栗栖氏の歯が抜けました。正確には、差し歯が。
歯磨きでフロスをしていたら、引っかかってしまったようです。
見せてもらいました。白い歯並びの横に、1本分の隙間が出来ていて、そこに差し歯の細い土台が、葉が落ちきった木みたいにぽつんと生えています。
本人は「格好が悪い」と嫌がっていましたが、私は喜んでながめていました。
まるで乳歯が抜けた子供みたいです。かわいい。
他人には、この口は間が抜けて見えるでしょう。万が一かわいく感じたとしても、笑いだしたい気持ちが心のどこかに絶対あるはず。
でも、私は胸がキュンキュンしました。もう普段にも増してかわいい!
それで思い出しました。
自分のことです。
容姿にコンプレックスのあった子供時代。大きくなってもコンプレックスは変わらず、むしろ強くなっているくらいでした。両親は「気にならない」と言ってくれたけれど。
きっとそれは「親の欲目」。
社会人になり、栗栖氏に出会います。彼は私のコンプレックスの部分を認めた上で、「そこが逆にかわいい」と言ってくれました。
それに救われたけど。その言葉はたぶんリップサービス。
良く見えてしまうのは、「アバタもエクボ」だからでしょう……。
――そうだけど、そうじゃない。
今回、反対の立場になって、分かりました。
一般的には平凡な顔立ちの栗栖氏。でも私にはハンサムです。
そして栗栖氏は、歯が欠けてもかわいかった。最近目のわきにカラスの足跡ができたり、お腹が出てきてますが、私にとってはハンサム度が増して見えるだけです。
それは栗栖氏だから。ダーリンなら、みんな素敵なのです。
それならば、逆もあるのだろう、と思いました。
平凡以下の顔立ちの私でも。両親にとってはかわいい娘だったのでしょう。栗栖氏にはかわいい奥さんなのでしょう。
私が両親を美男美女と見たり、栗栖氏をハンサムな王様だと信じるように。
きっとそれが、家族というもののマジック。たぶん、だから私たちは夫婦なのだろうし、親子なのだろうと思います。
客観的には、私たちの外見は、十人並みです。でも、主観的には、世界一すてきなゴールデンカップルです。
歯磨きでフロスをしていたら、引っかかってしまったようです。
見せてもらいました。白い歯並びの横に、1本分の隙間が出来ていて、そこに差し歯の細い土台が、葉が落ちきった木みたいにぽつんと生えています。
本人は「格好が悪い」と嫌がっていましたが、私は喜んでながめていました。
まるで乳歯が抜けた子供みたいです。かわいい。
他人には、この口は間が抜けて見えるでしょう。万が一かわいく感じたとしても、笑いだしたい気持ちが心のどこかに絶対あるはず。
でも、私は胸がキュンキュンしました。もう普段にも増してかわいい!
それで思い出しました。
自分のことです。
容姿にコンプレックスのあった子供時代。大きくなってもコンプレックスは変わらず、むしろ強くなっているくらいでした。両親は「気にならない」と言ってくれたけれど。
きっとそれは「親の欲目」。
社会人になり、栗栖氏に出会います。彼は私のコンプレックスの部分を認めた上で、「そこが逆にかわいい」と言ってくれました。
それに救われたけど。その言葉はたぶんリップサービス。
良く見えてしまうのは、「アバタもエクボ」だからでしょう……。
――そうだけど、そうじゃない。
今回、反対の立場になって、分かりました。
一般的には平凡な顔立ちの栗栖氏。でも私にはハンサムです。
そして栗栖氏は、歯が欠けてもかわいかった。最近目のわきにカラスの足跡ができたり、お腹が出てきてますが、私にとってはハンサム度が増して見えるだけです。
それは栗栖氏だから。ダーリンなら、みんな素敵なのです。
それならば、逆もあるのだろう、と思いました。
平凡以下の顔立ちの私でも。両親にとってはかわいい娘だったのでしょう。栗栖氏にはかわいい奥さんなのでしょう。
私が両親を美男美女と見たり、栗栖氏をハンサムな王様だと信じるように。
きっとそれが、家族というもののマジック。たぶん、だから私たちは夫婦なのだろうし、親子なのだろうと思います。
客観的には、私たちの外見は、十人並みです。でも、主観的には、世界一すてきなゴールデンカップルです。