彼女は歌い始めました。
さっきBGMとして耳に流れていた歌でした。『ピリオド』。永遠に一緒にいると思っていた恋人と別れるのが辛いという内容でした。
メロディがきれいで、歌声が素直で(でも芯があり)、言葉もはっきりしている。趣味で歌っているにしてはなかなか上手いな、と思いました。
「キーボードを見てないな」
と、栗栖氏もささやきました。
キーボードは、座って弾くぶんには簡単です。でも立って弾いて、歌って、しかも鍵盤を見ていないでとなると、よっぽど慣れていないと難しい。2人ともピアノをやっている私たちは、これはかなり難しいことだと知っていました。
歌が終わりました。私たちは拍手をしました。
「では第1部、最後の曲です」
どうやら私たちは、ステージがほとんど終わるところに来てしまったようでした。
「わたしは北海道の出身なのですが、今もそこにいるお母さんのことを書きました。感謝をこめて。『睡蓮』です」
その歌声が流れはじめたとたん、私は――自分でも驚いたことに――涙が止まらなくなってしまいました。
やさしくすくいあげるようなメロディ、落ち着いた低音からしだいに歌い上げていく声、ありがとう、と何度もくりかえす歌詞。
「音楽は、生を聞くのが一番いい。CDとは音が全然違う」
よく言われている言葉ですが、初めてそれを実感しました。
声に、彼女の温かさがこもっていました。母親を思う心がしみこんでいました。
それは私の心に届き、まわりの空気を温め、午後の日差しに溶けていきました。たぶん風となって北海道へと流れていくでしょう。
北海道に早くも冬日が来たと、先日ニュースで言っていました。来月には時計台の屋根に雪が降り始めるのでしょうか……
彼女が歌い終わったとき、私は何度も何度も拍手をしていました。
後で、名前が分かりました。
工藤江里菜さん、音大出身で、すでにCDを3枚も出しているシンガー・ソングライターでした。(素人と勘違いしてすみません!)
人の耳を楽しませる歌手は多くても、人の心をゆさぶる歌手は、そんなに多くないのではないか、と私は思っています。
そんな中、工藤江里菜さんはすばらしい才能をもっていると感じました。
歌詞にメッセージが込められているのが何よりいいです。
これからの活動に期待します。応援しています!
工藤江里菜さんのHP (試聴もできます)
携帯はこちらから
さっきBGMとして耳に流れていた歌でした。『ピリオド』。永遠に一緒にいると思っていた恋人と別れるのが辛いという内容でした。
メロディがきれいで、歌声が素直で(でも芯があり)、言葉もはっきりしている。趣味で歌っているにしてはなかなか上手いな、と思いました。
「キーボードを見てないな」
と、栗栖氏もささやきました。
キーボードは、座って弾くぶんには簡単です。でも立って弾いて、歌って、しかも鍵盤を見ていないでとなると、よっぽど慣れていないと難しい。2人ともピアノをやっている私たちは、これはかなり難しいことだと知っていました。
歌が終わりました。私たちは拍手をしました。
「では第1部、最後の曲です」
どうやら私たちは、ステージがほとんど終わるところに来てしまったようでした。
「わたしは北海道の出身なのですが、今もそこにいるお母さんのことを書きました。感謝をこめて。『睡蓮』です」
その歌声が流れはじめたとたん、私は――自分でも驚いたことに――涙が止まらなくなってしまいました。
やさしくすくいあげるようなメロディ、落ち着いた低音からしだいに歌い上げていく声、ありがとう、と何度もくりかえす歌詞。
「音楽は、生を聞くのが一番いい。CDとは音が全然違う」
よく言われている言葉ですが、初めてそれを実感しました。
声に、彼女の温かさがこもっていました。母親を思う心がしみこんでいました。
それは私の心に届き、まわりの空気を温め、午後の日差しに溶けていきました。たぶん風となって北海道へと流れていくでしょう。
北海道に早くも冬日が来たと、先日ニュースで言っていました。来月には時計台の屋根に雪が降り始めるのでしょうか……
彼女が歌い終わったとき、私は何度も何度も拍手をしていました。
後で、名前が分かりました。
工藤江里菜さん、音大出身で、すでにCDを3枚も出しているシンガー・ソングライターでした。(素人と勘違いしてすみません!)
人の耳を楽しませる歌手は多くても、人の心をゆさぶる歌手は、そんなに多くないのではないか、と私は思っています。
そんな中、工藤江里菜さんはすばらしい才能をもっていると感じました。
歌詞にメッセージが込められているのが何よりいいです。
これからの活動に期待します。応援しています!
工藤江里菜さんのHP (試聴もできます)
携帯はこちらから