖さはあった。2年秋はショートバウンドのスライダーを2度止めきれず、それが致命傷となり、センバツ出場を逃した。
1年前には口に出せなかった。「ランナー三塁での変化球は、勇気が必要でした」。140キロを超えるスライダーと、140キロに迫るフォークボール。三振を狙うなら、ショートバウンドも必要な時がある。「足とかに当たって痛いならいいけど、投球をそらして点が入って、朗希が自分の投球ができなかったり、負けるのは明らかに捕手の責任なので」。時に勇気を振り絞り、希代の速球投手を支えてきた。
岩手大会決勝で敗れ、一丸となって目指した甲子園の夢は消えた。直後の感情も覚えている。「終わってみて、練習試合や練習のたびに悩んでるというか…どうやったら打てるか、勝てるかを悩んでいたので、考えなくていいって思いはあったので、やっぱり寂しかったです」。彼もまた、重圧と戦っていた。
7月1日、中止となった夏の甲子園の代替大会が岩手でも開幕する。仲間たちとの甲子園を本気で願っていたから、後輩へ寄せる思いも複雑だ。「甲子園がなくなって、甲子園を目指す大会ではないじゃないですか。100%納得いく形というのは難しいと思うけど…」。それでも「自分が納得いく形に、少しでも近づけてほしい」と願う。「自分がメッセージとか、おこがましいんですが」と添えながら。
相棒に夢を託し、これからは1人、わが道を歩く。「この職業に就きたい、という明確な夢はまだないんです」と言う。入試の志願書にはしっかり書いた。「少子高齢化が進んでいる。高齢者に生きがいや、楽しいことを。そういう街づくりをしたい」。
160キロ。手のひらへの衝撃より、スタンドの歓声やざわめきのほうが、今なお記憶に色濃いという。幼なじみを支えてきたオンリーワンの経験はきっと、広がる世界でもっと深まり、道を明るく照らす。【金子真仁】(ニッカンスポーツ・コム/野球コラム「野球手帳」)
(日刊)
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