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知らないことや気になることをいろいろと調べて記録していきます
 




野菜ナビの野菜統計 (https://www.yasainavi.com/graph/) を参照すると、我が国の野菜生産・消費の現状や変遷がよくわかる。
日本国内で最も収穫量の多い野菜はじゃがいもで、2015年の収穫量は2,406千トンだった。2位キャベツ (1,469千トン)、3位だいこん (1,434千トン)、4位たまねぎ (1,265千トン)、5位はくさい (895千トン) と続く。



しかし全体的に国内収穫量は減少傾向にあり、首位のじゃがいもも1986年の4.073千トンをピークにずっと減少している。その一因は輸入の増加で、それまではほとんどなかった輸入が2000年以降どんどん増えており、2010年2千トン、2012年16千トン、2012年20千トン、2016年26千トンと急激に増えている。
輸入が最も多いのはたまねぎで、2016年は279千トンだった。前掲の国内出荷量は1,124千トン (2015年) なので、輸入の占める割合はけっこう高い。
都道府県別に見ると、じゃがいももたまねぎも国内で最も出荷量が多いのは北海道で、じゃがいもは約80%、たまねぎは約65%のシェアを持つ。
一方で南の沖縄はゴーヤ (7,876トン シェア36%)、鹿児島はさつまいも (295千トン シェア36%) など、野菜の産地にも南北に長い日本らしい変化が見られる。

さて、それでは首都東京の野菜生産状況はどうなっているだろう。
農業全体で見ると、東京の耕地面積は7,400ha (2013年) となっており、東京都の総面積の3.4%に相当する。区部は634haのみで、多摩地区が中心だ。
東京都の農家戸数は11,224戸 (2015年) で、販売農家の就業人口は10,983人。このうち65歳以上の割合が50%を超えているという。

JA東京中央会 東京農業の概要
http://www.tokyo-ja.or.jp/farming/index.html

東京の農業の約6割 (産出額ベース) は野菜であり、収穫量の多い野菜はだいこん (11千トン シェア0.8%)、キャベツ (10千トン シェア0.7%) だが、シェアは低い。直接的な比較はできないが、東京のだいこん・きゃべつの方が沖縄のゴーヤよりも収穫量が多いというのは面白い。一方で小松菜の収穫量は8,600トンであり、これはシェア7%で埼玉、茨城、福岡に次いで4位となる。
例えば「練馬だいこん」や「後関晩生小松菜」は江戸時代から栽培されている野菜だ。

とうきょうの恵みTOKYO GROWN 東京の農産物
https://tokyogrown.jp/product/agricultural.php

練馬ダイコンの特徴
江戸幕府五代将軍・徳川綱吉がビタミン類の不足による脚気や鳥目を患い、治療のために食したことから栽培を命じたといわれ、大きいものは80㎝~1mにもなります。尾張ダイコンと練馬の地ダイコンとの交配から選抜・改良されたもので、享保年間(1716~1736)には練馬ダイコンの名が定着していきました。
後関晩生小松菜(伝統小松菜)の特徴
江戸幕府八代将軍・徳川吉宗が鷹狩りに出かけた際、小松川村(現在の江戸川区)で休息し、そこで接待役を務めた亀戸香取神社の神主が、青菜を彩りにあしらった餅のすまし汁を差し出しました。それを将軍がいたく気に入り、この菜を地名にちなんで「小松菜(コマツナ)」と命名されたと伝わっています。冬場でも栽培しやすく、霜にあたると旨味が増すことから、関東周辺で盛んに栽培されるようになり、早生、晩生の多くの品種が生まれました。





このように徳川将軍の命によるものや、野菜名の由来になっていることもあり、格式が高い (気がする)。

そして東京が全国で収穫量シェア1位の野菜もある。全国収穫量194トンのうち44トン (23%) を収穫するルッコラだ。(2014年)
ルッコラはサラダに入れて食べると大変美味しく、その他おひたしや炒め物、肉料理の付け合せなど用途は幅広い。

野菜ナビ 野菜統計 野菜別ランキング ルッコラ
https://www.yasainavi.com/graph/category/ca=77



例えば、東京での栽培例として以下のような農家の方がいる。

NEWS TOKYO 都政新聞株式会社 2013年1月20日号 東京育ちの美味探訪 ルッコラ
http://www.newstokyo.jp/index.php?id=525

西東京市南町の農家、矢ケ崎宏行さん (48) は、22歳の時に就農。50aの畑と大小12棟のビニールハウスで代々続く農業を引き継いでいる。主軸となっているのはルッコラ。栽培を始めて10年になる。
「それまではチンゲン菜を栽培していたんですが害虫処理が大変で……。何かほかに代わるものはないかと考えて、当時はまだそんなに栽培しているところも少なかったルッコラに目をつけました」と矢ケ崎さん。今では近隣のスーパー約15店舗と契約し、毎日200束を出荷している。
最近はスーパーへの出荷以外にレストランへ野菜を届ける機会も増え、自分が作った野菜を使ってくれる人と直接会って話ができるのが嬉しいと話す。


東京・江戸での野菜生産は、江戸時代から人々の食生活を支えてきたが、都市化による農地減少や産業の変化により栽培が減った。しかしここにきて伝統野菜を普及させようという活動が広がっている。またルッコラのように新しい西洋野菜への試みもされている。
東京だからこそ生産者と消費者が顔を合わせることができるわけで、是非もっと野菜の生産が盛んになってほしいものだ。


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