
この世に生まれたからには一国の王になりたいという考えは、洋の東西を問わず昔から誰もが抱くものであり、故に人類は権力・土地・血をめぐる争いを繰り広げてきた。
一方でこのような正攻法からちょっと外れて、自分で国家をつくってしまおうという考えをする人物もおり、実際に自分や国家をつくってしまった例も多い。いわゆるミクロネーションである。
ミクロネーションは、実際の独立運動や民族自決運動による国家ではなく、個人または家族によって小規模に行なわれるものである。個人的には協調性を欠く行動という印象が拭えないのだが、一方でミクロネーションに関する研究は幅広く行われていおり、調べていくとMicronationのwiki (Lomwiki) などというサイトも見つかりちょっと驚いた。(しかも見た目がほとんどWikipedia)
Lomwiki, the micronation encyclopedia
http://www.listofmicronations.com/lomwiki/index.php/Main_Page
ミクロネーションの中で有名なのは「シーランド公国」だろう。北海の南端、イギリス南東岸から10km沖合いに浮かぶ島国(?)だ。
Principality of Sealand (公式URL)
http://www.fruitsofthesea.demon.co.uk/sealand/
世界飛び地領土研究会 非公認の国々 シーランド公国
http://www.geocities.co.jp/SilkRoad-Lake/2917/hikounin/sealand.html

元イギリス陸軍少佐で海賊放送の運営者だったパディ・ロイ・ベーツが1967年に独立宣言をし40年以上になるが、その間クーデターや火災や、売却宣伝などいろいろ話題を提供してる。人口は4人だが、サッカーのナショナルチームも持っているという。
さて、過去に存在したミクロネーションの中で気になる国がひとつある。1964年に設立されたニューアトランティス Repunbic of New Atlantisがそれで、なぜならその設立者が「老人と海」で有名なアーネスト・ヘミングウェイの実弟レスター・ヘミングウェイなのである。先ほどのLomwikiを参照してみよう。
Lomwiki, the micronation encyclopedia Republic of New Atlantis
http://www.listofmicronations.com/lomwiki/index.php/Republic_of_New_Atlantis
The Republic of New Atlantis was a micronation created by Leicester Hemingway (1 April 1915 - 13 September 1982), the younger brother and biographer of writer Ernest Hemingway.
As the location of what he would later describe as "the world's smallest political entity", Hemingway chose a site above a small seamount in what were then international waters, 12.87 kilometres southwest of Jamaica.
At the time of it's foundation, on 4 July 1964, the territorial pretensions of New Atlantis anticipated the future construction of a large, habitable man-made island; in practice they were limited to a 2.44 x 9.14 metre bamboo raft, which Hemingway anchored to the floor of the Carribean Sea with the aid of an old Ford engine block.
The project came to an abrupt end in 1966, when the raft was destroyed during a tropical storm.

この国家の名前となった"ニューアトランティス"は、17世紀にフランシス・ベーコンによって書かれた未完のユートピア小説のタイトルと同じであり、この小説では科学技術の発達したユートピア世界と理想の国家が描かれている。
また、"アトランティス"といえば、古代ギリシアの哲学者プラトンが記した、大陸と呼べるほどの大きさを持った島と、そこに繁栄した王国のことである。この大陸は強大な軍事力を背景に世界の覇権を握ろうとしたものの、ゼウスの怒りに触れて海中に沈められたとされている。
僅かな期間とはいえ実存した"アトランティス"は、大陸どころか国土面積が22平方メートルというワンルームマンション並のものであり、そしてあっけなく嵐で倒壊してしまった。伝説と現実の大きなギャップを感じる。やはり国家を担うには一個人の力だけでは到底手に負えないようだ。
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