ミュージシャン白書

ミュージシャンの立場からライヴ、レコーディングを通じてミュージシャンの社会生活を紹介する

再びと二度と。

2010年02月03日 22時53分55秒 | Weblog
民主党小沢幹事長が不起訴のようす。

最近すっかり世事に疎く、日常の繰り返しや、まわりとの些細な差異からくる不安に伴う憂鬱などに気分やられ、ぼんやりと不安に陥ったりしていて、嗚呼、何かやらな……と思いつつ、悶々と過ごしている間にいろんな事が起きていた。『うまくない』と言う自覚が、いろんな事を邪魔してくる。

先日、と言うか多分昨日。NHKで東京メトロに勤める『スジ屋』という職業の人が取り上げた番組をやっていた。『スジ屋』とは。

縦軸に停車駅、横軸に停車時間が書かれた、DTM(デスク トップ ミュージック)で言うところのシーケンスデータのようなグラフに「何駅で、何時何分に、何秒止まる。」というような小学生の屁理屈みたいなのを事細かに決めて書き込むと言う、小生には絶対不可能な仕事だ。

この人、仮にうしださん、としましょう。このうしださんは、子供の頃から鉄道が大好きで、将来の夢は電車の運転手という、筋金入りの『てっちゃん』な訳でして、その夢叶い、東京メトロで運転手として働いていた訳なんですが……。

自分の意見が届かない会社に次第に不審を抱き、同時に自分のアイデンティティー(存在意義)にも疑いを持ち、「自分はこの会社で役割を果たせているか、ではなく、そもそも、自分に役割など無いんじゃないか……」と思い悩み、会社を辞める寸前までいった時。

社内報に投稿してみないか、と言う話を貰い、半ばやけくそで、もし自分の意見が通らなかったら、不倶戴天の朝敵とみなし討ち死にする覚悟で……と、うしださんはそこまでは言ってないが、まあ、そんな感じで書いた投稿が上司の目に留まり、現場から内勤に移動になったらしい。

電車が大好きなうしださんは現場を離れる事になり、やれやれ……要らん事投稿して藪をつついて蛇を出したと思ったに違いない。そこでついたのがこの『スジ屋』らしい。

「やっぱり、この仕事は、私には向いてませんね。」と言ううしださんはそれでも最後にこう締めくくる。

サラリーマンならスジを通せ。いい加減な仕事をして、辛いのはけっきょくじぶんなのだから。

小生はこの締めくくりには別段感動しなかったのだが、鉄道が大好きで大好きで好き過ぎて、普通見逃してしまうような事に絶望し退職まで考えたという、うしださんに強いショックと少しの共感を覚えた。

何かが好き過ぎると、ほんの少しでも理想から離れた部分があると、そこから理想の中に噴入してくる、世の中に蔓延する手垢じみ無差別的な『迎合せよ』という毒ガスに気持ちをやられ、フラフラになる。これはほとんどアレルギー反応のようなもので、ほんの少しでも耐えられない。その事で、自分自身を落伍者と思ってしまうという、ダウナー状態に落ち込んでいく……。

一生懸命ゆえに続けられない。これは何としてもなくさなければならない。


小生の周りには、世の中の常識からすると馬鹿馬鹿しいような夢を持って、実現しようと本気でがんばっているヤツが、様々なジャンルでいっぱいいる。小生はそう言う奴らを助けたいと思っているし、そう言う奴らがそうやって真っ当に悩んでいる姿を励みに救われたいと思っている。

来週、そういう音楽仲間と新宿であつ~~い飲み会をする予定。