マグタイム

日常のひとコマを繊細なタッチでつづる……エッセイ、詩、スイーツ感想 etc. マグカップ片手に、リラックスしたひと時を

草むしり

2005-09-28 22:53:36 | 
心がどうしようもないものではびこってしまったとき、私は草むしりをします。

ほおっていたために、庭は雑草だらけ。本来の姿がわからなくなるほど庭を圧倒していて。

深く根をおろし、ぬいても根の先が残ってしまう雑草。

根をたどり、土をほぐし、ぬいていきます。
ひとつ、ひとつ。

他の草花とそっくりで、手にするのをためらわせる雑草。

隠れていた花が、姿をあらわします。
ひとつ、ひとつ。

のびた茎からまた根をはり、足がかりにして増えている雑草。

ひとつ、ひとつ。

チョウが飛んできました。
ミミズがあわててもぐっていきます。
ここに種をまきましょうか。

シャベルが土をうがつ音が、ひびきます。
庭に。私の心に。

池澤夏樹『南の島のティオ』

2005-09-16 17:54:24 | 本・漫画
南のある小さな島に、ティオという男の子がいました。お父さんはホテルを経営していて、ティオはお父さんの手伝いをしたり、友達と遊んだりしていました。
これは、ティオが出会った色々な人たちのお話……

ファンタジーではありますが、いわゆる魔法や妖怪が出るファンタジーではなく、まるですぐそこにある島の、ちょっと不思議で、ちょっとおかしみのある話を聞かされている、というかんじでした。
絵ハガキを売る男がくれたハガキ。いじわるをする島の神様。イタコのようなおばあとの会話。道路にあるいいつたえ。葉っぱをふいて屋根をつくり、木を彫ってカヌーをつくる生活。

目に浮かぶような、子供たちの海での遊び。大地に根ざした想像力。
それは、著者がハワイや沖縄に住んでいたことと、無関係ではないでしょう。

私にも、島への招待のハガキがティオから届かないかな。
青い空を見上げながら、本をとじました。

第41回小学館文学賞受賞。
文春文庫(470円)

南の島のティオ (文春文庫)

新品価格
¥520から
(2012/3/11 07:23時点)