先日、カールちゃんとお茶をしました。
場所は、オープンしたてのショッピングモール。建設当初から気になっていたので、ではそこで落ち合おうということに。
わたしは初めて、カールちゃんは2度目です。
外から見ても広いそのモールは、中に入るともっと広さを感じました。奥のつき当たりが見えないくらいです。洋服、バッグ、雑貨。フードコーナーはもちろんのこと、家電、映画館、銀行の店舗まで入っています。
無いものは無いというくらいの品揃えでした。
わたしはずっと目を丸くして歩いていました。
最近はこういう複合施設が増えましたね。
昔は、奥さんが服を見ているあいだ、ご主人が所在なさげにベンチに座っている、という光景をよく見かけましたが、最近は少なくなりました。
「じゃあ俺は本屋で本を探しているよ」
「ボクは友達と、映画館でポケモンを観る」
なんて、それぞれの時間を過ごすことができるようになったからでしょう。
便利になりました。
面白かったのは、300円ショップ。
よく100円ショップというのがありますが、それの300円版です。
狭いスペースに、よくセレクトされた品物が並んでいて、お客さんがいろいろ手に取っていました。ナチュラル・ベーシックとでもいうのでしょうか、生成りの布やレースを使った、やさしい雰囲気のリビング用品、キッチン用品、アクセサリパーツ。レジャーバッグ、スカーフホルダー、カーテンレールまでありました。
300円という価格のため、品質はそこそこ良く、値ごろ感もあります。
カールちゃんとこれがかわいい、あれはセットになっていておしゃれ、などと言いながら、楽しく悩みました。
わたしの戦利品は、陶器の小物入れ。切り株の形をしていて、上の切り口の年輪が、蓋になっています。
ちょうどようじ入れを探していたので、これにしました。
「ようじでしょう? 入るかなあ?」
カールちゃんは疑わしげ。
「大丈夫よ、入るわよ」
とわたし。
「蓋が閉まらないんじゃないかしら?」
陶器は高さが5センチくらいです。
「もしかしたら、ようじの頭がはみ出てしまう?」
「たぶん」
「うーん」
「それもそうね」
と一度は棚に戻したわたしですが、
「ま、そうなったら、そうなった時のことで」
かわいさに目がくらんで、買ってしまいました。
(案の定、蓋は閉まりませんでした。でもちゃんとようじ入れにしてますよ! 蓋ははずしているけど……)
カールちゃんの戦利品は、ティーポットと、雑貨をいくつか。いい買い物ができた、とうれしそうでした。
きっと忙しい家事の合間に、お茶をいれてくつろぐのでしょう。
そうそう、すてきなバッグも買っていました。手ごろな大きさで、里帰りの1泊旅行にぴったりでした。
結局、1日ですべてを回りきることはできませんでした。
「また次の機会に」
「並んでいたカフェ、今度行きたいね」
両手に戦利品のつまった袋を下げて、2人で建物を後にしました。
モールは、暗くなっても客足がとだえることはありませんでした。
帰っていく人もいましたが、同じくらい、夕飯を食べにくる家族連れや、夕飯の材料を買いにきた仕事帰りの人が、入ってきていました。
外の広場では、なにか出し物をしているのか、人垣ができていました。
等間隔の街灯が、新しい人気スポットになったモールへの道を、明るく誘導していました。